「まだ月商が小さいので、相談するのは早いでしょうか」という問い合わせをいただくことがあります。個人でやっている方、副業で始めた方、法人でも担当が1人という方からが多いです。
結論を先に書くと、規模の大小より、何に困っているかがはっきりしているかどうかで、相談の中身は変わります。売上が大きくても「なんとなく伸び悩んでいる」だけだと、初回の面談は現状のヒアリングで終わります。逆に、売上が小さくても「広告費が回収できていない」と分かっていれば、その場で見るべき画面が決まります。
この記事では、規模の小さい段階で相談するときに、事前に用意しておくと話が早いものを書きます。当社に限らず、どこに相談する場合でも使える内容です。
小さいうちに相談したほうが、直しやすいこと
先に、規模が小さい時期のほうが手を打ちやすいものを挙げておきます。
- 商品名や画像の作り直し:レビューが積み上がる前のほうが、変更の影響を確かめやすい
- カテゴリーや属性の設定:後から直すと、既存の検索順位に影響が出ることがある
- キャンペーンの構造:本数が少ないうちに整えておくと、増えてからの管理が楽になる
- 原価と価格の設計:仕入れロットが小さいうちのほうが、条件を変えやすい
いずれも「売れ始めてから直す」と、手間も影響範囲も大きくなります。売上が立っていないから相談が早い、ということはありません。
相談先の形と、個人・小規模での選び方
Amazonの相談先といっても、形はいくつかあります。規模が小さいうちは、いきなり月額の契約から入るより、困りごとの大きさに合った形を選ぶほうが費用を無駄にしません。
| 相談の形 | 中身 | 向いている状況 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 無料の初回面談・診断 | 現状を聞いて、課題の当たりを付ける | 何から手を付けるか分からない | 具体的な作業までは踏み込まないことが多い |
| 単発のスポット相談 | 1回ごとに特定の課題を見る | 困りごとが1つにはっきりしている | 次にやることを自社で進める手が要る |
| 月額の継続コンサル | 定期的に数字を見て、打ち手を一緒に決める | 自社で作業はできるが判断に自信がない | 作業は自社側。面談の回数と範囲を確認する |
| 運用代行 | 広告や商品ページの作業まで任せる | 作業する人手が足りない | 範囲と権限の渡し方を文面で決める |
個人や担当1人の事業者に多いのは、「作業はできるが、何を優先すべきかの判断に迷う」状態です。この場合は、まず無料の面談か単発の相談で課題を1つに絞り、自社で直してみる。そのうえで、判断の相手が継続して欲しいと感じたら継続コンサルを検討する、という順番が無理がありません。コンサルの料金の型はAmazonコンサルの費用、個人で頼む場合の探し方は個人でAmazonコンサルを受けるときにまとめています。
継続の相談料が見合うかは、仮の計算で確かめられます。 仮に月額3万円の継続相談を受け、自社の粗利率が25%だとすると、相談をきっかけに月の売上が12万円増えれば、相談料と増えた粗利が釣り合います。いまの月商に対して12万円の上積みが現実的かどうかが、継続を決める一つの目安になります。数字はすべて仮のもので、自社の粗利率で置き換えて計算してください。
相談の前に用意しておく4つの材料
初回の面談を有効に使うために、次の4つがあると話が具体的になります。すべて社内にあるもので、新しく作る必要はありません。
1. 商品ページのURL
いま出品している商品のURL(ASIN)です。これがあれば、相手はその場で商品名・画像・箇条書き・レビューを確認できます。まだ出品前なら、参考にしている競合のURLでも構いません。
2. 直近3か月の売上と広告費
金額だけで十分です。月ごとに「売上いくら、広告費いくら」が分かれば、広告に依存しているのか、自然に売れているのかが見えます。セラーセントラルのビジネスレポートと広告レポートから出せます。
3. 1個あたりの原価
仕入れ値だけでなく、輸送費・関税・検品などを含めた着地原価です。ここが分かっていないと、「値下げしていいのか」「広告をいくらまでかけていいのか」という話が進みません。概算でも構いません。出し方は1688仕入れの着地原価に費目ごとの表を載せています。
4. 困っていることを、1文で
これがいちばん大事です。「売れない」ではなく、たとえば次のように書いてみてください。
- 広告を止めると注文が止まる
- 検索結果に自社商品が出てこない
- 売れてはいるが、月末に利益が残らない
- 在庫が読めず、切らすか余らせるかのどちらかになる
1文にまとめようとすると、自分でも状況が整理されます。書けない場合は、書けないこと自体が相談の内容になります。
4つがそろっているかを、面談の前日に確認しておきます。
| 用意するもの | どこから出すか | そろっていないときの代わり |
|---|---|---|
| 商品ページのURL | 出品中の商品ページ | 参考にしている競合のURL |
| 直近3か月の売上と広告費 | ビジネスレポートと広告レポート | 開始時期と累計の注文数 |
| 1個あたりの原価 | 仕入れの請求書と輸送費の明細 | 仕入れ先の見積もりと想定ロット |
| 困っていることを1文で | 自分で書く | 書けない理由をそのまま伝える |
数字は概算で構いません。正確さより、その場で画面を開いて話せる状態にあることのほうが役に立ちます。
数字がまだ無い場合は、何を持っていくか
出品前、あるいは始めたばかりで数字がほとんど無い段階もあります。その場合は、次の3つで代替できます。
| 用意するもの | 代わりに伝えること |
|---|---|
| 売上・広告費 | いつ始めたか、これまでの累計の注文数 |
| 原価 | 仕入れ先の見積もり、想定ロット数 |
| 自社ページのURL | 競合として意識している商品のURLを2〜3本 |
競合のURLは、数字が無いときの代わりとしてかなり有効です。 その市場の価格帯、レビューの数、ページの作り込みの水準が一目で分かるので、自社がどこから始めることになるかが具体的に見えます。
競合のURLを選ぶときは、検索結果の1位だけでなく、価格帯の近い商品を2〜3本混ぜてください。1位の商品はレビュー数が多すぎて比較になりにくいことがあります。自社が最初に並ぶことになる位置の商品を見るほうが、現実的な目標が立てやすくなります。
初回面談60分の使い方
材料がそろっていても、時間の使い方を決めずに面談に入ると、現状の説明だけで終わってしまいます。60分の面談なら、次のような配分を目安にすると、終わりに「次にやること」が残ります。
| 時間 | やること | こちらが話すこと |
|---|---|---|
| 最初の10分 | 困りごとの共有 | 用意した1文と、いつから困っているか |
| 次の25分 | 画面と数字を見る | 商品ページのURL、売上と広告費、原価 |
| 次の15分 | 原因の当たりと打ち手の候補 | 自社でできること、できないこと |
| 最後の10分 | 次にやること1つと、依頼する場合の範囲 | 判断に必要な期限と予算の上限 |
とくに最初の10分が大事です。困りごとの1文を先に伝えておくと、相手は見るべき画面を絞れます。逆に、事業の成り立ちや商品への思いから話し始めると、それだけで時間の半分が過ぎてしまいます。背景は、聞かれたときに答えれば十分です。
面談でよくある失敗も挙げておきます。
- 困りごとを複数並べる:広告も画像も在庫も、と並べると、どれも浅い話で終わります。いちばん困っているものを1つ選んでください
- 数字を持たずに「感覚」で話す:「広告費がかかりすぎている気がする」ではなく、「月の広告費が売上の何割か」を伝えると、判断が具体的になります
- 聞いた内容を控えない:面談で出た打ち手は、その日のうちに箇条書きで残します。1週間たつと、何を言われたか思い出せなくなります
相談の場で決めておくとよいこと
面談の終わりに、次の2つだけ確認しておくと、その後が楽になります。
- 次にやることが1つ決まったか。「まず商品名を直す」「除外キーワードを入れる」など、自社で着手できるものが1つあれば、その相談には価値があります
- 依頼する場合の範囲と金額。何を、どこまで、いくらでやるのか。口頭ではなく、あとで文面をもらえるかを確認してください
なお、頼む前に確認したい項目は運用代行の費用と選び方にまとめてあります。相談と依頼は別ものなので、相談の段階で契約を決める必要はありません。契約後に起きやすいすれ違いは運用代行でよくある失敗例、費用の考え方は料金のページで確認できます。
その場で契約を求められた場合は、いったん持ち帰ってください。 範囲と金額が文面になっていない段階で決めると、後から「それは含まれていない」というやり取りが増えます。持ち帰りを嫌がられるかどうか自体が、相手を見る材料にもなります。
面談の中で、相手が自社に合うかどうかも見ておきます。規模が小さいうちは、次の3点が判断の材料になります。
- 自社の数字を見てから話しているか:一般論やほかの事例の話ばかりで、自社の商品ページや売上の数字に触れない場合は、継続しても中身が薄くなりがちです
- 自社でできることを先に挙げてくれるか:小さい規模では、外に頼むより自社で直したほうが早いことが多くあります。それを率直に言ってくれるかどうかは、長く付き合えるかの目安になります
- 分からないことを分からないと言うか:データが少ない段階で原因を言い切る相手より、「この数字が2週間分たまったら判断できる」と条件を示す相手のほうが、判断を誤りにくくなります
面談のあとは、決まった「次にやること」を2週間以内に着手します。たとえば「商品名の前半に主な検索語を入れる」と決まったなら、直した日付と、直す前後2週間のセッション数と注文数を控えておきます。こうしておくと、次に相談するときに「やってみた結果」から話を始められ、2回目の面談の中身がぐっと具体的になります。依頼するかどうかも、この結果を見てから決めれば遅くありません。
よくある質問
セラーセントラルの画面を見せる必要はありますか。 初回は不要です。売上と広告費の金額、商品ページのURLがあれば話は進みます。画面の共有やアカウントへの招待は、実際に依頼する段になってから、範囲を決めたうえで行ってください。相談の段階で権限を渡す必要はありません。
まだ出品していない段階でも相談できますか。 できます。むしろ商品を仕入れる前のほうが、直せる範囲は広くなります。この段階で持っていくとよいのは、扱おうとしている商品の情報と、競合として意識している商品のURLを2〜3本、想定している売価と仕入れの見積もりです。
相談したら依頼しないといけませんか。 そんなことはありません。相談で「次にやること」が1つ決まれば、自社で進めても構いません。依頼を検討する場合も、範囲と金額を文面でもらってから判断してください。判断の材料は運用代行の費用と選び方にまとめています。
副業で時間が限られていても相談できますか。 できます。むしろ作業に使える時間が短いほど、何を優先するかを先に決める価値は大きくなります。面談の前に「週に何時間使えるか」を伝えておくと、その時間で回せる打ち手に絞って話ができます。
1回の相談で、どこまで分かりますか。 材料がそろっていれば、詰まっている場所の当たりと、次にやること1つまでは決められることが多いです。原因が複数重なっている場合や、広告のデータが少ない場合は、1回目で当たりを付け、自社で試した結果を持って2回目に進むほうが確かです。
まとめ
- 規模の大小ではなく、困っていることがはっきりしているかで相談の質は決まる
- 商品名・画像・カテゴリー設定・キャンペーン構造・価格設計は、小さいうちのほうが直しやすい
- 用意するのは4つ。商品ページのURL、直近3か月の売上と広告費、1個あたりの原価、困っていることを1文で
- 相談先は、無料面談・単発相談・継続コンサル・運用代行から困りごとの大きさに合わせて選ぶ
- 数字がまだ無い段階なら、開始時期と累計注文数、仕入れ見積もり、競合商品のURLで代替できる
- 60分の面談は、困りごと10分・画面と数字25分・打ち手15分・次の行動10分を目安に使う
- 面談の終わりに「次にやること1つ」と「依頼する場合の範囲と金額」を確認し、2週間以内に着手する
当社は2019年からAmazonの支援をしていて、これまでに30ブランド・300商品ほどを見てきました。その中には、月に数商品からの規模で始めて、扱いを増やしていった事業者もいます。いまの規模で相談してよいか迷っている方は、無料の運用診断から現状を整理するところだけでも使ってください。
