定期おトク便のチェックを入れるかどうか、粗利を計算せずに決めていないでしょうか。

定期おトク便は、お客様が同じ商品を決まった間隔で受け取る仕組みです。一度選ばれれば注文が続く代わりに、割引した分は毎回の注文から引かれ続けます。期間を区切って試すクーポンとは、効き方も痛み方も違います。

この記事では、定期おトク便を入れるかどうかを判断する順番と、入れた後に見る数字を説明します。

一回の割引と、続く割引を分けて考える

最初に押さえておきたいのは、定期おトク便の割引が終わりの決まっていない割引だという点です。

クーポンやセールは期間を区切れるので、効かなければ止められます。定期おトク便は、お客様が登録すると解約されるまで割引後の価格で買われ続けます。つまり、その商品の実質的な売価をもう一段下げたのと同じ状態です。

その代わりに得られるものもあります。

  • 注文が読める。次にいつ、いくつ出ていくかがおおよそ見える
  • 継続して使う商品として比較の土俵に乗りやすくなる
  • 一度生活に組み込まれると、他の商品に乗り換えられにくくなる

判断は「割引を払い続ける価値が、この読める注文にあるか」の一点に集まります。

なお、定期おトク便の割引率の刻み方、上乗せの条件、対象になる商品の範囲は、カテゴリー・時期・条件で変わります。販売手数料率やFBAの料金も同じです。まずセラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。

向く商品と向かない商品を分ける

割引を続ける価値があるかどうかは、商品の性質でおおよそ決まります。

商品の性質定期おトク便は理由
なくなったら買い足す消耗品向く次の購入が自然に発生する
使う量とペースが読める向くお客様が配送間隔を決めやすい
単価が低く、複数個で買われる向く配送の手間が1回にまとまる
一度買えば数年使う耐久品向かない次の注文が来ないまま割引だけ残る
好みや季節で選び直す商品向かない同じ品を続ける動機が弱い
粗利率がもともと薄い向かない割引を続けると赤字に近づく
在庫を安定して確保できない向かない欠品でお客様の予定を崩す

見落としやすいのは、下の2つです。

粗利率が薄い商品は、期間限定の割引ならしのげても、続く割引には耐えられません。定価に戻す判断が遅れるほど、薄い粗利のまま注文数だけが積み上がります。

在庫が安定しない商品も向きません。定期おトク便は、お客様が「その日に届く」前提で生活に組み込む買い方です。欠品はその予定を崩すので、解約と低い評価につながりやすくなります。発注の基準がまだ決まっていない場合は、在庫切れを防ぐ発注基準を先に整えてから検討してください。

割引率は「1回」ではなく「続いた合計」で決める

割引率は、1回の注文だけを見ても答えが出ません。何回続けて買われて、合計でいくら残るかで判断します。

売価2,000円、割引前の1個あたり粗利が500円の消耗品で考えてみます。

割引率割引額残る粗利6回続いた場合の粗利合計
なし0円500円3,000円
5%100円400円2,400円
10%200円300円1,800円
15%300円200円1,200円

数字は説明用の仮の値です。ここで比べるべきなのは、割引なしで1〜2回買われて終わる場合と、割引ありで6回続く場合です。前者は500円から1,000円、後者は10%割引でも1,800円になります。続く回数が伸びるなら、割引率が高くても合計では上回ります。

逆に、続くのが2回で止まるなら、10%割引の粗利合計は600円で、割引なしの1回分を少し超える程度です。割引率が妥当かどうかは、継続回数とセットでしか決まりません

そこで、始める前に次の3つを出しておきます。

  1. 割引後の1個あたり粗利
  2. その粗利で、割引前の1個分を取り戻すのに必要な継続回数
  3. 商品の使い切り期間から見て、現実的に見込める継続回数

3が2を下回るなら、その割引率は高すぎます。計算は利益シミュレーターでも出せます。そもそもの売価が固まっていない場合は、価格の決め方から順に見直してください。

在庫と配送の設計をセットで用意する

定期おトク便は価格だけの施策ではありません。続けて出荷できる状態が前提になります。

読める注文を別枠で数える

登録が増えるほど、毎月出ていく数の下限が上がります。この分は通常の販売数とは別に見積もり、普段の需要変動に上乗せしたうえで安全在庫を置きます。

欠品の代償が単発の販売より大きい

欠品すると、その回の出荷が飛びます。届く前提で待っていたものが来ない状態なので、解約の理由になりますし、評価にも残ります。単発で売る商品より、在庫を切らしたときの影響が重いと考えてください。

変更は既存の登録にも及ぶ

割引率を下げる、対象から外すといった変更は、すでに登録しているお客様にも影響します。反映のされ方や既存の登録の扱いは仕様と時期で変わるため、事前にセラーセントラルの案内を確認してから動かします。

始めた後に見る数字と、やめる判断

入れて終わりにせず、次の数字を月ごとに並べます。

  • 定期おトク便経由の注文数と、全体に占める比率
  • 割引後の1個あたり粗利
  • 商品全体の粗利総額
  • 欠品と出荷遅延の発生回数

判断の軸になるのは粗利総額です。注文数が増えていても、1個あたりが薄くなって総額が導入前を下回っていることがあります。

やめる、または割引率を下げる基準は、始める前に決めておきます。

  • 3か月続けて、粗利総額が導入前を下回った
  • 定期の注文が伸びず、単発だった注文が割引価格に置き換わっただけだった
  • 欠品が繰り返し起き、解約が増えた

2つ目は起こりやすい状態です。もともと単発で買っていたお客様が割引価格で買うようになっただけなら、継続は増えずに粗利だけが減ります。新しい継続が増えたのか、既存の注文が安くなっただけなのかを、合算せずに分けて数えてください。

まとめ

  • 定期おトク便の割引は期間で区切れない。実質的に売価を一段下げるのと同じと考える
  • 得られるのは「読める注文」。割引を払い続ける価値がそこにあるかで判断する
  • 向くのは消耗品・ペースが読める商品。向かないのは耐久品・粗利が薄い商品・在庫が不安定な商品
  • 割引率は1回の粗利ではなく、現実的な継続回数をかけた粗利合計で決める
  • 割引率の刻みや対象範囲、手数料やFBA料金は条件と時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認する
  • 定期分の出荷は通常の需要と別枠で見積もり、安全在庫を上乗せする
  • 月ごとに粗利総額を見る。単発が割引価格に置き換わっただけになっていないかを分けて数える

自社の商品に定期おトク便を入れるべきか迷ったら、無料の診断で現状を整理するか、ご相談ください。