A+(商品紹介コンテンツ)を作ったのに購入率が変わらない、という相談をよく受けます。開いてみると、たいていきれいだけれど、書いてあることが商品説明のままです。

A+の役割は、商品を説明することではありません。スクロールしてここまで来た人が、まだ買っていない理由を消すことです。この記事では、その視点で構成の型を書きます。

作る前に、迷いの一覧を作る

構成に入る前の準備です。ここを飛ばすと、作り手が言いたいことを並べただけのページになります。

次の3か所から、購入をためらう理由を集めます。

1. 自社商品の低評価レビュー。星1〜3のレビューには、期待と実物のずれが書かれています。これはそのまま「買う前に確認したかったこと」です。集め方と返信の考え方はレビューを増やす方法と低評価への対応にまとめています。

2. 競合商品のレビュー。特に星3のレビューが役に立ちます。「悪くはないけど〇〇が惜しい」という文には、お客様が本当に気にしている点が出ます。分類のしかたは競合レビューの分析から差別化の切り口を作る手順が使えます。

3. カスタマーからの質問。商品ページのQ&A欄です。ここに出ている質問は、ページで答えられていないという証拠です。

集めたものを「サイズが不安」「素材が不安」「使い方が分からない」のようにグループ化します。このグループが、A+で潰すべき項目です。

表計算ソフトに「出どころ」「要点」「グループ名」の3列を作り、要点を「フタの閉まりが弱い」のように10文字前後に縮めて1件1行で書くと、重なりが見えます。仮に合計30件集めたなら、3件以上重なったグループをA+の対象にし、1〜2件のものは保留にします。

構成の型:上から7ブロック

集めた迷いを、次の順で配置します。上から重要な順です。多くの人は最後まで見ません。

ブロック1:一言で何の商品か

大きな写真と、短いコピー1本。ここで「自分向けの商品か」を判断されます。機能を並べず、誰の何を解決するかを1文で。

ブロック2:使っている場面

商品単体ではなく、使われている状態の写真です。生活の中に置いたときの大きさ、雰囲気が伝わります。ここで「うちで使えそう」と思ってもらいます。

ブロック3:サイズ・仕様の実数

一番よく見られるブロックです。寸法図、重さ、容量、対応機種などを数字で出します。「コンパクト」ではなく「幅30×奥行20×高さ15cm」です。

比較対象になるもの(ペットボトル、A4用紙、スマートフォンなど)と並べた写真があると、数字が読めない人にも伝わります。

ブロック4:素材と作りの説明

「なぜこの価格なのか」に答える場所です。素材、加工、縫製、検品体制など。特に価格が競合より高い場合、ここが薄いと選ばれません。

ブロック5:比較表

自社の複数商品がある場合の比較表です。サイズ違い、色違い、グレード違いを一覧にします。「どれを買えばいいか分からない」で離脱するのを防げます。

自社商品同士の比較にしてください。他社商品との比較表は規約上の問題があります。

ブロック6:使い方・手入れの方法

購入後の不安を消します。「洗えるのか」「電池は要るのか」「取り付けは自分でできるのか」。ここが分からないと後回しにされます。

ブロック7:ブランドの姿勢

最後に、誰が作っているかを短く。長い会社の歴史は不要です。何を大事にして作っているかを2〜3文で。

一覧にすると、次のようになります。作る前にこの表を埋めてから、デザインの相談に入ってください。

ブロック置くもの消したい迷い用意する材料
1一言で何の商品か自分向けの商品か分からない商品単体の大きな写真、1文のコピー
2使っている場面家で使う姿が想像できない生活の中に置いた写真2〜3点
3サイズ・仕様の実数大きさや対応可否が不安寸法図、重さ、容量、対応機種の一覧
4素材と作りの説明この価格の理由が分からない素材名、加工と検品の工程
5自社商品の比較表どれを買えばいいか決まらない型番ごとのサイズ・容量・価格
6使い方・手入れ買った後に扱えるか不安手順写真、洗浄や電池の可否
7ブランドの姿勢誰が作っているか分からない2〜3文の方針

材料が集まらないブロックは、無理に作らず飛ばしてかまいません。中身のない1ブロックを足すより、実数が入った3ブロックのほうが購入率は動きます。

テキストと画像の役割を分ける

A+では、画像の中の文字は検索の対象になりません。キーワードを画像に焼き込んでも、検索には効きません。

一方、テキストモジュール(画像ではない文字部分)は検索の対象になります。キーワードを置くならこちらです。

そのため、こう分けます。

  • 画像:見て分かること(サイズ感、質感、使用場面)
  • テキスト:読んで分かること+キーワード

よくある失敗は、仕様一覧を1枚の画像にすることです。検索に拾われず、スマートフォンでは数字がつぶれます。表で読ませたい内容は比較表モジュールやテキストに置きます。

また、画像内の文字は小さくしすぎないでください。スマートフォンでは横幅が大きく縮みます。実際にスマートフォンで開いて読めるかをまず確認します。確認する箇所はスマートフォン表示の点検手順にまとめました。

商品説明文との使い分け

A+を設定すると、通常の商品説明文はページ上に表示されなくなります(表示仕様は変わることがあります)。ただし商品説明文の内容は残しておいてください。A+が何らかの理由で表示されない場合の受け皿になります。

箇条書き5行の設計はA+と併存します。箇条書きは「スクロールせずに読まれる5行」、A+は「スクロールした人が読む部分」という役割分担です。同じ内容を書くのではなく、箇条書きで要点、A+で根拠、という構成にすると重複しません。

作ったあとに見る数字

A+を公開したら、ユニットセッション率を前後で比べます。ビジネスレポートで取れます。

A+はページに来た人にしか見えないので、セッション数(流入)は基本的に動きません。動くのは購入率です。ここが変わらないなら、載せた内容がお客様の迷いと合っていません。

比べるのは公開前後の同じ長さの期間(例:4週間ずつ)です。価格変更・セール・広告費の増減が重なった期間は、A+の効果と区別できないので外します。仮に4週間のセッションが1,000、ユニットセッション率が10%なら、1ポイント程度の上下は揺れの範囲です。2ポイント以上の差が出たら効果あり、それ未満なら期間を8週間に延ばして判断します。

期間を延ばしても差が出ないときは、また低評価レビューとQ&Aに戻ってください。答えるべき質問が変わったのではなく、まだ拾えていない質問があるということです。

よくある失敗と直し方

作り直しの相談で目にするものを3つ挙げます。どれもデザインではなく、載せる中身の問題です。

失敗1:ブランドストーリーが1ブロック目にある。 創業の思いから始まるA+をよく見ます。ブランド名で指名検索されている商品なら成立しますが、検索から流入した人はまだブランドを知りません。1ブロック目は「何の商品か」に置き換え、姿勢の話は最後に短く回します。

失敗2:数字が言葉のまま。 「大容量」「軽量」「コンパクト」はどれも読み手の基準で解釈が変わります。仮に容量1.2L・重さ280gの水筒だとすると、「500mLペットボトル2本分より少し多い」「スマートフォン2台分の重さ」と、身近なものに換算した1文を添えるだけで伝わり方が変わります。

失敗3:全ブロックを均等の力で作っている。 予算も時間も有限です。効くのは上から3ブロックまでで、ここに写真と実数が入っていないと、下をどれだけ厚くしても読まれません。作り直す順番は、ブロック3(実数)→ブロック2(使用場面)→ブロック1(一言)です。すでにある素材で埋まるのもこの順です。

工数の目安も決めておくと止まりません。仮に社内で作るとして、迷いの一覧づくりに2時間、写真と寸法図の準備に1日、モジュールへの流し込みに半日を見ておくと、1商品を1週間以内に公開できます。ここまで自社で回すのが難しい場合は、Amazon運用代行で任せられる範囲を見て、どこから外に出すかを決めてください。

よくある質問

A+を入れれば購入率は上がりますか。 上がるとは限りません。動くのは、載せた内容が購入前の迷いと合っていたときだけです。公開前後でユニットセッション率を比べ、変わらなければ内容を入れ替えます。デザインを作り直す前に、消せていない迷いを探すほうが早いです。

ブランド登録がなくてもA+は作れますか。 A+はブランド登録が前提の機能です。使える機能の範囲は登録の状態によって変わるので、ブランド登録で何ができるようになるかを確認してから計画してください。申請中でも、迷いの一覧と写真の準備は先に進められます。

何文字くらい書けばいいですか。 文字数の目標は決めなくて構いません。ブロックごとに「消す迷い」を1つに絞り、その答えを2〜4文で書くと、結果として読み切れる長さになります。長く書くほど読まれなくなるので、迷いが1つなら1ブロックで足ります。

まとめ

  • A+は商品説明ではなく、買わない理由を消す場所
  • 作る前に、低評価レビュー・競合レビュー・Q&Aから迷いを集める
  • 上から「何の商品か → 使用場面 → 実数 → 素材 → 比較表 → 使い方 → ブランド」
  • 他社との比較表は載せない
  • 画像は見て分かること、テキストは読んで分かること+キーワード
  • スマートフォンで文字が読めるかを公開前に確認
  • 効果はユニットセッション率で確かめる

「きれいなA+」と「売れるA+」は別物です。デザインの前に、消すべき迷いの一覧を作ってください。