Amazonの在庫管理で困っている方の話を聞くと、在庫の数そのものは把握しているのに、発注が遅れたり、逆に持ちすぎたりしていることがほとんどです。原因は、数を見ているだけで、その数が何日もつのか、次の在庫がいつ届くのかと結びついていないことにあります。

Amazon 在庫管理 方法は、3つの数字をそろえれば回ります。売れ行き(1日あたりの販売数)、リードタイム(発注してから販売できるまでの日数)、安全在庫(読み違いに備える上乗せ)です。この3つを週に1回、同じ順番で更新するだけで、発注の遅れと持ちすぎの両方を防げます。

この記事では、3つの数字の取り方、管理表の作り方、週1回の点検の手順を書きます。発注点の計算そのものは在庫切れを防ぐ発注基準の作り方で詳しく扱っているので、ここでは「日々どう回すか」に絞ります。

Amazonの在庫管理は3つの数字で回る

3つの数字と、それぞれの役割を先に並べます。

数字意味取り方更新の頻度
売れ行き1日あたりの販売数直近28日の販売数÷在庫があった日数週1回
リードタイム発注してから、Amazonの倉庫で販売できるようになるまでの日数過去の発注の実績を工程ごとに記録発注が届くたび
安全在庫売れ行きの振れや遅れに備える上乗せリードタイム中の販売数の20〜30%を仮に置き、実績で調整月1回

この3つから、発注の目安になる数(発注点)が出ます。

発注点 = 売れ行き × リードタイム + 安全在庫

仮に売れ行きが1日10個、リードタイムが45日、安全在庫をリードタイム中の販売数の25%とすると、リードタイム中に必要な数は450個、安全在庫は約113個で、発注点は563個です。手元の在庫がこの数を下回ったら発注する、というのが基本の考え方です。

計算自体は単純です。在庫管理がうまくいかない原因は、ほとんどが3つの数字の取り方がずれていることにあります。以下、1つずつ見ます。

売れ行きは「在庫があった日」だけで割る

売れ行きを出すときに一番多い誤りは、在庫切れの日を含めて平均を出すことです。

たとえば直近28日のうち7日間在庫切れしていて、在庫があった21日間で210個売れたとします。28日で割ると1日7.5個、在庫があった21日で割ると1日10個です。在庫切れの日を含めると売れ行きが低く出て、次の発注がまた少なくなる。これが欠品を繰り返す流れです。

売れ行きを取るときは、次の3点を守ります。

  1. 期間は直近28日を基本にする。7日だと振れが大きく、90日だと変化に気づくのが遅れる
  2. 在庫切れの日は分母から外す
  3. セールや大型のクーポンで跳ねた日は、別に記録して平均から外す

3つ目のセールの日を入れたままにすると、平常時の売れ行きが高く出て、持ちすぎにつながります。セールの分は通常の発注とは別枠で積みます。繁忙期や季節ものの積み方は季節商品の在庫計画で書いています。

リードタイムは工程ごとに実測する

リードタイムを「だいたい1か月半」のような感覚で置くと、発注点の計算全体が狂います。工程ごとに分けて、実際にかかった日数を記録します。

工程記録する日付仮の日数
発注から生産完了まで発注日・出荷可能の連絡日20日
国際輸送・通関出荷日・国内到着日15日
FBAへの納品と受領国内到着日・販売可能になった日10日
合計45日

記録するのは「予定」ではなく「実際の日付」です。3回分の発注の実績がたまったら、平均ではなく一番長かった回に近い日数でリードタイムを置き直すと、遅れに強くなります。

見落としやすいのが最後の工程です。国内の倉庫に着いてから、Amazonの倉庫で受領されて販売できるようになるまでに、時期によっては想定より日数がかかります。納品の準備で止まりやすいところはFBA納品の実務にまとめています。

発注の判断は「総在庫」で行う

在庫の数を見るとき、Amazonの倉庫にある販売可能な在庫だけを見ていると、二重発注が起きます。前回の発注分がまだ輸送中なのに、倉庫の在庫が減っているのを見てもう一度発注してしまうパターンです。

発注の判断に使うのは、置き場所ごとの在庫を合わせた総在庫です。

置き場所含めるもの
Amazonの倉庫(販売可能)今売れる在庫
Amazonの倉庫(受領中・移動中)納品済みで、まだ販売可能になっていない在庫
自社倉庫・物流会社の倉庫次の納品を待っている在庫
輸送中工場を出て、国内に向かっている在庫
発注済み・生産中発注したが、まだ工場を出ていない在庫

総在庫が発注点を下回ったら発注する。これで二重発注と発注忘れの両方を防げます。

合わせて、総在庫を売れ行きで割った「在庫日数」も出しておきます。総在庫900個・売れ行き1日10個なら90日分です。在庫日数が長すぎる商品は、保管料が利益を削りはじめます。長期在庫を作らない運用は在庫保管料を抑える運用で書いています。

管理表は1商品1行で作る

管理表は、1商品1行で、左から順に計算が流れる形にすると迷いません。列は次のとおりです。

  1. 商品名・SKU
  2. 直近28日の販売数
  3. 在庫があった日数
  4. 売れ行き(2÷3)
  5. リードタイム(実測)
  6. 安全在庫
  7. 発注点(4×5+6)
  8. 総在庫(置き場所ごとの合計)
  9. 在庫日数(8÷4)
  10. 判定(総在庫が発注点を下回ったら「発注」、在庫日数が決めた上限を超えたら「過多」)

判定の列を式にしておくと、点検のときに「発注」と「過多」の行だけを見れば済みます。商品数が増えても、見る行は一部だけです。

表を一から作る手間を省きたい場合は、発注計算ツールで売れ行き・リードタイム・安全在庫を入れると、発注点と発注数の目安が出ます。

週1回の点検の手順

在庫管理は、毎日見るより、週に1回決まった曜日に決まった順番で見るほうが続きます。1回の点検でやることは5つです。

  1. 販売数を更新する。 直近28日の販売数と在庫があった日数を入れ直し、売れ行きを更新する
  2. 総在庫を更新する。 置き場所ごとの数を入れ直す。輸送中と発注済みは、仕入れ先の連絡をもとに更新する
  3. 「発注」の行を確認する。 発注点を下回った商品を発注する。発注数は、仮に60日分のように先に決めた日数分で出す
  4. 「過多」の行を確認する。 在庫日数が長すぎる商品は、次回の発注を減らすか、広告やクーポンで回転を上げる
  5. 遅れを確認する。 輸送中の在庫で予定より遅れているものがあれば、その分だけ在庫日数が縮む前提で3を見直す

月に1回は、これに加えて安全在庫を見直します。その月に在庫切れを起こした商品は安全在庫を増やし、在庫日数が長いまま動かない商品は減らします。

在庫管理でよくある失敗

在庫切れの日を含めて売れ行きを出す。 上で書いたとおり、売れ行きが低く出て、欠品を繰り返します。

販売可能な在庫だけを見て発注する。 輸送中の分を数えずに二重発注し、数か月後に在庫が積み上がります。

リードタイムを一度決めて更新しない。 工場の繁忙期や連休、輸送の混雑で、リードタイムは年に何度か伸びます。発注が届くたびに実績を記録します。

点検の曜日を決めていない。 気づいたときに見る運用だと、忙しい週に抜けます。抜けた週に限って発注点を下回ります。

在庫切れは売上だけでなく検索順位にも響くので、欠品が続いたあとは順位の戻りも確認してください。売れ行きそのものが落ちている場合は、在庫より先に原因を見ます。切り分けは売上が伸びない原因で手順にしています。

よくある質問

商品数が少なくても管理表は必要ですか。 必要です。商品が1つでも、輸送中の在庫とリードタイムの実績を記録しておかないと、2回目以降の発注で同じ読み違いを繰り返します。1商品1行の表なら、作るのに時間はかかりません。

安全在庫は何日分持てばよいですか。 最初はリードタイム中の販売数の20〜30%を仮に置き、実績で調整します。仮にリードタイム45日・売れ行き1日10個なら、90〜135個です。在庫切れを起こしたら増やし、在庫日数が長いまま動かなければ減らしてください。

FBAの在庫と自社倉庫の在庫はどう分ければよいですか。 発注の判断は両方を合わせた総在庫で行い、Amazonの倉庫へ送る量は別に決めます。Amazonの倉庫に置く量を増やすほど保管料がかかるので、仮に30〜45日分をAmazonの倉庫に置き、残りを自社側に置く、のように日数で線を引くと判断しやすくなります。保管料の率はサイズや時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。

まとめ

  • Amazonの在庫管理は、売れ行き・リードタイム・安全在庫の3つの数字で回る
  • 売れ行きは在庫があった日だけで割る。セールの日は別に記録する
  • リードタイムは工程ごとに実際の日付で記録し、長めの実績で置く
  • 発注の判断は、輸送中・発注済みまで含めた総在庫で行う
  • 管理表は1商品1行。判定の列を式にして「発注」と「過多」の行だけ見る
  • 週1回、決まった曜日に5つの手順で点検する

まずは主力の1商品で、直近28日の売れ行きとリードタイムの実績を書き出してみてください。在庫と発注の回し方を自社の商品で相談したい場合は、お問い合わせからどうぞ。