ブランド登録を済ませると、セラーセントラルのメニューに「ブランド分析」が増えます。開いてはみたものの、表が何枚も並んでいて、どれをどう読めばいいのか分からないまま閉じた、という話をよく聞きます。

もったいない機能です。ここには自社の商品が、どの検索語で、競合と比べてどれだけ買われているかが数字で出ています。広告レポートには出てこない情報で、広告の入札と除外、それから商品ページのどこを直すかを決める材料になります。

この記事では、ブランド分析のどのレポートを、どの順番で、何を見るために開くのかを整理します。画面の名称やレポートの構成は更新されることがあるので、最終的な項目名はセラーセントラルの最新の案内で確認してください。

ブランド分析はどこにあり、何が見られるか

ブランド分析は、Amazonブランド登録を済ませたアカウントで使えます。登録自体の条件と手順はブランド登録のメリットにまとめています。

見られるのは、大きく分けて次の3種類です。

  • 検索語まわり:ある検索語で、どの商品がクリックされ、買われているか
  • 自社商品の買われ方:リピートされているか、他の商品と一緒に買われているか
  • 競合との比較:自社商品を見た人が、代わりに何を買ったか

広告レポートと決定的に違うのは、広告を出していない部分も含まれることです。広告レポートは広告経由の動きしか映しません。自然検索で何が起きているかは、ここを見ないと分かりません。

なお、レポートによっては表示されるのが「自社ブランドに関係する範囲」に限られます。市場全体を丸ごと見られるツールではない、という前提で使ってください。

5つのレポートのうち、まず開くのはどれか

一度に全部を見ようとすると挫折します。目的から逆算して、開く順番を決めます。

レポート何が分かるか先に見る場面優先度
検索クエリパフォーマンス検索語ごとの表示・クリック・購入と、自社のシェア広告と自然検索の両方を見直したいとき
検索用語(人気検索キーワード)その語で上位にクリックされている商品新しい語を探す。競合の顔ぶれを知る
商品比較・代替購入行動自社商品を見た人が代わりに買った商品転換率が低い。ページを直したい
リピート購入行動同じ人がもう一度買っているか消耗品・定期性のある商材
市場バスケット分析一緒に買われている商品セット販売・関連商品の広告を考えるとき

最初に開くのは検索クエリパフォーマンスです。ここだけで「表示はされているのにクリックされない」「クリックはされるのに買われない」という詰まりの場所が分かります。読み方は検索クエリパフォーマンスの見方に分けて書きました。

次に検索用語です。狙っている語で誰がクリックを取っているかが並ぶので、競合の顔ぶれと、自社が入れていない語が見えます。キーワードの集め方そのものはキーワードの集め方を参照してください。

残りの3つは、課題がはっきりしてから開けば十分です。全部を毎週見る必要はありません。

検索語ごとの自社シェアから、広告の打ち手を決める

ブランド分析の値打ちは、同じ検索語のなかで自社が何割を取っているかが出ることにあります。広告レポートの数字は自社の件数しか教えてくれないので、「クリック200回は多いのか少ないのか」が判断できません。

判断は、その語での自社シェアと、自社の購入率の組み合わせで分かれます。

自社シェアの状態購入率の状態起きていること打ち手
低い高い買われているのに露出が足りない入札を上げる。その語を完全一致で切り出す
低い低いそもそも噛み合っていない語除外を検討する。広げる前に外す
高い高い取れている。守る局面入札は維持。在庫を切らさない
高い低い表示は取れているが選ばれていない広告ではなく商品ページと価格を直す

一番もったいないのが左上、シェアが低くて購入率が高い語です。買う人はいるのに、そもそも見られていません。ここは入札を上げる効果が出やすい場所で、語を切り出して単独で管理する価値があります。切り出し方はキーワード選定の手順に書いています。

逆に左下は、広告費が溶けている場所です。クリックが一定数あって注文が0のままなら、除外の候補になります。線引きの基準は除外キーワードの決め方を見てください。

右下は、広告をいくら調整しても改善しません。表示もクリックも取れているのに買われていないなら、原因は広告の外にあります。

商品ページに活かす。比較・代替の数字の読み方

商品比較・代替購入行動のレポートは、自社商品のページを見た人が、代わりにどの商品を買ったかを教えてくれます。ここに並ぶのが、実際に競合している相手です。

自分で「競合はこの3社」と思っていた顔ぶれと、実際に並ぶ顔ぶれがずれていることがよくあります。ずれていたら、そちらが正解です。買う人がそう判断しているためです。

出てきた相手と自社を、次の項目で並べてみてください。

比べる項目見るところ差がついていたときの直し方
メイン画像3秒で何の商品か分かるか。縮小しても潰れないか被写体を大きく。余計な要素を減らす
価格同じ内容量・同じ条件に揃えたときの単価値下げの前に内容量と送料設計を見直す
レビュー件数と星。直近のレビューの内容低評価の理由を潰す。件数は時間で積む
サブ画像使う場面・サイズ・中身が伝わるか購入前の不安から逆に並べる
配送手元に届くまでの日数FBAへの切り替えを検討する

画像まわりは効果が出るまでが早い部分です。メイン画像で購入率を上げるサブ画像6枚の構成に具体的な作り方を書いています。

リピート購入行動は、消耗品や定期性のある商材のときだけ見れば十分です。リピート率が低いなら、価格や容量の設計を疑います。市場バスケット分析は、セットで売る企画や商品ターゲティング広告の当て先を考えるときの材料になります。

週次と月次で、どこまで見るか決めておく

毎週すべてを見るのは続きません。頻度を分けます。

頻度開くレポートやること目安の時間
毎週検索クエリパフォーマンス主力5〜10語のシェアと購入率を記録。前週と比べる20分
毎週検索用語狙っている語の顔ぶれの変化だけ確認10分
毎月商品比較・代替購入行動競合の顔ぶれを更新。ページの修正点を1つ決める30分
四半期リピート購入・市場バスケット商品構成や価格の設計を見直す材料にする60分

記録は表計算ソフトで構いません。大事なのは同じ語を、同じ項目で、続けて並べることです。単月の値だけでは、良いのか悪いのかが判断できません。3か月並べて初めて、上がっているのか下がっているのかが見えます。

数字を並べたあとは、打ち手を1つに絞ってください。同じ週に入札も価格も画像も動かすと、どれが効いたのか分からなくなります。順位そのものが動かないときの切り分けは検索順位が上がらないときに、検索まわりの基本的な考え方はAmazonのSEOの基本にまとめています。

自社のどこに詰まりがあるか判断がつかない場合は、無料診断で現状を整理するところから始められます。広告の運用そのものを任せたい場合はAmazon広告の運用代行のページに範囲と進め方を書いています。

よくある質問

ブランド登録をしていなくてもブランド分析は使えますか。 使えません。ブランド分析はブランド登録を済ませたアカウント向けの機能です。登録には商標が要るので、出願から使えるようになるまで時間がかかります。登録前の段階では、広告レポートの検索用語レポートと、実際にAmazonで検索した結果の画面を手で見る方法で代用してください。

表示されるデータが自社商品の分しかありません。故障ですか。 仕様の範囲です。レポートによっては、自社ブランドに関係する検索語や商品に絞って表示されます。市場全体の数字をそのまま見られるわけではないので、「自社が関わっている範囲での立ち位置を知る道具」と考えてください。市場全体の規模を測りたい場合は、別の調査を組み合わせる必要があります。

数字が広告レポートと合いません。どちらが正しいですか。 集計している対象が違うので、合わないのが普通です。広告レポートは広告経由の動きだけを、ブランド分析は広告と自然検索を合わせた動きを映します。また集計の期間の区切り方や、成果を計上する日の扱いも同じではありません。2つを足したり引いたりせず、広告の操作は広告レポート、全体の立ち位置はブランド分析と役割を分けて使ってください。

どのくらいの期間で区切って見ればよいですか。 週次で見るなら4週間、月次で見るなら3か月を最小の単位にしてください。Amazonの検索は曜日と時期の振れ幅が大きく、数日の数字で判断すると、たまたま悪かった週を根拠に良い語を止めてしまいます。セールを挟んだ期間は印を付けておき、条件の違う期間どうしを並べないようにします。

まとめ

  • ブランド分析は、広告レポートに映らない自然検索を含む動きが見られる場所
  • 最初に開くのは検索クエリパフォーマンス。次に検索用語。残りは課題が出てから
  • 自社シェアと購入率の組み合わせで、入札を上げるか外すかページを直すかが分かれる
  • シェアが低くて購入率が高い語は、入札を上げる効果が出やすい
  • 比較・代替購入行動に並ぶ顔ぶれが、実際に競合している相手
  • 毎週は主力5〜10語だけ。月次と四半期で見るものを分けて続ける
  • 打ち手は同じ週に1つに絞る。同時に動かすと原因が分からなくなる

まずは主力商品を1つ決めて、検索クエリパフォーマンスで主力5語のシェアを書き出すところから始めてください。読み方の手順は検索クエリパフォーマンスの見方に続けて書いています。見方や打ち手の優先順位から相談したい場合は、ご相談からお知らせください。