広告費は使っているのに売上が伸びない、という相談で最初に開くのがキーワードの一覧です。そこには担当者が商品ページから書き写した語が並んでいて、実際にお客様が打っている言葉とはずれていることがよくあります。
Amazon広告のキーワード選定は、語を「考える」作業ではありません。オート広告に一度お金を払って、実際に売れた語を教えてもらい、その語をマニュアルへ移していく作業です。この記事では、その拾い方と移す基準、移したあとの確認までを順番に書きます。オート広告とマニュアル広告そのものの違いはオート広告とマニュアル広告の使い分けにまとめています。
キーワード選定を思いつきから始めない
新しく広告を出すとき、いきなりマニュアルのキャンペーンを作って語を登録する方が多いのですが、この順番だと2つ困ります。
ひとつは、思いついた語のほとんどがそもそも検索されていないことです。社内で使っている呼び方、カタログ上の正式名称、業界用語。これらは打たれないので、登録しても表示すら出ません。もうひとつは、検索されている語でも自社の商品で売れるとは限らないことです。表示もクリックもされるのに一度も売れない語があり、そこに広告費が流れ続けます。
だから最初の2〜4週間は、オート広告を「調査費」として回します。目的は売ることではなく、どの言葉から注文が入るかを知ることです。オートは自動で語を当ててくれるので、担当者の想像の外にある語が拾えます。
この期間の予算は、あとで捨てても痛くない額にします。判断の材料が集まるまでクリックが必要なので、1日あたりのクリックが数件しかない設定だと、数字が溜まる前に月が終わります。目安は「注文が10件前後たまるまで」です。件数が少ないうちは、たまたま売れた・売れなかったの差が大きく、線引きを間違えます。
検索用語レポートから候補を拾う
オートを回したら、管理画面の「レポート」から検索用語レポートを出します。キーワードレポートではありません。検索用語レポートは「お客様が実際に打った言葉」が出るので、選定の材料になるのはこちらです。
期間は直近30日から60日程度にします。1週間だと母数が足りません。見るのは次の列です。
| 列 | 何が分かるか | 選定での使い道 |
|---|---|---|
| 検索用語 | お客様が打った言葉そのもの | 候補の元。ここにない語は登録しても打たれにくい |
| クリック数 | その語で何回クリックされたか | 判断の母数。少なすぎる語は保留にする |
| 注文数 | その語から何件売れたか | マニュアルへ移す第一の条件 |
| 広告費 | その語に使った額 | 売れていない語の損失額 |
| ACOS | 広告費÷広告経由売上 | 移したあとに入札をいくらにするかの起点 |
この表をダウンロードして、注文数の多い順に並べ替えます。上から眺めると、たいてい3つの塊に分かれます。商品名そのもので探している語、用途や悩みで探している語、そして他社の商品名や型番です。用途で探している語は、自社のページで言い換えられていないことが多く、ここが商品ページの改善の種にもなります。
マニュアルへ移す語と、外す語を数字で線引きする
拾った候補を3つに仕分けます。線引きは自社の粗利率と目標ACOSで変わるので、以下は考え方の例として読んでください。
| 仕分け | 条件の置き方(例) | やること |
|---|---|---|
| マニュアルへ移す | 注文が2件以上あり、ACOSが目標の範囲に収まっている | 完全一致で登録し、入札を個別に管理する |
| 保留にして観察 | 注文が1件、またはクリックが少なく判断できない | オートに残したまま、次の月の数字を見る |
| 外す | クリックが目標CPAの数倍たまっても注文が0 | 除外キーワードに登録して費用を止める |
「クリックが何件たまったら注文0で切るか」は、感覚ではなく計算で決められます。1件売れたときに許せる広告費(目標CPA)を出し、それをクリック単価で割ると、1件も売れないまま使い切るクリック数が出ます。仮に目標CPAが1,500円、クリック単価が50円なら30クリックです。この語が30クリックで注文0なら、目標の水準にはもう届かないと判断できます。外す側の具体的な手順は除外キーワードの決め方に書きました。
移す語には、1つのキャンペーンに詰め込まないという条件もつきます。注文の多い主力の語と、まだ様子を見たい語を同じ広告グループに入れると、入札を別々に動かせません。売上の柱になる語は単独の広告グループに分け、残りをまとめる形が管理しやすい形です。
移したあとの入札額は、その語の実績ACOSから逆算します。目標ACOSより実績が低ければ上げる余地があり、高ければ下げます。計算の順番は入札額の決め方にまとめています。粗利から広告費の上限を出す作業を先に済ませておくと、この判断が速くなります。利益計算ツールで自社の粗利額を出してから入札を決めてください。
一致タイプをどう割り振るか
マニュアルへ移すとき、同じ語を3つの一致タイプのどれで登録するかを決めます。
| 一致タイプ | 拾う範囲 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 完全一致 | ほぼその語だけ | 売れると分かっている語。入札を高めにして取りこぼさない枠 |
| フレーズ一致 | その語を含む言い回し | 前後に別の語がついた形を拾いたいとき |
| 部分一致 | 関連する語まで広く | 新しい語をさらに探したいとき。オートの延長として使う |
実務では、売れている語は完全一致、その周辺を広げたいときにフレーズ一致、探索を続けたいときに部分一致、という配分にします。ひとつの語を3タイプすべてで登録すると社内で競合し、どのタイプが効いたのか読めなくなります。まず完全一致だけで移し、伸びが止まってからフレーズ一致を足すのが読み違いの少ない順番です。
なお部分一致を回し続けると、また関係のない語が混ざります。部分一致のキャンペーンには、完全一致で登録済みの語を除外として入れておくと、同じ語に二重で払う状態を避けられます。
移したあとに見る数字と、次の1週間
登録して終わりにすると、たいてい2週間後に「動いていない」ことに気づきます。移した直後に見るのは次の3つです。
- 表示回数が出ているか。0のままなら入札が低すぎるか、語が打たれていません。まず入札を段階的に上げて、表示が出る水準を探します。
- クリック率が落ちていないか。オートのときより落ちていれば、その語に対して商品ページの見え方が合っていません。メイン画像とタイトルの見直しに回します。
- 注文が続いているか。オートで売れた語が、マニュアルに移したとたん売れなくなることがあります。多くは表示位置が下がったためなので、プレースメントの調整と入札で戻します。
ここまでを2週間おきに回すと、マニュアル側の語が少しずつ増え、オート側は探索だけを担う形に落ち着きます。レポートの見方そのものを詰めたい場合は広告レポートの見方を先に読んでください。自社のどこが詰まっているか分からないときは、無料診断で現状の整理から始められます。
よくある質問
オート広告はいつまで回せばよいですか。 止める前提で考えないほうが結果的に楽です。マニュアルが育っても、新しい言い回しや季節で打たれる語は変わります。予算を絞ったオートを探索用に残し、月に一度検索用語レポートを見る形が続けやすい形です。
注文が1件だけの語は移してよいですか。 1件では判断の母数として足りません。その語で2件目が出るまで保留にし、オートに残したまま観察します。ただし粗利額が大きい商品で、1件の注文額が十分なら、先に完全一致で移して小さい入札から試す判断もあります。
競合の商品名や型番を登録してもよいですか。 検索用語レポートに出てきていて注文につながっているなら、広告の対象として成立します。ただし商品ページやタイトルに他社名を書くことは別の問題なので、広告のキーワードとページ上の記載を混同しないでください。規約は変わるので、事前にセラーセントラルの最新の案内を確認してください。
キーワードは何語くらい登録すればよいですか。 数を目標にしないほうがよいです。登録した語の入札を見て回せる数が上限です。週に一度しか見られない体制で数百語を登録すると、放置される語が増えます。まずは注文につながった語だけを移し、見られる範囲で増やしてください。
まとめ
- キーワード選定は考える作業ではなく、オート広告で売れた語を拾う作業
- 最初の2〜4週間はオートを調査費として回し、注文が10件前後たまるまで待つ
- 検索用語レポートを注文数の多い順に並べ、移す・保留・外すの3つに仕分ける
- 外す基準は目標CPA÷クリック単価で出したクリック数を目安にする
- 移すときは完全一致から始め、伸びが止まってからフレーズ一致を足す
- 登録後は表示回数・クリック率・注文の3つを2週間おきに確認する
次にやることは、オート広告の検索用語レポートを直近30日で出し、注文数の多い順に並べ替えるところまでです。そこまでできたら、入札額の決め方に沿って移す語の入札を決めてください。数字の読み方から一緒に見てほしい場合は、ご相談からお知らせください。
