「月商は増えているのに、通帳の残高が増えない」。Amazonの販売者から一番よく聞く悩みがこれです。結論から言うと、原因は感覚では分かりません。売上から何がいくら引かれているかを商品ごとに並べて、5つの観点で1つずつ切り分ける必要があります。

この記事では、その切り分けの手順を順番に書きます。特別なツールは要りません。セラーセントラルのレポートと表計算ソフトで足ります。

まず「1個売れたら、いくら残るか」を出す

原因の特定は、商品1個あたりの残る利益を出すところから始まります。全体の売上と全体の費用を眺めても、どの商品が足を引っ張っているかは見えません。

1個あたりで引くものは、少なくとも次の項目です。

  • 仕入れ原価(輸入なら送料・関税を含めた着地原価
  • Amazonの販売手数料(カテゴリーで率が違う)
  • FBA配送代行手数料(サイズと重量で決まる)
  • 在庫保管料(月ごと、繁忙期は上がる)
  • 広告費(その商品の広告費 ÷ 販売個数)
  • 返品・廃棄にかかる費用

これを商品ごとに1行ずつ並べた表を作ります。この表を作った時点で、赤字の商品が見つかることがよくあります。手数料率やFBA料金はカテゴリーとサイズで変わるので、必ず自社の実数で確認してください。

原因1:手数料の見落とし

最初に疑うのは、手数料を売価の何%と思い込んでいるケースです。

  • 販売手数料の率がカテゴリーによって違うことを把握していない
  • FBA配送代行手数料が、サイズ区分の境目を少し超えて1段上の料金になっている
  • 大型商品や重量のある商品で、配送代行手数料が想定の倍かかっている

特にサイズ区分は見落とされがちです。梱包を数ミリ小さくするだけで区分が下がり、1個あたりの手数料が変わることがあります。商品ごとに「いま、どの区分で課金されているか」をレポートで確認してください。

原因2:広告費が売上と一緒に膨らんでいる

売上が伸びているのに利益が減るとき、一番多い原因がこれです。売上を作るために広告費を増やし、増えた売上の大半が広告費に消えている状態です。

見る数字は2つです。

  • ACOS:広告経由の売上に対する広告費の比率
  • TACOS:全体の売上に対する広告費の比率

ACOSだけ見ていると、広告経由の売上が増えるほど「効率が良くなった」ように見えます。TACOSが月を追うごとに上がっているなら、自然流入が育たず、広告に依存する体質になっています。

対処は、予算を増やす前に、検索用語レポート成果の出ていない検索語を除外することです。多くのアカウントで、広告費の一定割合が、購入につながっていない検索語に使われています。

原因3:値下げとクーポンで売上を作っている

セールやクーポンは売上を作る手段として手軽ですが、値引き分がそのまま利益から消えます

  • クーポンの割引率を、粗利率を確認せずに決めている
  • セール後に価格を戻せず、値下げ後の価格が定着している
  • カートを取るために競合と値下げ合戦になっている

1個あたりの残る利益を出していれば、「この商品はいくらまでなら値下げしてよいか」の下限が決まります。下限を決めずにセールに参加することが、利益が消える大きな原因です。

原因4:在庫が利益を食っている

在庫は、多すぎても少なすぎても利益を減らします。

  • 多すぎる:月次の保管料に加え、長期在庫には追加の保管料がかかる。売れない在庫を処分すれば、その分は損失になる
  • 少なすぎる:在庫切れの間は売上がゼロになるだけでなく、検索順位が落ち、戻すのに時間と広告費がかかる

どちらも、発注の基準が「なんとなく」になっていると起こります。リードタイム(発注してから販売できるまでの日数)と1日あたりの販売数から、発注のタイミングと数量を決める基準を作ってください。

原因5:返品と評価の下落

返品率が高い商品は、返品送料や再出荷の手間だけでなく、販売不可在庫が積み上がることで利益を削ります。

返品の理由は、商品ページと実物のずれ(サイズ感、色、素材)であることが多く、レビューや返品理由のレポートを見ると原因が分かります。返品率を1〜2ポイント下げるだけで、商品によっては利益率が目に見えて変わります。

5つのどこから手をつけるか

5つすべてを一度に直そうとすると、どれも中途半端に終わります。1個あたりの利益表を見て、一番大きく利益を削っている項目から着手してください。

多くの場合、順番は次のようになります。

  1. 広告費(すぐに数字に表れる。除外設定は当日からできる)
  2. 手数料(サイズ区分や梱包の見直し。次のロットから効く)
  3. 値下げの下限を決める(次のセールから効く)
  4. 在庫の発注基準(次の発注から効く)
  5. 返品率(商品ページの修正と、次のロットでの改良)

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まとめ

  • 「売れているのに利益が出ない」原因は、感覚では分からない。商品1個あたりの残る利益を出すところから始める
  • 原因は「手数料の見落とし」「広告費の膨張」「値下げのしすぎ」「在庫コスト」「返品」の5つのどこかにある
  • 全部を一度に直さず、利益を一番削っている項目から、効き始めるのが早い順に着手する
  • 手数料やFBA料金は必ず自社の実数で確認する。この記事の数字の考え方は目安であり、金額を保証するものではない

売上を追いかける前に、いま売れている分から何が残っているかを確かめる。それだけで、次にやるべきことはかなりはっきりします。