Amazonで販売するとき、商品をAmazonの倉庫に預けて配送まで任せるFBAと、自社で保管して発送する自己配送のどちらを使うか。全商品をどちらか一方にそろえている出品者は多いのですが、本来は商品ごとに決めるものです。

「FBA 自己配送 使い分け」で調べている方の多くは、手数料が上がったのでFBAをやめるべきか、出荷作業が回らないのでFBAに移すべきか、のどちらかで迷っています。どちらも、1個あたりの費用と手間を並べれば答えが出ます。

この記事では、商品ごとにどちらで出すかを決める基準と、費用の比べ方、両方を併用するやり方を書きます。

FBAと自己配送の違いを整理する

まず、2つの方法で何が変わるかを並べます。

比べる点FBA自己配送
保管Amazonの倉庫。保管料がかかる自社や外部の倉庫。家賃・倉庫代がかかる
梱包・発送Amazonが行う。配送代行手数料がかかる自社で行う。送料・資材・作業時間がかかる
配送の速さ速い。プライム対象として表示される自社の体制しだい
カスタマー対応配送に関する問い合わせと返品はAmazonが受ける自社で受ける
購入率への影響プライム表示と配送の速さで上がりやすい配送日数が長いと下がりやすい
在庫の動かしやすさ納品・返送に日数と費用がかかる他の販路と在庫を共有できる

FBAは「費用はかかるが、売れやすくなり、手間が減る」、自己配送は「手間はかかるが、費用を自分で調整できる」と考えると整理しやすくなります。

1個あたりの費用で比べる

使い分けの判断は、1個売れるたびに出ていく費用を並べるところから始めます。比べる項目は次のとおりです。

  • FBA:配送代行手数料 + 在庫保管料(1個あたりに割り戻す)+ 納品にかかる送料
  • 自己配送:送料 + 梱包資材 + 作業の人件費 + 保管場所の費用(1個あたりに割り戻す)

自己配送の費用を出すときに漏れやすいのが作業の人件費です。自分でやっているから0円、と考えると判断を誤ります。

試算してみる

ここからの金額は、比べ方を示すための仮の数字です。FBAの手数料と保管料はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。調べ方はFBA手数料の調べ方にまとめています。

ケースA:小型で月100個売れる商品

  • FBA:配送代行手数料を仮に450円、保管料を1個あたり仮に20円、納品送料を1個あたり仮に30円とすると、合計500円
  • 自己配送:送料を仮に400円、資材50円、作業5分を時給1,200円で100円、保管場所を1個あたり20円とすると、合計570円

費用だけならFBAが70円安く、さらにプライム表示で購入率も上がりやすいので、FBAが向きます。

ケースB:大型で月10個しか売れない商品

  • FBA:配送代行手数料を仮に1,200円、保管料を1個あたり仮に450円(滞留が長いぶん膨らむ)、納品送料を1個あたり150円とすると、合計1,800円
  • 自己配送:送料を仮に1,000円、資材150円、作業150円、保管場所を1個あたり100円とすると、合計1,400円

1個あたり400円の差です。売価が1万円前後の商品なら、粗利率が4ポイントほど変わります。自己配送を検討する価値があります。

商品ごとの粗利を正確に出したい場合は、利益計算ツールにFBAと自己配送の両方の費用を入れて比べてください。

FBA 自己配送 使い分けの判断基準

費用の試算とあわせて、次の3つで判断します。

1. サイズと重さ

小型・軽量の商品ほど、FBAの配送代行手数料は自社で送るより割安になりやすい傾向があります。反対に大型・重量物は保管料がかさみやすく、自己配送との差が縮まるか逆転します。

2. 売れ行きの速さ(回転)

FBAの保管料は、置いている期間が長いほど効いてきます。目安として、在庫が60日以内に売り切れる商品はFBA、90日を超えて残る商品は自己配送を検討、と線を引いておくと判断が速くなります。滞留在庫の費用の考え方は在庫保管料の減らし方を参照してください。

3. 購入率への影響

同じ商品でも、プライム表示の有無で購入率が変わることがあります。競合の上位がすべてプライム対象なら、自己配送にすると比較の段階で外されやすくなります。費用で数十円得をしても、購入率が下がれば売上全体で損をします。

3つを合わせると、目安は次のようになります。

商品のタイプ向く方法理由
小型・回転が速いFBA費用が割安で、プライム表示が効く
小型・回転が遅いFBA(在庫を絞る)少量だけ預け、こまめに補充する
大型・回転が速い費用を試算して決める手数料と送料の差が商品ごとに大きい
大型・回転が遅い自己配送保管料が利益を削りやすい
受注生産・名入れ自己配送在庫を預ける形が合わない
壊れやすい・梱包に工夫が要る自己配送を検討破損の返品が利益を削る

両方を併用して在庫切れを防ぐ

同じ商品を、FBA用と自己配送用の2つの出品として持っておく方法があります。FBAの在庫が切れたときの保険として使えます。

FBAの在庫が切れると、その商品はカートを失い、検索順位も後退します。自己配送の出品を残しておけば、FBAの補充が届くまでの間も販売を続けられます。配送が遅くなるので購入率は下がりますが、売れない状態よりは順位への影響が小さくすみます。

併用するときの注意点は次の3つです。

  1. 価格をそろえる:自己配送のほうを安くすると、FBAに在庫があってもカートがそちらに移ることがある。カートの仕組みはカートが取れない原因で詳しく書いています
  2. 自社の在庫数を正しく反映する:自社倉庫にない数を登録すると、注文を受けて発送できない事態になり、アカウントの評価を落とす
  3. 送料の設定を見直す:自己配送で送料を別にとるか、込みにするかで見え方が変わる。考え方は送料込み価格の設計を参照

切り替えるときの手順と注意点

自己配送からFBAへ、またはその逆へ切り替えるときは、次の順番で進めます。

  1. 対象の商品を決める:売上上位から1〜3商品だけで試す。全商品を一度に動かさない
  2. 切り替え前の数字を記録する:セッション数、ユニットセッション率、1個あたりの利益
  3. 在庫を移す:FBAへ移すなら納品の準備。手順はFBA納品の実務で確認する
  4. 4週間後に比べる:購入率と1個あたりの利益がどう動いたかを見る

よくある失敗は、手数料が上がったタイミングで全商品を自己配送に戻し、出荷作業が回らなくなることです。発送の遅れや問い合わせの増加は、アカウントの評価に響きます。切り替えは、作業量に余裕があるかを先に確かめてから行います。

よくある質問

小規模な出品者はFBAと自己配送のどちらから始めるべきですか。 出荷作業に時間を割けないなら、小型の商品はFBAから始めるのが一般的です。梱包や問い合わせ対応をAmazonに任せられるぶん、商品ページや広告に時間を使えます。大型の商品や受注生産の商品は、自己配送から始めても問題ありません。

FBAの手数料が上がったら、自己配送に切り替えたほうがよいですか。 1個あたりの費用を並べ直してから決めます。自己配送は作業の人件費と送料がかかるため、手数料が上がってもFBAのほうが安い商品は多くあります。購入率への影響も含めて比べてください。

同じ商品をFBAと自己配送の両方で出品してもよいですか。 出品を分けて持つことはできます。FBAの在庫切れに備える保険として有効です。ただし自己配送のほうの在庫数と発送の体制を正しく保てることが前提です。

まとめ

  • FBAと自己配送は、全商品で一方にそろえるより商品ごとに決める
  • 比べるのは配送料だけでなく、保管料と作業時間を含めた1個あたりの費用
  • 小型で回転が速い商品はFBA、大型で回転が遅い商品は自己配送が向きやすい
  • 費用で得をしても、プライム表示を失って購入率が下がれば売上全体で損をする
  • 両方の出品を持つと、FBAの在庫切れの保険になる
  • 切り替えは1〜3商品で試し、4週間後に数字で比べる

商品ごとの利益を比べたい場合は利益計算ツールを使ってください。配送方法を含めて運用全体を見直したい場合は、Amazon運用代行の内容をご覧のうえ、相談窓口からご連絡ください。