広告の成績が読めない原因の多くは、入札でもキーワードでもなく、キャンペーンの分け方にあります。
全部が1つのキャンペーンに入っていると、どの語にいくら使ったのか、どの商品が稼いでいるのかが混ざって見えません。予算を止めるときも、良いものまで一緒に止まります。
分ける目的は「別々に止められるようにする」こと
構造を考えるときの原則はひとつです。別々に評価して、別々に止めたいものは、別のキャンペーンにする。
逆に言えば、いつも一緒に増減させるものは、分ける必要がありません。分けすぎると管理が増えるだけで、データも薄まります。
この原則から、分ける軸は次の3つになります。
軸1:役割で分ける
いちばん重要な軸です。役割が違えば、見る指標も、止める基準も違います。
| 役割 | 中身 | 評価の物差し |
|---|---|---|
| 探索 | オート広告 | 新しい語がいくつ出たか |
| 主力 | 売れている語(完全一致) | ACOS |
| 育成 | これから伸ばしたい語 | 期限内に改善しているか |
| 防衛 | 自社ブランド名・型番 | 取りこぼしがないか |
探索キャンペーンをACOSで評価すると、必ず「悪い」と判定されます。役割が調査だからです。同じ物差しで全部を評価しないために、役割で分けます。
軸2:商品で分ける
利益率が大きく違う商品を同じキャンペーンに入れると、予算の取り合いが起きます。粗利の薄い商品が予算を食って、稼げる商品が日予算で止まる、ということが実際に起こります。
分ける目安は次のとおりです。
粗利率が大きく違う商品は分ける。 損益分岐ACOSが違うので、同じ目標ACOSで管理できません。
シリーズ・カテゴリーが違う商品は分ける。 狙うキーワードが重ならないなら、混ぜる理由がありません。
逆に、サイズ違い・色違いは分けなくてよい。 同じ語で戦い、同じように増減させるからです。
商品数が10を超えてきたら、主力の数商品だけ個別キャンペーンにして、残りはまとめるのが現実的です。全部を個別にすると管理が回りません。
軸3:一致タイプで分ける
同じ語でも、完全一致・フレーズ一致・部分一致では、拾う範囲も単価も違います。混ぜると、どの一致タイプが効いているのか分からなくなります。
実務では次の形が扱いやすいです。
- 完全一致のキャンペーン:売れると分かっている語。入札を強めに
- フレーズ一致のキャンペーン:関連語を拾いにいく。中程度
- 部分一致:探索に近いので、オートと同じ扱いでよい
同じ語を複数の一致タイプで持つ場合、狭いほうを優先させます。完全一致で持っている語は、フレーズ一致側で除外キーワードに入れておくと、自社内で競り合いません。
広告グループはどこまで細かくするか
キャンペーンの下に広告グループがあります。ここも分けられますが、細かくしすぎると1グループあたりのデータが少なくなり、判断できなくなります。
目安は、1広告グループに登録するキーワードは10〜20語まで。
そして1広告グループには意味の近い語だけを入れます。入札は広告グループ単位で初期値を持つので、性質の違う語を混ぜると、どちらかに合わない入札になります。
商品は、1広告グループに1商品(または1バリエーション群)が基本です。複数商品を入れると、どの商品にクリックが流れたか分かりにくくなります。
命名規則を先に決める
キャンペーンが増えてくると、名前を見ただけで中身が分かるかどうかで作業速度が変わります。
決めておく要素は次の4つです。
- 商品(またはシリーズ)
- 広告の種類(SP / SB / SD)
- 役割(探索 / 主力 / 育成 / 防衛)
- 一致タイプ(完全 / フレーズ / 部分 / 商品ターゲティング)
区切り文字を統一して、この順番で固定します。並べ替えたときに同じ商品がまとまるよう、商品名を先頭に置くのが実務的です。
途中で規則を変えると過去との比較ができなくなるので、最初に決めて変えないでください。
作り直すときの手順
すでに全部が1キャンペーンに入っている場合、いきなり作り直すと順位も成績もリセットされます。次の順で移します。
1. 新しい構造のキャンペーンを作る。 ただし予算は少額で開始。
2. 実績のある語から順に移す。 検索用語レポートで注文が出ている語を、新しい完全一致キャンペーンへ。
3. 移した語は、旧キャンペーンで除外キーワードに入れる。 これを忘れると自社内で競り合います。
4. 新しい側が安定したら、旧キャンペーンの予算を段階的に下げる。
5. 最後に旧キャンペーンを止める。
一度に切り替えると、移行中に売上が落ちます。2〜4週間かけて移すつもりで組んでください。
まとめ
- 分ける原則は「別々に評価して、別々に止めたいものを分ける」
- 軸は3つ。役割(探索・主力・育成・防衛)、商品(粗利率が違うものは分ける)、一致タイプ
- サイズ違い・色違いは分けなくてよい
- 広告グループは1つ10〜20語、意味の近い語だけ、商品は1つ
- 同じ語を複数の一致タイプで持つときは、狭いほうを優先し、広いほうで除外する
- 命名規則(商品・種類・役割・一致タイプ)を最初に決めて変えない
- 作り直すときは2〜4週間かけて段階的に移す
構造がきちんと分かれていれば、あとの判断はレポートを見るだけで済みます。逆に構造が混ざっていると、どんなに数字を見ても答えが出ません。
