キャンペーンを作るときに一度だけ選んで、そのまま触っていない設定があります。入札戦略です。ここは「どれでも大きくは変わらないだろう」と流されやすいのですが、同じ入札額を入れていても、選んだ戦略によって実際に払う額が変わります。

この記事では、スポンサープロダクトの3つの入札戦略が何をしているのかを整理し、どの状況でどれを選ぶか、切り替えたあとに何を見るかまで書きます。入札額そのものをいくらにするかは入札額の決め方にまとめているので、あわせて読んでください。

入札戦略は3つ。Amazon側が何を動かすのか

設定できるのは次の3つです。共通しているのは、担当者が入れた入札額を起点に、Amazon側が「売れそうかどうか」で自動的に上下させるかどうかという点です。

  • 固定入札:入れた額のまま。Amazon側は動かしません。
  • 動的な入札(ダウンのみ):売れにくいと判断された場合に、入札を自動で下げます。上げることはしません。
  • 動的な入札(アップとダウン):売れそうなときは入札を引き上げ、売れにくいときは下げます。

ここで大事なのは、動的入札が見ているのが「そのクリックが注文につながりそうか」の推定だという点です。過去の実績や検索の文脈から推定するので、データが溜まっていない新しいキャンペーンでは推定の精度も上がりません。立ち上げ直後にアップとダウンを選ぶと、根拠の薄い推定に沿って入札が引き上げられることがあります。

3つの違いを並べる

数字の動き方で比べると違いがはっきりします。

入札戦略入札額の動き広告費の振れ幅向く状況
固定入れた額のまま小さい。読みやすいデータを集めたい立ち上げ期。語ごとの実力を測りたいとき
動的(ダウンのみ)下がることはある、上がらない小さめ。使い切らない月が出る広告費を抑えたい。ACOSが目標を超えている状態の立て直し
動的(アップとダウン)上下する。上限は入札額の一定倍まで大きい。同じ設定でも月ごとに差が出る実績が溜まっていて、目標ACOSに余裕がある主力の語

固定の利点は、語ごとの実力を測れることです。入札が自動で動くと、その語が売れなかったのが語のせいなのか入札が下げられたせいなのか分かりません。キーワードの選定と並行して進める時期は、固定にしておくと読み違いが減ります。語の拾い方はキーワード選定の手順に書いています。

ダウンのみは、守りの設定です。無駄なクリックを減らす方向にしか働かないので、広告費が膨らんでいる状態から立て直すときに向きます。ただし下がりすぎて表示が減り、売上ごと落ちることもあるので、表示回数を一緒に見てください。

アップとダウンは、攻めの設定です。売れる見込みが高い枠を取りに行くので、うまく噛み合えばクリック単価が上がっても注文数が増え、ACOSは変わらないか改善します。逆に噛み合わないと、クリック単価だけが上がります。

どれから始めるか。状況で決める

順番で考えると迷いません。目安は次のとおりです。

状況選ぶ戦略理由
出品直後・新規キャンペーン固定実績がなく、自動調整の判断材料がない。まず語ごとの数字を取る
注文が10件前後たまった固定のまま入札を調整語ごとの実力が見え始める。入札額の見直しを先に行う
ACOSが目標を大きく超えている動的(ダウンのみ)無駄クリックを自動で抑える。同時に除外も進める
目標ACOSに余裕がある主力の語動的(アップとダウン)取りこぼしている枠を拾いに行く。効果は語ごとに分かれる
季節の山・セール期間動的(アップとダウン)を期間限定で短期間に競合の入札が上がる。終わったら戻す

「全部のキャンペーンを一度に切り替える」だけは避けてください。同時に切り替えると、数字が動いた原因が戦略なのか季節なのか在庫なのか分からなくなります。1〜2キャンペーンずつ、2週間単位で試します。

プレースメント調整と掛け合わせると何が起きるか

見落としやすいのが、入札戦略とプレースメント調整が掛け算になる点です。プレースメント調整で「検索結果の上部を+50%」と設定していると、その枠での入札は入札額の1.5倍が起点になります。そこへ動的アップとダウンが重なると、さらに引き上げられます。

設定実際の入札の起点(例)注意する点
固定+調整なし入札額のまま読みやすいが、上部の枠を取りにくい
固定+上部を+50%入札額の1.5倍上げ幅を自分で管理できる。まずはここから
アップとダウン+上部を+50%1.5倍を起点にさらに変動クリック単価が想定を超えやすい。少額から試す

順番としては、プレースメント調整を先に固定入札で試し、どの枠が効くかを掴んでから動的入札を検討する形が安全です。枠ごとの見方はプレースメント調整のやり方にまとめています。

上げ幅を決める前に、1件売れたときに許せる広告費を出しておいてください。粗利額が分からないまま倍率を上げると、注文は増えても手元が減ります。利益計算ツールで粗利額を確認してから設定してください。

切り替えたあとに見る数字と、戻す判断

切り替えは仮説の検証です。何を見るかを先に決めておきます。

  1. クリック単価。上がるのは想定内です。問題は上がり幅で、2倍近く動いたら一度戻します。
  2. 表示回数とクリック数。ダウンのみに切り替えた場合、ここが落ちすぎていないかを見ます。売上まで落ちているなら下げすぎです。
  3. 注文数とACOS。クリック単価が上がっても注文数がそれ以上に増えていれば、ACOSは悪化しません。ここが判断の中心です。
  4. 在庫。攻めの設定で売れ行きが上がると在庫が早く減ります。切らすと順位まで落ちるので、在庫日数を並べて見てください。

観察の期間は最低2週間です。1週間だと曜日の偏りが残ります。判断の基準は、切り替え前の同じ日数と比べて注文数とACOSがどう動いたかで、どちらも悪化していたら元に戻すと決めておくと迷いません。ACOSの目標の置き方はACOSの目標の決め方に書いています。

自社の広告がどの段階にあるか判断がつかない場合は、無料診断で現状を整理するところから始められます。

よくある質問

固定入札のままでも問題ありませんか。 問題ありません。固定は数字が読みやすく、語ごとの実力を測るには一番向いています。動的入札は「読みやすさを手放して、自動調整に任せる」選択なので、任せる理由がないうちは固定のままで構いません。

アップとダウンにしたらクリック単価が跳ね上がりました。どうすればよいですか。 まず入札額そのものを下げてください。動的入札は入札額を起点に動くので、起点を下げれば上限も下がります。それでも合わなければ固定に戻し、プレースメント調整で上げ幅を自分で管理する形に切り替えます。

ダウンのみにすると売上が落ちるのはなぜですか。 売れにくいと推定されたクリックを取りに行かなくなるためです。推定が外れている場合、実際には売れていたはずの表示も減ります。表示回数が大きく落ちていて注文も減っているなら、入札額を上げるか固定に戻してください。

キャンペーンごとに違う戦略にしてよいですか。 そのほうが管理しやすいです。実績が溜まった主力の語のキャンペーンと、新しい語を探す探索用のキャンペーンでは目的が違います。探索用は固定、主力は動的、という分け方は理にかなっています。オートとマニュアルの役割分担はオート広告とマニュアル広告の使い分けを参照してください。

まとめ

  • 入札戦略は固定・動的ダウンのみ・動的アップとダウンの3つ
  • 立ち上げ期は固定。語ごとの実力を測ることを優先する
  • ACOSが目標を超えているときはダウンのみで守り、除外と並行して進める
  • 実績が溜まった主力の語だけ、アップとダウンを試す
  • プレースメント調整とは掛け算になるので、固定入札で先に枠を掴む
  • 切り替えは1〜2キャンペーンずつ、2週間単位。悪化したら戻すと決めておく

次にやることは、いま動いているキャンペーンの入札戦略を一覧で確認し、立ち上げ期のものが動的になっていないかを見るところまでです。設定の見直しから相談したい場合は、ご相談からお知らせください。