FBAの保管料は、売れても売れなくても毎月かかる費用です。売れている商品の保管料は売上から回収できますが、売れていない商品の保管料は純粋な損失として積み上がります。

しかも、一定期間を超えた在庫には追加の手数料が発生します。ここに引っかかると、金額が一段跳ね上がります。

Amazonの在庫保管料を削減する手は、梱包を小さくする、送る量を減らす、滞留した在庫を処分する、の3方向に分かれます。この記事では、まず何にいくらかかっているかを数字で出し、入り口(発注と納品)と出口(売り切り・返送・放棄)の順に、どの手を選ぶかを金額で決める手順をまとめます。

保管料の仕組みを押さえる

FBAの保管に関する費用は、大きく2つに分かれます。

月間在庫保管料:預けている在庫の容積(サイズ)に応じて、毎月かかります。重さではなく体積です。年末など特定の時期は料率が上がります。

長期保管に対する追加手数料:一定期間を超えて保管されている在庫に、通常の保管料に加えてかかります。期間の区切りと料率は変更されることがあるため、セラーセントラルの最新の料金表で確認してください。保管料はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、判断には自社の実数を使います。この記事に出てくる金額はすべて説明用の仮の値です。

重要なのは、容積で決まるという点です。軽くても大きい商品は保管料が高くなります。梱包を一回り小さくできるなら、それだけで毎月の費用が下がります。

まず、何にいくらかかっているかを出す

対策の前に現状を把握します。セラーセントラルの「在庫年齢」レポートを開きます。

ここで見るのは次の2つです。

1. SKUごとの在庫日数の分布

在庫が何日そこにあるかが日数区分ごとに出ます。長い区分に在庫が積み上がっているSKUを特定します。

2. 保管料の内訳

支払レポートから、SKUごとの保管料が確認できます。保管料の高い上位5SKUを出してください。ここに手をつけるのが最も効きます。

「なんとなく在庫が多い気がする」ではなく、金額で見ることです。

3つの数字で重さを測る

保管料が重いかどうかは、金額の大きさだけでなく、次の3つで見ます。

数字出し方使いどころ
1個あたり月の保管料梱包後の容積×その月の単価値下げ・返送・放棄の費用と比べる基準にする
在庫の月数今の在庫数÷直近30日の販売数仮に3か月分を超えたら、発注と出口を点検する
保管料の対売上比月の保管料÷その商品の月の売上商品どうしを並べて、重い商品を見つける

単価はサイズ区分と時期で変わるので、最新の料金表で確認して計算してください。在庫の月数の「3か月」は説明用の仮の基準です。商品の回転や入荷までの日数に合わせて、自社の線を決めます。

長期在庫を作らない:入り口の対策

長期在庫は、そもそも入れすぎているから生まれます。入り口で止めるのが一番安く済みます。

適正在庫を計算してから発注する

発注点 = 1日あたり販売数 × リードタイム + 安全在庫

1日あたり販売数は、直近30日の実績を使います。リードタイムにはFBA受領までの日数を含めます。式の使い方は在庫切れを防ぐ発注基準、計算は発注量シミュレーターで出せます。

1回の納品量を減らして、回数を増やす

まとめて送ったほうが送料は安くなりますが、保管料は増えます。送料の節約分と保管料の増加分を比べて決めてください。

仮に、月に100個売れる商品を6か月間売る場合で、1回に送る量を4通り比べます。1個あたり月の保管料を30円、送料を1回10,000円+1個20円と置き、倉庫にある在庫は平均して1回の納品量の半分として計算します(安全在庫と長期保管の追加手数料は含めていません)。

1回に送る量納品回数(6か月)平均在庫保管料(6か月)送料(6か月)合計
6か月分(600個)1回300個54,000円22,000円76,000円
3か月分(300個)2回150個27,000円32,000円59,000円
2か月分(200個)3回100個18,000円42,000円60,000円
1か月分(100個)6回50個9,000円72,000円81,000円

この仮定では、6か月分をまとめて送る案は保管料で負け、毎月送る案は送料で負けます。総額が小さいのは中間の2〜3か月分です。しかも6か月分の案は、売り切る前に長期保管の追加手数料の区切りに近づくので、実際の差はこの表より開きます。販売数・容積・送料は商品ごとに違うので、SKUごとに自社の数字で中間点を出してください。回転の遅い商品は、追加手数料の区切りまでに売り切れる量を1回の上限にします。

新商品は少量から

売れるかどうか分からない段階で大量に送らない。90日分より、まず30日分。実績が出てから増やします。

入り口でよくある失敗

長期在庫の多くは、発注の時点の見込み違いから生まれます。よくある形は次の3つです。

  • 繁忙期の前に、半年分をまとめて送る。 繁忙期の販売数を多めに見積もり、売れ残りが閑散期に長期在庫になる。繁忙期の分は前年の同じ時期の販売数を上限に置く(季節商品の在庫計画)
  • バリエーションを全色・全サイズ同じ数だけ送る。 売れ筋の色が先に切れ、動かない色だけが残る。直近30日の販売の比率で配分する
  • セール参加を見込んで積み増し、結局出なかった。 出なかった場合に通常の販売で何か月で売り切れるかを、積み増す前に計算しておく

長期在庫を作らない:出口の対策

すでに滞留している在庫への対処です。追加手数料の区切りに達する前に動くのが原則です。

1. 在庫年齢レポートで、次に区切りに達するSKUを把握する

月初に確認し、今月中に区切りをまたぐものをリストにします。

2. 広告と値下げで売り切る

追加手数料が発生する金額と、値下げによる粗利減を比べます。追加手数料のほうが大きいなら、値下げして売り切ったほうが得です。

3. セット販売に組み替える

単品で動かないものを、動いている商品とのセットにします。

4. 一部を返送する

全部を返送する必要はありません。適正在庫を超えている分だけ戻すという選択もあります。返送手数料と、保管し続けた場合の費用を比べます。

5. 所有権を放棄する

売れる見込みがなく、返送しても在庫を持て余すだけなら、廃棄が合理的な場合もあります。手数料はかかりますが、そこで費用が止まります。

5つを並べると、比べる軸が見えます。

出口の選択肢すぐ出ていく費用止まる費用判断の目安
広告と値下げで売り切る値引き分と広告費以後の保管料まだ売れる見込みがある
セットに組み替える組み替えの作業以後の保管料動いている商品がある
一部だけ返送する返送手数料超過分の保管料適正在庫を超えている
全量を返送する返送手数料保管料の全額手元で売る当てがある
所有権を放棄する廃棄の手数料保管料の全額売る当てがない

判断は金額で比べます。仮に、残り200個・1個あたり月額30円の保管料で、今の価格のままだと売り切るのに6か月かかるとします。在庫が減っていく分を無視した単純計算で、保管料は200個×30円×6か月=36,000円です。1個300円値下げして3か月で売り切れるなら保管料は18,000円で済み、差は18,000円。値引きの総額は60,000円なので、保管料だけで比べると値下げは割に合いません。

ただし、6か月のあいだに長期保管の追加手数料の区切りをまたぐなら、その手数料が加わります。さらに3か月早く現金に戻る分で売れ筋を仕入れられるなら、その粗利も比べる対象に入ります。1個あたりの値下げ額の目安は「早まる月数×1個あたり月の保管料+避けられる追加手数料(1個あたり)」です。この例なら90円に追加手数料を足した額で、それを超える値下げは、資金を早く戻す価値で判断します。「値下げは損」と決めつけず、保管し続ける費用と並べて比べてください。 続けるか止めるかの線引きは撤退の判断基準にまとめています。

商品側でできること

運用ではなく、商品そのものでできる対策です。

梱包サイズを小さくする

保管料は容積で決まります。無駄な空間を減らせば、毎月の費用が下がります。ただし、輸送中の破損が増えないかは確認してください。破損による返品のほうが高くつきます。

サイズ区分の境目を意識する

FBAの手数料はサイズ区分ごとに決まっており、区分の境目をわずかに超えると手数料が跳ね上がります。あと数ミリで下の区分に収まるなら、パッケージの設計を見直す価値があります。

これは保管料だけでなく、配送代行手数料にも効きます。

月次でやること

保管料の管理は、月1回のルーティンにしておくと事故が減ります。

  1. 在庫年齢レポートを開き、長い区分に入っているSKUを確認する
  2. 今月中に追加手数料の区切りをまたぐSKUをリストにする
  3. それぞれについて、売り切る/返送する/放棄する を決める
  4. 保管料の高い上位5SKUを確認し、適正在庫を超えていないか見る
  5. 翌月の発注量を、直近30日の販売実績で計算し直す

この5つを月初にやるだけで、長期在庫はかなり減ります。

よくある質問

保管料は毎月いくらまでなら許容してよいですか。 金額そのものより、売上に対する比率で見ます。その商品の月の粗利総額に対して保管料が何%かを出し、1%を超えたら回転が落ちている合図として扱う、といった基準を自社で決めてください。比率は商品のサイズと単価で妥当な水準が変わるので、まず数か月ぶんを並べて自社の平常値を知ることが先です。

繁忙期の前に多めに送るのは避けるべきですか。 避ける必要はありませんが、時期を選びます。保管料が上がる時期に早く入れすぎると、売れる前の在庫に高い保管料がかかります。逆に遅らせると受領が間に合いません。送るのが早すぎる損と、間に合わない損の両方を金額にして比べてください。 時期ごとの積み方は季節商品の在庫計画にまとめています。

保管料が高い原因が梱包サイズだと分かりました。何から直しますか。 区分の境目にどれだけ近いかを実測で確かめるところからです。数ミリの差で区分が変わる商品なら、パッケージの設計変更で保管料と配送代行手数料の両方に効きます。計測値のずれが原因のこともあるので、手数料の見直し方の手順で登録値と実測値を比べてください。

返送と所有権の放棄は、どちらを選べばよいですか。 手元で売る当て(自社の販路や卸先など)があるかで分けます。当てがあり、返送手数料と手元での保管・発送の費用を払っても売って回収できる額のほうが大きければ返送、当てがなければ放棄です。どちらの手数料も商品サイズと時期で変わるので、セラーセントラルで1個あたりの額を確認してから、上の表の軸で比べてください。

まとめ

  • 保管料は容積で決まる。重さではない。梱包を小さくすれば毎月効く
  • 一定期間を超えた在庫には追加手数料。区切りと料率は最新の料金表で確認する
  • まず在庫年齢レポートと支払レポートで、保管料の高い上位5SKUを特定し、1個あたり月の保管料と在庫の月数を出す
  • 入り口:適正在庫を計算してから発注。新商品は30日分から。仮の計算では、まとめ送りと毎月送りの中間で送料と保管料の合計が小さくなる
  • 出口:区切りに達する前に、売り切る/セット/返送/放棄 を判断する。値下げ額は、早まる月数分の保管料と避けられる追加手数料を目安にする
  • サイズ区分の境目をわずかに超えていないか確認する
  • 月初の5ステップをルーティンにする

保管料は、気づかないうちに積み上がる費用です。月に一度レポートを開く習慣が、そのまま利益になります。発注量は発注量シミュレーターで計算できます。在庫・広告・商品ページのどこから手をつけるか迷う場合は無料の運用診断で整理してください。