売上や広告の数字は毎日見ているのに、アカウント健全性の画面は警告メールが届いたときにしか開かない。そういう運用は珍しくありません。ところが、この画面に出る数字が悪化すると、出品の制限や販売の停止につながることがあります。気づいたときには、商品ページを直しても広告を回しても売れない状態になっています。

Amazon アカウント健全性は、出品者としての運用が購入者に迷惑をかけていないかを測る指標の集まりです。注文の不具合、キャンセル、発送の遅れ、規約への違反といった項目が並び、それぞれに目標値が示されています。

この記事では、指標が何を測っているか、毎週15分で回す点検の順番、目標を外れたときの対処を順にまとめます。指標の名前・目標値・画面の構成は変わることがあるので、セラーセントラルの最新の案内で確認しながら読んでください。

Amazonのアカウント健全性で見る指標

アカウント健全性の画面は、大きく3つのまとまりに分かれています。名前は画面の表記に合わせて読み替えてください。

まとまり主な指標何を測っているか悪化する主な原因
カスタマーサービスのパフォーマンス注文不良率低評価のストア評価・A-to-z申請・チャージバックが付いた注文の割合発送の遅れ、商品説明との食い違い、問い合わせへの返信の遅れ
配送パフォーマンスキャンセル率・出荷遅延率・追跡可能率など自己配送の注文を約束どおり出せているか在庫の数え違い、出荷作業の遅れ、追跡番号の入力漏れ
ポリシー遵守知的財産・商品の安全性・出品規約などへの違反の件数規約に沿って出品しているか他社の権利に触れる表現、表示義務の漏れ、規制品の出品

このうち配送パフォーマンスは、主に自己配送の注文が対象です。FBAで出している商品の発送はAmazonが担うため、ここの数字には出にくくなります。自己配送とFBAを併用しているなら、FBAと自己配送の使い分けの基準と合わせて、どの商品をどちらで出すかを見直すのも健全性の対策になります。

画面には、これらをまとめたアカウント全体の評価も表示されます。個々の指標が目標内でも、違反の件数が積み重なると全体の評価が下がることがあるので、全体の評価と個別の指標の両方を見ます。

注文不良率がいちばん重い

指標の中で特に重く扱われるのが注文不良率です。目標値は画面に示されています(執筆時点の案内では1%未満)。仮に直近の対象期間の注文が200件なら、1%は2件です。低評価のストア評価が2件付くだけで目標の線に届く計算になります。

注文数が少ないうちほど、1件の重みが大きくなります。月に数十件しか売れない立ち上げ期は、1件のトラブルで比率が大きく跳ねます。逆に言えば、件数が少ないうちに運用の決まりごとを作っておくと、後で慌てずに済みます。

注文不良率を構成する3つは、原因がそれぞれ違います。

  • 低評価のストア評価:発送の遅れ・梱包の不備・連絡の遅さが中心。商品への不満が書き込まれることもある。詳しくはストア評価を落とさない運用
  • A-to-z申請:届かない・説明と違う・返品に応じてもらえない、と購入者がAmazonに申し立てたもの
  • チャージバック:購入者がカード会社に支払いの取り消しを求めたもの。件数は少ないが、届いていないと主張されるケースが多い

毎週15分で回す点検の順番

点検は曜日を決めて、同じ順番で見ます。毎回同じ順番にすると、前週との違いに気づきやすくなります。

  1. 全体の評価と警告の有無を見る(2分)。新しい通知が付いていないか、全体の評価が前週から動いていないか
  2. 注文不良率の内訳を見る(3分)。低評価・A-to-z申請・チャージバックの件数を前週と比べ、増えていたら該当の注文番号を控える
  3. 配送の指標を見る(3分)。自己配送がある場合だけ。キャンセルと出荷遅延の件数、追跡番号の入力漏れ
  4. ポリシー違反の欄を見る(3分)。新しい違反の通知が来ていないか。来ていれば対象のASINと内容を控える
  5. 記録表に書き写す(4分)。指標ごとの数値と件数、気づいたこと、対応した内容を1行で

記録表は、次のような形で十分です。

週全体の評価注文不良率低評価A-to-zキャンセル違反通知対応メモ
10/6前週と同じ0.4%1件0件0件なし低評価1件は梱包の破れ。資材を変更
10/13前週と同じ0.4%0件0件1件なしキャンセルは在庫の数え違い。棚卸し

(表の数値は記入例です)

数字だけを並べても、半年後に読み返したときに何があったか分かりません。対応メモの列に「原因」と「やったこと」を書くのがこの表の要点です。運用担当が替わったときの引き継ぎにもそのまま使えます。

目標を外れたときに最初にやる3つのこと

指標が目標を外れたり、警告が届いたりしたときは、慌てて商品を止める前に次の3つを順に進めます。

1. 対象の注文とASINを特定する。 どの注文で何が起きたかを一覧にします。件数が少なければ、1件ずつ購入者とのやりとりと発送の記録を見返します。原因が1つの商品に集中しているのか、運用全体の問題なのかで、打ち手が変わります。

2. 原因を「発送」「説明」「規約」に分ける。 発送の遅れなら出荷作業と在庫の数え方を、説明との食い違いなら商品ページの記載を、規約なら表現や表示を直します。商品ページの記載が原因の低評価や返品は、返品率を下げるためにページでできることの手順がそのまま使えます。

3. 改善の計画を文書にする。 違反の通知に対して改善の計画を求められることがあります。そのときに必要なのは、「何が原因だったか」「何をすでに直したか」「同じことを防ぐために何を決めたか」の3点です。点検の記録表があれば、この3点を短時間で書けます。

規約に関わる通知の扱いや、出品停止を防ぐために普段からやっておくことは、出品停止を防ぐための対策にまとめています。

よくある失敗

健全性の運用でつまずきやすいのは、次のような場面です。

  • 警告メールだけを頼りにする。 メールは見落としやすく、届いた時点で数字はすでに悪化しています。画面を週1回開く習慣のほうが早く気づけます
  • FBAだから関係ないと考える。 配送の指標は出にくくても、注文不良率やポリシー違反はFBAでも対象です
  • 評価の削除依頼だけで済ませる。 削除の対象になる評価は限られます。原因を直さないと、同じ低評価がまた付きます
  • 担当者の頭の中にだけ記録がある。 担当が休むと点検が止まります。記録表と点検の順番を共有の場所に置きます

よくある質問

アカウント健全性はどのくらいの頻度で見ればよいですか。 週1回を基本にしてください。注文が多い時期や、自己配送の注文が急に増える時期は、週2回に増やすと変化に早く気づけます。毎日見る必要はありませんが、警告の通知が届いたときはその日のうちに画面を開いて内容を確認します。

注文が少ないのに注文不良率が高く出ています。どうすればよいですか。 注文数が少ないうちは、1件のトラブルで比率が大きく動きます。まず対象の注文を特定し、発送・説明・連絡のどこが原因だったかを確かめてください。原因を直したうえで、注文数が増えるにつれて比率は落ち着いていきます。立ち上げ期ほど、発送と問い合わせの決まりごとを先に作っておくのが効きます。

ポリシー違反の通知が来ました。商品を止めるべきですか。 通知の内容によります。対象のASINと違反の種類を確認し、指摘された表現や表示を直すのが先です。内容が分からないまま商品を削除すると、何を直したのかを説明できなくなります。判断に迷う場合は、通知の文面と対象のASINを控えたうえで、テクニカルサポートに確認してから動いてください。

まとめ

  • Amazon アカウント健全性は、出品者の運用が購入者に迷惑をかけていないかを測る指標の集まり
  • 見るまとまりは3つ。カスタマーサービス・配送・ポリシー遵守
  • 注文不良率がいちばん重い。注文が少ないうちは1件で比率が大きく動く
  • 点検は週1回15分、同じ順番で見て、原因と対応を記録表に1行で残す
  • 目標を外れたら、対象の特定→原因を発送・説明・規約に分ける→改善の計画を文書にする
  • 指標の名前と目標値は変わることがあるので、セラーセントラルの最新の案内で確認する

自社のアカウントで何から整えればよいか分からない場合は、無料の運用診断で現状を整理するところから始めてください。点検や記録の運用ごと任せたい場合は、Amazon運用代行の内容を見たうえでご相談ください。