同じキャンペーンでも、広告が出る場所によって成績は大きく変わります。検索結果の一番上に出たときと、他社の商品ページの下に出たときでは、クリック率も転換率も別物です。

その差を使って、成績のいい枠にだけ入札を上乗せするのが掲載枠(プレースメント)別の調整です。進め方の答えを先に書くと、枠別レポートで損益分岐ACOSを下回っている枠だけに25%から上乗せを入れ、1〜2週間ごとに25ポイントずつ様子を見ながら上げ、ACOSが損益分岐に近づいたところで止めます。判断に入るのは、その枠のクリックが30〜50回たまってからです。

枠は3つ

スポンサープロダクト広告では、掲載枠が3つに分かれています。

枠どこに出るか傾向
検索結果の上部検索結果の1ページ目、いちばん上クリック率・転換率が高い。単価も高い
商品ページ商品詳細ページの中の広告枠単価は安いが転換率は落ちやすい
検索結果のその他検索結果の下部や2ページ目以降中間。量は出る

一般に検索結果の上部がいちばん成果が出ますが、商品によって逆転します。だから思い込みで上乗せせず、レポートを見てから決めます。

まずレポートで実績を見る

広告管理画面のキャンペーン設定内に、掲載枠別のレポートがあります。ここで枠ごとに次を並べます。

  • クリック数
  • 広告費
  • 売上
  • ACOS
  • 転換率(注文数 ÷ クリック数)

見るのはACOSと転換率です。表示回数やクリック数の多さでは判断しません。

判断の目安はシンプルです。

損益分岐ACOSを下回っている枠 → 上乗せの候補 損益分岐ACOSを超えている枠 → 上乗せしない。むしろ配信を絞る

損益分岐ACOSは「広告費を除いた粗利 ÷ 販売価格 × 100」です。手数料の率やFBA料金はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で出してください。計算だけなら利益シミュレーターでも出せます。

判断できるだけのデータが必要

枠ごとに分けると、1枠あたりのクリック数は当然少なくなります。クリックが30〜50回たまるまでは判断しないでください。

たとえば商品ページ枠のクリックが8回で注文0件でも、それは「その枠が悪い」証拠にはなりません。転換率10%の商品なら、8回で0件は普通に起こります。

データが足りないうちは、上乗せせずにそのまま回します。

上乗せ率は小さく始める

上乗せは0%から900%まで設定できますが、いきなり大きく入れないでください。

上乗せ率は入札に対して掛かるので、たとえば入札50円で上乗せ100%なら、その枠では100円まで入札します。倍になるということです。

始め方の目安。

1回目は25%から。 1週間回して、その枠のACOSと総広告費を確認します。

悪化していなければ、次は50%へ。 変更幅は一度に25ポイントずつ程度に留めます。

ACOSが損益分岐に近づいたら止める。 そこが上限です。

上乗せ率が実際の金額にどう効くかを、入札50円の場合で並べます。

上乗せ率その枠での入札上限元の入札との差
25%62.5円+12.5円
50%75円+25円
100%100円+50円
200%150円+100円

上乗せ100%は入札を倍にするのと同じです。レポートを見ずに入れる数字ではありません。まず25%で1週間、悪化していなければ50%でもう1週間、という進め方にしてください。入札額そのものの上限の出し方は入札額の決め方にあります。

上乗せを入れると日予算の消化が早くなります。予算が昼で尽きて午後の配信が止まる、ということが起きるので、上乗せと同時に日予算も見てください。

数字で見ておきます。仮に1日の予算が3,000円、平均クリック単価が50円なら1日60クリックです。検索結果上部に100%の上乗せを入れると、その枠でのクリック単価は100円前後まで上がる可能性があります。同じ3,000円ではクリックが30回に減り、上部だけで予算を使い切れば、商品ページ枠には配信が回りません。上乗せを入れるときは、日予算を同じ割合で増やすか、上乗せ幅を小さくするか、どちらかを一緒に決めてください。

上乗せ率の上限を先に計算しておく

「ACOSが損益分岐に近づいたら止める」を、入れる前に数字で見積もっておくと、上げすぎを防げます。

上乗せを入れても転換率が変わらないと仮定すると、その枠のクリック単価は最大で「1+上乗せ率」倍になり、ACOSも最大で同じ倍率まで上がります。つまり、上乗せ率の上限の目安 = 損益分岐ACOS ÷ その枠の現在のACOS − 1 です。

その枠の現在のACOS損益分岐ACOS上限の目安
15%30%100%
20%30%50%
25%30%20%
30%以上30%上乗せしない

実際のクリック単価は競合の入札で決まるので、上限いっぱいまで上がるとは限りません。あくまで「ここを超えたら赤字の可能性がある」という天井です。仮に上限の目安が50%なら、25%で1週間、50%で1週間と進め、それ以上は入れません。

よくある設定ミス

入札戦略との掛け算を見落とす。 キャンペーンの入札戦略で、Amazonが入札を上げ下げする設定を選んでいると、上乗せ率とは別に入札が引き上げられることがあります。上乗せを入れる前に、入札戦略の設定を確かめてください。慣れないうちは、上げ方が読みやすい「ダウンのみ」の設定と組み合わせるほうが、結果を判断しやすくなります。

期間をそろえずに比べる。 変更前の30日と変更後の7日を比べると、セール期間の有無などで数字が大きくずれます。比べるときは同じ日数、同じ曜日の並びでそろえます。

複数のキャンペーンで同じ語を上乗せする。 自社のキャンペーン同士で同じ枠を取り合い、クリック単価を自分で押し上げることになります。同じ語が複数のキャンペーンに入っていないかを先に整理してください。

上乗せしても成績が上がらないとき

上乗せは「その枠での順位を上げる」だけです。順位が上がっても選ばれないなら、原因は別にあります。

検索結果の上部に上乗せしても転換しない。 いちばん目立つ場所に出ているのに買われていません。これは商品ページか価格の問題です。上乗せを戻して、画像や箇条書きを直します。

商品ページ枠のACOSが高い。 他社の商品ページで比較されて負けています。上乗せするより、商品ターゲティングで狙う相手を選び直すほうが効きます。狙う商品の集め方は商品ターゲティング広告の使いどころにまとめています。

上乗せしても表示回数が増えない。 入札そのものが低すぎるか、その語での関連性が低い状態です。枠の調整ではなく、入札額かキーワードを見直します。

キャンペーンを分けるという選択

枠ごとに大きく成績が違う商品では、枠ごとにキャンペーンを分ける方法もあります。

同じ語で、検索結果上部に寄せるキャンペーンと、商品ページ枠に寄せるキャンペーンを別に作り、予算も別に持たせます。管理は増えますが、予算の取り合いがなくなり、悪いほうを丸ごと止められます。

商品数が少ないうちは分けすぎないほうが楽です。1商品あたりの広告費が月に数万円を超えてきたら、分ける価値が出てきます。分け方の基準はキャンペーン構造の作り方に整理しています。

見直しの頻度

枠の上乗せは、月1回の見直しで十分です。

週次で触ると、たまたまの変動に反応して上げ下げを繰り返すことになります。上乗せを変えたら最低1週間、できれば2週間は置いてから判断してください。

変更したら、変更日と前後の上乗せ率を記録します。これがないと、半年後に「なぜこの数字なのか」が分からなくなります。

よくある質問

上乗せをマイナスにして、成績の悪い枠だけ下げることはできますか。 上乗せ率は0%以上でしか設定できないので、特定の枠だけを直接下げることはできません。悪い枠を薄くしたいときは、良い枠に上乗せを入れて相対的に配分を寄せるか、キャンペーンを枠ごとに分けて予算を別に持たせる方法をとります。商品ページ枠だけを外したい場合は、商品ターゲティングを含むキャンペーンを分けて、そちらの予算を絞るほうがはっきり効きます。

スポンサーブランドやスポンサーディスプレイでも、同じ調整ができますか。 枠の種類と設定できる項目が違います。スポンサープロダクトの3枠と同じ形ではないので、同じ数字をそのまま持ち込まないでください。共通しているのは考え方のほうで、「どの面で出たときに買われているかをレポートで見てから寄せる」という順番は変わりません。広告の種類ごとの役割の違いは3種類の広告の違いと使い分けに整理しています。

上乗せを入れた翌日に広告費が跳ね上がりました。すぐ戻すべきですか。 費用が増えること自体は想定どおりなので、翌日の金額だけで戻さないでください。見るのは、増えた広告費に対して注文が付いているかどうかです。1週間置いて、その枠のACOSが損益分岐を下回っていれば維持、超えていれば上乗せを半分に戻します。ただし日予算を使い切って午後の配信が止まっているなら、判断材料が偏るので、先に日予算を調整してから1週間数え直してください。

Amazon広告のプレースメントとは何ですか。 広告が表示される場所(掲載枠)のことです。スポンサープロダクト広告では「検索結果の上部」「商品ページ」「検索結果のその他」の3つに分かれ、枠ごとにクリック率や転換率が違います。そのうち成績のよい枠に入札を上乗せするのが、プレースメント別の入札調整です。

入札調整の効果はどれくらいで分かりますか。 変更してから1〜2週間が目安です。ただし、その間に枠ごとのクリックが30〜50回たまっていなければ判断はできません。クリックが少ない商品では、上乗せ率を細かく動かすより、同じ設定のまま2〜4週間回して数字をためるほうが、正しい判断に早くたどり着きます。

まとめ

  • 枠は「検索結果の上部」「商品ページ」「検索結果のその他」の3つ
  • 思い込みで上乗せせず、枠別レポートのACOSと転換率で決める
  • 損益分岐ACOSを下回っている枠だけが上乗せの候補
  • クリックが30〜50回たまるまで判断しない
  • 上乗せは25%から始め、25ポイントずつ。ACOSが損益分岐に近づいたら止める
  • 上乗せすると日予算の消化が早まる。予算も一緒に見る
  • 上乗せしても転換しないなら、原因は商品ページか価格。枠の調整では直らない
  • 見直しは月1回。変更日と率を記録する

枠の調整は、設定を大きく変えずに効率を上げられる数少ないレバーです。ただしレポートを見てから触ってください。