商品の価格は決めたのに、送料は「なんとなく無料」「なんとなく一律」で済ませていないでしょうか。
お客様が見ているのは、商品代金と送料を足した支払う合計です。そして出品者の手元に残る金額も、送料をどう扱ったかで変わります。送料は価格の一部として設計するものです。
この記事では、送料を売価に組み込むまでの順番を説明します。
送料を「誰が払っているか」から整理する
最初に、配送方法ごとに送料の流れを分けておきます。ここが混ざったままだと、計算の前提がずれます。
| 配送方法 | お客様に見える送料 | 出品者の負担 | 価格設計での扱い |
|---|---|---|---|
| FBA | 無料と表示されることが多い(条件あり) | 配送代行手数料 | 手数料を費用として売価に入れる |
| 自己発送・送料無料 | 無料 | 運賃・資材・作業のすべて | 1個あたりの送料を売価に入れる |
| 自己発送・送料別 | 設定した送料 | 実費と受け取る送料の差額 | 受け取る送料と実費の差を見る |
注意したいのは、送料を別に受け取っても、費用の負担が消えるわけではない点です。販売手数料は、商品代金だけでなく配送料を含めた合計金額にかかる扱いが基本です。送料を別に取れば手数料の計算から外れる、とは考えないでください。
手数料率・FBA料金・保管料は、カテゴリー・サイズ・時期で変わるので必ず自社の実数で確認してください。
1個あたりの送料を実数で出す
次に、1個を届けるのにいくらかかっているかを出します。自己発送の場合は、運賃だけでは足りません。
運賃は地域の比率で平均する
運賃は届け先の地域で変わります。一番近い地域の運賃で計算すると、実際より安く見積もることになります。過去の出荷実績から地域ごとの比率を出し、加重平均を取ります。
| 届け先 | 出荷の比率 | 運賃 |
|---|---|---|
| 関東 | 50% | 700円 |
| 関西 | 25% | 800円 |
| 九州 | 15% | 1,000円 |
| 北海道・沖縄 | 10% | 1,500円 |
数字は説明用の仮の値です。この場合、1個あたりの運賃は 850円 になります。一番安い700円で計算していたら、1個あたり150円ずつ利益を見落としていたことになります。
運賃以外の費用も乗せる
- 箱・緩衝材・テープなどの資材費
- 梱包と発送の作業時間(外注ならその費用)
- 破損・紛失・再発送の見込み
作業時間は見落としやすい費用です。自社でやっている場合も、1時間あたりの人件費を置いて1個あたりに割ってください。
FBAを使っている場合は、ここを配送代行手数料に置き換えます。サイズ区分と重量で金額が決まるので、管理画面で自社商品の区分を確認します。
送料込みにするか、別に取るか
1個あたりの送料が出たら、それを売価に含めるか、別に受け取るかを決めます。
送料込み(送料無料)にする場合
表示価格は上がりますが、支払う合計が分かりやすくなります。検索結果や商品の比較でお客様が合計金額を見るので、送料別の商品と並んだときに不利になりにくい形です。カートボックスの判定でも、配送料を含めた総額が見られるとされています。
送料を別に取る場合
表示価格は安く見えます。ただし、合計で比べられると結局は同じです。「安いと思って開いたら送料が高かった」という印象は、ページを離れる理由になります。
判断の目安をまとめます。
| 状況 | 向く設計 |
|---|---|
| 競合の多くが送料無料 | 送料込み |
| 小さく軽い商品で、送料の差が小さい | 送料込み |
| 大きく重い商品で、地域差が大きい | 全国の多くは込み、遠方だけ追加 |
| まとめ買いが多い商品 | 2個目以降の送料を下げる設定を検討 |
全国一律で込みにすると、近い地域のお客様が遠方の送料を負担する形になります。地域差が大きい商品は、一部の地域だけ追加送料を設定する方法もあります。
送料込みの売価を逆算する
売価は、費用を足してから「率でかかる費用」を割り戻して出します。送料にも手数料がかかるため、単純な足し算では足りません。
売価 = 1個あたりの固定費用 ÷(1 − 販売手数料率 − 広告費率 − 目標粗利率)
仮の値で計算してみます。
- 商品原価・資材・輸送などの固定費用:1,200円
- 1個あたりの送料(上の加重平均):850円
- 販売手数料率:10%(仮)
- 広告費率:10%
- 目標粗利率:20%
固定費用は合計2,050円。これを0.6で割ると 約3,417円 です。
実際の売価は、競合の価格帯を見て切りのよい位置に置きます。仮に3,480円にすると、手数料と広告費をそれぞれ348円引いて、粗利は734円、粗利率は約21.1%です。目標の20%を上回ります。
最後に、競合の「価格+送料」の合計と並べて確認します。送料無料の競合と比べるときに、自社の表示価格だけを見て高い安いを判断しないでください。
送料の設計で見落としやすいこと
一度決めた送料が、いつの間にか実態とずれていることがあります。次の点を定期的に見直します。
- 運賃の改定を反映していない。配送会社の料金は変わります。改定のたびに加重平均を出し直します
- 大きさの違う商品を同じ送料で扱っている。小さい商品で得をして、大きい商品で損をしていても、全体では気づきにくくなります
- まとめ買いのときの送料。2個が1箱に入るなら、送料は1回分です。個数ぶん送料を取る設定だと、合計が高く見えて買われにくくなります
- 繁忙期の遅延や再配達。配送が遅れると、評価や問い合わせ対応の手間にも響きます
まとめ
- お客様は商品代金と送料の合計で比べる。送料は価格の一部として設計する
- 配送方法ごとに、誰が送料を負担しているかを先に整理する
- 送料を別に取っても、販売手数料は合計金額にかかる前提で考える
- 自己発送の運賃は、出荷地域の比率で加重平均を取り、資材と作業費も乗せる
- 売価は「固定費用 ÷(1 − 手数料率 − 広告費率 − 目標粗利率)」で逆算する
- 手数料率・FBA料金・保管料は変わるので、自社の実数を管理画面で確認する
- 競合とは「価格+送料」の合計で比べる
- 運賃改定、商品サイズの違い、まとめ買いの送料を定期的に見直す
