発注点の計算式は知っていても、在庫切れが止まらない。そういうとき、多くの場合は式ではなく入れている数字がずれています。中でもずれやすいのが、Amazonリードタイムです。

「発注から45日くらい」と覚えている日数と、実際に倉庫で販売可能になった日数を並べると、10日以上違うことは珍しくありません。この差がそのまま在庫切れの日数になります。

この記事では、リードタイムを想定ではなく実測で置くための記録の付け方と、ずれを発注点に反映する手順を書きます。発注点そのものの考え方は在庫切れを防ぐ発注基準にまとめています。

Amazonリードタイムの範囲を決める

まず、どこからどこまでを数えるかをそろえます。ここが人によって違うと、記録を取っても比べられません。

始点は発注した日、終点はAmazonの倉庫で「販売可能」になった日とします。工場の出荷日や倉庫への到着日で止めると、受領処理の日数が抜け落ちます。在庫切れに効くのは、お客様が買える状態になった日です。

工程ごとに記録する表

発注ごとに1行、工程の日付を記録します。

工程記録する日付ずれの主な原因
① 発注発注書を送った日―
② 生産完了工場から完成の連絡が来た日材料不足、祝日、他社案件との重なり
③ 検品・梱包検品が終わった日不良の手直し、ラベル貼り
④ 出荷貨物が動き出した日船・便の空き待ち
⑤ 通関輸入許可が出た日書類不備、検査対象になる
⑥ 国内配送納品先の倉庫に着いた日配送会社の混雑
⑦ 受領・販売可能セラーセントラルで販売可能になった日繁忙期の受領遅れ、納品不備

合計の日数だけでなく、工程と工程の間の日数を列にしておきます。これで、どこで遅れたかが後から分かります。

⑦の日付は、セラーセントラルの納品プランの画面で受領状況を確認し、販売可能在庫に反映された日を記録します。

実測値の集計と、ずれの見つけ方

記録が5〜6回分たまったら、工程ごとに平均と最長を出します。仮に、次の実績だったとします。数値は説明用の仮定です。

工程想定実績の平均実績の最長
発注〜生産完了20日24日33日
検品・梱包3日5日9日
出荷〜通関12日14日18日
国内配送3日3日5日
受領〜販売可能3日7日16日
合計41日53日81日

想定41日に対して平均53日、12日のずれです。1日10個売れる商品なら、120個分の在庫切れになる計算です。

この例では、ずれの大半が生産と受領にあります。生産の遅れは工場との連絡で縮められる余地がありますが、受領の遅れは自社では縮められません。縮められない工程は、日数を長めに見積もって吸収します。

ずれを発注点と安全在庫に反映する

実測値が出たら、発注点の式に入れ直します。

発注点 = 1日あたりの平均販売数 × リードタイム(実績の平均) + 安全在庫

安全在庫は、平均と最長の差で決める方法が扱いやすいです。

安全在庫 = 1日あたりの平均販売数 × (最長のリードタイム − 平均のリードタイム)

上の例で1日10個売れるなら、発注点は10×53+10×(81−53)=530+280=810個です。想定の41日で計算していた場合の410個(安全在庫なし)とは、ほぼ2倍の差になります。

反映するときによくある失敗

  • 販売数だけ更新して、リードタイムを据え置く。 売れ行きが伸びた月に販売数を見直しても、リードタイムが古いままだと発注のタイミングは遅れたままです
  • 合計日数しか記録していない。 合計が延びたことは分かっても、原因の工程が分からず、次の打ち手が決まりません
  • 倉庫に着いた日を終点にしている。 受領に1〜2週間かかる時期は、その分だけ在庫切れが起きます
  • 発注の間隔を考えていない。 発注から次の発注までの間に売れる分も持っておく必要があります。月1回しか発注しない場合、発注点を下回ってから次の発注日までの販売分が不足しやすくなります

在庫を多く持つほど保管料はかかります。安全在庫を厚くしすぎないよう、最長の日数が1回だけの特殊な事情(工場の長期休暇など)によるものなら、その回を除いて計算するのも一つの方法です。在庫全体の回し方はAmazonの在庫管理の方法も参考にしてください。当サイトの発注計算ツールに販売数とリードタイムを入れると、発注点をその場で確認できます。

ずれやすい時期と上乗せの目安

リードタイムは時期によって伸びます。記録を取るときは、発注月も一緒に残しておくと、翌年の計画に使えます。

  • 製造国の大型連休の前後:工場が止まり、休み明けは注文が集中する
  • 年末の繁忙期に向けた納品:倉庫の受領が混み、販売可能になるまでが延びる
  • 大型セールの直前:同じ時期に納品が集中する

この時期に当たる発注は、平常時の実績の平均ではなく、前年同時期の実績で置きます。前年の記録がない場合は、仮に平常時より2〜3週間長く見ておくなど、仮定を明記して上乗せします。季節商品の組み立て方は季節商品の在庫計画に書いています。

記録を続けるための工夫

記録は面倒なので、続く形にしておきます。

  • 発注書の管理表に列を足すだけにする。 別の表を作ると更新が止まります
  • 工場とのやり取りで日付を聞く習慣を付ける。 「完成しました」の連絡に日付を添えてもらう
  • 納品プランの番号を控えておく。 受領日の確認がすぐできます
  • 四半期に一度、平均と最長を見直す。 工場や物流会社を変えたときは、その回から記録を分けます

納品の手順でつまずきやすい点はFBA納品手順のつまずきどころにまとめています。納品不備で受領が止まると、それだけでリードタイムが延びます。

よくある質問

記録が1〜2回分しかありません。それでも使えますか。 使えますが、平均の精度は低いです。その間は、実績のうち長いほうの日数で発注点を置き、記録が5回分ほどたまったら平均と最長に切り替えます。

リードタイムを短くするには何から手を付けますか。 工程ごとの記録で、ずれが大きい工程から見ます。生産や検品の遅れは工場との段取りで縮む余地があります。受領や通関の混雑は自社で縮めにくいので、日数を長めに見積もって吸収するほうが現実的です。

安全在庫を厚くすると保管料が増えます。どう折り合いを付けますか。 保管料は数量と期間で増えるので、安全在庫は日数で管理します。平均と最長の差が大きい工程を縮めれば、安全在庫も薄くできます。保管料の料率は時期とサイズで変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。

複数の商品を同じ工場で作っています。記録は商品ごとに取りますか。 同じ便でまとめて届くなら、発注単位で1行にして、対象の商品を列に並べれば足ります。生産の日数だけは商品で差が出やすいので、生産完了日は商品ごとに残しておくと、後で工程のずれを比べられます。

分納(何回かに分けて届く)の場合、終点はどこにしますか。 最初に販売可能になった日と、全量が販売可能になった日の両方を記録します。在庫切れの判断に使うのは最初の日、発注数の見直しに使うのは全量の日、と使い分けると混乱しません。

まとめ

  • リードタイムは発注から「販売可能」になるまでを数える
  • 発注ごとに工程の日付を記録し、どこで遅れたかを見えるようにする
  • 発注点は実績の平均、安全在庫は最長との差で置く
  • 繁忙期や連休前後は前年同時期の実績で見積もる
  • 記録は発注管理表に列を足すだけにして、四半期ごとに見直す

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