既製品の相乗り出品から一歩進んで、自社ブランドの商品を作りたい。そう考えたときに出てくるのがOEMです。OEMとは、工場に製造を依頼し、自社のブランドで販売する商品の作り方のことです。

Amazon OEM 始め方で調べると、工場の探し方や交渉のしかたの情報が多く出てきます。ただ、実際につまずくのはその前後です。売れる理由が決まらないまま工場を探し始めたり、発注してから規制に気づいたり、在庫を抱えてから広告費が足りないと分かったりします。

この記事では、OEMを始めるときに最初にやることを7つの順番に並べ、それぞれでつまずきやすい点と判断の基準を書きます。

Amazon OEM 始め方の全体像

先に全体の流れと、各工程にかかる期間の目安を示します。期間は、海外の工場に依頼し、既存の商品に小さな改良を加える場合を想定した仮の目安です。

順番やること期間の目安ここで決まること
1商品と市場を決める2〜4週間何を、誰に売るか
2規制・許認可を確認する1〜2週間売ってよい商品か、何が必要か
3差別化点を決める1〜2週間競合ではなく自社を選ぶ理由
4原価と利益を試算する1週間いくらで作り、いくらで売るか
5工場を探しサンプルを取る3〜6週間作れる相手と品質
6ブランドとページの準備並行して2〜4週間商標・ブランド登録・商品ページ
7初回発注と発売6〜10週間何個作り、どう立ち上げるか

合計すると、構想から発売まで4〜6か月かかるのが一般的です。この期間を見込まずに「来月から売りたい」と始めると、どこかの工程を飛ばすことになります。

発注前に決めること(1〜4)

工場に連絡する前の4つです。ここを固めておくと、見積もりの比較も交渉も速くなります。

1. 商品と市場を決める

OEMでいちばん大事なのは、工場を探す前に、何をなぜ作るかを決めることです。

見るべきは3つです。

  • 需要があるか:関連する検索語がどれだけ検索されているか、上位の商品がどれだけ売れているか
  • 勝てる余地があるか:上位がレビュー数千件の商品ばかりで埋まっていないか
  • 利益が残る価格帯か:売価に対して、手数料と広告費を引いても利益が残るか

初めてのOEMなら、軽くて小さく、壊れにくく、季節に左右されにくい商品が扱いやすくなります。考え方は最初の1商品の選び方に詳しく書いています。

2. 規制・許認可を確認する

発注してから「この商品は届出が必要だった」と気づくと、在庫が売れないまま残ります。食品・化粧品・電気製品・子ども向け製品・医療機器に近い商品などは、法律上の手続きや表示のルールがあります。

工場に発注する前に確認するのが鉄則です。何を確認するかは販売前に確認する規制・許認可のチェックにまとめています。判断に迷う商品は、所管の窓口や専門家に事前に相談してください。

3. 差別化点を決める

OEMで既存の商品と同じものを作っても、レビューの多い先行商品には勝てません。自社の商品を選ぶ理由を1つ作ります。

差別化のヒントは、競合のレビューにあります。

  • 低評価レビューで繰り返し出てくる不満(壊れやすい、サイズが合わない、付属品が足りない)
  • 高評価レビューで喜ばれている点のうち、競合がページで伝えきれていないもの

不満を1つ解消する改良、たとえば素材を変える、サイズ展開を増やす、付属品を足す、といった小さな変更で十分です。大きく作り変えると、金型や開発の費用がかさみ、初回の負担が重くなります。レビューの読み方はレビュー分析で差別化点を見つける方法を参照してください。

4. 原価と利益を試算する

工場に見積もりを取る前に、いくらで作れれば利益が出るかを逆算しておきます。

着地原価(商品代に送料・関税・検品費などを足した、倉庫に届くまでの1個あたりの費用)に、Amazonの販売手数料・FBAの手数料・広告費を足して、売価から引いた残りが利益です。手数料率とFBA料金はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。

着地原価の出し方は海外仕入れの原価計算に、商品ごとの試算は利益計算ツールで行えます。

初回に必要な資金も試算します。

仮に、着地原価1,000円の商品を300個作るとします。

  • 商品代と輸送費:1,000円 × 300個 = 30万円
  • サンプル・検品・パッケージ制作などを仮に5万円
  • 発売直後の広告費を月6万円 × 2か月で12万円

合計で約47万円です。広告費を見込まずに在庫だけ仕入れると、発売しても誰にも見つけてもらえない状態になります。在庫と広告費の両方を用意してから発注します。

工場選びと発売の準備(5〜6)

5. 工場を探しサンプルを取る

工場を選ぶときは、価格より先に次の点を確認します。

  1. 最小発注数(ロット):初回に作れる数の下限。多すぎるなら交渉するか、別の工場を探す
  2. サンプルの品質:写真ではなく実物で確認する。複数の工場から取り寄せて比べる
  3. やり取りの速さと正確さ:質問への回答の速さ、仕様の伝わり方
  4. 量産品の品質管理:サンプルと量産品の品質がずれないよう、検品の方法を決めておく

よくある失敗は、サンプルは良かったのに量産品の品質が落ちることです。仕様書(寸法・素材・色・梱包)を文書で残し、出荷前に検品を入れると防ぎやすくなります。

6. ブランドとページの準備

工場とのやり取りと並行して、販売の準備を進めます。

  • 商標の出願:ブランド名を決めたら早めに出願する。Amazonのブランド登録に商標が関わる
  • ブランド登録:登録すると、商品紹介コンテンツ(A+)やブランド分析などが使えるようになる。メリットはブランド登録でできることを参照
  • 商品コード(JANコード)の取得:自社ブランドの商品として登録するために用意する
  • 商品ページの素材:メイン画像・サブ画像・商品名・箇条書き。発売日にそろっているよう、サンプル段階で撮影と原稿を進める

初回発注と発売(7)

初回の発注数は、売れ残っても事業が止まらない量に抑えます。目安は、想定する月の販売数の2〜3か月分です。売れ行きが読めない商品で大量に作ると、資金が在庫に寝て次の手が打てなくなります。

発売後の90日は、広告で最初の販売実績を作り、レビューを集め、検索順位の土台を作る期間です。この期間の進め方は新商品の最初の90日に書いています。90日たった時点で、販売数・広告費・利益率を見て、追加発注か改良か撤退かを判断します。

よくある質問

OEMは資金がどれくらいあれば始められますか。 商品と発注数によって大きく変わります。記事中の試算のように、着地原価に発注数をかけた在庫の費用に加えて、サンプル・検品・パッケージの費用と、発売後2〜3か月分の広告費を用意しておくのが目安です。在庫の費用だけで資金を使い切らないようにしてください。

既製品にロゴを入れるだけでもOEMになりますか。 自社ブランドとして販売する形にはなります。ただ、中身が同じ商品は競合との比較で選ぶ理由が弱くなります。レビューの不満を1つ解消するなど、小さくても中身の改良を入れるほうが勝ちやすくなります。

工場とのやり取りに不安があります。 最初は、仕様書を文書で作り、サンプルを複数の工場から取り寄せて比べることから始めてください。やり取りの速さや正確さも比べる材料になります。自社だけで進めるのが難しい場合は、商品選びから立ち上げまでをAmazonコンサルティングで伴走する方法もあります。

まとめ

  • OEMは工場探しより先に、何をなぜ作るかを決める
  • 発注前に規制・許認可を確認する
  • 差別化は競合のレビューの不満から、小さな改良で作る
  • 着地原価と手数料・広告費から、利益と初回資金を試算してから発注する
  • 工場はロット・サンプル・やり取り・品質管理で選び、仕様書を文書で残す
  • 初回は2〜3か月分の販売数に抑え、発売後90日で次の判断をする

自社の商品がOEMに向いているか、まず整理したい場合はAmazon運用の簡易診断を試してください。具体的な進め方を相談したい場合は相談窓口からご連絡ください。