FBA納品は慣れれば単純作業ですが、慣れるまでに落とし穴がいくつもあります。しかも失敗は、在庫が販売可能にならないという形で売上を止めます。

FBA納品の手順は、準備 → ラベル → 梱包 → 納品プラン → 発送 → 受領確認の6段階です。この記事では、実務でつまずきやすい箇所を作業の順番に沿って書きます。

FBA納品手順の全体像を6段階で見る

FBA納品手順は、大きく分けると次の6段階です。どの段階で止まりやすいかを先に押さえておくと、作業中に慌てません。細かい画面の操作は変わることがあるので、セラーセントラルの最新の案内とあわせて見てください。

段階やることつまずきやすい所
1. 準備送る数量と、梱包・ラベル貼りの担当を決める数量を感覚で決める
2. ラベル商品ラベルを印刷して貼る貼り間違い・元のバーコードの隠し忘れ
3. 梱包箱詰めし、箱ごとの内訳を控える箱の上限超え・中で商品が動く
4. 納品プラン数量と箱の情報をセラーセントラルに入力する納品先の分割・危険物の申告漏れ
5. 発送配送ラベルを貼って出荷し、追跡番号を入力する追跡番号の入力漏れ
6. 受領確認受領数と販売可能数を確かめる差異の見落とし・調査依頼の期限切れ

時間の目安も先に置きます。仮に梱包・ラベル貼りに2日、発送から倉庫到着まで2日、受領から販売可能まで通常期で3〜5日とすると、作業開始から売れる状態になるまで1〜1.5週間です。繁忙期は受領がさらに延びます。日数は説明用の仮の値なので、自社の直近の納品実績に置き換えてください。

納品プランを作る前に決めること

作業を始める前に、次の2つを決めます。ここが曖昧なまま画面を触ると途中で止まります。

何を、いくつ送るか。 直近の販売ペースと、納品から販売可能になるまでの日数(リードタイム)で決めます。少なすぎると在庫切れ、多すぎると保管料がかかります(抑え方は在庫保管料を削減する手順)。数量の決め方は在庫切れを防ぐ発注基準、計算そのものは発注量シミュレーターで出せます。

どこで梱包・ラベル貼りをするか。 自社か、Amazonのサービスか、仕入先か。仕入先に依頼できるなら、その分の作業がまるごと消えます。中国から直送する場合は特に効きます。

ラベルで一番多い失敗

FBA納品のトラブルは、多くがラベル周りで起きます。どこで何が起きるかを先に一覧にします。

工程起きやすい失敗結果防ぎ方
商品ラベル貼り忘れ・別SKUのラベル受領されない・在庫が混ざるSKUごとに作業場を分ける
元のバーコード隠し忘れ別商品として読まれるラベルで完全に覆う
印刷かすれ・ずれ読み取れず保留になる印刷後に数枚テスト読み
配送ラベル継ぎ目やテープの上に貼る読み取れず受領が遅れる平らな面に貼る

商品ラベル(FNSKU)は、商品を個別に識別するラベルです。 貼り忘れると受領されないか、他社の在庫と混ざります。防ぎ方は作業の組み方で決まります。作業台の上に1SKUぶんの商品とラベルだけを置き、その山が終わってから次のSKUを出す。並べて同時に進めないというだけで、取り違えはほぼ起きなくなります。メーカーのJANコードが見えたままだとそちらが読まれるので、FNSKUラベルで完全に覆います。

印刷品質と貼り位置。 インク切れや用紙のずれで読み取れないことがあります。印刷後にスマートフォンのバーコードリーダーで数枚テストしておくと安心です。配送ラベル(貨物ラベル)は、箱の継ぎ目やテープの上に貼ると読み取れないので、平らな面に貼ります。

ラベルを取り違えたときに何が起きるか

2つのSKUを同じ日に納品し、作業台に両方の商品とラベルを並べたまま貼っていった場合です。途中で手元が入れ替わり、片方に別SKUのラベルが貼られたまま発送されたとします。起きることは3つ。正しいSKUは申告数に届かず受領差異になります。誤ったラベルの商品は「別の商品」として受領され、注文が入れば違う商品が顧客に届きます。気づくのは受領の数日後で、在庫の引き上げと再ラベルのあいだ販売が止まります。

差異だけなら調査依頼で済みますが、違う商品が届くと返品と低評価が同時に付きます。受領差異より、誤った商品が売れてしまうほうが損害は大きい。発送前なら止め、受領後なら該当SKUの販売可能数を確認して返送か廃棄かを先に決めます。

梱包で気をつけること

箱のサイズと重量には上限があります。超えると受領を拒否されるか、追加の手数料が発生します。上限値は変わることがあるので、セラーセントラルの納品ガイドで最新を確認してください。

中で商品が動かないようにする。 隙間があると輸送中に破損し、破損した在庫は販売できません。緩衝材を入れて、箱を振っても音がしない状態にします。液体・粉末は個別包装にします。漏れると同じ箱の在庫が全部使えなくなります。

慣れないうちは1箱1SKU。 1つの箱に複数SKUを入れること自体は可能ですが、内訳を正確に申告する必要があります。分けておくと、受領差異が起きたときの原因追跡が楽です。

納品プランの作成でつまずく箇所

セラーセントラルで納品プランを作る流れは、おおむね次の順です。画面の名前や並びは変わることがあるので、最新の案内とあわせて見てください。

  1. 送るSKUと数量を入力する。 梱包しながら数えた実数を入れます。ここがずれると以降の工程が全部ずれます
  2. 梱包タイプを選ぶ。 1箱1SKUか、複数SKUの混載か。慣れないうちは前者です
  3. 箱ごとの内訳・寸法・重量を入力する。 箱を閉じる前に測ります
  4. 納品先と配送方法を確認する。 ここで納品先が複数に分かれることがあります
  5. 配送ラベルを印刷して貼る。 箱との対応を取り違えると、申告した内訳と中身がずれます
  6. 発送し、追跡番号を入力する。 発送当日に入れます

このうち止まりやすいのは、次の3点です。

納品先が複数に分かれる。 1回の納品が複数のフルフィルメントセンターに振り分けられることがあります。送料が増えるので、在庫を1か所にまとめるオプション(有料)を使うかを判断します。判断は感覚ではなく引き算です。分割で増える配送料と「まとめる料金 × 納品数」を並べます。

仮に、分割で宛先が1か所増えて配送料が1,200円上がり、まとめるオプションが1個あたり30円だとすると、分岐点は 1,200 ÷ 30 = 40個です。

納品数分割で増える配送料(仮に1,200円)まとめる料金(仮に1個30円)安いほう
20個1,200円600円まとめる
40個1,200円1,200円同じ(分岐点)
100個1,200円3,000円分けて送る
300個1,200円9,000円分けて送る

まとめる料金が個数に応じて増える形なら、量が多いほど分けて送ったほうが安くなる方向に働きます。上の数値は計算のしかたを示す仮の値です。オプションの有無・料金・分割のされ方はカテゴリーやサイズ、時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の運賃に置き換えて比べてください。増えた分を含めて1個あたりいくら残るかは、FBA手数料と粗利の計算と利益シミュレーターで出せます。

危険物(引火性・電池含む商品)の申告。 該当する商品は事前の審査が必要です。申告を忘れると受領されません。電池入りの商品、スプレー、アルコール類は事前に確認します。

数量の入力ミス。 申告数と実数が違うと受領差異になります。梱包後に数え直すのではなく、梱包しながら数えるほうが正確です。

初めての納品は少量で1回通す

新しい商品や、FBAを初めて使うときは、全量を送る前に少量で1回通すほうが結果的に早く販売可能になります。本番の前に次のことが分かるからです。

  • ラベルが倉庫で問題なく読み取れるか
  • 危険物の確認や、商品情報の不足で止まらないか
  • 発送から販売可能になるまで、実際に何日かかるか
  • 倉庫で測られた寸法・重量が、自社で登録した値とずれていないか

最後の点は利益に関わります。寸法や重量で配送の手数料の区分が決まるため、登録値より大きく測られると1個あたりの手数料が想定より上がることがあります。受領後に在庫の画面で登録されている寸法を確かめてください。

仮に本番で300個を送るなら、初回は20〜30個です。その数日は自社発送で売るか、本番の発送準備を並行して進めておけば、販売の空白は短くできます。

発送してからやること

発送したら、追跡番号を入力します。空欄のままにすると、荷物が届いても紐づかず受領が遅れます。

受領には日数がかかります。到着した翌日に販売可能になるとは限らず、繁忙期(大型セール前、年末)は特に遅れます。この日数を見込んで計画してください。「売り切れそうだから今送る」では間に合いません。

受領後に確認すること

ここを飛ばしている方が多いのですが、金額に直結します。

受領数と申告数が一致しているか。 セラーセントラルの「納品履歴」で確認できます。届いているのに受領されていない、途中で紛失した、というケースは実際にあります。差異があれば原因を調べて調査依頼を出します。

調査依頼には期限があります。受領から一定期間を過ぎると申請できません。月末にまとめて確認すると期限切れが出るので、納品ごとに受領確認をルーティンにすることをおすすめします。

販売可能になっているか。 受領されていても、「調査中」「保留」の状態だと売れません。在庫管理画面で「販売可能」の数量を確認します。カート獲得率が突然0%になったときも、まずここを見ます。

受領差異は金額にすると小さく見えますが、積み上がります。仮に1回の納品200個で3個が受領されず、着地原価が1,200円なら3,600円。月2回の納品でこれが起きると、年間で86,400円です。「数個だから」と流すかどうかで、年単位では大きな差になります。

受領差異が出たときの調査依頼の手順

差異に気づいたら、次の順で進めます。画面の名前や申請の窓口は変わることがあるので、セラーセントラルの最新の案内とあわせて確認してください。

  1. 受領が終わっているかを確かめる。 納品のステータスが受領中のうちは、数字が後から増えることがあります。差異の判断は受領が締まってからです
  2. どのSKUが何個足りないかを控える。 納品プラン全体の合計ではなく、SKUごとに申告数と受領数を並べます
  3. 自社側の記録を集める。 箱ごとの内訳、梱包時の写真、配送の追跡番号と配達完了の記録です。梱包しながら数え、箱を閉じる前に中身を1枚撮っておくと、ここで使えます
  4. 調査を依頼する。 納品履歴の画面から、差異のあるSKUについて申請します。集めた記録を添えます
  5. 結果を記録する。 補填されたか、差異の原因が自社側だったかを残します。同じSKUで続けて差異が出るなら、ラベルか梱包の工程に原因があります

記録がそろっていないと、依頼しても確認が長引きます。証拠は発送前にしか作れないので、手順3の写真と内訳は毎回の梱包作業に組み込んでおいてください。

よくある質問

納品先が複数に分かれるのを避けられますか。 在庫を1か所にまとめるオプション(有料)を使う方法があります。使うかどうかは、分割で増える配送料と「まとめる料金 × 納品数」を並べて比べれば決まります。料金が個数に応じて増える形なら、量が多いほど分けて送ったほうが安くなる方向です。オプションの有無や料金は時期によって変わるため、自社の実数で比べてください。

納品プランを作った後に数量や中身を変えられますか。 変更できる範囲は発送前か出荷済みかで変わります。発送前で箱の中身が確定していないなら、作り直したほうが早いことが多いです。避けたいのは、申告だけを直して箱の中身やラベルを合わせ直さないことで、これはそのまま受領差異になります。操作できる範囲は画面の仕様で変わるので、最新の案内で確認してください。

繁忙期はどのくらい前に送ればよいですか。 大型セールの前や年末は受領が遅れます。通常期のリードタイムに2週間ほど上乗せして計画するのが無難です。逆算のしかたは季節商品の在庫計画に日付の置き方をまとめています。

受領差異の調査依頼は毎回出すべきですか。 差異があれば毎回出します。依頼には期限があり、月末にまとめて確認すると期限切れが出ます。1回あたりの金額は小さくても、回数が積み上がると無視できません。

FBA納品にかかる日数の目安はどれくらいですか。 作業開始から販売可能になるまで、通常期で1〜1.5週間が目安です。内訳は梱包とラベル貼りに2日前後、発送から倉庫到着まで2日前後、受領から販売可能まで3〜5日ほど。大型セールの前や年末は受領が遅れやすいので、直近の自社の実績で置き換えて計画してください。

商品ラベルは自分で貼らないといけませんか。 自社で貼るほか、仕入先に貼ってもらう方法や、Amazonのラベル貼りのサービスを使う方法があります。サービスは有料で、対象商品や条件、料金は変わることがあるのでセラーセントラルで確認してください。数量が多いなら、仕入先の出荷前に貼ってもらうのがいちばん手間が減ります。

まとめ

  • 納品前に「何をいくつ」「どこで梱包・ラベル貼りするか」を決める
  • ラベルの失敗が最多。SKUごとに作業スペースを分け、印刷を先にテストする
  • 元のバーコードは完全に隠す
  • 慣れないうちは1箱1SKU。受領差異の追跡が楽になる
  • 危険物該当は事前確認。忘れると受領されない
  • 受領には日数がかかる。繁忙期はさらに遅れる前提で計画する
  • 受領数と申告数の照合を納品ごとに行う。調査依頼には期限がある

FBA納品は慣れれば単純作業になります。ただし受領確認だけは、慣れても省かないでください。ここが利益に直結します。