自分では何も触っていないのに、商品名が変わっている。メイン画像が別の色の商品に差し替わっている。箇条書きが知らない文章になっている。
Amazonのカタログは、同じ商品ページに複数の出品者がぶら下がる仕組みです。そのため、自分以外の誰かが商品情報を上書きできてしまう場面があります。悪意のある書き換えもあれば、別の出品者が善意で「正しい情報」に直したつもり、ということもあります。
慌てて感情的に動くと時間を失います。順番に進めてください。
まず気づけるようにする
一番の問題は、書き換えられたこと自体に気づかないまま何週間も経つことです。売上が落ちてから調べたら原因がこれだった、という順番が最も損をします。
気づくための現実的な方法は次の3つです。
1. 週に一度、自分の目で見る
主力の商品だけでいいので、実際の商品ページを開いて上から下まで見ます。管理画面の登録内容ではなく、お客様に見えている画面を見てください。登録内容は正しいのに表示が別物、ということがあります。
2. 売上の急な変化を入口にする
ビジネスレポートで、特定のASINだけセッション数やユニットセッション率が急に落ちていないかを見ます。原因の候補としてカタログの書き換えを疑う癖をつけます。落ち方から原因を切り分ける手順は売上が伸びない原因を3段階で見るにまとめています。
3. 画像の変化に気づけるよう記録を残す
現在のページの画面を撮って、日付をつけて保存しておきます。「前はどうだったか」を示せないと、戻す依頼のときに説明ができません。証拠を残しておくことが、後の作業を軽くします。
何が変わったのかを切り分ける
「変わっている」と気づいたら、次はどこが変わったのかを特定します。対処の窓口が変わるためです。
| 変わったもの | 主に考えられること |
|---|---|
| 商品名・箇条書き・商品説明 | 他の出品者による情報の上書き、または情報源データの反映 |
| メイン画像・サブ画像 | 他の出品者による画像の差し替え |
| バリエーションの構成 | 別商品が同じバリエーションに紐づけられた |
| カテゴリー・属性 | 一括登録ファイルの取り込みによる上書き |
| 出品者が増えている | 相乗り出品(情報の書き換えを伴うことがある) |
このとき、変更前と変更後を並べて書き出しておいてください。「商品名が『○○』から『△△』に変わった」という形です。後の依頼文にそのまま使えます。
なお、自社の一括登録ファイルの誤りで自分が上書きしてしまっているケースも実際にあります。他者のせいと決めつける前に、直近で自分が出したファイルの中身も確認しておくと切り分けが早くなります。
戻すための依頼のしかた
Amazonのテクニカルサポートへ問い合わせて修正を依頼します。ここで結果が変わるのは、依頼文に何を添えたかです。
依頼に入れるものは次のとおりです。
- 対象のASIN(複数なら全部)
- 変わった箇所(項目名を具体的に)
- 変更前の内容と、変更後の内容
- 正しい情報である根拠(メーカーの資料、自社で撮影した画像、パッケージの写真、ブランドの公式情報など)
- いつ気づいたか
根拠を出せるかどうかが分かれ目になります。「こちらが正しいから直してほしい」だけでは、相手側で判断ができません。第三者が見て確認できる資料を添えてください。
一度で通らないことも珍しくありません。断られた場合は、返答の理由を読み、足りない根拠を追加して再度出します。同じ文面で送り直すのは時間の無駄になります。
また、直った後にもう一度上書きされることがあります。直った時点で終わりにせず、しばらくは週次の確認を続けてください。
依頼文のひな形
毎回ゼロから書くと、入れるべき項目が抜けます。次の形を社内で持っておき、項目を埋めて使ってください。
対象ASIN:(ASINを列挙)
変更された項目:商品名/メイン画像/箇条書き3行目 など
変更前:(以前の内容をそのまま記載。画像の場合は保存しておいた画面の日付)
変更後:(いま表示されている内容)
気づいた日:(日付)
正しい内容である根拠:(添付資料の名前と、何を示しているか)
依頼内容:変更前の内容への修正をお願いします
根拠の資料は、何が分かる資料なのかを1行で書き添えます。「パッケージ正面の写真。色の表記が『ネイビー』であることを示す」のように書くと、相手が資料を開いて探す手間が減ります。
断られやすい依頼の例
| 断られやすい依頼 | 何が足りないか | 直し方 |
|---|---|---|
| 「元に戻してください」だけ | 変更前の内容が書かれていない | 変更前と変更後を項目ごとに並べる |
| 根拠が自社の説明文だけ | 第三者が確認できない | パッケージ写真やメーカー資料を添える |
| 複数の項目と複数のASINを1つの文に混ぜる | どこを直すのか読み取りにくい | ASINごと、項目ごとに分けて書く |
| 変更前の画面が残っていない | 以前の状態を示せない | 次回に備え、平常時から画面を保存しておく |
最後の行は、その場では直せません。だからこそ、次の節で書く備えが効いてきます。
繰り返されないための備え
戻す作業は毎回コストがかかります。根本的には、書き換えられにくい状態を作るほうが安上がりです。
ブランド登録を検討する
自社ブランドで販売しているなら、ブランド登録で使えるようになる機能によって商品情報の管理権限が強くなります。商標の取得が前提になるため時間と費用がかかりますが、カタログの書き換えに繰り返し悩まされているなら、検討する価値があります。手続きの条件や必要な書類は変わることがあるので、着手前に最新の要件を公式の案内で確認してください。
商品情報を自社側で正本として持つ
商品名、箇条書き、説明文、画像の一覧を、自社のファイルとして管理します。書き換えられたときに「正しい内容」を即座に出せる状態にしておきます。ページを見て思い出しながら復元するのでは、毎回時間がかかります。
画像とテキストを自社で作る
メーカー支給の素材をそのまま使っていると、同じ素材を持つ出品者が同じ主張をします。自社で撮影・作成した素材であれば、権利の所在を示しやすくなります。
主力商品から優先する
すべての商品を同じ強度で守るのは現実的ではありません。売上の大きい順に並べて、上位から手を打つという形で構いません。
損失を見積もってから動く
書き換えへの対処は、放置した場合の損失と、かかる手間を並べて決めます。感情ではなく金額で見ると、どこまでやるかの線が引けます。
仮に、月商60万円のASINでメイン画像が別商品に差し替えられ、クリック率が落ちてセッション数が3割減ったとします。購入率が変わらなければ売上も3割減なので、1か月放置すると18万円の機会損失です。粗利率が25%なら、失う粗利は4万5,000円。週次の確認に月1時間かけるほうが、明らかに安上がりだと分かります。
対処にかかる時間の目安も置いておきます。あくまで社内で回す場合の目安です。
| 作業 | 目安の時間 | 先に用意しておくもの |
|---|---|---|
| 変更箇所の切り分け | 30分 | 前回のページのスクリーンショット |
| 依頼文の作成 | 30分 | 変更前後の内容、根拠となる資料 |
| 回答待ちと再提出 | 数日〜2週間 | 追加の根拠(パッケージ写真など) |
| 復旧後の確認 | 週10分 | 確認する項目のリスト |
週次の確認で見る項目
週次の確認は、見る項目を決めておくと10分で終わります。主力ASINごとに次の表を埋めていく形にすると、変化に気づきやすくなります。
| 見る項目 | 確認のしかた | 変化があったときの次の手 |
|---|---|---|
| 商品名 | 自社の正本ファイルと1文字ずつ比べる | 変更前後を書き出して依頼 |
| メイン画像 | 先週保存した画面と並べる | 画像を保存し、根拠の写真をそろえる |
| 箇条書き・説明文 | 冒頭の1行だけでも正本と比べる | 変わった行を特定する |
| バリエーション | 色・サイズの並びと数を数える | 知らない子ASINがあれば紐づけの修正を依頼 |
| 出品者の数 | 出品者の一覧を開く | 相乗りが増えていれば情報の変化も確認 |
| セッション数 | ビジネスレポートで前週と比べる | 大きく落ちていれば上の項目を見直す |
ページ全体の点検項目は商品ページの点検リストにもまとめています。書き換えの確認は、その中から上の6項目だけを抜き出して週次で回すものだと考えてください。
準備がある状態なら1時間で着手できますが、何も残していないと、正しい内容を思い出すところから始まります。平常時に10分かけて記録を残すことが、有事の数時間を減らします。
主力ASINが複数あって手が回らない場合は、Amazon運用代行に任せられる作業の範囲を見て、確認だけでも外に出すかを検討してください。
よくある質問
相手の出品者に直接連絡してもいいですか。 出品者間で直接やり取りする仕組みは用意されていません。カタログの内容についてはAmazonのテクニカルサポートへ、権利の侵害については所定の報告窓口へ出すのが筋です。個別に接触しようとすると、別の規約に触れる可能性があります。
戻してもらうまでどれくらいかかりますか。 内容と根拠のそろい方によって変わります。数日で反映されることもあれば、再提出を重ねて2週間ほどかかることもあります。断定はできませんが、根拠を最初から添えたほうが早いという傾向ははっきりしています。
自分の一括登録ファイルが原因だった場合はどう直しますか。 該当の項目だけを正しい値にして、もう一度ファイルを出します。空欄で出すと「変更なし」と扱われて上書きされないことがあるため、直したい項目には値を入れてください。反映を確認したうえで、社内のファイルの元データも直しておきます。
書き換えに気づくまでに時間がたってしまった場合でも依頼できますか。 依頼はできます。ただし、変更前の状態を示す資料がないと説明が難しくなります。保存した画面がなければ、パッケージの写真や自社で管理している商品情報のファイルなど、正しい内容を示せる資料を集めてから出してください。今後に備えて、週次で画面を保存する仕組みを同時に始めておきます。
まとめ
- まず気づける状態を作る。週に一度、お客様に見えている画面を自分の目で見る
- 現在のページを撮って日付つきで残す。「前はどうだったか」を示せることが後で効く
- 何が変わったかを項目単位で切り分ける。自社の一括登録ファイルが原因のこともある
- 依頼には、変更前後の内容と第三者が確認できる根拠を添える。断られたら理由を読んで補って再提出
- 戻した後も上書きされることがあるので、しばらくは確認を続ける
- 繰り返すならブランド登録と、自社素材・自社正本データの整備を検討する
