広告管理画面のレポート一覧を開くと、種類が多くてどれを見ればいいか分からなくなります。実務では、3つを役割で使い分けるだけでほぼ足ります。

この記事では、その3つと、それぞれで何を判断するかを書きます。

3つのレポートと役割

レポート何が載っているか何を判断するか
検索用語レポートお客様が実際に打った言葉除外する語・追加する語
ターゲティングレポート自分が登録したキーワード入札を上げるか下げるか
広告掲載商品レポート商品(ASIN)ごとの成績どの商品に予算を寄せるか

混同されやすいのが上2つです。検索用語レポートは「お客様の言葉」、ターゲティングレポートは「自分が登録した言葉」。オート広告では自分は語を登録していないので、検索用語レポートにしか語が出ません。オートとマニュアルの役割の違いはオート広告とマニュアル広告の使い分けにまとめています。

3つとも、出す前に期間と列を決めておくと作業が速くなります。期間は検索用語とターゲティングが30〜60日、広告掲載商品が30日。列は多いと見きれないので、表示回数・クリック数・クリック率・広告費・注文数・売上・ACOSの7つに絞ります。毎回同じ形で出しておけば、前回のシートに貼り付けるだけで前月との比較ができます。

検索用語レポートで判断すること

出力したら、注文数の列で並べ替えます。

注文が出ている語 → マニュアル広告に追加する候補です。オートで見つけた語をマニュアル完全一致に移し、入札を集中させます。移したらオート側で除外します。

広告費が使われていて注文0の語 → 除外候補です。目安は「その商品の粗利1個分を超えて0件」。線引きの詳細は除外キーワードの決め方に書いています。

クリックが5回以下で0件の語 → まだ判断できません。次回まで置きます。

期間は30〜60日。1週間では母数が足りません。

除外を急ぎすぎたときに起きること

このレポートで最も多い失敗は、注文0の語をまとめて除外してしまうことです。広告費は下がりますが、表示回数も一緒に落ちます。

仮に、売価3,000円・1個あたりの粗利600円・転換率5%の商品で考えます。転換率5%なら平均20クリックに1件売れる計算なので、クリック10回で0件の語はまだ「売れない語」とは言えません。ここで除外すると、たまたま売れなかっただけの語を消したことになります。

判断できる線は、次の2つのどちらかに達したときです。

条件内容この例での値
使った広告費粗利1個分を超えて注文0広告費600円を超えて0件
クリック数転換率から逆算した回数の2〜3倍で0件20回×2.5=50回前後で0件

どちらも自社の数字から出ます。転換率はビジネスレポートのユニットセッション率、粗利は売価から原価・手数料・送料を引いた額です。損益分岐ACOSを先に出しておくと、1クリックにいくらまで払えるかが同時に決まります。計算は利益シミュレーターでできます。

逆に、除外が遅すぎる失敗もあります。用途の違う語(型番違い・別カテゴリーの一般名詞)は、母数を待たずに止めて構いません。待つのは「売れる可能性がある語」だけで、明らかに関係のない語は初回で除外します。

ターゲティングレポートで判断すること

こちらは登録済みキーワードの成績表です。見る列は次の順です。

1. インプレッション数(表示回数)

ここが極端に少ない語は、そもそも土俵に立てていません。原因は入札が低すぎるか、その語での商品の関連性が低いかです。入札を上げても表示が増えないなら、後者です。

2. クリック率(CTR)

表示されているのにクリックされない。これは広告の中身の問題です。メイン画像、価格、レビュー数、タイトル。検索結果に並んだときに選ばれていません。入札を上げても解決しません。

3. 転換率(クリックから注文への率)

クリックされているのに買われない。これは商品ページの問題です。画像、箇条書き、A+、価格。ここも入札では解決しません。

4. ACOS

上の3つを見たあとで見ます。ACOSだけを見て入札を触ると、原因を外したまま調整することになります。

この順で見ると、入札で解決する問題と、そうでない問題が切り分けられます。入札で解決するのは1番だけです。

詰まっている場所主な原因打ち手
表示回数が少ない入札が低い/その語との関連性が低い入札を上げる。上げても増えなければ語を見直す
クリック率が低い検索結果に並んだときの見え方メイン画像・価格・タイトルを競合と並べて直す
転換率が低い商品ページの中身サブ画像・箇条書き・A+・レビューを直す
ACOSだけが高い上の3つのどれか順番に切り分けてから入札を触る

上げ下げの幅と上限額の出し方は入札額の決め方と上げ下げの基準に、クリック率が低いときの直し方はメイン画像と購入率にまとめています。

広告掲載商品レポートで判断すること

商品(ASIN)ごとの成績です。複数商品を扱っているとき、ここが効きます。

出力して、広告費の多い順に並べます。上位数商品で広告費の大半を使っているはずです。その商品のACOSと粗利を確認します。

見るポイント。

広告費は使っているが粗利が薄い商品 → 予算を減らします。売上は落ちますが、利益は増えます。

広告費は少ないがACOSが良い商品 → 予算を増やす余地があります。ここが伸びしろです。見落とされやすい枠です。

広告経由の売上が全体の売上に占める比率 → この比率が高すぎる商品は、広告を止めると売れなくなります。自然検索での順位が育っていないということです。ページとキーワードの見直しが必要です。

判断に使う線を、仮の数字で置いておきます。損益分岐ACOS(これ以上だと赤字になる線)を30%と仮定した場合の振り分けです。

状態仮の目安打ち手
ACOSが損益分岐を超えている30%超入札と予算を下げる。それでも超えるなら出稿を絞る
ACOSに余裕があり広告費が少ない20%未満かつ広告費が全体の1割未満予算を増やす。伸びしろの枠
広告経由売上の比率が高い全体売上の7割以上広告を止められない状態。ページと自然検索の対策を並行する
広告費が多く粗利が薄い上位3商品に広告費の6割以上予算配分を見直す。粗利率の高い商品に寄せる

損益分岐ACOSは商品ごとに違うので、この30%をそのまま使わないでください。売価・原価・手数料・送料から自社の値を出してから当てはめます。予算の配分そのものの考え方は広告予算の配分、効果を全体で測る方法は広告の効果測定にまとめています。

レポートを見る頻度

毎日見る必要はありません。むしろ日次で触ると、たまたまの変動に反応して設定を壊します。

現実的な頻度は次のとおりです。

  • 週1回:ターゲティングレポートで、極端に悪化した語がないか確認
  • 月1回:検索用語レポートで、除外と追加を整理
  • 月1回:広告掲載商品レポートで、予算配分を見直す

立ち上げ期だけは、検索用語レポートを週1で見ます。外れた語に予算が流れ続けるのを止めるためです。

1か月の作業表にする

頻度を決めても、何をするかが決まっていないと開くだけで終わります。作業に落とすと次の形になります。所要時間は仮の目安です。

いつ開くレポートやること目安
毎週月曜ターゲティング(過去7日)広告費が急に増えた語、クリック率が半減した語だけ確認15分
毎週月曜予算の消化状況上限に張り付いているキャンペーンの有無5分
月初検索用語(過去30〜60日)注文の出た語をマニュアルへ。基準に達した語を除外60分
月初広告掲載商品(過去30日)広告費の多い順に並べ、予算配分を見直す30分
月初ビジネスレポートTACOSと自然流入の売上を記録する15分

週次で数字が悪い語を見つけても、その場で入札を大きく動かさないでください。週の変動は母数が小さく、たまたま悪い週が混ざります。週次でやるのは「異常に気づくこと」まで、調整は月次と決めておくと設定が安定します。

月初の作業は前月の数字が確定してから行います。アトリビューションの遅れがあるので、月初すぐではなく数日置いてから出すと、後から数字が変わる分を減らせます。半期に一度の棚卸しは半期に一度の広告アカウントの棚卸しに分けて書いています。

数字を読むときの注意

期間が短いと判断を誤ります。 クリック20回で注文0件でも、その語の転換率が5%なら、20回で0件は普通に起こります。最低でもクリック30〜50回はたまってから判断します。

必要なクリック数は、自社の転換率から逆算できます。転換率5%なら平均して20クリックに1件売れる計算なので、0件のまま50〜60クリックたまった時点で「この語では買われない」と判断するのが妥当です。転換率が10%の商品なら30クリック、2%の商品なら100クリック以上が目安になります。自社の転換率はセラーセントラルのビジネスレポートのユニットセッション率で確認できます。粗利と合わせて考えるなら、利益シミュレーターで損益分岐ACOSを出しておくと、どこまでクリックに払えるかが同時に決まります。

アトリビューション(成果の紐づけ)に遅れがあります。 広告をクリックしてから数日後に購入されると、後から数字が変わります。直近数日のデータは確定していないと考えてください。

広告経由の売上と全体の売上は別です。 広告レポートに出るのは広告経由の売上だけです。全体への影響を見るなら、ビジネスレポートと合わせて見ます。

よくある質問

レポートの注文数と、実際に売れた数が合いません。設定が間違っていますか。 広告レポートに載るのは広告経由の注文だけなので、全体の注文数とは一致しません。加えて、広告をクリックしてから購入までに数日空いた分は、購入日ではなくクリック日に記録されます。そのため直近数日の数字は後から増えます。全体との突き合わせをしたいときは、ビジネスレポートの注文数と並べ、差分が自然流入の分だと考えてください。

検索用語レポートに、登録していない語がたくさん出てきます。設定ミスですか。 ミスではありません。オート広告や部分一致・フレーズ一致は、登録した語そのものではなく関連すると判断された検索にも配信されます。検索用語レポートはその実際の検索を記録したものなので、登録していない語が並ぶのが正常です。むしろここに並ぶ語こそが、除外の候補と追加の候補になります。完全一致だけで運用しているのに知らない語が出る場合は、表記ゆれや誤字が完全一致とみなされているケースです。

ダウンロードしたレポートは、いつまで保管しておくべきですか。 管理画面から出せる期間には限りがあるので、月次でCSVを落として自社側に残しておくことをおすすめします。目安は2年分です。前年の同じ月と比べられると、季節の影響と自分の施策の影響を分けて考えられます。半期に一度の棚卸しでも、6か月分をまとめて見るので手元にあると作業が速くなります。ファイル名は「年月_レポート種別」でそろえておいてください。

まとめ

  • 使うのは3つ。検索用語(語を足す・止める)、ターゲティング(入札を触る)、広告掲載商品(予算配分)
  • ターゲティングレポートは「表示 → クリック率 → 転換率 → ACOS」の順に見る。入札で解決するのは表示だけ
  • クリック率が低い=広告の見え方の問題、転換率が低い=商品ページの問題
  • 広告掲載商品レポートでは、広告費が少なくてACOSが良い商品を探す
  • 頻度は週1と月1。日次で触らない。週次は異常に気づくまで、調整は月次
  • クリック30〜50回たまるまで判断しない。線は自社の転換率と粗利から逆算する
  • 除外の判断は「粗利1個分を超えて0件」か「逆算クリック数の2〜3倍で0件」のどちらか

レポートは「見る」ものではなく「何を決めるために開くか」を先に持って開くものです。目的なしに眺めても、数字は増えるだけです。

次にやることは1つです。自社の損益分岐ACOSと転換率を先に出して、除外の線を数字で決めてください。利益シミュレーターに売価・原価・手数料を入れれば出ます。広告の設定をどこから直すか決めかねる場合は、無料の運用診断で広告・商品ページ・在庫のどこが弱いかを整理できます。