「オート広告とマニュアル広告、どちらを回せばいいですか」という質問は、おそらく一番多く受けます。答えは時期によって変わります。そして両方回すのが前提で、比率をどう置くかという話になります。

この記事では、それぞれが何をする仕組みなのかを整理したうえで、時期ごとの使い分けを書きます。

2つは競合しない。役割が違う

まず前提を揃えます。

オートターゲティングは、Amazonが商品情報から関連する検索語を推測して、自動で広告を出す仕組みです。こちらが指定しなくても、いろいろな語に露出します。

マニュアルターゲティングは、こちらが指定したキーワード(または商品)にだけ広告を出す仕組みです。指定した語にしか出ません。

つまりオートは探す仕組み、マニュアルは当てる仕組みです。どちらが優れているという比較ではなく、探した結果を当てにいくという流れになります。

オートの4つのターゲティンググループ

オートを「ひとつの設定」だと思っていると、無駄が見えません。オートには次の4種類があり、それぞれ別々に入札を設定できます。

グループ何に出るか
ほぼ一致商品と非常に近い検索語
おおまか一致ゆるく関連する検索語
代替商品競合商品の詳細ページ
補完商品一緒に使う商品の詳細ページ

このうち「おおまか一致」は露出が広い反面、関係のない語まで拾いやすい枠です。広告費が膨らんでいるときは、まずここの入札を下げるか止めるだけで落ち着くことがよくあります。

逆に「補完商品」は、単価が上がりやすい枠です。一緒に使う商品を見ている人に出るので、購入意欲が高い状態で見てもらえます。

4つを一括で見ずに、グループごとに数字を出して判断するのが基本です。

立ち上げ期はオート中心

発売直後で、その商品がどんな言葉で探されるのかが分かっていない段階では、オートに寄せます。

理由は単純で、マニュアルで指定する語をまだ持っていないからです。この段階で想像だけでキーワードを並べても、たいてい外れます。実際にお客様が打っている言葉は、こちらが考えるものと違います。

この時期のオートは「広告」というより調査として回します。低めの入札で幅広く露出させ、検索用語レポートに語をためていきます。予算は無理に大きくせず、2〜4週間かけてデータを集めます。

日予算をいくらに置くかは、クリック単価から逆算すると決めやすくなります。仮にクリック単価が40円、判断に必要なクリック数を1商品あたり200クリックとすると、必要な広告費は8,000円です。1日500円なら16日、1日1,000円なら8日でそこに届きます。日予算を小さくしすぎると、判断できる量がたまる前に1か月が終わります。大きくしすぎると、外れた語に払う調査費が増えます。「2〜4週間で必要なクリック数に届く日予算」という置き方をしてください。クリック単価は語によって数倍違うので、最初の1週間の実績が出た時点で置き直します。入札額そのものの決め方は入札額の決め方と上げ下げの基準に書いています。

同時に、明らかに外れている語(他社ブランド名、中古、部品名など)は除外キーワードで止めていきます。これをやらないと調査コストが跳ね上がります。外す語の線引きは除外キーワードの決め方にまとめています。

データがたまったらマニュアルへ移す

オートを回して、検索用語レポートに注文が発生した語が並んできたら、次の段階です。

売れた語をマニュアル広告に移します。ここでの手順は次のとおりです。

  1. 検索用語レポートから、注文が1件以上ある語を抜き出す
  2. その語をマニュアル(完全一致)のキャンペーンに登録する
  3. 同じ語をオート側では除外キーワードに入れる

移す語をどこで線引きするかは、注文数とクリック数で決めます。

語の状態判断
注文2件以上マニュアル完全一致へ移す
注文1件・クリック30回未満オートのまま様子を見る
注文0・クリック30回以上オート側で除外する
注文0・クリック30回未満まだ判断しない

注文1件だけで移すと、たまたま売れた語に予算を集中させることになります。単価が高くて注文がそもそも出にくい商品なら1件で移す判断もありますが、その場合は移したあとの4週間を短い間隔で見てください。

3番目を忘れると、オートとマニュアルの両方が同じ語に出て、自社内で入札を競り合うことになります。効率が落ちるので、移したその日のうちにオート側で止めてください。

マニュアル側では、その語だけに集中して入札を上げられます。売れると分かっている語なので、多少強気に出しても回収できます。

安定期の比率をどう置くか

商品が回り始めたあとも、オートをゼロにはしません。新しい語が出てくる入口として残しておきます。季節、競合の動き、Amazon側の仕様変更で、検索される言葉は変わり続けるからです。

目安としては、広告費の大半をマニュアルに置き、オートは新語を拾うための枠として少額で回し続ける形が扱いやすいです。比率は商品と予算によるので、固定の正解はありません。判断の基準は「オートから新しく売れる語が出てきているか」です。3か月出てこないなら、その商品の語はほぼ出尽くしています。オートを絞ってマニュアルに寄せます。

時期ごとの比率は、次のように段階で動かすと迷いません。

時期オート : マニュアル(広告費)動かす条件
発売〜4週8 : 2マニュアルは商品名・ブランド名など明らかに関係する語だけ
5〜12週5 : 5注文2件以上の語が5語以上たまったら
安定期2 : 8マニュアル側の売上が広告経由の売上の過半になったら
新語が出ない期間が3か月1 : 9オートは「ほぼ一致」「補完商品」だけ残す

比率は説明用の目安で、商品の単価や競合の多さで変わります。大事なのは、次の段階へ進む条件を数字で決めておくことです。条件を決めずに「なんとなく」比率を動かすと、オートを減らしすぎて新しい語が入ってこなくなったり、逆にいつまでも調査費を払い続けたりします。

比率を動かす判断は、オート側の「新語1語を見つけるのにかかった広告費」で考えるとはっきりします。仮にオートに月3万円を使い、その月にマニュアルへ移す語が3語見つかったなら、1語あたり1万円です。移した語が月に1万円以上の粗利を生むなら、オートの調査費は元が取れています。逆に月3万円で1語も見つからない月が続くなら、オートの予算を半分にして、その分をマニュアルの売れている語に回します。数字は説明用の仮の値です。広告全体の予算の置き方は広告予算の目安に書いています。

よくある失敗

オートだけで回し続ける。 楽ですが、売れる語にも売れない語にも同じように予算が流れます。ACOSが下がりきりません。

マニュアルだけで始める。 想像で決めた語に予算を集中させることになります。当たれば早いですが、外れたときに気づくのが遅れます。

オートとマニュアルで同じ語に出している。 前述のとおり、自社内で競り合っています。移したら除外する、を徹底してください。

キャンペーンを分けていない。 オートとマニュアルを同じキャンペーンに入れると、予算がどちらに流れたか分かりません。別のキャンペーンに分けてください。分け方の基準はキャンペーン構造の作り方に整理しています。

調査のつもりのオートを、そのまま半年回している。 立ち上げ期に低い入札で始めたオートを、触らないまま置いているケースです。商品が売れ始めると競合の入札も上がるので、同じ入札額では表示位置が下がり、クリックだけされて買われない状態になりやすくなります。オートも月に一度は、グループごとの数字と入札額を見直してください。

よくある質問

オートの入札はマニュアルより低くすべきですか。 グループによります。「ほぼ一致」と「補完商品」は購入につながりやすい枠なので、マニュアルと同程度まで上げても回収できることがあります。一方「おおまか一致」は関係の薄い語まで拾うので、低めに置くか、調査が終わったら止める枠として扱います。4つを同じ入札にしていると、いちばん効率の悪い枠に予算が流れがちです。グループごとに数字を出して、別々に決めてください。

マニュアルの一致タイプは完全一致だけでよいですか。 売れると分かっている語は完全一致に置くのが基本ですが、それだけだと語の広がりが止まります。完全一致のキャンペーンで取りこぼしなく拾いつつ、フレーズ一致のキャンペーンを別に持って言い回しの違いを拾う、という二段構えが扱いやすいです。フレーズ一致側で新しく売れた語が出たら、完全一致へ移してフレーズ側では除外します。オートからマニュアルへ移すのと同じ流れです。

マニュアルへ移した語が、移したあとに売れなくなりました。なぜですか。 よくあるのは、入札額が変わって表示される位置が下がっているケースです。オートで売れていたときの実際のクリック単価を確認し、マニュアル側の入札がそれを下回っていないか見てください。もうひとつは、オート側の除外が漏れていて、まだ自社内で競り合っている場合です。それでも戻らないときは、その語が季節や競合の動きで需要そのものが落ちている可能性があります。2週間ほど様子を見て、表示回数が減っているなら市場側の変化です。

オートを止めて、マニュアルだけで回してもいいですか。 おすすめしません。検索される言葉は季節や競合の動きで変わり続けるので、オートを止めると新しい語が入ってこなくなります。止めるのではなく、新語が出ない期間が続いたら「ほぼ一致」と「補完商品」だけを少額で残す形にしてください。月に一度、オートから移す語が出ているかを確かめ、出てきたら予算を戻します。

まとめ

  • オートは探す仕組み、マニュアルは当てる仕組み。競合しない
  • オートは4グループを個別に見る。「おおまか一致」は膨らみやすい
  • 立ち上げ期はオート中心。広告というより調査として回す
  • 注文が出た語はマニュアル完全一致へ移し、オート側では除外する
  • 安定期もオートは新語の入口として残す
  • キャンペーンはオートとマニュアルで分けて持つ

順番は「オートで探す → マニュアルで当てる → オートで次を探す」の繰り返しです。どちらか一方を選ぶ話ではありません。どこから手を付けるか判断がつかない場合は、無料の運用診断で現状の切り分けからお手伝いできます。