広告費が想定より膨らんでいるとき、真っ先に見るのが検索用語レポートです。ここには「実際にお客様が打った言葉」が並んでいます。そして多くの場合、売上にまったく繋がっていない言葉に、無視できない金額が流れています。
この記事では、その言葉を止めるための除外キーワードの決め方を書きます。
除外キーワードが効くのは、どこにお金が漏れているかを知っているときだけ
除外キーワードを「なんとなく関係なさそうな語を思いつくまま登録する作業」だと思っている方が多いのですが、それは順番が逆です。
思いついた語は、たいていそもそもクリックされていません。クリックされていない語をいくら止めても広告費は1円も減りません。逆に、本当に漏れている語は、担当者の想像の外にあることがほとんどです。
だから最初にやるのは、登録ではなくレポートを開くことです。
検索用語レポートの開き方と、見る4列
スポンサープロダクト広告の管理画面から「レポート」→「検索用語レポート」を出します。期間は直近30日から60日程度を推奨します。1週間だと母数が足りず、たまたま売れなかっただけの語を切ってしまいます。
見るのは基本的にこの4列です。
| 列 | 何を意味するか |
|---|---|
| カスタマーの検索キーワード | お客様が実際に打った言葉 |
| クリック数 | その語で何回クリックされたか |
| 広告費 | その語にいくら使ったか |
| 注文数 | その語から何件売れたか |
この4つで、「お金を使っているのに売れていない語」を機械的に見つけられます。レポートの種類ごとの役割は広告レポートの見方にまとめています。
外す語を数字で線引きする
感覚ではなく、次の順で線を引きます。
1. 注文0件かつ広告費が損益分岐を超えている語
ここは迷わず除外候補です。目安として、その商品の粗利1個分を広告費が超えていて、まだ1件も売れていない語は止めます。粗利が1,200円の商品なら、1,200円以上使って0件の語、という線になります。
2. 注文はあるが、ACOSが損益分岐を大きく超えている語
売れてはいるので判断が要ります。単価が高い商品で、その語がリピートに繋がりそうなら残す選択もあります。ただし3か月続けて損益分岐を超えているなら止めるべきです。
3. クリックが少なすぎて判断できない語
クリック5回以下で0件、といった語はまだ判断できません。ここで切ると、伸びる可能性のある語を潰します。次回のレポートまで置いておきます。
3つを1枚にすると次のようになります。
| 語の状態 | 判断 | 目安 |
|---|---|---|
| 注文0・広告費が粗利1個分を超えた | 除外する | 粗利1,200円なら1,200円使って0件 |
| 注文0・広告費が粗利1個分に届かない | まだ置く | 次回のレポートまで待つ |
| 注文あり・損益分岐ACOS超えが3か月続く | 除外か入札を大きく下げる | 損益分岐は粗利率から出す |
| クリック5回以下 | 判断しない | 母数が足りない |
2行目と3行目は、損益分岐ACOS(これを超えると売るほど赤字になる線)が分かっていないと判断できません。売価・原価・手数料から先に出しておいてください。出し方はACOSの目標値の決め方に、計算は利益シミュレーターにあります。
線引きを当てはめた試算
線引きでどれだけ広告費が戻るかを、仮の数字で確かめます。実際の水準を示すものではありません。粗利1個1,200円、損益分岐ACOSを40%と仮定し、直近60日のレポートに次の5語が出ていたとします。
| 検索語の例 | クリック | 広告費 | 注文 | ACOS | 判断 |
|---|---|---|---|---|---|
| 主力の語 | 180 | 18,000円 | 15 | 30% | 残す |
| 他社ブランド名を含む語 | 40 | 3,600円 | 0 | ― | 除外(粗利1個分を超えて0件) |
| 「中古」を含む語 | 25 | 2,000円 | 0 | ― | 型ごと除外 |
| 用途違いの語 | 8 | 640円 | 0 | ― | まだ置く(粗利1個分に届かない) |
| 関連の広い語 | 60 | 6,000円 | 2 | 75% | 入札を下げて様子を見る |
除外する2語で60日に5,600円、月に直すと約2,800円が戻ります。広告費全体が60日で30,240円なら、その約18.5%です。数字としては小さく見えても、売上を一切減らさずに浮く金額なので、そのまま利益に足されます。
損益分岐を超えている5行目は、入札を下げたうえで、超えた状態が3か月続くなら除外に移します。4行目は、次のレポートで広告費が1,200円を超えて0件のままなら除外します。同じ表を毎回同じ基準で埋めていけば、判断に迷う時間がほとんどなくなります。
語ではなく「型」で外す
1語ずつ外していくと、いたちごっこになります。似た言葉が次から次に出てくるからです。効くのは、外れ方の型を見つけて、その型ごと止めるやり方です。
よく出てくる型は次のようなものです。
- 他社ブランド名:自社商品を探していない人が来ています
- 用途違い:「業務用」「大容量」など、自社が対応していない使い方
- 無料・中古・レンタル:そもそも新品を買う気がない
- 部品名・修理:本体ではなくパーツを探している
- サイズ違い・型番違い:明確に別の商品を探している
レポートを眺めて、外したい語がこのどれかに当てはまるなら、その型の代表語をフレーズ一致で除外すれば、周辺の語もまとめて止まります。
型ごとに、登録する代表語と巻き込みに注意する点をまとめると次のとおりです。
| 型 | 登録する代表語の例 | 一致タイプ | 巻き込みに注意する点 |
|---|---|---|---|
| 他社ブランド名 | ブランド名そのもの | 完全一致から始める | 比較のために検索して自社が売れている語がないか |
| 用途違い | 「業務用」「大容量」 | フレーズ一致 | 自社にも業務用の型番がある場合は外さない |
| 無料・中古・レンタル | 「中古」「レンタル」「無料」 | フレーズ一致 | 「中古ではない」ことを訴求している商品は少ない。ほぼ安全 |
| 部品・修理 | 「部品」「交換」「修理」 | フレーズ一致 | 「交換用」として売っている付属品がある場合は外さない |
| サイズ・型番違い | 対応していない型番 | 完全一致 | 互換品として売れている型番がないか |
表の右端の列が、フレーズ一致で外す前に確認する箇所です。自社の商品名や箇条書きに同じ語が入っていないかを見てから登録すると、売れていた語を巻き込む事故がほぼなくなります。除外の画面での登録手順は除外キーワードの設定のやり方にまとめています。
完全一致で外すか、フレーズ一致で外すか
除外キーワードにも一致タイプがあります。使い分けはシンプルです。
除外完全一致は、その語とまったく同じ検索のときだけ止めます。誤爆が少ないぶん、効き目も狭いです。「この語だけをはっきり止めたい、でも似た語は残したい」ときに使います。
除外フレーズ一致は、その語を含む検索をすべて止めます。「中古」を除外フレーズで入れれば、「中古 ○○」「○○ 中古品」などまとめて止まります。効き目は広いぶん、意図しない語まで巻き込む危険があります。
実務では、型で外すときはフレーズ一致、個別の語を外すときは完全一致という使い分けが安全です。フレーズ一致で登録したあとは、翌週にインプレッション数が想定以上に落ちていないかを確認してください。
外したあとに確認すること
除外は「入れて終わり」にしないでください。登録から1〜2週間後に、次の2つを見ます。
広告費が実際に減ったか。 減っていなければ、その語はもともと大した金額を使っていなかったということです。別の語を探し直します。
売上まで一緒に落ちていないか。 ここが一番危ないところです。フレーズ一致で広く外したときに、売れていた語まで巻き込んでいることがあります。売上が落ちていたら、除外を1つずつ外して原因の語を特定します。
実際にありがちな失敗を2つ挙げます。ひとつは、除外を広告グループにだけ入れて、同じキャンペーンの別の広告グループやオート側に入れ忘れるケースです。レポートに同じ語がまた出てくるので、「除外が効かない」という誤解につながります。除外はどの階層に入れたかを一覧で残しておいてください。オートとマニュアルの持ち方はオート広告とマニュアル広告の使い分けに整理しています。
もうひとつは、セール期間を含む数字だけで線を引くケースです。値引きで転換率が上がっている時期のレポートで判断すると、通常期には赤字になる語が残ります。判断はセール前後を外した通常期の30〜60日で行ってください。
見直しの頻度は、広告費が月10万円までなら月1回、月30万円を超えるなら2週間に1回が目安です。1回の作業は、レポートを出して線引きの表に当てはめ、除外を登録するまでで30分ほどで終わります。一度作った除外リストが永久に正しいということはありません。商品が変われば、季節が変われば、漏れる語も変わります。
よくある質問
除外キーワードは何語くらい登録してよいですか。増やしすぎると危険ですか。 語数そのものより、根拠のある語だけかどうかが問題です。レポートの数字を根拠に入れた語であれば、数百語になっても差し支えありません。危ないのは、思いつきで入れたフレーズ一致の除外です。1語で数十の検索語を止めるので、売れていた語を巻き込みます。フレーズ一致の除外だけは別の一覧にして、入れた日付と理由を残しておくと、売上が落ちたときにすぐ戻せます。
他社ブランド名を除外すると、そのぶん売上が減りませんか。 他社名で検索している人が自社商品を買うことは、まったくないわけではありません。判断はレポートの数字で決めてください。その他社名で注文が出ていて、ACOSが損益分岐の範囲に収まっているなら残す価値があります。注文0のまま広告費だけ出ているなら、比較検討の入口としては機能していないということです。なお、他社ブランド名を自社の広告文や商品名に使うのは別の問題になるので、そこは触らないでください。
オートとマニュアルの両方に、同じ除外を入れる必要がありますか。 除外はキャンペーンか広告グループの単位で効くので、別のキャンペーンには自動では反映されません。止めたい語が両方で出ているなら、両方に入れる必要があります。作業を減らすには、除外リストを1枚の表で管理し、新しいキャンペーンを作ったときにまとめて流し込む運用にしてください。オートで売れた語をマニュアルへ移したときにオート側で除外するのも、同じ考え方です。
新商品で、まだレポートにほとんど語が出ていません。いつから除外を始めればよいですか。 出始めの1か月は、除外より語を集めることを優先します。この時期に線引きの表を当てはめると、クリックが少なすぎて「判断しない」行ばかりになるはずです。例外は、明らかに別の商品を探している語(中古・修理・対応していない型番)で、これは最初から型ごと外して構いません。数字での線引きは、広告費が粗利数個分たまった時点から始めます。新商品の広告の組み立ては新商品の広告で説明しています。
まとめ
- 思いついた語ではなく、検索用語レポートに出ている語から選ぶ
- 「広告費が粗利1個分を超えて、注文0件」を最初の線引きにする
- クリックが少なすぎる語はまだ切らない
- 1語ずつではなく、他社ブランド名・用途違い・中古などの型で止める
- 型はフレーズ一致、個別語は完全一致。フレーズ一致の前に自社の商品名と箇条書きに同じ語がないかを見る
- 登録後1〜2週間で、広告費と売上の両方を確認する
除外キーワードの整理は、広告の設計を変えずに費用対効果を戻せる、数少ない即効性のある作業です。レポートを開くところから始めてください。毎回の線引きと登録を任せたい場合は、Amazon広告の運用代行の内容に作業の範囲を公開しています。
