売上が伸びないという相談を受けたとき、最初にやるのは原因の切り分けです。「売れない」はひとつの症状で、原因は3か所のどれかにあります。
Amazonでの売上は、次の式に分解できます。
売上 = 表示された数 × クリック率 × 購入率 × 平均単価
つまり人は「表示 → クリック → 購入」の順に減っていきます。どの段階で減っているかを先に特定すれば、打つ手は自動的に決まります。逆に、ここを飛ばして広告費を増やすと、購入率が低いまま表示だけが増えて、広告費だけが膨らみます。
この記事では、3段階のそれぞれで見る数字と、そこが原因だったときにやることを書きます。
段階0:まず数字を並べる
切り分けに使う数字は、セラーセントラルの2か所から取れます。
| 見たい数字 | どこから取るか |
|---|---|
| 表示された数(セッション数) | ビジネスレポート「詳細ページ売上・トラフィック」 |
| 購入率(ユニットセッション率) | 同上 |
| 広告のインプレッション・クリック率 | 広告レポート |
| 検索語ごとの表示・クリック | 検索用語レポート |
まず、直近3か月を月ごとに並べてください。下がっているのがセッション数なのか、ユニットセッション率なのかで、話がまったく別になります。並べる前に対策を考えないことが大事です。
段階1:表示されていない
セッション数が少ない、または落ちているケースです。そもそもページを見られていないので、ページをいくら直しても数字は動きません。
見るポイントは次の通りです。
- 検索順位:狙っているキーワードで自社が何位に出るか。実際に検索して確認する
- 在庫切れの履歴:切らした期間があると、順位が戻るまで時間がかかる
- カートの取得率:カートを取れていないと、購入ボタンからの流入が減る
- 広告のインプレッション数:予算不足や入札の低さで、そもそも配信されていないことがある
打つ手は原因ごとに違います。
- キーワードが商品ページに入っていない → 商品名・商品仕様の欄を見直す
- 入札が低くて配信されていない → 入札額を上げるか、キャンペーン構造を分ける
- 在庫切れを繰り返している → 発注の基準を作り直す
- カートが取れていない → 価格・配送・アカウント状態を確認する
この段階では、ページの見た目を直しても効果は出ません。まず人が来る状態を作るのが先です。
段階2:表示されているのに、クリックされない
インプレッションはあるのにクリック率が低いケースです。検索結果の一覧に並んだときに、自社の枠が選ばれていない状態です。
検索結果で見えているのは、次の4つだけです。
- メイン画像
- 商品名(表示される文字数はデバイスで変わる)
- 価格
- 星の数とレビュー件数
つまりクリック率を上げるには、この4つのどれかを変えるしかありません。
やることは、実際に検索して、自社の枠を競合と並べて見ることです。スマートフォンでも確認してください。PCとスマートフォンでは商品名の表示される長さも、画像の見え方も違います。
見るときの問いは3つです。
- 何の商品か、画像だけで分かるか。競合と見分けがつくか
- 商品名の最初の20文字くらいに、選ぶ理由になる言葉が入っているか
- 価格と星の数が、周りと比べて明らかに不利になっていないか
星の数が原因のこともあります。その場合は、レビュー件数が近い競合と比べてどうかを見てください。件数が少ない段階では、平均が1件で大きく動きます。
段階3:クリックされているのに、買われない
セッション数はあるのに、ユニットセッション率が低いケースです。ページまで来て、読んで、買わずに離脱しています。
ここで見るのは、ページの中身です。
- サブ画像:サイズ、使い方、中身、素材が写真で分かるか
- 箇条書き:買う前に知りたいことが書かれているか。仕様の羅列になっていないか
- 商品仕様の欄:サイズ・素材・容量などが埋まっているか。空欄が多いと不安を残す
- レビューの中身:低評価に共通する不満があるか。あるならページで先回りして答える
- 価格:同等の競合と比べて、その差額の理由がページで説明されているか
購入率が低いとき、いちばん多い原因は「書いていない」ことです。素材が分からない、サイズ感が分からない、他とどう違うのか分からない。買わない理由の多くは、疑問が解けないまま離脱した結果です。
自社のページを見て「これは書いてあると言えるか」を確認するには、レビューを読むのが早道です。質問されていることは、ページに書かれていないことです。
段階を飛ばさない
3段階を飛ばして手を打つと、次のような無駄が起きます。
| やりがちなこと | 実際の原因 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| 広告費を増やす | 購入率が低い | 表示は増えるが、広告費だけが増える |
| 値下げする | 表示されていない | 利益が減るだけで、売上は動かない |
| 画像を作り直す | 検索順位が低い | 見られていないので、変化が測れない |
順番としては、表示 → クリック → 購入の順に確認して、いちばん手前で止まっているところから直すのが確実です。手前が詰まったまま奥を直しても、効果が測れません。
なお、利益の側で詰まっている場合は原因の分け方が変わります。売上は伸びているのに手元に残らないケースは、別の切り分けが必要です。
まとめ
- 売上は「表示された数 × クリック率 × 購入率 × 平均単価」に分解できる
- 最初にやるのは、直近3か月のセッション数とユニットセッション率を月ごとに並べること
- 表示されていないなら、検索順位・在庫切れ・カート取得率・広告の配信状況を見る
- クリックされないなら、検索結果で見える4つ(メイン画像・商品名・価格・星)を競合と並べて見る
- 買われないなら、サブ画像・箇条書き・商品仕様の欄・レビューの不満を見る。多くは「書いていない」ことが原因
- 手前の段階が詰まったまま奥を直しても、効果は測れない
当社は2019年からAmazonの支援をしていて、これまでに30ブランド・300商品ほどを見てきました。相談を受けたときも、この3段階の切り分けから始めます。自社のどこで止まっているか分からない場合は、無料の運用診断で現状を整理するところから使ってください。個別の事情がある場合はご相談からどうぞ。
