返品は、返送された商品が再販できないことが多く、売上が消えるだけでなく在庫も失います。しかも返品した人は低評価レビューを書きやすい。二重に損をします。

返品率を下げる作業は、地味ですが利益への効きが大きい部分です。

まず、返品理由レポートを見る

感覚で対策を打たないでください。セラーセントラルの「返品レポート」に、購入者が選んだ返品理由が記録されています。ここを読むのが出発点です。

理由は集計すると、たいてい次のどれかに寄ります。

理由の型何が起きているか
サイズが合わないページの寸法情報が不足・分かりにくい
説明と違う画像や文章と実物のずれ
不良・破損品質問題、または輸送時の破損
誤って注文した商品名・型番が紛らわしい
不要になった配送が遅い、他で買った
品質が期待以下価格に対する期待とのずれ

どの理由が何%を占めるかを出せば、直す場所が決まります。ここを飛ばして「とりあえずページを直す」と、効かない改善に時間を使うことになります。

内訳は次の手順で出します。

  1. 返品レポートを直近3か月分ダウンロードする。1か月だと件数が少なく、偶然の偏りが出やすい
  2. SKUごとに、返品理由の件数を数える
  3. 理由ごとの件数を、そのSKUの返品数の合計で割って割合を出す
  4. 割合が一番大きい理由を、そのSKUの「最初に直す理由」として1つだけ決める

最初に直す理由を1つに絞るのは、同時に複数を変えると、どの対策が効いたのかが分からなくなるからです。購入者が書き込んだコメント欄も読みます。選択肢では「説明と違う」でも、コメントには「思ったより小さい」と書かれていることがあり、その場合はサイズの問題として扱います。購入者の声の読み方はカスタマーの声の使い方にまとめています。

ページ側で直す:「サイズが合わない」「説明と違う」

この2つが多いなら、原因はページです。商品には問題がありません。

寸法を、比較できる形で出す。 数字だけでは伝わりません。「幅30cm」ではなく、A4用紙やペットボトルと並べた写真を1枚入れます。衣類なら、平置きの実寸に加えて「身長〇cmの人が着た場合」を書きます。

実物と同じ色で写す。 盛った色は返品に返ってきます。撮影後に実物と見比べてください。メイン画像の作り方でも、色を補正しすぎない理由を書いています。

入っていないものを写さない。 使用イメージの写真に、付属しない小物が写り込んでいると「入っていると思った」になります。写すなら「※〇〇は付属しません」と明記します。

Q&Aを潰す。 商品ページのQ&Aに出ている質問は、ページで答えられていない証拠です。出ている質問をA+の構成か箇条書き5行に反映します。回答のしかたはQ&Aへの回答の書き方にまとめました。

商品側で直す:「不良・破損」「品質が期待以下」

こちらは商品そのものの問題です。

不良率が高いなら、検品の位置を変える。 仕入先での出荷前検品を入れられないか交渉します。国内に届いてから発見しても、返送コストがかかります。全数検品が難しければ、抜き取り率を上げるだけでも変わります。

破損が多いなら、梱包を見直す。 商品自体は正常でも、輸送中に壊れているケースです。FBAの倉庫内・配送中の扱いは選べないので、梱包で耐えるしかありません。緩衝材を増やす、箱を一回り大きくする、といった対応です。梱包材のコストと返品コストを比べれば、たいてい梱包を厚くしたほうが安く済みます。

「品質が期待以下」が多いなら、価格と中身が合っていません。 選択肢は2つあります。中身を上げるか、期待を下げるか。期待を下げるとは、ページで過剰に良く見せるのをやめることです。売上は少し落ちますが、返品と低評価が減ります。

「誤って注文した」が多い場合

意外に見落とされる理由です。原因は商品名と型番にあります。

  • 色違い・サイズ違いのバリエーションが分かりにくい
  • 商品名に型番が入っていない、または似た型番が並んでいる
  • セット内容(1個入り/3個入り)が名前から読み取れない

商品名の先頭に、迷いやすい要素を入れると減ります。「【3個セット】」「【Lサイズ】」のような表記です。

バリエーション登録が正しくできているかも確認します。本来ひとつのページにまとめるべき色違いが別ページに分かれていると、選び間違いが起きます。

数字で追う

対策を打ったら、返品率を月次で記録します。返品レポートから、月別の返品数と販売数を出せば計算できます。

見るのは全体の返品率だけでなく、理由別の内訳の変化です。全体が変わらなくても、「サイズが合わない」が減って「不要になった」が増えているなら、ページの改善は効いています。

また、返品率はSKUごとに大きく違います。全体で見ると平均に埋もれるので、返品率が高い上位5SKUを出して、そこから手をつけてください。

記録表の型

記録は、スプレッドシートに次の列を並べるだけで足ります。

  • 月、SKU、販売数、返品数、返品率(返品数÷販売数)
  • 理由別の件数(サイズ・説明と違う・不良破損・誤注文・不要・品質)
  • その月にやった対策(例:寸法の比較写真を追加、緩衝材を変更)

対策の列が大事です。返品率が下がった月に何をしたかが残っていれば、別の商品にも同じ対策を使えます。

返品は注文からしばらくたって発生するので、対策の効果は2か月後の数字で判断します。対策した翌月の返品率には、対策前に売れた分の返品が混ざるからです。

よくある失敗

  • 返品率の全体だけを見る。売れ筋の1SKUの返品が増えても、全体の平均に埋もれて気づかない
  • 理由を見ずにページ全体を作り直す。何が効いたかが分からず、次に活かせない
  • 対策の翌月に効果を判断する。返品の発生が遅れるため、まだ効果が数字に出ていない
  • 販売数の少ない月で判断する。月に数件の返品では、1件の差で返品率が大きく動く。件数が少ないSKUは3か月まとめて見る

いくらの損失になっているかを出す

返品対策は後回しにされがちです。金額にすると、優先順位が変わります。ここでの数値は計算のしかたを示すための仮定なので、自社の実数に置き換えてください。

仮に、売価4,000円・粗利1,000円の商品が月に200個売れ、返品率が6%(12個)だとします。返品されると、売上が戻るだけでなく、返送された商品が再販できない場合はその原価も失います。1個あたり3,000円の原価が消えるなら、月36,000円。ここに返送や再梱包の手間が乗ります。

返品率を6%から4%に下げられれば、返品は月4個減ります。金額にしておよそ12,000円、年間で14万円ほどです。寸法の比較写真を1枚足す作業に半日かかったとしても、十分に見合います。

返品が利益をどれだけ削っているかは、赤字商品の見分け方と同じ考え方でSKU別に出せます。返品の損失を足すと、売上では上位なのに利益では赤字、という商品が見つかることがあります。売価・原価・手数料から1個あたりの利益を出すなら利益シミュレーターも使えます。

理由の型直す場所着手までの重さ効きが出るまで
サイズが合わない寸法の比較写真、箇条書き2行目軽い(半日)次の注文から
説明と違う画像の色、付属品の表記軽い〜中(1日)次の注文から
不良・破損検品の位置、梱包重い(仕入先と交渉)次のロットから
誤って注文した商品名、バリエーション構成軽い(数時間)次の注文から
品質が期待以下中身の見直しか、見せ方の抑制重い数か月

上の3行は自社だけで着手できます。軽いものから片づけて、重いものは次の発注のタイミングに合わせるのが現実的な進め方です。手数料や配送料の扱いは条件によって変わるため、金額の前提はセラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。

よくある質問

返品率は何%なら問題ないですか。 目安は商品によって大きく変わるため、一律の基準は置けません。判断は自社の過去と比べて行ってください。上がっているなら理由別の内訳を出し、どの理由が増えたかを見ます。同じ返品率でも、「サイズが合わない」が増えているのか「不要になった」が増えているのかで打つ手が変わります。

返品されたぶんの手数料は戻りますか。 条件によって扱いが異なります。返金や手数料の扱いは時期によっても変わるため、断定はできません。セラーセントラルの案内と、実際の取引明細で確認してください。戻る前提で採算を組まないほうが安全です。

返品した人に低評価を消してもらうよう頼めますか。 対価と引き換えにレビューの削除や変更を依頼する行為は規約に反します。できるのは、購入者の不満に対して事実を伝えることと、同じ不満が起きないようにページと商品を直すことです。詳しくはレビューを増やす方法と低評価への対応を参照してください。

購入者が選んだ返品理由は信用してよいですか。 選択肢だけで判断するのは避けてください。購入者は手近な選択肢を選ぶことがあり、「不要になった」の中にサイズや色の不満が混ざっていることもあります。理由の選択肢とコメント欄を並べて読み、件数の多い不満を拾うのが確かめ方です。同じ不満がレビューにも出ていれば、その理由は直す優先度が高いと判断できます。

まとめ

  • 対策の前に返品理由レポートを見て、理由の内訳を出す
  • 「サイズが合わない」「説明と違う」→ ページを直す。寸法は比較写真で、色は盛らない
  • 「不良・破損」→ 検品の位置と梱包を見直す。梱包コストのほうが安いことが多い
  • 「品質が期待以下」→ 中身を上げるか、見せ方の誇張をやめるか
  • 「誤って注文した」→ 商品名にセット数・サイズを明記し、バリエーションを整理する
  • 全体の返品率ではなく、理由別・SKU別で追う
  • 対策の効果は、返品の発生が遅れる分を見込んで2か月後の数字で判断する

返品率を1ポイント下げるのは、売上を伸ばすより地味ですが、そのぶんがそのまま利益に残ります。商品ページ・在庫・広告のどこから手をつけるべきか整理したい場合は無料の運用診断を、ページの改善から任せたい場合はAmazon運用代行の内容と料金を参考にしてください。