「Amazonの運用を外に頼みたいが、いくらが相場なのか分からない」という相談を受けることがあります。結論から言うと、Amazon運用代行の費用は料金の型が3つあり、型が違えば金額の比較に意味がありません。公開されている料金を見る限り、目安は月額固定型で数万円から数十万円、売上連動型で売上の数%から十数%と幅があります。まず型を見分け、次に「何をしてくれるのか」を見積書で確認し、最後に自社の粗利で元が取れるかを試算する。この順番で選ぶと、失敗が減ります。

この記事は、運用代行を提供している側が書いています。自社に都合のよい話にならないよう、費用の話は一般的な範囲にとどめ、確認すべき点を中心にまとめます。記事中の金額はすべて、考え方を示すための仮の値です。

Amazon運用代行の費用は3つの料金型で決まる

Amazon運用代行の料金は、おおまかに次の3つに分かれます。

  • 月額固定型:毎月決まった金額。支援範囲が決まっていて、売上が増えても料金は変わらない
  • 売上連動型:売上(または広告費)の何%かを支払う。売上が伸びると支払いも増える
  • 成果報酬型:売上や利益の増加分に対して支払う。初期費用が小さいかわりに、成果が出たときの支払いは大きくなりやすい

実際には「月額固定+広告費の何%」のような組み合わせも多く見かけます。

型ごとに、向く状況と注意する点は次のように分かれます。

料金の型向く状況注意する点
月額固定支援範囲を決めて長く任せたい売上が小さい時期は負担が重い
売上連動立ち上げ期で初期の負担を抑えたい粗利率が低いと利益が先に減る
成果報酬何を成果とするか合意できている分母の定義で金額が大きく変わる
組み合わせ広告だけ変動にしたい二重に払っていないか内訳を見る

仮に月商300万円・粗利率25%(粗利75万円)の事業で、売上連動5%なら月15万円です。粗利の2割が代行費に出ていく計算になります。同じ条件で月額固定10万円なら、売上が伸びても金額は変わりません。自社の粗利額に当てはめて、両方の型で試算してもらってください。

成果報酬型では、「何に対する何%か」で支払いが何倍も変わります。売上全体の3%なのか、前年同月から増えた分の3%なのか、増えた分の粗利の20%なのか。分母が「売上全体」になっていると、代行を頼む前から出ていたはずの売上にも報酬が乗ります。分母・比較する期間・計算の起点となる月の3つを、契約前に文章で確認してください。

大事なのは、自社の売上規模と利益率に対してどの型が合うかです。粗利率が低い商品で売上連動型を選ぶと、売上が伸びたのに手元の利益が減る、ということが起こります。逆に、これから立ち上げる段階で高い月額固定を払うと、売上が立つ前に資金が尽きます。

相場に幅が出る理由と、任せる範囲ごとの費用の変わり方

金額の目安は、公開されている各社の料金を見る限り、月額固定型で数万円から数十万円、売上連動型で売上の数%から十数%、というかなり広い幅があります。幅が大きいのは、含まれる作業がまったく違うからです。

同じ「月額10万円」でも、

  • 月1回の打ち合わせと助言だけ
  • 広告の設定・調整まで代行
  • 商品ページの制作や画像の作り直しまで含む

では、作業量が何倍も違います。金額だけを並べて比較するのではなく、その金額で何を、誰が、どこまでやるのかを書面で確認してください。

任せる範囲ごとに、費用の動き方は次のように変わります。

任せる範囲主な作業費用の動き方
助言だけ月1回の打ち合わせ、数字の見方の共有一番小さい。手を動かす作業は自社に残る
広告だけキーワードの整理、入札の調整、除外設定広告費に連動する形になりやすい
広告+商品ページ上に加えて文言・画像・A+の改善制作の実費が乗るので最初の数か月が重い
運用をまとめて在庫・価格・セール・レビュー対応まで一番大きい。範囲の線引きが曖昧になりやすい

この表で見るべきは金額の大小ではなく、費用が「固定で動かない部分」と「作業量で増える部分」に分かれているという点です。制作が含まれる契約は、初月に画像やA+を作り込む分だけ作業が集中し、そのあとは維持と改善に移ります。にもかかわらず金額が1年間まったく同じなら、後半で何をするのかを聞いておく価値があります。

なお、当社の料金は料金プランに載せています。この記事の相場観とあわせて見ていただければ、比較の材料になると思います。広告だけに絞った場合の費用の考え方は広告運用代行の費用に、助言中心の契約との違いはAmazonコンサルの費用にまとめています。

見積書のどこを見るか

見積もりが届いたら、金額の行より先に、次の6か所を見ます。ここが埋まっていない見積書は、あとから「それは範囲外です」という話になりやすい形です。

見積書の項目確かめることあとで揉めやすい書き方
作業範囲商品数・ASIN数・広告キャンペーン数の上限「Amazon運用一式」だけ
費用の内訳代行費とAmazonへ払う広告費が分かれているか合計金額が1行だけ
制作物画像やA+の本数と、修正は何回まで含むか「必要に応じて対応」
報告頻度・形式・そこに載る数字「随時ご報告します」
期間と更新最低契約期間、自動更新の有無、解約の予告期間期間の記載がない
追加費用商品追加・撮影・セール対応の単価「別途お見積り」とだけある

とくに見落としやすいのが作業範囲の「単位」です。「商品ページの改善」と書かれていても、月に1商品なのか、10商品なのかで作業量は10倍違います。商品数が増えたときに料金がどう変わるかも、この段階で聞いておくと、あとで想定外の請求を受けません。

制作物の所有と受け渡しも見積書の段階で確認します。作った画像の元データ、広告のキャンペーン構成、キーワードの一覧が、契約終了後に自社へ渡るのか。ここは契約書側の話になるので、Amazon運用代行の契約書で確認する10項目もあわせて見てください。

契約前に確認したい7つのこと

面談のときに、そのまま質問として使える形で並べます。

1:誰が実際に手を動かすのか

営業担当と、実際に運用する担当が別の会社は少なくありません。契約前に話した人の知識が豊富でも、担当につくのが経験の浅い人だと、運用の質は変わります。

  • 実際の担当者は誰か、面談できるか
  • その人は自分でAmazonの販売をした経験があるか
  • 担当者1人が何アカウントを見ているか

この3つは聞いてよい質問です。答えを濁す場合は、そこが弱点である可能性があります。

2:何を「成果」と呼ぶのか

「売上を伸ばします」という約束は、広告費を積めば誰でも達成できます。手数料・配送料・広告費を引いたあとの残る利益を見てくれるかどうかで、運用の質は大きく変わります。

  • 売上とACOSだけを追うのか、TACOSや粗利まで見るのか
  • 値下げやクーポンで売上を作ることを、どう考えているか
  • 在庫切れや保管料のような、広告以外の利益の漏れも見るのか

契約前に「毎月の報告で、どの数字を見せてもらえるか」を確認しておくと、この点ははっきりします。

3:契約期間と、やめるときの条件

Amazonの施策は、広告の無駄を削るような速いものと、検索順位の改善のように数か月かかるものがあります。最低契約期間があること自体は不自然ではありません。ただし、次の点は書面で確認してください。

  • 最低契約期間と、途中解約の条件
  • 解約を申し出てから、いつまで料金がかかるか
  • 解約後に、広告のキャンペーンや商品ページのデータは手元に残るのか

最後の点は見落とされがちです。代行会社のアカウントで広告を運用していて、解約したら設定ごと消えた、という話は実際にあります。

4:アカウントの権限をどう扱うか

運用代行では、セラーセントラルへの権限付与が必要になる場面があります。現状分析の段階で全権限を求める会社には注意が必要です。

  • どの段階で、どの権限が必要になるのか
  • 権限は代行会社の共有アカウントか、担当者個人のものか
  • 解約時に権限を漏れなく外す手順があるか

画面共有やレポートの書き出しで対応できる範囲は多いので、最初から全権限を渡す必要はありません。

5〜7:報告・引き継ぎ・得意分野

残りの3つは短くまとめます。

  • 報告の形:毎月、何を、どんな形で報告するか。数字の羅列ではなく「何をして、どうなって、次に何をするか」が書かれているか
  • 引き継ぎ:契約が終わったあと、自社で運用を続けられるように、判断の基準や手順を残してくれるか。作業を代行するだけの会社だと、やめた瞬間に元に戻ります
  • 得意分野:広告が得意な会社、商品ページ制作が得意な会社、物流に強い会社があります。自社の課題がどこにあるかを先に把握して、そこが得意な会社を選ぶのが順番です

自社の課題がどこにあるかが分からない場合は、まず無料の運用診断のようなもので、5つの観点のどこが弱いかを見てから探すと、相手を選びやすくなります。当社が何をどこまで行うかはAmazon運用代行のページに書いています。

代行費の元が取れるかを自社の数字で試算する

見積もりが出たら、「この金額を払って利益が残るか」を契約前に計算しておきます。使う式は1つです。

元を取るのに必要な売上の増加額 = 月の代行費 ÷ 粗利率

ここでの粗利率は、手数料・配送料・広告費を引いたあとの率で出します。広告費を引く前の率で計算すると、必要な売上を小さく見積もってしまいます。

自社の数字に当てはめる手順は4つです。

  1. 直近3か月の売上と、手数料・配送料・広告費を引いたあとの粗利額を、月の平均で出す
  2. 粗利額 ÷ 売上 で「広告費まで引いた粗利率」を出す
  3. 見積もりの月額を、2で出した粗利率で割る。これが元を取るのに必要な売上の増加額
  4. その増加額が、いまの月商の何%にあたるかを見る

4で出た割合が判断の分かれ目です。必要な伸びが1〜2割なら現実的な範囲、5割を超えるなら、その代行費は今の規模に対して重すぎます。この場合は金額を下げるより先に、頼む範囲を絞る相談をしたほうが噛み合います。

仮に、広告費まで引いた粗利率が20%の事業だとすると、代行費ごとの必要な売上増加額は次のとおりです。

月の代行費必要な売上の増加額(粗利率20%)月商300万円に対する伸び
5万円25万円約8%
10万円50万円約17%
20万円100万円約33%

売上連動型の場合は、売上が増えるほど代行費も増えるので、増えた売上に対しても率がかかります。仮に売上連動5%なら、増えた売上の粗利率は実質20%−5%=15%として計算します。同じ月商300万円でも、粗利率が10%の商材なら必要な売上増加額は倍になります。率ではなく、自社の実数で計算し直してください。

手数料や配送料はカテゴリー・サイズ・時期で変わります。ここでの数字は説明用の仮の値なので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。

もう1つ、自社で担当者を置く場合との比較も並べておくと判断しやすくなります。社内の担当者の人件費に加えて、担当者が育つまでの期間と、その間の広告の無駄も費用です。代行費だけを見て高い・安いを決めず、「自社でやったら同じ成果までに何か月かかるか」と並べて比べてください。

試算の結果、必要な伸びが現実的でないなら、依頼する範囲を広告だけに絞る、期間を区切って仕組みづくりだけを頼む、といった形で金額を下げる相談ができます。

費用で失敗しやすい3つの例と、避け方

金額そのものより、金額と範囲の対応が決まっていないことが失敗の原因になります。よくある形を3つ挙げます。

例1:安い月額に決めたが、中身は助言だけだった。 月額が相場より低い見積もりは、作業が含まれていないことが多くあります。打ち合わせで改善案は出るものの、手を動かすのは自社。社内に人がいないまま契約すると、案が積み上がるだけで数字が動きません。避け方は、見積書の作業範囲に「誰が手を動かすか」を商品数の単位で書いてもらうことです。

例2:粗利率の低い商材で売上連動型を選び、売上が伸びたのに利益が減った。 粗利率10%の商材で売上連動8%なら、増えた売上から残るのは実質2%です。増やすほど手残りが薄くなります。避け方は、契約前に「増えた売上の粗利率 − 連動率」を計算し、その数字が自社の目標に見合うかを見ること。合わないなら月額固定型に組み替える相談をします。

例3:解約したら、広告の設定も画像の元データも残らなかった。 代行会社側のアカウントで広告を運用していた、画像を作ったデザイナーとの契約が代行会社経由だった、といった場合に起こります。次の会社に移るときの立ち上げ直しが費用として跳ね返ります。避け方は、成果物の所有先と引き継ぎの範囲を契約書に書いておくこと。起きやすいすれ違いは運用代行でよくある失敗例にまとめています。

3つに共通するのは、契約前に文章にしておけば避けられたという点です。面談で口頭の説明に納得しても、その内容が見積書と契約書に書かれているかを、金額の合意より先に確かめてください。

よくある質問

費用をかける前に、自社でどこまでやるべきですか。 1商品あたりの粗利を出すところまでは、自社でやっておくほうがよいです。ここが分かっていないと、代行の提案が妥当かどうかを判断できません。相談に持っていく材料は個人・小規模での相談の準備にまとめています。

安いところに頼んで失敗したら、乗り換えればよいのでは。 乗り換えのたびに、広告の学習と引き継ぎのやり直しが発生します。前の運用で何をしていたか分からない状態の整理には、想像以上に時間がかかります。

広告費は代行費に含まれますか。 含まれないのが一般的です。代行費とは別に、Amazonへ支払う広告費が発生します。見積もりを見るときは、代行費と広告費が分けて書かれているかを確認してください。分かれていない見積もりは、後から「広告費は別です」という話になりやすい形です。

出品代行と運用代行では、費用の考え方は違いますか。 違います。出品代行は登録や初期の制作という一度きりの作業が中心なので、商品数あたりの単価や一式いくらという形になりやすく、運用代行は毎月続く改善なので月額の形になります。どちらを頼むべきかの判断は出品代行と運用代行の違いで整理しています。

Amazon運用代行とは、どこまでをしてくれるサービスですか。 広告の設定と調整、商品ページの改善、在庫や価格の管理など、セラーセントラルでの運用作業を外部が代わりに行うサービスです。どこまでを含むかは会社ごとに大きく違い、それが費用の幅の理由にもなっています。サービスの中身の全体像はAmazon運用代行とはで整理しています。

運用代行を頼んでから、どれくらいで効果が出ますか。 施策によって速さが違います。広告の無駄なキーワードを止めるような改善は、1〜2か月で数字に出ることが多い一方、商品ページの改善から検索順位が上がるまでには数か月かかります。契約前に「最初の3か月で何を、どの数字で確かめるか」をすり合わせておくと、途中で判断に迷いません。

まとめ

  • 料金は「月額固定」「売上連動」「成果報酬」の3つの型。型が違う金額を並べて比較しても意味がない
  • 金額の幅が大きいのは、含まれる作業が違うから。何を、誰が、どこまでやるかを書面で確認する
  • 見積書は、作業範囲の単位・代行費と広告費の分離・制作物の本数と所有・報告・期間・追加費用の6か所を見る
  • 元が取れるかは「月の代行費 ÷ 広告費まで引いた粗利率」で必要な売上増加額を出し、いまの月商の何%かで判断する
  • 契約前に確認したいのは、担当者・成果の定義・契約期間と解約条件・権限の扱い・報告・引き継ぎ・得意分野の7つ
  • 失敗の多くは金額ではなく、金額と範囲の対応が文章になっていないことから起こる
  • 自社の課題がどこにあるかを先に把握してから、そこが得意な相手を選ぶ

運用代行は、合う会社を選べば時間と利益を買える手段ですが、合わない会社に頼むと費用だけが出ていきます。この記事の7項目を、面談のときにそのまま質問リストとして使ってください。