新商品を出したものの、レビューが0件のまま購入率が上がらない。そんなときに選択肢に上がるのがAmazon Vineです。Amazonが選んだレビュアーに商品を無償で提供し、レビューを書いてもらう公式のプログラムで、見返りを出してレビューを集められる唯一の正規の手段でもあります。
ただ、「とりあえず出しておけばいい」ものではありません。Amazon Vine 費用は登録料だけでは済まず、提供する在庫そのものが費用になります。しかも付くレビューは率直で、商品の完成度が低いと低評価が公式に並びます。
この記事では、Vineにかかる費用の積み上げ方、効果の測り方、そして出すべき商品と出さないほうがいい商品の判断を順に書きます。
Amazon Vineの仕組みと参加の条件
Vineは、ブランド登録をしている出品者が使えるプログラムです。出品者が商品と提供数を登録すると、Amazonが選んだレビュアーに商品が届き、レビューが投稿されます。投稿されたレビューには、Vineのメンバーによるものだと分かる表示が付きます。
参加の条件として、ブランド登録済みであること、FBAで新品として販売していること、レビュー件数が一定数未満であることなどがあります。登録料の有無や金額、1商品あたりの提供数の上限も含めて、条件は改定されることがあるので、セラーセントラルのVineの画面で最新の案内を確認してください。ブランド登録そのものの利点はブランド登録のメリットにまとめています。
押さえておきたいのは次の3点です。
- レビュアーは商品を無償で受け取るが、好意的なレビューを書く義務はない
- 提供数を登録しても、全員がレビューを書くとは限らない
- 提供した商品は売上にならない。在庫を手放すことが費用の中心になる
Amazon Vine 費用を積み上げて見る
Vineの費用を登録料だけで考えると判断を誤ります。実際には次の項目を足し合わせます。
| 費用の項目 | 中身 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 登録料 | プログラムの利用にかかる料金 | 有無・金額は時期と条件で変わる |
| 提供在庫の原価 | 仕入れ値+国内までの輸送・関税 | 売れば粗利が出た在庫を手放す |
| 納品の送料 | FBA倉庫までの送料 | 提供分も納品が必要 |
| FBA関連の手数料 | 出荷にかかる手数料など | 無償提供でも発生する項目がある |
| 機会損失 | 在庫が足りないときの販売機会 | 立ち上げ期の在庫は少ないことが多い |
仮に、着地原価1,500円、納品の送料が1個あたり100円、手数料が1個あたり500円かかる商品を20個提供するとします。この場合、提供在庫にかかる費用だけで (1,500+100+500)×20=42,000円です。ここに登録料が加わります。手数料や登録料はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で計算し直してください。1個あたりの原価と手数料は利益シミュレーターで出せます。
この金額を「レビュー1件あたり」に直すと判断しやすくなります。20個提供して15件のレビューが付けば、登録料を除いて1件あたり3,000円弱です。広告で同じ件数のレビューが付くまでの販売を作るのに、どれだけ広告費がかかるかと比べてください。
効果は件数ではなく購入率で測る
Vineで見るべきなのは、レビューが何件付いたかではありません。レビューが付いたあとに購入率(ユニットセッション率)がどう変わったかです。
- Vineに出す前の4週間の購入率を記録する。ビジネスレポートの商品別の数字を使います
- レビューが表示され始めた日をメモする
- 表示後の4週間の購入率と比べる。価格や広告を同時に変えると比べられないので、この期間はほかの条件をなるべく動かさない
- 増えた販売数×1個あたりの粗利で、費用を何週間で回収できるかを出す
仮に、セッション数が月1,000、購入率が4%から6%に上がったとします。販売数は月40個から60個になり、1個あたりの粗利が800円なら、月16,000円の粗利が増えます。先ほどの42,000円は、登録料を除けば3か月弱で回収できる計算です。購入率がほとんど動かなかった場合は、レビュー以外の部分、たとえば画像や価格に原因があります(購入率の上げ方は転換率を上げる方法)。
出すべき商品と出さないほうがいい商品
Vineは、商品の実力をそのまま表に出すプログラムです。出す前に、次の表で当てはまる側を確かめてください。
| 出すべき商品 | 出さないほうがいい商品 |
|---|---|
| 試作・検品を経て品質が安定している | 初回ロットで不良率がまだ分からない |
| 商品ページの説明と実物が一致している | サイズ・色・質感が写真と違って見える |
| 粗利が取れていて、継続して売る予定 | 粗利が薄く、提供分を回収できる見込みがない |
| レビュー0件が購入率の足を引っ張っている | すでに十分なレビューがあり、件数の伸びしろが小さい |
| 在庫に余裕があり、提供しても欠品しない | 在庫が少なく、提供すると売る分が足りなくなる |
特に注意したいのは「説明と実物のズレ」です。Vineのレビュアーは商品を細かく見て、具体的に書きます。写真より小さい、説明にない注意点がある、といった点はそのまま星に表れます。出す前に商品ページの点検リストでページを見直してください。
提供数の決め方
提供数は多ければよいわけではありません。考え方は次のとおりです。
- 最初は少なめに出し、付いたレビューの傾向を見る。仮に上限が30個でも、まず10〜15個で様子を見る選択肢がある
- 購入率への効きが大きいのは、0件から2桁に届くまでの区間。そこを越えたら、Vineより通常の販売で積み上げる
- 低評価の内容が商品の問題なら、追加の提供を止めて商品を直す
出したあとにやること
Vineのレビューが付き始めたら、内容を読み、商品改善と商品ページの修正に使います。低評価が付いても、削除を求めたり、レビュアーに反論したりはしません。原因を分類し、ページで防げるものはページを直します(分類の仕方は低評価レビューへの返信の書き方)。
あわせて、通常の注文には「レビューをリクエスト」を一律に押し続けます。Vineは立ち上げの一押しで、レビューを積み上げ続けるのは日々の依頼です(依頼の線引きはAmazonレビュー依頼で許されることと違反になること)。
よくある質問
Vineのレビューは低評価が付きやすいですか。 低評価が付きやすいというより、率直な評価が付くと考えてください。レビュアーは無償で受け取っても好意的に書く義務がないため、商品とページの実力がそのまま表れます。完成度に不安がある段階で出すと、その不安が星に出ます。
Vineのレビューは検索順位にも効きますか。 レビューの件数と星は、クリック率と購入率を通じて売れ行きに効き、売れ行きが順位に影響します。Vineのレビューだから順位が直接上がる、という考え方はしないほうが判断を誤りません。効果は購入率の変化で測ってください。
登録料がかかるなら、広告に回したほうがよくないですか。 比べるべきは、レビュー0件のまま広告で流入を増やした場合の購入率です。レビューがないと流入が増えても買われにくく、広告費が回収できないことがあります。費用をレビュー1件あたりに直し、広告で同じ販売を作る費用と比べて決めてください。
提供した在庫が足りなくなったらどうなりますか。 提供分を出したあとに販売用の在庫が切れると、せっかく購入率が上がる時期に売れません。提供数は、販売の見込みと発注のリードタイムを踏まえて決めてください。発注量の目安は発注計算ツールで出せます。
まとめ
- Amazon Vineは見返りを出してレビューを集められる唯一の公式手段
- Amazon Vine 費用は登録料+提供在庫の原価+納品の送料+手数料で積み上げる
- 費用はレビュー1件あたりに直し、広告で同じ販売を作る費用と比べる
- 効果は件数ではなく、表示前後4週間の購入率の変化で測る
- 品質が安定し、ページと実物が一致し、粗利が取れる商品から出す
- 提供数は少なめに始め、2桁に届いたら通常の依頼で積み上げる
新商品の立ち上げ全体の進め方は新商品の最初の90日にまとめています。Vineを含めた立ち上げの組み立てを相談したい場合はお問い合わせからどうぞ。
