Amazon広告の効果測定というと、まずACOSを見る方が多いと思います。ところがACOSだけで判断すると、広告の効率は落ちているのに事業としては育っている状態を「失敗」と読んだり、広告に頼りきりの状態を「順調」と読んだりします。

この記事では、Amazon広告の効果をACOS・TACOS・広告以外の売上(自然検索の売上の目安)の3つを月次で並べて判断する手順を説明します。測る前にそろえる条件、記録する表の作り方、数字の組み合わせごとの読み方、月1回の判断の手順の順です。表の数字はすべて仮のものです。

Amazon広告の効果測定で見る3つの数字

3つの数字には、それぞれ分かることと分からないことがあります。

数字計算分かること分からないこと
ACOS広告費÷広告経由の売上広告そのものの効率。語やキャンペーン単位の良し悪し広告がなくても買った人の分がどれだけ含まれるか
TACOS広告費÷全体の売上事業が広告にどれだけ頼っているかどの語やキャンペーンが効いたか
広告以外の売上全体の売上−広告経由の売上広告で押した結果、広告を見ずに買う人が増えたか流入の経路の内訳(自然検索以外も含む)

3つ目の「広告以外の売上」は、自然検索の売上そのものではありません。外部からの流入やリピート購入も含むためです。ただ、同じ商品の月ごとの変化を見るには、自然検索の育ち方の目安として十分に使えます。

ACOSは操作の判断に、TACOSと広告以外の売上は事業の状態を知るのに使います。ACOSとTACOSの違いはTACOSとはで詳しく説明しています。

測る前にそろえる条件

効果測定で読み違いが起きる原因の多くは、数字の読み方より、比べる条件がそろっていないことです。

そろえる条件そろえ方そろえないと起きる読み違い
期間月単位で比べる。週で見るなら同じ曜日の並びで日数や曜日の違いを成果の違いと読む
数字が確定する時期月の数字は翌月の最初の週が明けてから記録する直近の広告経由の売上が後から増え、先月を低く読む
広告の種類スポンサープロダクト・ブランド・ディスプレイの広告費を合算する一部の広告費だけでTACOSを出し、実態より良く見る
単位商品ごとに出す。主力以外はまとめてもよい売れ筋の数字に、他の商品の悪化が隠れる
特別な月セール、価格変更、在庫切れの月に印を付ける値引きで増えた売上を広告の成果と読む

2つ目の条件は見落とされがちです。広告経由の売上は、広告をクリックした後の一定期間内の購入を数えるため、月末に近い日のクリックから生まれた購入は、月が変わってから加算されることがあります。月初の1日目に先月の数字を記録すると、先月が実際より低く見えます。

また、設定を変えてから数字が動くまで2〜4週間かかることが多いので、変更した日も記録に残してください。広告の種類ごとの役割は3種類の広告の違いにまとめています。

月次の記録表を作る

商品ごとに、次の列を持つ表を1枚作ります。全体の売上はビジネスレポート、広告費と広告経由の売上は広告のレポートから取ります。

全体の売上広告費広告経由の売上広告以外の売上ACOSTACOSメモ
6月80万円16万円48万円32万円33.3%20.0%
7月100万円18万円54万円46万円33.3%18.0%主力の語の入札を上げた
8月110万円18万円50万円60万円36.0%16.4%
9月105万円18万円45万円60万円40.0%17.1%競合の新商品が出た

この表を読むと、次のことが分かります。

  • 6月から8月。 ACOSは33.3%から36.0%に悪化していますが、広告以外の売上は32万円から60万円に増え、TACOSは20.0%から16.4%に下がっています。広告で押した分が、広告を見ずに買う人の売上に移っている流れです。ACOSだけ見て広告を絞ると、この流れを止めてしまいます
  • 9月。 広告以外の売上は60万円で横ばいですが、広告経由の売上が50万円から45万円に減り、ACOSは40.0%まで悪化しました。自然検索の側ではなく、広告の側で効率が落ちています。メモの競合の動きと合わせて、検索用語と入札を見直す月です

表にはもう1列、広告費を引いた後の1個あたりの利益を足しておくと、ACOSが下がっても値引きで利益が減っている状態に気づけます。

数字の組み合わせで読む

3つの数字が前の月と比べてどう動いたかで、次にやることが決まります。

ACOSTACOS広告以外の売上読み方次にやること
下がる下がる増える広告も自然検索も育っている成果の出ている語に予算を寄せる
上がる下がる増える広告の効率は落ちたが、押した分が自然検索に移っているすぐ絞らない。損益分岐ACOSの内側かだけ確かめる
下がる上がる減る広告は効率よく回っているが、自然検索が落ちている商品ページ、レビュー、在庫、価格を点検する
上がる上がる横ばいか減る広告も自然検索も弱っている検索用語レポート、入札、競合の価格を確かめる
横ばい横ばい横ばい広告に頼ったまま安定している広告を段階的に弱め、広告以外の売上が保てるか試す

3行目は特に注意が要ります。ACOSが良いので広告の担当者は問題に気づきにくいのですが、広告以外の売上が減っている原因は広告の外にあります。原因の切り分けは売上が伸びない原因の切り分けの手順が使えます。5行目で広告を弱めるときは、広告を止めると何が起きるかを読んでから、主力以外の語から少しずつ進めてください。

2行目の「損益分岐ACOSの内側か」は、商品ごとに損益分岐ACOSを出しておかないと判断できません。売価・原価・手数料率を利益シミュレーターに入れると出せます。手数料率はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してから入れてください。

月1回の判断の手順

毎月、数字が確定する翌月の第2週に、次の順で進めます。商品が数点なら30分ほどで終わります。

  1. 表に先月の数字を入れる。 全体の売上、広告費(全種類の合計)、広告経由の売上から、広告以外の売上・ACOS・TACOSを出す
  2. メモ欄を埋める。 セール、価格変更、在庫切れ、入札や構造の変更、競合の動きを書く
  3. 前の月と3か月前を比べる。 単月の上下ではなく、3か月の傾向で見る
  4. 組み合わせの表に当てはめる。 5つの型のどれに近いかを決める
  5. 次の月にやることを1〜3個に絞る。 語の除外、入札の変更、ページの修正など、担当と期限を書く
  6. 前の月に決めたことが実行されたかを確かめる。 実行されていないなら、数字の変化をその施策の結果と読まない

広告のレポートのどこから数字を取るかは広告レポートの見方に、除外の見直し方は除外キーワードの決め方にまとめています。

よくある読み違い

  • 単月で判断する。 1か月だけの悪化は、季節や競合のセールでも起きます。2か月続いたら動く、と決めておくと振り回されません
  • 広告経由の売上を、すべて広告の成果とみなす。 自社のブランド名で出している広告には、広告がなくても買った人が含まれます。ブランド名の語は、他の語と分けて集計してください
  • セールの月と通常の月を並べる。 値引きで増えた売上は広告の成果ではありません。前年の同じ月か、セールのない月どうしで比べます
  • アカウント全体の数字で判断する。 売れ筋の商品がTACOSを押し下げ、広告に頼りきりの商品が見えなくなります

よくある質問

効果測定は、どのくらいの期間を見て判断すればよいですか。 3か月の傾向で判断するのが扱いやすいです。設定を変えてから数字が動くまで2〜4週間かかるうえ、1か月だけの上下は季節や競合の動きでも起きるためです。ただし損益分岐ACOSを大きく超えている語は赤字が続くので、傾向を待たずに週次で入札を下げるか除外してください。

広告経由の売上には、広告がなくても買った人が含まれていますか。 含まれています。特に自社のブランド名や型番で検索した人は、広告がなくても買った可能性が高い層です。広告の効果を厳しめに測りたい場合は、ブランド名の語のキャンペーンを分けて集計し、それ以外の語だけでACOSを出してください。

ACOSとTACOSのほかに、見ておくべき数字はありますか。 広告費を引いた後の1個あたりの利益です。ACOSとTACOSは割合なので、値下げやクーポンで利益が薄くなっても良い数字が出ることがあります。月の記録表に利益の列を1本足しておくと、効率は良いのに手元にお金が残らない状態に気づけます。

まとめ

  • Amazon広告の効果測定は、ACOSだけでなくTACOSと広告以外の売上の3つを並べて判断する
  • 測る前に、期間・数字が確定する時期・広告の種類・商品の単位・特別な月の印をそろえる
  • 商品ごとの月次の記録表に、メモ欄と1個あたりの利益の列を持つ
  • ACOSが悪化してもTACOSが下がり広告以外の売上が増えていれば、すぐに絞らない
  • ACOSが良いのに広告以外の売上が減っているなら、原因は広告の外にある
  • 月1回、決めた順で判断し、次の月にやることを1〜3個に絞る

まずは主力商品1つについて、過去3か月分の表を作ってみてください。数字の読み方や、広告と商品ページのどちらに手を入れるべきかで迷う場合は無料の運用診断で整理できます。運用を任せる形を検討している場合はAmazon広告の運用代行をご覧ください。