商品ページの価格の下に「◯pt」と出ている競合を見て、自社も付けたほうがいいのか迷う。Amazonポイント出品者負担の設定は、セラーセントラルから数分でできますが、付けた分はそのまま1個あたりの利益から引かれます。

付けるかどうかは、「値引きと比べてどうか」と「何個多く売れれば元が取れるか」の2つで決まります。感覚で3%や10%を付けて、利益が減ったことに数か月後に気づく、という形は避けたいところです。

この記事では、出品者負担のポイントの仕組み、値引きとの違い、利益への影響を仮の数字で計算し、付ける場面と止める基準を書きます。価格そのものの決め方は価格の決め方と競合との位置取りにまとめています。

Amazonポイント出品者負担の仕組み

出品者負担のポイントは、出品者が自分の商品に「売価の何%分のポイントを付けるか」を設定するものです。購入者は商品を受け取った後にポイントを受け取り、次の買い物に使えます。

押さえておく点は3つです。

  • 付けたポイントの分は出品者の負担です。売上から差し引かれます。ポイント額のほかに費用がかかるかどうかなど、精算の扱いはセラーセントラルの最新の案内で確認してください
  • 表示は価格の下に「◯pt(◯%)」の形で出ます。売価そのものは変わりません
  • Amazonが独自に付けるポイントとは別です。キャンペーンなどで購入者側に別のポイントが付く場合があり、それは出品者の負担ではありません

設定できる付与率の範囲や設定画面の場所は変わることがあるので、設定のたびにセラーセントラルの画面と案内を見てください。

値引きとポイントの違い

同じ「10%」でも、値引きとポイントでは見え方と利益の減り方が違います。

比べる点10%値引き10%ポイント
表示される価格下がる変わらない(下に◯ptが出る)
購入者が受け取る価値その場で安くなる次の買い物で使える
販売手数料の計算の元下がった売価元の売価のままのことが多い
止めたときの見え方価格が上がったように見える価格は変わらない
価格を軸にした比較安く見える価格順の並びでは変わらない

いちばん大きい違いは、ポイントは止めても値上げに見えないことです。値引きは、戻した瞬間に「前より高くなった」と見られます。ポイントは付けたり外したりしても売価が動かないので、ブランドの価格を守りたい商品では使いやすい手段です。

一方、販売手数料は売価に対してかかるため、ポイントでは手数料の計算の元が下がらない、という扱いになることが多いです。この場合、同じ率なら値引きよりポイントのほうが利益の減り方が少し大きくなります。手数料率と計算の元はカテゴリーや時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。手数料の種類はAmazonの手数料の一覧で整理しています。

1個あたりの利益はいくら減るか(仮定)

計算の形を示すため、次の仮の条件を置きます。

  • 売価:3,000円
  • 原価(着地原価):900円
  • 販売手数料:売価の10%と仮定
  • FBAの配送代行手数料:450円と仮定
  • 広告費:1個あたり300円と仮定
条件売上販売手数料ポイント1個あたりの利益
何も付けない3,000円300円0円1,050円
10%値引き2,700円270円0円780円
10%ポイント3,000円300円300円750円

利益は、売上から原価・販売手数料・FBAの手数料・広告費・ポイントを引いたものです。この仮定では、10%ポイントは10%値引きより1個あたり30円少なくなります。差は手数料の分です。

元を取るには何個多く売れればいいか

ポイントで利益が減った分は、販売数が増えて初めて取り戻せます。必要な増え方は「付ける前の1個あたりの利益÷付けた後の1個あたりの利益」で出ます。

付与率ポイント1個あたりの利益元を取るのに要る販売数の増え方
3%90円960円約9.4%増
5%150円900円約16.7%増
10%300円750円40%増

仮に月100個売れている商品なら、5%で約117個、10%で140個売れて、ようやく付ける前と同じ利益です。10%のポイントで販売数が4割増えるか、と問われると、多くの商品では難しいはずです。

粗利率が低い商品ほど、この増え方は急になります。同じ5%でも、1個あたりの利益が500円の商品なら、150円のポイントで350円になり、約43%増が必要です。付与率を決める前に、自社の数字で1個あたりの利益を出してください。利益シミュレーターに売価・原価・手数料率を入れると、ポイント分を差し引いた利益も確かめられます。

付けたほうがいい場面、付けないほうがいい場面

計算で元が取れそうかを見たうえで、次の場面で判断します。

付けたほうがいい場面:

  • 価格を下げたくないが、比較で選ばれている。定価を崩さずに、実質的な割安感を出したいとき
  • ポイントが重視される時期。ポイントが話題になる大型のセールや、ポイントアップのキャンペーンの期間
  • 競合の多くがポイントを付けている。並んだときに自社だけ「pt」の表示がないと見劣りする場合
  • 新商品の初動。レビューが付くまでの期間に、期間を区切って付ける

付けないほうがいい場面:

  • 1個あたりの利益が薄い。上の表で必要な増え方が30%を超えるなら、別の手段を考えます
  • 価格の安さで選ばれている商品で、競合が値下げしている。価格順で並べたときに効かないので、値下げやクーポンのほうが届きます。使い分けはクーポンの使いどころを見てください
  • 広告費が重い。広告で利益が削られている商品にポイントを重ねると、売れるほど利益が減る状態になりやすい

設定と見直しの手順

  1. 元を取るのに要る販売数を出す。自社の数字で上の表を作り、付与率ごとの必要な増え方を確認します
  2. 期間を決める。2〜4週間など、比べられる長さを先に決めます。付けっぱなしにしないためです
  3. 設定する。セラーセントラルで付与率を設定し、商品ページに「pt」が表示されたかを確認します
  4. 前の同じ長さの期間と比べる。販売数、ユニットセッション率(購入率)、1個あたりの利益を並べます
  5. 止める基準で判断する。販売数の増え方が必要な増え方に届いていなければ外します

比べるときは、同じ期間にセールや広告の変更を重ねないでください。どれが効いたのか分からなくなります。

よくある質問

ポイントを付けると検索順位は上がりますか。 ポイントそのものが順位を押し上げる、とは言えません。ポイントで購入率が上がり、販売数が増えれば、その結果として順位に影響することはあります。順位を目的に付けるより、購入率と利益で効果を見てください。

1%だけ付けても意味はありますか。 付与率が低いと、購入者にとっての割安感は小さくなります。一方で「pt」の表示自体は出るので、競合がみな付けている売り場で表示がない状態を避ける、という目的なら意味があります。目的を決めてから率を決めてください。

ポイントとクーポンは併用できますか。 併用できる場合が多いですが、両方の負担が1個あたりの利益から引かれます。併用するなら、両方を足した割引率で上の表を作り直してください。

付けたポイントは返品のときどうなりますか。 返品や返金のときのポイントの扱いは、セラーセントラルの案内で確認してください。返品が多い商品では、ポイント分の負担がどう精算されるかを先に把握しておくと、利益の計算がずれません。

まとめ

  • 出品者負担のポイントは、付けた分が1個あたりの利益からそのまま引かれる
  • 値引きと違い、売価が変わらないので止めても値上げに見えない
  • 販売手数料の計算の元が下がらない扱いなら、同じ率では値引きより利益の減り方が少し大きい
  • 元を取るのに要る販売数の増え方は「付ける前の利益÷付けた後の利益」で出す。仮の条件では10%で4割増
  • 価格を守りたい商品・ポイントが重視される時期・競合が付けている売り場では検討する。利益が薄い商品は避ける
  • 期間を区切って付け、前の期間と販売数・購入率・利益で比べてから続けるか決める

まずは主力商品の1個あたりの利益を出し、3%・5%・10%で元を取るのに何個要るかを計算してみてください。価格の見せ方は参考価格が表示されないときの確かめ方も関係します。価格・広告・在庫のどこが利益を削っているか分からない場合は、無料の運用診断で整理できます。