「商品ページに動画を入れたほうがいいですか」とよく聞かれます。答えは商品によって変わります。

動画は作るのに手間がかかるわりに、向かない商品では数字がほとんど動きません。この記事では、入れる価値があるかをどう判断し、入れるならどう作るかを書きます。

動画が効く商品、効かない商品

判断は「静止画で説明しきれるか」の一点です。

効きやすい商品

  • 組み立てや取り付けが要る(手順が動きで伝わる)
  • 動き・音・質感が価値になる(開閉、伸縮、光り方、生地の落ち感)
  • 使い方が一見して分からない(使う場面を見せないと想像できない)
  • 競合と見た目が似ていて、写真だけでは差が出ない

効きにくい商品

  • 形と数字で説明が完結する(消耗品、日用品の詰め替えなど)
  • 単価が低く、迷わず買われる
  • サブ画像がまだ埋まっていない

最後の1つが重要です。サブ画像が3枚しかない状態で動画を作るのは順番が違います。まず静止画を埋めてください。何を何枚目に置くかはサブ画像6枚の構成にまとめています。動画は、静止画をやりきってから足すものです。

作るかどうかを点数で決める

迷ったときは、次の5項目に「はい」がいくつ付くかで決めます。点数の線は説明のための仮の基準です。

確認することはいの条件(仮の基準)
静止画で伝わらない価値があるか動き・音・手順・質感のどれかが購入理由の上位に入る
サブ画像が埋まっているか6枚以上がそろい、半年以内に見直している
流入が足りているか商品ページの月のセッション数が1,000以上ある
単価が見合うか1個あたりの粗利が500円以上ある
返品やレビューに「思っていたのと違う」が出ているか返品理由や低評価レビューに大きさ・使い方の食い違いがある

4つ以上が「はい」なら作る価値があります。2〜3つなら、先に「いいえ」の項目を片付けます。1つ以下なら、今は作らない判断で構いません。セッション数や粗利の基準は、社内で撮る場合の手間を回収できるかから逆算した目安です。外注する場合は、費用に合わせて線を上げてください。

動画を置ける場所

商品ページで動画が出る場所はいくつかあり、掲載できる条件や枠は出品形態・カテゴリー・時期によって変わります。セラーセントラルの該当メニューで、自分のアカウントで何が使えるかを先に確認してください。

置ける場所によって、求められる長さも変わります。画像一覧に並ぶ枠なら短く、ページ下部の枠なら少し長くできます。

30秒の構成

長い動画は最後まで見られません。基本は30秒前後、長くても1分に収めます。

時間内容
0〜3秒いちばん強い購入理由を、動きで見せる
3〜10秒サイズ感。手や身近なものと並べる
10〜20秒使っている場面。誰が、どこで、どう使うか
20〜27秒品質の根拠。素材や作りのアップ
27〜30秒まとめの1行。商品名とブランド名

最初の3秒で決まります。ロゴのアニメーションから始めるのは、いちばんもったいない使い方です。ロゴは最後に置いてください。

音なしで成立させる

閲覧の多くは音が出ない状態で再生されます。音声のナレーションだけで説明する動画は、内容が伝わりません。

  • 要点は画面上の文字で入れる
  • 文字は大きく。スマートフォンで親指の幅ほどに縮む前提で
  • 表示は1つあたり2秒以上。読み終わる前に切り替えない
  • BGMは補助。無くても成立するように作る

外注せずに作る手順

スマートフォン1台で十分です。順番は次のとおりです。

1. 先に台本を書く。 上の表の5区切りに、何を映すかを1行ずつ書きます。撮ってから考えると、素材が足りずに撮り直しになります。

2. 三脚で固定して撮る。 手持ちの揺れは安っぽく見えます。数千円の三脚で解決します。

3. 明るいところで撮る。 昼間の窓際が最も手軽です。天井の照明だけだと影が濃く出ます。

4. 1カットを短く、多めに撮る。 同じ動作を角度を変えて2〜3回。編集で選べます。

5. 文字を入れて書き出す。 凝った効果は要りません。読める大きさと表示時間だけ守ります。

6. 自分のスマートフォンで、音を消して見る。 これで伝わらなければ作り直しです。

外注する場合も、台本だけは自社で書いてください。商品の強みを最も分かっているのは出品者です。

作ってから気づく失敗

実際によく見る失敗を挙げます。どれも台本と確認の段階で防げます。

  • 広告用の動画をそのまま流用する。 SNS向けの動画は雰囲気づくりが中心で、サイズや使い方が映っていないことが多い。商品ページでは「買う前に確かめたいこと」を映す
  • 白い背景で商品だけを回す。 360度の回転は静止画でほぼ代わりが利く。手に持つ、使う、しまう、の動作を入れて初めて動画にする意味が出る
  • 縦横の比率を決めずに撮る。 表示される枠に合わず、文字や商品の端が切れる。撮る前に書き出す比率を決め、画面の端に要点を置かない
  • 説明の文字が小さい。 パソコンの編集画面で読める大きさは、スマートフォンでは読めない。書き出したら手元のスマートフォンで確かめる

入れてはいけない内容

動画の中身も、静止画と同じ広告表現の対象です。

  • 他社との比較を断定する表現、根拠のない最上級表現
  • 実際より良く見える演出(誇張した効果の見せ方)
  • 価格や期間限定の訴求(動画は差し替えが手間なので、情報が古くなる)
  • 権利処理をしていない音源・素材

音源は商用利用が明記されたものだけを使ってください。ここは後から問題になりやすい箇所です。

効果の確かめ方

動画を入れたら、公開日をメモして前後2週間を比べます。

見るのはユニットセッション率(ページに来た人のうち何%が買ったか)です。動画はページに来た人にしか見えないので、セッション数(流入)は基本的に動きません。

もうひとつ、返品率も見てください。使い方や大きさを動画で示した結果、「思っていたものと違った」が減ることがあります。購入率より先にこちらが動く商品もあります。

同時に他の箇所を変えないこと。 商品名や画像と一緒に変えると、どれが効いたか分かりません。

手間に見合ったかも、粗い計算で構わないので出しておきます。仮に、社内で撮って編集するのに合計6時間、時間あたりの人件費を3,000円とすると、かかった費用は18,000円です。売価4,000円・粗利率25%(1個あたり粗利1,000円)の商品なら、18個多く売れれば元が取れる計算になります。月のセッション数が2,000で購入率が8%なら月160個。購入率が8.0%から8.6%に上がるだけで月12個増えるので、2か月弱で回収できる見当がつきます。

この計算をしておくと、「動画を作るか」ではなく「何個増えれば見合うか」で判断できます。逆に、月のセッション数が200しかない商品では、購入率が多少動いても回収に届きません。流入がまだ細い商品は、動画より先に検索面と広告に手を戻すほうが早いです。

数字が動かないなら、その商品は静止画で説明が完結しているということです。動画の作り込みを続けるより、価格や広告に手を戻したほうが早い場合があります。どこが弱いか整理したいときは、8問の無料診断で当たりをつけてください。

よくある質問

動画は何本用意すればいいですか。 1本で構いません。枠ごとに作り分けるより、30秒の1本を作り込んで、伝わらない箇所を直していくほうが効率的です。複数商品を扱っている場合は、売上の大きい商品から1本ずつ増やしてください。

外注するといくらかかりますか。 依頼先と内容で大きく変わるため、金額は断定できません。見積もりを比べるときは、撮影の有無・カット数・修正の回数・素材の権利がどちらに残るかを同じ条件でそろえて聞いてください。台本を自社で用意すると、打ち合わせの往復が減ります。

動画を入れたら商品説明やA+は減らしていいですか。 減らさないでください。動画は再生されない人のほうが多く、静止画とテキストが読まれる前提は変わりません。動画はA+の構成で埋めきれない「動き」を補うもの、と位置づけると役割が重なりません。

一度作った動画は、いつ作り直せばいいですか。 商品の仕様やパッケージが変わったとき、動画の内容と違うという問い合わせやレビューが出たときが作り直しの合図です。それ以外は、前後2週間の比較で数字が落ちていない限り、同じ動画を使い続けて構いません。

まとめ

  • 判断基準は「静止画で説明しきれるか」。組み立て・動き・質感が価値になる商品は効きやすい
  • サブ画像が埋まっていないうちは動画より先に静止画。迷ったら5項目の点数表で4つ以上「はい」かを確かめる
  • 掲載できる枠と条件はアカウントによって違うので、セラーセントラルで先に確認する
  • 30秒前後。最初の3秒に最大の購入理由を置き、ロゴは最後
  • 音なしで成立させる。要点は画面上の文字で、1つあたり2秒以上
  • 台本 → 三脚 → 明るい場所 → 多めに撮る → 文字入れ → 音を消して確認
  • 効果はユニットセッション率と返品率で見る。1回に1か所だけ変える

作らないという判断も選択肢です。手間に見合うかを先に決めてから着手してください。