Amazonレビュー依頼は、出品者が自分で動かせる数少ないレビュー対策です。ところが「どこまでならやっていいのか」は意外と知られていません。ほかの出品者がやっているから大丈夫だろう、と同梱カードやメッセージを真似した結果、レビューの削除や出品権限の停止につながる例があります。
この記事では、レビュー依頼の手段を「リクエストボタン」「購入者へのメッセージ」「同梱物」「SNS・外部」の4つに分け、それぞれの許される範囲と違反になる範囲を線引きします。読み終えたときに、自社のレビュー依頼をどの形で回すかが決まる状態を目指します。
レビュー全体の増やし方と低評価への対応はレビューを規約の範囲で増やす方法にまとめています。ここではその中の「依頼」の部分を掘り下げます。
Amazonレビュー依頼の原則は「中立・1回・全員に同じ」
細かい規定を覚える前に、判断の軸を3つ持っておくと迷いが減ります。
- 中立であること。「良いレビューを」「星5を」のように評価の中身を指定しない。「ご感想をお聞かせください」までにとどめる
- 1注文につき1回であること。同じ購入者に何度も送らない。リクエストボタンとメッセージで重ねて送るのも避ける
- 全員に同じであること。満足していそうな購入者だけを選んで送る、不満のある人を問い合わせ窓口へ誘導して満足した人だけにレビューを頼む、といった選別をしない
この3つのどれかを外れた依頼は、文面がどれだけ丁寧でも違反になりえます。逆に、3つを守ったうえで見返りを付けなければ、依頼そのものは認められています。
規約の文言や運用は改定されることがあります。この記事は考え方の整理なので、実際に運用を組むときはセラーセントラルのヘルプにある最新の規約で確認してください。
手段ごとの許される範囲と違反になる範囲
| 手段 | 許される範囲 | 違反になる例 |
|---|---|---|
| リクエストボタン | 対象期間内の注文に1回押す | 好意的そうな注文だけ選んで押す |
| 購入者へのメッセージ | 中立な依頼を1回。注文に関する連絡と一緒に | 星の指定、見返りの提示、複数回の催促 |
| 同梱カード | 使い方・問い合わせ先の案内 | 特典と引き換えのレビュー依頼、星5の誘導 |
| SNS・メルマガ | 商品の紹介、購入ページへの案内 | 「レビューを書いたら〇〇」の企画、レビュー交換 |
| 家族・知人・従業員 | 商品を使ってもらうこと自体 | その人たちにレビューを書いてもらう |
1. リクエストボタン
注文詳細画面の「レビューをリクエスト」は、Amazonが用意した文面で購入者に依頼メールが届く仕組みです。文面をこちらで変えられないため、文言による違反が起こりません。最も安全な手段です。
押せる期間は注文ごとに決まっていて、期間外の注文には押せません。注意したいのは「押す注文を選ぶ」ことです。返品や問い合わせがあった注文を避けて、満足していそうな注文だけに押す運用は、選別と見なされるおそれがあります。期間内の注文には一律に押す、と決めておくのが安全です。
2. 購入者へのメッセージ
購入者とのメッセージ機能でレビューを依頼すること自体は、中立な文面であれば認められています。ただし、メッセージは送れる内容に制限があり、宣伝や外部サイトへの誘導は入れられません。
文面で気をつけるのは次の点です。
- 「星5をお願いします」「良い評価を」など評価を指定しない
- 「レビューを書いてくださった方に」と見返りをにおわせない
- 「問題があればレビューの前にご連絡ください」と書かない(不満のある人をレビューから遠ざける誘導と読まれる)
- 催促を重ねない。1回送ったら終わり
リクエストボタンと同じ注文に重ねて送るのは避けてください。購入者から見れば同じ依頼が2回届くことになります。
3. 同梱カード
同梱物で問題になるのは、レビューと見返りを結びつける文言と、評価の中身を指定する文言です。「レビューを書いて画面を送ってくれたら交換期間を延長」「星5で次回割引」は明確に違反です。
見返りがなく中立な文面でも、同梱カードでのレビュー依頼は判断が分かれる領域です。リスクを取る価値は小さいので、同梱物は使い方・お手入れ・問い合わせ窓口の案内にとどめるのが無難です。使い方の説明が丁寧だと、それ自体が「期待とのズレ」による低評価を減らします。
4. SNS・外部での呼びかけ
自社のSNSやメルマガで商品を紹介するのは自由です。違反になるのは、レビュー投稿を条件にしたプレゼント企画、出品者同士のレビュー交換、レビューを書く人を集めるグループへの参加などです。外部サービスにレビューを依頼する行為も同じ扱いです。
違反になりやすい「グレーに見えて黒」な例
実務でよく見かける、本人は違反のつもりがない例を挙げます。
- 返金を条件に低評価の削除や修正を頼む。返金対応自体は問題ありませんが、レビューの扱いと結びつけた時点で違反です
- 不満の連絡をくれた人にだけ何もしない、満足の声をくれた人にだけレビューを頼む。選別にあたります
- 新商品の発売時に社員や取引先に買ってもらい、レビューを書いてもらう。購入していてもレビューは書いてもらえません
- バリエーションをまとめて、古い商品のレビューを新商品に引き継ぐ。関係のない商品を同じ親にまとめる行為はレビューの不正な流用と見なされます(親子の組み方はバリエーションの組み方)
- レビュー投稿でポイントを付ける自社サイトの仕組みをAmazon購入者にも適用する。媒体が違っても見返りです
どれも「件数がほしい」という焦りから生まれます。件数が少ない立ち上げ期に公式の手段で見返りを出せるのは、Amazon Vineだけです(判断の仕方はAmazon Vineに出すべきかの判断)。
安全に回すための運用の型
違反しないことと、手間をかけずに続けることは両立できます。当社が運用を引き受けるときは、次の形に揃えることが多いです。
- 依頼の手段をリクエストボタンに一本化する。メッセージでの依頼はやめ、注文に関する連絡(発送遅延のお知らせなど)だけに使う
- 押す曜日を決める。週2回、対象期間に入った注文をまとめて押す。選別しないので判断が要らない
- 同梱物の文面を一度だけ点検する。「レビュー」「評価」「星」の語が入っていないかを見る
- 低評価が付いたら依頼ではなくページを直す。依頼の回数を増やしても低評価は減りません。原因の分け方は低評価レビューへの返信の書き方にあります
仮に、月200件の注文すべてにボタンを押し、投稿される割合が1〜2%だとすると、増えるのは月2〜4件です。地味ですが、半年続ければ12〜24件になります。立ち上げ期はこの積み上げを止めないことのほうが、文面を工夫するより効きます。
よくある質問
リクエストボタンは毎日押さないといけませんか。 毎日でなくて構いません。対象期間が注文ごとに決まっているので、週2回ほどまとめて押せば取りこぼしはほとんど出ません。曜日を決めて作業にしておくと、担当者が替わっても続けられます。
「ご感想をお聞かせください」とメッセージで送るのは違反ですか。 評価の中身を指定せず、見返りもなく、1回だけなら認められている範囲です。ただし、同じ注文にリクエストボタンも押しているなら、メッセージは送らないでください。手間とリスクを考えると、ボタンだけに絞るほうが運用は楽です。
違反に気づかず同梱カードを入れていました。どうすればいいですか。 まず、次に出荷する分から同梱をやめます。FBAに納品済みの在庫に入っている場合は、カードを抜く作業が必要になることがあります。気になる場合は、今後の運用を変えたうえで、現状の扱いを相談窓口に確認するのが安全です。
家族が普通に買って使った感想を書くのも駄目ですか。 出品者と近い関係にある人のレビューは、内容が公平でも認められません。投稿されていたら削除の対象になり、出品者側の評価にも影響します。家族や従業員には、レビューではなく使った感想を直接もらい、商品ページの改善に使ってください。
まとめ
- Amazonレビュー依頼の軸は「中立・1注文1回・全員に同じ」の3つ
- 見返り、星の指定、満足していそうな人だけへの送信は違反になる
- 最も安全なのはリクエストボタン。メッセージと重ねて送らない
- 同梱物は使い方と問い合わせ先の案内にとどめる
- 家族・従業員・取引先のレビュー、レビュー交換は認められない
- 件数は依頼の工夫より、続けることと低評価を出さないページで積み上がる
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