「全体では売上が伸びているのに、口座のお金が増えない」。この状態のとき、たいていどこかにAmazon赤字商品が混ざっています。売上の大きい商品の黒字が、数本の赤字SKUに食われている形です。

赤字商品は、売上レポートを眺めているだけでは見つかりません。販売手数料とFBA手数料は引いてあっても、広告費・保管料・返品が商品ごとに割り戻されていないからです。

この記事では、SKU別の利益表を作って赤字商品を見分ける手順と、見つけた後の判断の仕方を書きます。店舗全体で利益が残らない原因を先に切り分けたい場合は、売れているのに利益が出ない原因の特定手順から読むと流れがつかみやすいです。

Amazon赤字商品が見えにくい3つの理由

赤字SKUが放置されやすいのには理由があります。

  1. 広告費がキャンペーン単位で見えている。 複数の商品を1つのキャンペーンに入れていると、どの商品にいくら使ったかが分かりません
  2. 保管料が月の合計で請求される。 売れ残っている商品の保管料が、売れている商品の利益と混ざって見えます
  3. 返品と値引きが別のレポートにある。 返品の多い商品ほど、売上の数字だけは良く見えます

どれも「店舗全体の数字」では気づけず、SKUごとに並べて初めて見えるものです。

SKU別の利益表に入れる列

表計算ソフトで、1行=1SKUの表を作ります。期間は直近30日か90日。季節の波がある商品は90日のほうがぶれが小さくなります。

列中身取り出し元
販売数期間中に売れた個数ビジネスレポート
売上販売数×実売価格(クーポン・値引き後)ビジネスレポート・注文レポート
着地原価仕入れ値+国際送料+関税+検品など自社の仕入れ記録
販売手数料売上×カテゴリーの料率ペイメントレポート
FBA手数料1個あたりの配送代行手数料×販売数ペイメントレポート
広告費そのSKUにかかった広告費広告の商品別レポート
保管料そのSKUの月額保管料(長期保管分も含む)在庫保管手数料レポート
返品・返金返金額と、再販できなかった分の原価返品レポート
利益売上から上の費用をすべて引いた額計算列
1個あたり利益利益÷販売数計算列

原価の積み上げ方は1個あたりの原価構造の分解、手数料の確認場所はFBA手数料の調べ方にまとめています。手数料率・FBA料金・保管料はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。

広告費の割り当てが一番のつまずきどころです。 広告の「広告対象商品」レポートを使えば、商品ごとの広告費が出ます。1キャンペーンに複数商品を入れている場合でも、このレポートなら商品単位で分かれます。

計算例:売上上位でも赤字になるSKU

仮に、次の2つのSKUがあるとします。数値は説明用の仮定です。

項目SKU-ASKU-B
販売数(30日)300個60個
実売価格2,980円3,980円
売上894,000円238,800円
着地原価(1個1,000円/1,400円)300,000円84,000円
販売手数料(仮に10%)89,400円23,880円
FBA手数料(仮に1個450円/520円)135,000円31,200円
広告費330,000円28,000円
保管料12,000円9,000円
返品・返金45,000円4,000円
利益−17,400円58,720円

売上ではSKU-Aが約4倍ですが、利益はマイナスです。原因は広告費で、売上に対して約37%を使っています。SKU-Bは売上が小さくても1個あたり約980円残っています。

売上順に並べた表だけを見ていると、SKU-Aに予算をさらに寄せてしまいます。利益の列で並べ替えるだけで、判断が逆になることがあります。

赤字かどうかを判定する線

1個あたり利益がマイナスなら赤字です。ただし、それだけで止めるかどうかは決めません。次の3つの線で分けます。

判定条件扱い
構造的な赤字広告費を0にしても1個あたり利益がマイナス価格・原価・サイズを見直すか、撤退を検討
広告由来の赤字広告費を引く前は黒字、引くと赤字広告の配分を直す
一時的な赤字立ち上げ90日以内、または在庫処分中期限を決めて様子を見る

広告費を引く前の利益を1列足しておくと、この切り分けがすぐできます。広告費を引く前の1個あたり利益を実売価格で割ったものが、そのSKUが広告に使える上限の目安です。考え方は損益分岐ACOSと目標ACOSの決め方に書いています。

見つけた赤字SKUへの打ち手

原因別に、手を付ける順番を決めます。

広告由来の赤字の場合。

  • 検索用語レポートで、クリックだけ集めて売れていない語を除外する
  • 入札を損益分岐ACOSの範囲に収まる額まで下げる
  • 自然検索で売れている語は、広告の入札を控えめにする

構造的な赤字の場合。

  • 値上げの余地を見る。競合の価格帯とレビュー数を並べ、上に置ける根拠があるかを確認する
  • 原価を下げる。梱包サイズを一段小さくできればFBA手数料の区分が変わることがある
  • まとめ売りにして、1注文あたりの手数料負担を薄める

それでも黒字にならない場合。 在庫を持ち続けるほど保管料が積み上がります。売り切るか、返送・処分するかの判断に進みます。線引きは撤退の判断基準を参考にしてください。

利益の試算は、当サイトの利益計算ツールで価格・原価・手数料を入れ替えながら確認できます。

利益表を運用に組み込むコツ

一度作って終わりにすると、翌月にはまた赤字SKUが紛れ込みます。

  • 月初に1回、同じ手順で更新する。 レポートの取り出し元を表の横にメモしておくと、担当が変わっても続きます
  • 1個あたり利益で色分けする。 マイナスは赤、粗利率が目標を下回るものは黄色など
  • 前月との差を1列足す。 黒字から赤字に転じたSKUは、広告の入札変更や値下げの影響をまず疑います

SKUが50を超えると手作業では回りにくくなります。その場合は、売上上位20SKUと、広告費上位20SKUだけを毎月見る形にしても、赤字の大半は拾えます。

よくある質問

販売手数料とFBA手数料だけ引いた利益では足りませんか。 足りません。赤字の原因として多いのは広告費と保管料で、この2つはペイメントの明細では商品ごとに見えにくい費用です。最低でも広告費はSKU単位で割り当ててください。

広告費を商品別に分けられないキャンペーンはどうしますか。 広告の「広告対象商品」レポートで商品別の費用が出ます。それでも分けにくい場合は、キャンペーン内の売上比で按分する方法があります。精度は落ちますが、何も割り当てないよりは判断がずれにくくなります。

赤字SKUは、すぐに販売をやめるべきですか。 まず原因を分けます。広告由来の赤字なら入札と除外で直る余地がありますし、立ち上げ直後の赤字は計画のうちの場合もあります。広告を止めても赤字が続く構造的な赤字だけが、撤退を検討する対象です。

利益表の期間は30日と90日のどちらがよいですか。 動きの速い商品や広告の調整直後は30日、季節の波がある商品や販売数の少ない商品は90日が向いています。両方を並べ、30日だけ悪化しているなら直近の変更を、90日でも悪いなら構造を疑います。

まとめ

  • 売上合計ではなく、SKUごとに1個あたりの利益を出す
  • 表には広告費・保管料・返品まで入れる。手数料だけでは赤字は見えない
  • 利益の列で並べ替えると、売上上位の赤字SKUが見つかる
  • 赤字は「構造的」「広告由来」「一時的」の3つに分けて扱いを決める
  • 月初に同じ手順で更新し、前月からの変化を見る

自社の数字で表を作るのが手間な場合や、どこから直すか迷う場合は、無料の運用診断かお問い合わせからご相談ください。