レビューは毎日読んでいる。返品の理由も目に入っている。それなのに、次のロットで何を変えるかを決める段になると、印象に残った数件の意見だけで判断してしまう。商品改良がうまく進まない出品者に多い状態です。

Amazon カスタマーの声は、レビューだけではありません。返品理由、購入者からの問い合わせ、商品Q&A、セラーセントラルで商品ごとの顧客体験を確認できる画面など、いくつもの入口に散らばっています。これを同じ表に集めて、種類と件数で分けると、印象ではなく数字で改良の優先順位を決められます。

この記事では、声の集め方、分け方、直す順番の決め方、改良後の確かめ方を順にまとめます。セラーセントラルの画面の名前や表示される項目は変わることがあるので、使う前に最新の画面で確認してください。

Amazonのカスタマーの声はどこにあるか。5つの入口

まず、声がどこにあるかを整理します。入口によって、分かることと偏りが違います。

入口分かること偏り・注意点
商品レビュー使ってみた感想、満足と不満の両方強い不満か強い満足の人が書きやすい
返品理由手放した理由(サイズ違い、不良、説明と違うなど)選択式の理由とコメントが混ざる
購入者からの問い合わせ使い方の迷い、付属品の不足、届いた直後の困りごと件数は少ないが具体的
商品Q&A買う前の迷い(対応サイズ、素材、使える場面)購入前の不安が分かる
セラーセントラルの顧客体験の画面商品ごとの否定的な体験の割合や、その理由名称・項目は変わることがある

セラーセントラルには、商品ごとに返品や否定的な体験の状況をまとめて見られる画面が用意されています(画面名は時期によって変わるため、ヘルプで「カスタマーの声」などで検索して確認してください)。ここで状態が悪いと表示された商品から順に見ていくと、手を付ける商品を選びやすくなります。

競合商品のレビューも、自社の改良のヒントになります。競合の不満は、自社が先回りして直せる点だからです。やり方は競合レビューの分析と差別化で紹介しています。

手順1:声を1つの表に集める

入口ごとにばらばらに読んでいると、同じ不満が別々の場所に出ていても気づけません。月に一度、次の列を持つ表に集めます。

  1. 日付:声が届いた日
  2. 入口:レビュー、返品、問い合わせ、Q&A、顧客体験の画面のどれか
  3. ASIN・バリエーション:色やサイズごとに分けて記録する
  4. 原文の要約:1行で書く。解釈を混ぜない
  5. 種類:次の手順で付ける
  6. ロット・仕入れ時期:分かる範囲で

ここで大事なのは、原文の要約に自分の解釈を混ぜないことです。「サイズが合わない(たぶん説明不足)」と書くと、後で数えるときに思い込みが入ります。解釈は次の手順で分けます。

対象期間は、直近3か月を基本にします。販売数が少ない商品は半年に広げます。件数が少なすぎると、偶然の数件に引っ張られるためです。

手順2:種類と件数で分ける

集めた声に種類を付けます。分け方は細かすぎると数えられなくなるので、まずは次の6つで十分です。

種類例直す場所
品質・不良すぐ壊れた、縫い目がほつれた仕入れ先の品質基準、検品
仕様の不足もう少し長ければ、収納袋がほしい次ロットの仕様
期待とのずれ思ったより小さい、色が違う画像、寸法の表記、説明文
使い方の迷い組み立て方が分からない同梱の説明書、A+、Q&A
配送・梱包箱がつぶれていた梱包仕様
満足の理由軽い、すぐ使えた訴求(画像・箇条書き)を強める

満足の理由も数えるのがポイントです。改良で良いところを削ってしまう失敗を防げますし、多く挙がる満足の理由は、そのまま画像や箇条書きの訴求に使えます。

分け終えたら、種類ごとの件数と、全体に対する割合を出します。バリエーション別にも数えると、「黒だけ色の不満が多い」「Lサイズだけ返品が多い」といった偏りが見えてきます。

手順3:直す順番を決める

件数が多い順に直せばよいかというと、そうとも限りません。直すのにかかる手間と、売上への影響も合わせて判断します。ここでは次の3つで点数を付ける方法を紹介します。点数の付け方は一例なので、自社に合わせて調整してください。

判断の軸3点2点1点
件数の割合全体の20%以上10〜20%10%未満
星・返品への影響星1〜2や返品に直結星3が多い要望レベル
直す手間ページの修正で済む同梱物や梱包の変更仕様変更・金型など

合計点が高いものから着手します。たとえば「期待とのずれ」が全体の25%で、星1〜2に直結し、画像の差し替えで直せるなら、9点で最優先です。一方で「もう少し長ければ」という仕様の要望は、件数が多くても直すのに時間がかかるため、次のロットの計画に回します。

ページの修正で済むものは、その月のうちに直すことをおすすめします。画像や説明の直し方は商品ページの点検リストの順に進めると漏れが出にくくなります。使い方の迷いは、商品Q&Aの対応で先回りして答えておく方法も効きます。

手順4:仕入れ先と仕様を詰める

品質や仕様の改良は、仕入れ先とのやり取りが中心になります。声をそのまま転送するのではなく、次の形にまとめて伝えると、話が早く進みます。

  • 何が起きているか:不具合の内容と、写真があれば写真
  • どれくらい起きているか:件数と期間(例:3か月で販売数の何件中、何件)
  • どこを変えたいか:素材、寸法、縫製、付属品など具体的に
  • どう確かめるか:改良品のサンプルで何を検査するか

改良版に切り替えるときは、在庫の残りと発注のタイミングを合わせて考えます。旧仕様の在庫が多く残っているうちに改良版を入れると、どちらが届いたか分からなくなり、効果も測れません。発注量の目安は発注計算ツールで確かめられます。

手順5:改良後に確かめる

改良は、出して終わりではありません。改良版が売れ始めてから1〜2か月後に、同じ表で同じ種類の件数を数え直します。

確かめる数字は次の3つです。

  1. 直した種類の声の件数・割合:狙った不満が減ったか
  2. 返品率:返品理由の内訳も合わせて見る。見方は返品率を下げる方法で扱っています
  3. 星の平均と購入率:ページの直しが購入率に効いたか

比べるときは、直す前と同じ長さの期間で比べます。セールの月とそうでない月を比べると、お客様の層が違うため、正しく比べられません。

改良したことは、事実として言える範囲で商品説明やA+に反映し、低評価への返信でも伝えます。返信の書き方は低評価への返信の書き方にまとめています。

よくある質問

レビューが少ない商品でも、この手順は使えますか。 使えます。レビューが少ないときは、返品理由と問い合わせの比重を上げてください。件数が少ないうちは割合で判断せず、同じ内容が2件以上出たら候補に入れる、という基準で進めると判断が遅れません。

声の整理にどれくらい時間をかければよいですか。 商品数によりますが、月に一度、1商品あたり30分〜1時間を目安に始めると続けやすくなります。最初の月は表を作るのに時間がかかりますが、2か月目からは追記だけで済みます。

改良の要望が多くても、価格が上がるなら見送るべきですか。 一律には決められません。改良で原価が上がる場合は、売価と利益率がどう変わるかを先に試算します。試算は利益計算ツールで確かめられます。要望が多くても、その改良にお金を払う人が多いとは限らない点に注意してください。

まとめ

  • Amazon カスタマーの声は、レビュー・返品理由・問い合わせ・Q&A・顧客体験の画面の5つに散らばっている
  • 月に一度、1つの表に集め、原文の要約に解釈を混ぜない
  • 6つの種類に分けて件数と割合を出す。満足の理由も数える
  • 件数・影響・手間の3つで点数を付け、ページで直せるものはその月のうちに直す
  • 仕入れ先には「何が・どれくらい・どこを・どう確かめるか」で伝える
  • 改良後は同じ長さの期間で数え直し、狙った不満が減ったかを確かめる

まずは主力商品1つについて、直近3か月の声を表に集めてみてください。商品改良と商品ページの見直しを合わせて相談したい場合は、Amazonコンサルで相談できる範囲をご覧ください。