Amazonで売上を伸ばそうとすると、早い段階で「分析ツールを入れたほうがいいのか」という話になります。月額のかかる有料ツールは数多くあり、機能の一覧を見比べても、どれが自社に要るのかは分かりません。
迷う原因は、ツールから選び始めていることです。Amazon 分析ツールの選び方は、機能の多さではなく「何を決めるために使うか」から逆に絞ると迷いません。 用途が決まれば、セラーセントラルの無料の画面で足りるのか、有料が要るのかも見えてきます。
この記事では、分析の用途を3つに分け、無料で足りる範囲と有料が要る場面、試用期間で確かめることを順に説明します。特定のツール名は挙げません。どのツールにも当てはまる判断の手順です。
分析ツールの選び方は「用途」から決める
出品者が分析ツールに求めることは、だいたい次の3つに分かれます。
- 市場調査:これから出す商品の市場に、どれくらいの需要と競合がいるかを知る
- キーワード調査:商品名・箇条書き・広告に入れる検索語と、その検索の多さを知る
- 自社の数字の管理:売上・利益・広告・在庫の動きを、日々の判断に使える形で見る
この3つは、使う時期も頻度も違います。市場調査は新商品を考えるときに集中して使い、キーワード調査は商品ページを作るときと月1回の見直しで使い、自社の数字は毎日か毎週見ます。
1つのツールで3つを全部まかなおうとすると、料金の高いプランを契約したのに、使っているのは1つの機能だけという状態になりやすい。まず自社がいまどの段階にいて、どの用途を一番使うのかを決めてください。
| 自社の段階 | 一番使う用途 | 有料ツールの必要度 |
|---|---|---|
| まだ出品していない・1商品目を探している | 市場調査 | 高い(無料の画面では他社の販売数が見えない) |
| 1〜3商品を出品して伸ばしている | キーワード調査 | 中くらい(自社の検索データで一部は代わりになる) |
| 商品数が増え、日々の管理が重くなった | 自社の数字の管理 | 商品数による(表計算で回るうちは不要) |
無料の画面で足りる範囲
有料ツールを検討する前に、セラーセントラルにある無料の画面で何が分かるかを押さえておきます。ここで足りる用途にお金を払う必要はありません。
| 無料の画面 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| ビジネスレポート | 自社商品のセッション数・購入率・売上の推移 | 他社の数字 |
| 広告の検索用語レポート | 広告経由で実際に検索された語と、その語の売上 | 広告を出していない語の検索 |
| 検索クエリパフォーマンス | 自社商品が表示された検索語と、表示・クリック・購入の割合 | 他社の商品ごとの数字 |
| ブランド分析(ブランド登録が必要) | 検索語ごとの人気の順位、クリックの多い上位商品 | 各商品の販売数 |
自社の数字の管理は、ほとんどがこの範囲で足ります。ビジネスレポートの見方はビジネスレポートで見る数字、ブランド分析の使い方はブランド分析の使い方にまとめています。
キーワード調査も、すでに広告を出している商品なら、検索用語レポートと検索クエリパフォーマンスでかなりの部分が分かります。実際に自社の商品で売れた語は、どの推計よりも正確なデータです。 集め方の手順はキーワードの集め方を参照してください。
無料の画面で見えないのは、主に「他社の販売数」と「まだ自社が出ていない検索語の規模」です。ここが有料ツールの出番になります。
有料ツールが要る場面
有料ツールの価値が大きいのは、自社のデータがまだ無い段階と、他社の動きを知りたい場面です。
- 新商品を出すかどうかを決めるとき:競合商品の推定販売数と売上、価格帯の分布、季節ごとの売れ方を見て、参入するかを判断する
- 出品前に商品ページを作るとき:自社の検索データが無いので、競合が上位に出ている検索語を逆に引いて、商品名と箇条書きに入れる語を決める
- 競合の動きを追うとき:価格の変更、新商品の投入、順位の変化を定期的に記録する(手でやる方法は競合の監視のしかた)
注意したいのは、有料ツールの販売数や検索数は推計値だということです。実際の数字と比べると大きくずれることがあります。推計値は「どちらが大きいか」を比べるのには使えても、「何個売れるか」の根拠にするのは危険です。売れる数の見込みは、推計値を控えめに置いた上で利益が出るかを試算してください。
試用期間で確かめること
多くの有料ツールには無料の試用期間か、短期の契約があります。この期間に次の手順で確かめます。
- 自社で答えが分かっている数字と比べる:自社商品の販売数や、検索用語レポートで分かっている語の順位を、ツールの推計と照らす。ずれの大きさが分かれば、他社の数字をどれくらい割り引いて読むかが決まる
- 使う予定の機能を実際に1回やりきる:市場調査なら候補を1つ選び、参入の判断まで出す。キーワード調査なら商品1つ分の語を集め、商品名の案まで作る
- 日本のAmazonのデータが十分にあるかを見る:海外向けのツールでは、日本の商品や検索語のデータが薄いことがある
- 書き出せる形式を確かめる:表計算に書き出せないと、社内で共有したり他のデータと組み合わせたりできない
- 自分が月に何回開くかを数える:試用期間中に開いた回数が少なければ、契約後も使わない
試用期間の終わりに「このツールで何を決めたか」を1行で書けなければ、契約は見送ってよいと考えてください。
費用の考え方(仮の試算)
有料ツールの費用は、それで避けられた損失や、増えた利益と比べます。金額は考え方を示すための仮定です。
仮に月額10,000円のツールを1年使うと、年120,000円です。これで「売れない商品を1つ出さずに済んだ」とします。その商品に初回発注で300,000円を使い、半分が売れ残る見込みだったなら、避けられた損失は150,000円前後になり、1年分の費用を上回ります。
反対に、すでに売れている商品を3つ持ち、新商品の予定が当面ないなら、市場調査の機能は使いません。キーワードの見直しは月1回で足りるので、必要な月だけ契約するか、年に数回だけ短期で契約するほうが費用は小さくなります。
自社商品の利益がいくら残るかは、利益シミュレーターで売価・原価・手数料を入れると確かめられます。手数料の率はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。
よくある失敗
分析ツールまわりでよく見る失敗は、次の3つです。
推計の販売数を、そのまま発注数の根拠にする。 推計が実際より大きく出ていれば、在庫を抱えます。推計値は控えめに置き、初回は少なめに発注して実際の売れ方を見てから増やしてください。
ツールを入れたことで満足し、判断が変わらない。 毎日データを眺めていても、商品名を変える・広告の語を止めるといった行動につながっていなければ費用だけが出ていきます。月1回、「データを見て何を変えたか」を記録すると、使えているかが分かります。
複数のツールを重ねて契約する。 機能が重なっていることが多く、どの数字を信じるかで迷う時間が増えます。用途ごとに1つに絞ってください。
よくある質問
無料の画面だけで商品ページを作れますか。 すでに広告を出している商品なら、検索用語レポートと検索クエリパフォーマンスで、実際に売れた語を集められます。出品前で自社のデータが無い段階は、Amazonの検索窓に出る候補や、競合の商品名を読み比べる方法で補えますが、検索の多さまでは分かりません。その段階だけ有料ツールを短期で使うのも一つの方法です。
有料ツールの検索数や販売数はどれくらい正確ですか。 ツールや商品によって差が大きく、一概には言えません。自社商品の実際の数字と比べてずれ方を確かめ、その差を目安に他社の数字を読むのが現実的です。数字そのものより、商品どうしの大小を比べる用途に向いています。
ブランド登録をしていなくても分析はできますか。 ビジネスレポートや広告のレポートはブランド登録が無くても使えます。ブランド分析と一部の機能はブランド登録が条件です。長く販売する予定の自社商品があるなら、登録の利点はブランド登録のメリットを参照してください。
まとめ
- 分析ツールの選び方は、機能の多さではなく「何を決めるために使うか」から絞る
- 用途は市場調査・キーワード調査・自社の数字の管理の3つ。段階によって一番使う用途が違う
- 自社の数字の管理は、ほとんどがセラーセントラルの無料の画面で足りる
- 有料ツールの出番は、他社の販売数と、まだ出ていない検索語の規模を知りたい場面
- 有料ツールの数字は推計値。自社の実数と比べてずれ方を確かめてから使う
- 試用期間の終わりに「このツールで何を決めたか」を書けなければ見送る
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