Amazon運用代行 解約の相談で多いのは、「やめたいが、やめたあとどうなるかが分からない」という状態です。広告が止まるのではないか、設定が消えるのではないか、次の会社を探す間の運用が空くのではないか。この不安があるので、合わないと分かってからも数か月そのままになりがちです。
解約は、申し出て終わりではありません。終了日までに何を受け取り、権限をどう外し、翌日から誰が何を見るかまで決めて、はじめて片付きます。逆に言えば、この3つを段取りしておけば、広告を止めずに移せます。
この記事では、解約を決めてから次の体制に移るまでを、順に書きます。契約書のどこを見るかは運用代行の契約書で確認する10項目に、契約前に防げた失敗の型は運用代行でよくある失敗例にまとめています。
解約を決める前に、切り分けておくこと
やめる判断の前に、不満の原因が代行側にあるのか、自社側の条件にあるのかを分けます。ここを分けずに会社だけ替えると、同じことが起きます。
| 不満の内容 | 代行側の問題であることが多い | 自社側の条件であることが多い |
|---|---|---|
| 売上が伸びない | 除外や構造の整理が止まっている。提案が出てこない | 在庫切れが続いている。価格が競合の帯から外れている |
| 報告が薄い | 指標が毎月変わる。やったことが書かれていない | 報告の頻度と様式を契約時に決めていない |
| 連絡が遅い | 窓口が不在がち。担当交代の引き継ぎがない | 判断を求める連絡に自社が返していない |
| 費用が重い | 作業量に対して月額が合っていない | 広告費が育って連動型の支払いが膨らんでいる |
| 範囲が噛み合わない | 提案が範囲内に収まらない | 範囲外の作業を期待している |
右の列に当てはまるものが多いなら、解約より先に条件を直したほうが早く改善します。在庫が切れている状態では、どの会社に任せても数字は動きません。 費用が重いだけなら、型の変更や料率の見直しを更新のタイミングで相談する手もあります。金額の比べ方は運用代行の費用と選び方に書きました。
左の列が中心なら、解約に進みます。その場合も、感情的な通告ではなく、引き継ぎの協力を得られる形で進めるのが得策です。設定と記録を持っているのは相手だからです。
Amazon運用代行 解約の申し出から終了まで
契約書の解約条項を先に開いてください。申し出の期限、方法、最低契約期間の残りを確認します。そのうえで、次の流れで動きます。
| 時期 | やること | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 申し出の1〜2週間前 | 契約書で期限と方法を確認。引き継ぎ品の一覧を作る | 期限を過ぎると1か月分が自動更新になることがある |
| 申し出の日 | 書面またはメールで通知。終了日と引き継ぎの範囲を明記 | 口頭だけにしない。日付が残る形で送る |
| 終了1か月前 | 引き継ぎ品を受け取る。不足を指摘する | 終了後の対応は義務ではないことが多い |
| 終了2週間前 | 次の体制を決める。権限の付け替えの段取り | 空白の期間を作らない |
| 終了日 | 権限を外す。広告の予算と入札を自社で確認 | 権限を外す前に設定の書き出しを済ませる |
| 終了の翌週 | 広告の数字を毎日見る。異常があれば戻す | 担当が変わった直後は動きが読みにくい |
順番で大事なのは、権限を外すのは最後、ということです。 先に権限を止めると、引き継ぎ資料の書き出しを相手ができなくなります。受け取るものを全部受け取り、内容を確認してから外します。
申し出の文面は簡潔で構いません。終了希望日、引き継ぎで受け取りたいものの一覧、引き継ぎの完了希望日の3点を書いて送ります。理由は書いても書かなくても進みますが、書くなら事実だけにとどめると、その後のやり取りが穏やかに進みます。
いつ申し出るかを先に決める
終了日を決めるときは、契約の更新月だけでなく、自社の予定も並べてください。避けたいのは、大型セールの直前、FBA納品の直前、決算や棚卸しと重なる時期の3つです。どれも確認する数字が増える時期なので、移行の作業と重なると手が足りません。
逆に置きやすいのは、納品が終わって在庫に余裕があり、次のセールまで1か月以上ある時期です。ここに終了日を置けると、移行直後の2週間を数字の観察だけに使えます。更新月が近くて時期を選べない場合は、更新して1か月だけ延ばし、その1か月を引き継ぎに充てる判断もあります。1か月分の費用はかかりますが、広告の設定と記録を整った形で受け取れるなら、後で払う初期費用より軽く済むことがあります。
最低契約期間が残っている場合
期間が残っているなら、選択肢は3つです。期間満了まで続けて満了で終える、違約金を払って途中で終える、範囲を縮小して残りの期間を軽くする。3つめは見落とされがちですが、相手にとっても収入が続くので応じられることがあります。残りの期間を「引き継ぎ資料を整える期間」として使うのが、いちばん損の少ない終わり方です。
引き継ぎで受け取るもの
一覧にして、終了日までに1つずつ消し込みます。
| 受け取るもの | 形 | 無いと起きること |
|---|---|---|
| キャンペーンの設定一式 | 構造・入札・予算が分かる書き出し | 構造の意図が読めず、触れなくなる |
| 除外キーワードのリスト | 語とその一致タイプ | 除外がやり直しになり、無駄な広告費が戻る |
| 検索用語レポートの保存分 | 期間の分かるファイル | 過去に効いた語の記録が消える |
| 商品ページの原稿 | 商品名・箇条書き・説明文のテキスト | 直すたびに元の文が分からない |
| 画像・動画の元データ | 書き出し前のデータ | 部分的な修正ができず、作り直しになる |
| A+・ブランドストーリーの構成 | 使用画像と文言 | 同じ見た目に戻せない |
| 月次レポート | 過去分すべて | 季節の動きを次の担当が読めない |
| 判断の記録 | 変更日・変更内容・理由 | 同じ検証をもう一度やることになる |
| 外部ツールの設定 | アカウントと設定内容 | 解約後にツールが止まり、数字が欠ける |
いちばん抜けやすいのが最後の2つです。判断の記録が無いと、次の担当は「なぜこの語を除外したのか」を検証し直すところから始めます。受け取るものの一覧は、解約を申し出る前に作っておいてください。 申し出と同時に渡せば、相手も終了日までの作業に組み込めます。
受け取ったファイルは、その場で開いて中身を確かめてください。名前だけ合っていて中身が古い、書き出しの期間が足りない、といったことは起こります。画像の元データは、契約で成果物の扱いが決まっていれば受け取れます。決まっていない場合は、解約時の交渉になるので、早めに切り出します。ここが通らないと、次の会社で画像を作り直す費用が乗ります。
権限を外し、広告を止めずに移す
終了日にやる作業は決まっています。
- 受け取ったものを確認する。ファイルが開けるか、中身が想定どおりかを見る
- 広告の現状を書き出す。キャンペーン名・予算・入札・除外の一覧を自社で保存する
- 権限を外す。相手側の全ユーザーの権限を確認し、外す
- 予算と入札をそのまま維持する。移行直後に設定を変えない
- 翌日から1週間、数字を毎日見る。異常があれば前の設定に戻す
4つめが重要です。担当が変わった直後に構造を組み替えると、数字が動いた理由が「移行のせいか、組み替えのせいか」分からなくなります。最初の2週間は現状維持で動かし、数字を確認してから手を入れます。
広告を全部止めてから次に移す、という進め方は避けてください。止めれば広告経由の売上は消え、再開しても元の水準に戻るまで時間がかかります。止めたときに何が起きるかは広告を止めると何が起きるかに整理しました。
在庫の段取りも並行して確認します。移行の時期に納品や大型セールが重なっていると、確認する数字が増えて手が足りません。移行は、納品とセールの谷間に置くのが安全です。
移行で数字が落ちる分も、あらかじめ見込んでおきます。仮に月の広告経由売上が150万円で、移行の月に運用の手が薄くなって1割落ちたとすると、その月だけで15万円の売上が減る計算です。次の会社の初期設計に1〜2か月かかるなら、その間も同じ幅で動く可能性があります。この見込み額と、解約で浮く月額を並べると、急いで終えるべきか、引き継ぎに時間をかけるべきかが決まります。金額は説明のための仮の置き方なので、自社の広告経由売上で置き換えてください。
次は代行か、内製か
移る先を決めてから解約するのが理想ですが、決まっていない場合は、いったん自社で維持する期間を挟んでも構いません。維持だけなら、予算と入札を触らず、在庫切れだけを見ていれば大きくは崩れません。
| 移り先 | 向く状況 | 立ち上げに要ること |
|---|---|---|
| 別の代行会社 | 任せる範囲が広い。社内に運用する人がいない | 引き継ぎ資料の共有、初期設計の期間(1〜2か月) |
| 広告だけ外注し、他は内製 | 商品ページと在庫は自社で回せる | 役割分担の線引き、共有する数字の決め方 |
| 全部を内製に戻す | 判断できる人が社内にいる。商品数が多くない | 週次の作業時間(月10〜15時間ほど)の確保 |
| スポットの相談を使いながら内製 | 費用を抑えたい。判断の相談先だけほしい | 相談するテーマを事前に絞る |
次の会社を選ぶときは、今回うまくいかなかった点を評価の項目に足してください。報告が薄かったなら報告の様式を先に見せてもらう、連絡が遅かったなら返答までの目安を契約書に書いてもらう、という形です。比べ方の枠は代行会社を比較するときに見る5つの点にまとめています。
内製に戻す場合は、最初の1か月を「維持」に絞ると無理がありません。除外キーワードの更新と在庫の確認だけを週1回やり、構造の組み替えは数字が読めるようになってから着手します。週の作業を金曜の1時間に固定して、検索用語レポートの確認・除外の追加・在庫の残り日数の3つだけを見る、という形にすると続きます。当社の作業範囲はAmazon運用代行の内容に公開しています。いまの状態がどこから手をつける段階かを整理したい場合は、無料の運用診断を使ってください。
よくある質問
解約を申し出たら、その月の運用が雑になりませんか。 心配なら、引き継ぎの範囲と完了の期限を申し出と同時に文章で示してください。何をいつまでに渡すかが決まっていれば、作業は進みます。加えて、終了までの期間は新しい施策を求めず、維持と引き継ぎに集中してもらう形にすると、双方の期待がそろいます。数字が落ちたときのために、申し出の時点での広告の設定と直近3か月のレポートを自社で保存しておきます。
引き継ぎ資料を出してもらえません。どうすればよいですか。 まず契約書の終了時の条項を確認します。定めが無い場合、相手に義務は生じにくいので、交渉になります。その場合でも、自社の権限で取り出せるものは多くあります。キャンペーンの設定と除外リストはセラーセントラルの広告の画面から書き出せますし、検索用語レポートも期間を指定して取得できます。権限を外す前に、自社で取れるものを全部取ってください。 次の契約では、引き渡しの一覧を別紙にする形で定めておきます。
解約したあと、同じ代行会社にまた頼むことはできますか。 できます。事業の段階が変わって、合う相手が変わることは普通にあります。戻る場合は、前回うまくいかなかった点を範囲と報告の条項に反映してから契約してください。同じ条件で再契約すると、同じ理由で終わります。
広告アカウントごと作り直したほうがきれいになりますか。 基本は作り直しません。過去の配信で積み上がった実績は、キャンペーンの成果の読みやすさに関わりますし、除外キーワードの資産も消えます。構造が複雑になりすぎている場合でも、既存の中で整理するほうが安全です。作り直しを提案されたら、何がどう良くなるのかと、切り替えの期間に売上が落ちる分をどう見込むかを聞いてください。
まとめ
- やめる前に、不満の原因が代行側か自社の条件かを分ける。在庫切れや価格のずれは会社を替えても直らない
- 契約書の解約条項を先に開く。申し出の期限・方法・最低契約期間の残りを確認する
- 申し出と同時に、受け取るものの一覧と引き継ぎの完了希望日を文章で渡す
- 権限を外すのは最後。受け取って中身を確認してから外す
- 受け取るものは設定・除外リスト・原稿・画像の元データ・レポート・判断の記録
- 移行直後は現状維持で動かす。2週間は設定を変えず、数字が読めてから手を入れる
- 広告を全部止めて移さない。移行は納品と大型セールの谷間に置く
- 次の選び先は、今回うまくいかなかった点を評価の項目に足して選ぶ
解約は失敗の後始末ではなく、運用の中身を自社に取り戻す機会でもあります。引き継ぎで何を求めるか迷っている場合は、状況をお問い合わせからお送りください。
