季節商品は、通年商品と同じ在庫の考え方では回りません。需要が立ち上がる前に在庫がなければ売り逃し、需要が終わったあとに在庫が残れば保管料という、両側に失敗があります。
この記事では、季節商品を5つの日付で管理する方法を書きます。
起点は「需要が立ち上がる日」ではない
多くの人が、需要のピークから逆算します。しかし実務では、需要が立ち上がり始める日を起点にします。ピークではありません。
理由は、ピーク時にはすでに順位が決まっているからです。ピークの1〜2か月前から売れ始め、その期間の販売数で順位が作られます。ピーク当日に在庫を潤沢に持っていても、順位が低ければ売れません。
立ち上がり日に、在庫と広告が両方そろっている必要があります。
立ち上がり日は、前年の販売データから割り出します。前年のデータがなければ、Amazonの検索結果でその商品カテゴリーの競合を見て、いつからレビューが増え始めるかで見当をつけます。
5つの日付を決める
シーズンごとに、次の5つを紙に書きます。
1. 立ち上がり日
需要が動き始める日。ここに在庫が販売可能な状態でそろっている必要があります。
2. 発注日
立ち上がり日から、リードタイムを引いた日です。リードタイムには次を全部含めます。
- 仕入先での生産・出荷までの日数
- 輸送日数(船便か航空便かで大きく変わる)
- 通関
- 国内での検品・ラベル貼り
- FBA納品から受領・販売可能になるまでの日数
最後の項目を忘れる例が多いです。FBAの受領は繁忙期に遅れます。季節商品のシーズンは、たいてい他社も納品が集中する時期です。余裕を持って計算してください。
3. 追加発注の締切日
シーズン中に売れ行きが良くても、これ以降は追加発注しない、と決める日です。追加分が届いたときにはシーズンが終わっている、という事態を防ぎます。
締切日は「シーズン終了日 − リードタイム − 販売に必要な最低日数」で置きます。届いてから売り切るのに最低1か月かかるなら、その分も引きます。
4. 価格を下げ始める日
シーズンの終盤で、在庫を減らしにいく日です。シーズンが完全に終わってから値下げしても、需要そのものがないので売れません。まだ需要が残っているうちに下げ始めるのが肝心です。
5. 撤収日
在庫を残さない期限です。ここまでに売り切れなければ、翌シーズンまで保管するか、処分するかを判断します。
シーズン中の在庫の見方
シーズンが始まったら、残り日数と在庫数の比を見ます。
在庫が持つ日数 = 現在の在庫数 ÷ 直近7日間の1日あたり販売数
これがシーズン残り日数より短ければ、売り切れます。追加発注の締切日を過ぎているなら、広告を絞って在庫を延ばすという判断もあります。在庫がないのに広告費を使うのは無駄ですし、在庫切れは順位を落とします。
逆に、在庫が持つ日数がシーズン残り日数を大きく上回っているなら、売れ残ります。この場合は早めに動きます。
売れ残りそうなときの手順
シーズン中盤で「これは残る」と分かったら、順に打ちます。シーズンが終わってからでは手が少なくなります。
1. 広告を強める。 粗利が薄くなっても、在庫を現金に変えるほうが優先です。残った在庫は保管料がかかり続けます。
2. クーポンをつける。 定価は動かさず、期間限定の割引で反応を見ます。
3. セット販売にする。 単品で売れないものを、他の商品と組み合わせて別ページで出します。
4. 価格を下げる。 ここまで来たら下げます。ただし下げ幅は、保管料と処分費を計算した上で決めます。「いくらまでなら下げても、持ち続けるより得か」を先に出しておきます。
5. 返送または所有権の放棄を検討する。 翌シーズンまで保管する場合、保管料が積み上がります。特に長期保管に対する追加の手数料が発生する時期をまたぐと、負担が大きくなります。保管し続けるコストと、処分するコストを比べて判断します。
翌シーズンのために記録すること
シーズンが終わったら、次を記録します。これが翌年の計画の材料になります。
- 実際の立ち上がり日(想定とどれだけずれたか)
- ピークの時期と、その時の1日あたり販売数
- 最終的な販売総数
- 残った在庫数と、その処分結果
- リードタイムの実績(想定より何日かかったか)
特にリードタイムの実績は重要です。「30日で来るはず」が実際には45日かかっていたなら、翌年の発注日は15日前倒しになります。
まとめ
- 起点はピークではなく立ち上がり日。ここに在庫と広告がそろっている必要がある
- 5つの日付を決める:立ち上がり日 / 発注日 / 追加発注の締切日 / 値下げ開始日 / 撤収日
- リードタイムにはFBA受領の日数まで含める。繁忙期は遅れる
- シーズン中は「在庫が持つ日数 ÷ シーズン残り日数」で判断する
- 売れ残りそうなら、シーズン中に動く。広告 → クーポン → セット → 値下げ → 処分の順
- 保管し続けるコストと処分コストを比べて決める
- 翌年のために、立ち上がり日とリードタイムの実績を記録する
季節商品は、判断を先送りするほど選択肢が減ります。日付を先に決めて、その日が来たら機械的に動いてください。
