新商品を出すとき、やることは多いのですが、順番を間違えると同じ作業が2倍の時間になります。特に「広告をいつ始めるか」「レビューをいつ集めるか」の順番でつまずく例をよく見ます。
この記事では、発売前から90日までを4つに区切って、何をどこまでやるかを書きます。全体像を先に置いておきます。
| 区切り | 目的 | 主にやること | 見る数字 |
|---|---|---|---|
| 発売前 | 売れる状態を作る | ページ完成・FBA納品 | 納品の進み具合 |
| 0〜30日 | データを集める | オート広告・除外の整理 | セッション数と転換率 |
| 31〜60日 | 当てにいく | 売れた語をマニュアルへ | ACOSと検索順位 |
| 61〜90日 | 利益を出す | 予算の絞り込み・在庫計画 | 粗利 |
区切りごとに見る数字が変わるのがこの表の要点です。0〜30日にACOSを見ても判断材料になりませんし、61〜90日にセッション数だけを見ていても利益は出ません。
発売前:ページを完成させてから在庫を送る
在庫が届いてからページを作り始めると、在庫が寝ます。ページは在庫より先に作ります。
やること。
- キーワードを集めて、タイトル・箇条書き・バックエンドに配置する
- メイン画像とサブ画像を6枚以上用意する
- A+を作る(ブランド登録がある場合)
- 価格の下限と上限を計算しておく(価格の決め方と位置取り)
- FBA納品を、発売予定日の2〜3週間前に着手する(FBA納品手順のつまずきどころ)
在庫の受領には日数がかかります。繁忙期はさらに遅れます。ここを甘く見ると、発売日にページだけあって在庫がない状態になります。
発売前にやらないこと:広告の設定。在庫が販売可能になっていない状態で広告を出しても、クリックされて買えないだけです。
0〜30日:データを集める期間
在庫が販売可能になったら開始です。この30日の目的は、売上ではなくデータを集めることです。
オート広告を回す。 低めの入札で幅広く。目的は検索用語レポートに語をためることです。この時期のACOSは高くて構いません。というより、たいてい高くなります。
明らかに外れている語を除外する。 他社ブランド名、中古、部品名など。週1回レポートを見て止めます。
Amazon Vine への登録を検討する。 レビューが0件の状態は、購入率に大きく響きます。Vine は登録商品にレビューを付けてもらう仕組みで、参加条件と費用があります。対象になるか、費用に見合うかを確認してください。
やってはいけないこと:レビューを依頼する見返りに割引や特典を渡すこと。規約違反です。アカウント停止のリスクがあります。
この時期に見る数字:ACOSではありません。セッション数(人が来ているか)とユニットセッション率(来た人が買っているか)です。
- セッションが少ない → キーワードか入札の問題
- セッションはあるが買われない → ページか価格の問題
31〜60日:当てにいく期間
30日でデータがたまったら、次の段階です。
注文が出た語をマニュアル広告に移す。 検索用語レポートから、注文が1件以上ある語を抜き出し、マニュアル完全一致のキャンペーンに登録します。同じ語はオート側で除外します。
入札を語ごとに調整する。 売れる語は上げ、売れない語は下げる。ここで初めてACOSが意味のある数字になります。
ページを1か所ずつ直す。 0〜30日で見えた弱点を直します。ユニットセッション率が低いならメイン画像から。セッションが少ないなら属性欄とバックエンドキーワードから。一度に複数直さないでください。
レビューを確認する。 最初の数件が付き始める時期です。低評価があれば、内容を読んでページか商品のどちらの問題かを切り分けます。
この時期に見る数字:ACOSと、検索順位。狙っている語で何位に出ているかを、週1回記録します。
61〜90日:利益を出しにいく期間
ここまでで、売れる語とページの形が見えているはずです。この30日は絞り込みます。
損益分岐ACOSを超えている語を整理する。 3か月近く回して回収できていない語は止めます。
予算を売れる語に寄せる。 全体に薄く配るのをやめ、実績のある語に集中させます。
在庫の補充計画を立てる。 90日分の販売ペースが出ているので、ここで初めて発注の基準が作れます。リードタイムと安全在庫を計算します。式と数値の置き方は在庫切れを防ぐ発注基準にまとめています。
価格を見直す。 レビューが積み上がっていれば、立ち上げ時より上に置ける場合があります。段階的に上げて、転換率を確認します。
この時期に見る数字:粗利。売上でもACOSでもなく、手元にいくら残ったかです。粗利はSKUごとに、広告費と保管料まで引いて出します。表の作り方は赤字商品の見分け方とSKU別利益表に書いています。
90日で判断すること
3か月を回したら、続けるか見直すかを判断します。
続ける条件:広告費を引いたあとの粗利がプラスで、かつ検索順位が上がってきている。
見直す条件:ユニットセッション率が競合と比べて明らかに低い。これはページか価格の問題なので、直す余地があります。
撤退を検討する条件:損益分岐ACOSを大きく超え続け、かつ改善の打ち手を出し尽くしている。この場合、在庫を持ち続けるほど保管料で損失が増えます。
判断を感覚に頼らないよう、数字の線を先に決めておきます。次の表は、仮に損益分岐ACOSが30%の商品で置いた例です。線の値は商品の粗利率によって変わるので、自社の数字で置き直してください。
| 見る数字 | 続ける | 見直す | 撤退を検討 |
|---|---|---|---|
| 61〜90日のACOS | 30%以下 | 30〜45% | 45%超が続く |
| 広告費を引いた粗利 | プラス | ほぼ0 | マイナスが続く |
| 狙う語の検索順位 | 上がっている | 横ばい | 下がっている |
| ユニットセッション率 | 競合並み | 競合より低い | 直しても上がらない |
4つの数字が同じ列にそろうことは多くありません。粗利の行を優先し、粗利がプラスなら他が弱くても続ける側、マイナスなら他が良くても見直す側に置きます。
判断を先送りするほど、在庫と広告費の両方が積み上がります。90日の時点で一度、数字を並べて決めることをおすすめします。撤退側に傾いたときの線引きと処分の順番は撤退の判断基準にまとめています。
立ち上げ90日でよくある失敗
順番を崩したときに起きる例を挙げます。どれも、立ち上げの相談で繰り返し見かけるものです。
- 在庫の受領前に広告を始める。 販売可能になる前の数日で、クリック費だけが出ていきます
- 0〜30日でACOSを理由に広告を止める。 検索用語レポートに語がたまらず、31日目以降に移す語がなくなります
- ページを一度に何か所も直す。 転換率が上がっても下がっても、どの修正が効いたのか分かりません
- 初回の在庫を売り切ってから追加を考える。 リードタイム分の日数だけ在庫切れになり、積み上げた順位が後退します。追加の発注は61日目を待たず、販売ペースが見えた時点で段取りを始めます。リードタイムの測り方はリードタイムの実測を参考にしてください
- 90日の判断日を決めていない。 判断が先送りされ、赤字の広告費と保管料が積み上がります
発注の数量は、当サイトの発注計算ツールで販売数とリードタイムから確認できます。
よくある質問
初回の在庫は何日分を送ればよいですか。 売れるかどうかが分からない段階なので、30〜45日分から始めるのが無難です。多く送れば1個あたりの輸送費は下がりますが、売れなければ保管料と資金の拘束が残ります。仮に着地原価1,200円の商品を90日分・300個送って動かなければ、36万円が寝ることになります。実績が出てから増やしてください。
90日より前に広告を止めたくなったら、止めてよいですか。 語ごとに止めるのは構いません。ただしキャンペーンごと止めると、データの蓄積も止まります。0〜30日はACOSではなくセッション数と転換率で判断する期間なので、ACOSが高いことだけを理由に全部止めないでください。 明らかに外れている検索語を除外して、費用の漏れを塞ぐほうが先です。
レビューが1件も付かないまま30日が過ぎました。何を疑いますか。 まず販売数そのものが少なくないかを見ます。レビューが付く割合には限りがあるので、注文数が少なければ0件でも不思議はありません。注文はあるのに付かないなら、Vine の対象になるかを確認します。見返りを渡してレビューを依頼するのは規約違反なので、そこには手を出さないでください。
0〜30日の広告予算はいくらに置けばよいですか。 30日で集めたいクリック数から逆算します。仮に1クリック50円で、30日で1,500クリック集めたいなら、7万5千円ほどです。この期間は赤字を前提にした調査費として、上限を決めて使います。予算の考え方は広告予算の目安にまとめています。
まとめ
- 発売前:ページを完成させてから在庫を送る。納品は2〜3週間前に着手
- 0〜30日:オート広告でデータ収集。ACOSは見ない。セッション数と転換率を見る
- 31〜60日:売れた語をマニュアルへ移す。ページを1か所ずつ直す。ACOSと順位を見る
- 61〜90日:予算を絞り込む。在庫計画を作る。粗利を見る
- 90日で、続ける/見直す/撤退を一度判断する。粗利の線を先に決めておく
順番を守るだけで、同じ作業量でも結果が変わります。特に「広告は在庫が販売可能になってから」「ACOSは31日目から見る」の2つは守ってください。立ち上げの進め方を自社の商品に当てはめて確認したい場合は、無料の運用診断をご利用ください。
