自社の売上が急に落ちたとき、原因が自社ではなく競合にあることは珍しくありません。隣に並ぶ商品が値下げした、新しい画像に差し替えた、レビューが一気に増えた。気づくのが1か月遅れると、そのあいだ売上を取られ続けます。
一方で、競合を毎日眺めても疲れるだけです。値段が10円動くたびに追いかけると、自社の利益が削れていきます。Amazon 競合 監視で大事なのは、見る相手と項目を絞り、決まった頻度で記録することです。
この記事では、監視する相手の選び方、週1回15分で回る記録表、変化を見つけたときに動くか待つかの判断基準をまとめます。競合の商品を買う前の段階での調べ方は競合レビューの分析に分けて書いています。
Amazonで競合を監視する目的を先に決める
監視は、変化に早く気づいて、自社が打つ手を早めるためにやります。目的は次の3つです。
- 売上が落ちた理由を説明できるようにする。自社の数字だけでは原因が分からないことがある
- 競合が効いた施策を知る。順位を上げた競合が何を変えたかは、自社の改善の候補になる
- 価格の判断を感情でしない。記録があれば「本当に値下げが続いているか」を落ち着いて確かめられる
逆に、競合の動きに毎回反応することは目的ではありません。この線を最初に引いておかないと、監視が「値下げ合戦の合図」になってしまいます。
監視する相手は5つまで
カテゴリーの上位をすべて追うと続きません。相手は次の基準で5つまでに絞ります。
- 自社の主力キーワードで検索したとき、自社の上下に並んでいる商品
- 自社の商品ページの「この商品に関連する商品」に出てくる商品
- 価格帯が自社の前後2割以内に入っている商品
カテゴリーの1位でも、価格帯が倍違う商品は買う人が違うので、監視の優先度は下がります。見るべきなのは、購入者が自社と比べて選んでいる相手です。どのキーワードで並んでいるかは、検索順位の確認方法で自社の位置と一緒に把握できます。
ブランド登録をしている場合は、ブランド分析の使い方にある検索語ごとのクリックの集まり方も参考になります。自社が負けているキーワードで上位にいる商品が、監視の相手の候補です。
記録する5つの項目
週に1回、同じ曜日に次の5項目を記録します。
| 項目 | 記録すること | 見方 |
|---|---|---|
| 価格 | 販売価格、クーポンの有無と割引率、セール表示 | 2週続けて下がっていたら値下げとみなす |
| 順位 | 主力キーワード3つでの表示位置 | 自社との位置が入れ替わったかを見る |
| レビュー | 件数と星の平均 | 1週間で件数が急に増えていないか |
| ページ | メイン画像、商品名、箇条書きの変化 | 変わったら画面を保存しておく |
| 広告 | 主力キーワードで広告枠に出ているか | 出始めた・消えたの変化を見る |
記録は、スプレッドシートに行を足していく形で十分です。商品ページの画面は、変化があった週だけ保存します。毎週保存すると量が多くなり、見返さなくなるからです。
記録にかかる時間は、相手5つで15分ほどが目安です。それ以上かかるなら、相手か項目を減らします。続かない監視は、やらないのと同じ結果になります。
価格はクーポン込みで記録する
価格の記録で見落としやすいのがクーポンです。表示価格が同じでも、15%のクーポンが付いていれば実質の価格は下がっています。購入者はクーポン込みで比べるので、記録もクーポン込みの金額で残します。クーポンの設計の考え方はクーポンの使いどころにまとめています。
変化を見つけたら、動くか待つかを決める
記録して変化を見つけたら、次の基準で判断します。ポイントは、競合が動いたことではなく、自社の数字が動いたことを合図にすることです。
| 競合の変化 | 自社の数字 | 判断 |
|---|---|---|
| 値下げ | 転換率もセッションも変わらない | 待つ。2週間記録を続ける |
| 値下げ | 転換率が落ちた | 自社の損益分岐を確認してから、クーポンか価格で対応を検討 |
| 画像・商品名の変更 | 変わらない | 待つ。変更内容は改善の候補として記録 |
| 画像・商品名の変更 | 競合の順位が上がり、自社のセッションが落ちた | 変更点を分析し、自社のページ改善に反映 |
| レビューの急増 | 変わらない | 待つ。増え方が不自然なら記録を残す |
| 広告の出稿開始 | 自社の広告の表示が落ちた | 入札を見直す。上げる前にACOSの上限を確認 |
値下げに対しては、すぐに追随しないのが基本です。競合が在庫処分のために一時的に下げているだけかもしれません。追随して自社も下げると、競合が価格を戻したあとも自社だけ利益の薄い価格が残ります。価格の判断の基準は価格の決め方を参照してください。
計算で判断する例
仮に、自社の商品が売価3,000円・1個あたりの利益600円で、月に300個売れているとします。月の利益は18万円です。競合の値下げに合わせて200円下げると、1個あたりの利益は400円になります。同じ18万円を残すには、月450個売れる必要があります。
値下げで販売数が1.5倍になる見込みがなければ、下げるほど利益は減ります。この計算をしてから判断すると、「競合が下げたから」という理由だけで価格を動かすことがなくなります。手数料率やFBA配送料はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、計算の前提はセラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。損益分岐は利益シミュレーターでも出せます。
監視で見つけた変化を自社の改善につなげる
監視の価値が一番出るのは、守りではなく攻めの材料が見つかったときです。
- 順位を上げた競合が、メイン画像を変えていた → 自社の画像の何が負けているかを比べる
- 競合の箇条書きに、自社が書いていない用途が増えた → レビューで同じ用途の声がないか確かめる
- 競合の星評価が落ちた → 低評価の内容を読み、自社が同じ不満を解消できているかを見る
競合の低評価は、自社のページで先回りして答える材料になります。競合で「サイズが小さい」という声が多ければ、自社のページで寸法を比較写真で見せる、といった具合です。ページ全体の見直しは商品ページの点検リストを使うと漏れが減ります。
よくある失敗
- 毎日見る。小さな変化に反応して、価格を動かしすぎる
- 相手が多すぎる。記録が続かず、3週目で止まる
- 記録せずに眺める。「最近安くなった気がする」では判断できない
- 競合の数字だけ見て、自社の数字を見ない。自社の転換率が落ちていなければ、急いで動く理由はない
よくある質問
監視用の有料ツールは必要ですか。 相手が5つまでなら、手作業の記録で足ります。ツールは価格や順位の変化を自動で集められる点で便利ですが、何を見て何を判断するかが決まっていないと、データが増えるだけで行動につながりません。まず手作業で4週間続け、記録の項目が固まってから導入を検討するのが順番です。
競合のページの文章や画像を参考にしてもよいですか。 構成や訴求の切り口を参考にするのは一般的な改善の進め方です。ただし文章や画像をそのまま使うのは避けてください。参考にするのは「何を伝えているか」であり、表現は自社の商品の事実に合わせて作り直します。
競合のレビューが不自然に増えているときはどうしますか。 まず記録を残してください。増えた日付、件数、内容の傾向を残しておけば、状況を説明する材料になります。そのうえで、自社にできるのはページと商品を良くすることです。不自然なレビューの見分け方はサクラレビューの見分け方にまとめています。
まとめ
- 監視の目的は、売上の変化を説明できるようにすることと、改善の材料を見つけること
- 相手は検索結果で自社の上下に並ぶ、価格帯の近い5つまでに絞る
- 価格(クーポン込み)・順位・レビュー・ページ・広告の5項目を週1回記録する
- 競合が動いても、自社の転換率やセッションが動くまでは待つ
- 値下げに追随する前に、同じ利益を残すのに何個売る必要があるかを計算する
- 競合の低評価と、順位を上げた競合の変更点は、自社の改善の候補にする
自社の数字のどこが競合に負けているかを整理したい場合は、無料の運用診断を使ってください。監視と改善を継続的に任せたい場合は、Amazon運用代行の内容と料金にまとめています。
