広告を増やしてアクセスは増えたのに、売上がそれほど伸びない。この状態のとき、詰まっているのは集客ではなく転換率です。ページを見た100人のうち何人が買うか。この割合が低いままアクセスを増やすと、広告費だけが積み上がります。
転換率を1ポイント動かすことの意味は小さくありません。月1,000セッションの商品で転換率が8%から10%になれば、販売数は80個から100個に増えます。広告費は変わりません。アクセスを25%増やすより、転換率を2ポイント上げるほうが手元に残る金額は大きくなります。
この記事では、転換率の現在地の測り方と、ページ・価格・レビューの順に原因を探す手順を書きます。数値はすべて仮の目安です。自社の実績に置き換えて読んでください。
自社の転換率を確認する
Amazonで転換率にあたる数字は、セラーセントラルのビジネスレポートにあるユニットセッション率です。商品ページを見たセッションのうち、購入につながった割合を示します。
| 数字 | 意味 | 取る場所 |
|---|---|---|
| セッション | 商品ページが見られた回数 | ビジネスレポート(商品別の詳細ページ) |
| ユニットセッション率 | セッションのうち購入に至った割合 | 同上 |
| 注文された商品点数 | 実際に売れた数 | 同上 |
期間は30日分を取ります。ここで多いのが、他社や業界平均と比べようとして止まってしまうことです。転換率の水準は商品の単価・カテゴリー・購入の検討期間で大きく変わるので、外の数字と比べても打ち手は出てきません。
比べる相手は自社の過去にしてください。同じ商品の先月、3か月前、去年の同じ月。この3つを並べると、落ちているのか横ばいなのかが分かります。
落ちているのか、もともと低いのか
過去と比べた結果で、やることが変わります。
- 以前より落ちている → 原因を探せます。価格を変えた、低評価が付いた、競合が増えた、在庫切れでカートを失った。変化の時期と自分がやったことを突き合わせます
- ずっと同じ水準 → 悪化した原因はありません。この場合は、ページ・価格・レビューを順に点検して底上げします
- セッションが月100未満 → 数字が動いても偶然と区別がつきません。まずは流入を増やす作業が先です
落ちている場合は、落ちた日の前後2週間で何が起きたかを洗い出してください。自分の操作(価格変更・画像差し替え・在庫切れ)が見つかれば、そこを戻すのが最短です。見つからないなら、競合側の動きか季節の影響です。
ページ・価格・レビューに分けて探す
原因はこの3つのどれかに入ります。同時に全部を触ると何が効いたか分からなくなるので、まず切り分けます。
| 場所 | 疑うきっかけ | 見るもの |
|---|---|---|
| ページ | 画像が少ない。スマートフォンで見ると情報が途切れる | サブ画像・箇条書き・A+・仕様欄 |
| 価格 | 競合と数百円以上の差がある。カートを取れていない日がある | 価格の推移・送料込みの総額・クーポンの有無 |
| レビュー | 件数が一桁。星が3点台。最近低評価が付いた | 件数・平均・直近の内容 |
切り分けの順番は、確認の手間が軽い順にします。価格とレビューは管理画面と商品ページを見れば数分で分かり、ページの作り直しは時間がかかるからです。価格とレビューに明らかな問題がないと確認してから、ページに時間を使ってください。
価格を先に見る
価格は転換率に最も速く効きます。だからこそ、下げる前に利益を確認してください。
転換率が上がっても、1個あたりの利益が減れば手元は増えません。仮に売価3,000円・1個あたりの粗利600円の商品で、転換率が8%から10%に上がる代わりに200円値下げしたとします。1,000セッションのとき、値下げ前は80個×600円=48,000円、値下げ後は100個×400円=40,000円。販売数が増えても利益は減ります。
この計算は事前にできます。値下げ後の粗利で、いま以上の利益を出すのに必要な販売数を出しておけば、実行前に判断できます。自社の売価・原価・手数料を入れて計算するなら利益シミュレーターが使えます。手数料やFBA料金はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。
価格そのものの決め方は価格の決め方、送料を含めた見え方は送料込み価格の設計に分けています。値引きせずに客単価を上げる方法としてまとめ買い割引やクーポンの使いどころもあります。
カートを取れていない日があると、価格が適正でも転換率は落ちます。在庫・価格・出荷の条件が関わるので、カートが取れない原因を先に確認してください。
レビューを見る
レビューは、買う直前に確認される場所です。件数が一桁のうちは、内容よりも件数の少なさ自体が迷いにつながります。
見るのは3つです。
- 件数:同じ検索結果に並ぶ商品と比べて、桁が違っていないか
- 平均:3点台なら内容を読む。4点台前半でも直近が悪ければ効いている
- 直近の内容:最近の低評価に同じ指摘が並んでいないか
直近の低評価に同じ指摘が3件以上並んでいたら、それは商品か説明の問題です。「思ったより小さい」が並ぶならサイズの伝え方、「すぐ壊れた」が並ぶなら商品そのもの。前者はページで直せます。集め方と低評価への対応はレビューを増やす・低評価に対応する、内容の整理の仕方はレビュー分析と差別化にまとめました。
ページで転換率に効く場所
価格とレビューに大きな問題がなければ、ページを見ます。効きやすい順に並べます。
| 順位 | 場所 | 直すと効く理由 |
|---|---|---|
| 1 | サブ画像の1〜3枚目 | 多くの人がここまでは見る。サイズ感・使い方・中身が伝わる |
| 2 | 箇条書きの1行目と2行目 | スマートフォンでは3行目以降が折りたたまれる |
| 3 | 仕様(属性)欄 | 検索の絞り込みにも使われ、空欄だと候補から外れる |
| 4 | A+(商品説明) | 下まで読む人向け。迷いを消す最後の説明 |
| 5 | Q&A | 同じ質問が並んでいるなら、その内容が画像から抜けている |
サブ画像を1位にしている理由は、買わない理由の多くが「分からない」だからです。大きさが分からない、使い方が分からない、何が入っているか分からない。文章で書いてあっても読まれません。手に持った写真、他のものと並べた写真、同梱物を広げた写真。この3枚で迷いの多くは消えます。構成はサブ画像6枚の構成に書いています。
箇条書きは、スマートフォンでの見え方を前提にしてください。折りたたまれる前に見えるのは最初の2行程度です。ここに仕様の羅列ではなく、買う理由になる内容を置きます。書き方は箇条書き5行の設計が対応します。
Q&Aに同じ質問が並んでいたら、それは無料で手に入った改善リストです。その質問がページのどこにも答えられていないということなので、サブ画像か箇条書きに反映します。対応の仕方はQ&Aにどう答えるかにまとめました。
変えたら効果を確かめる
1回に1か所だけ変えて、セッションが300〜500たまるまで待ちます。ユニットセッション率が10%なら300セッションで30件前後の購入があり、数ポイントの変化なら読み取れます。同時に複数を変えると、良くなった分と悪くなった分が打ち消し合って横ばいに見えます。
変更前の画像・文面・数字は先に保存してください。落ちたときに戻せます。測り方と記録の残し方は商品ページ改善の手順に詳しく書きました。
季節と在庫切れには注意します。前月比だけで見ると季節の動きが混ざるので、去年の同じ月を横に置いてください。在庫が切れていた日は、その日のセッションと販売数を計算から外します。
広告の数字からも原因が見える
広告を出しているなら、ターゲティングレポートのクリック率と転換率で場所が絞れます。
- クリック率が低い → 検索結果で選ばれていません。メイン画像・価格・タイトルの問題です
- クリック率は並だが転換率が低い → ページの中の問題です。この記事の対象です
- 特定の検索語だけ転換率が低い → その語で来る人の期待と商品がずれています。除外の候補です
3つ目は見落とされやすい形です。全体の転換率が低いのではなく、関連の薄い語から来る人が平均を下げているだけ、という場合があります。その語を除外すれば、広告費が減って転換率が上がります。判断の基準は除外キーワードの決め方に書いています。
メイン画像の直し方はメイン画像と購入率、表示・クリック・購入の3段階で切り分ける全体の流れは売上が伸びない原因の切り分けが対応します。
当社は2019年からAmazonの支援をしていて、これまでに30ブランド・300商品ほどを見てきました。転換率の相談では、ページより先に価格と在庫の状態を確認しています。支援の範囲はAmazon運用代行の内容に書いています。
よくある質問
転換率は何%あれば十分ですか。 一律の基準は置けません。単価が数千円で即決されやすい消耗品と、単価が数万円で比較検討される商品では、同じ数字にはならないからです。目安を置くなら、自社の同じ商品の過去3か月の平均を基準線にして、そこから落ちていないかで判断してください。外の平均値と比べると、自社の商品が本来持っている水準が見えなくなります。判断に使うのは、他社との差ではなく自社の推移です。
アクセスを増やすのと転換率を上げるのは、どちらを先にやるべきですか。 セッションが月100を超えているなら転換率が先です。転換率が低いままアクセスを増やすと、広告費が増えて利益が減ります。逆にセッションが月100に満たない場合は、ページを直しても効果を測れないので流入を増やすほうが先になります。境目はおおよそこのあたりです。両方に手が回らないなら、いま広告費を使っている商品から転換率を見てください。広告費が乗っている商品ほど、転換率の差が金額に直結します。
値下げすれば転換率は上がりますか。 上がることが多いですが、利益が増えるとは限りません。値下げ前に、下げた後の粗利でいま以上の利益を出すのに必要な販売数を計算してください。その数まで増える見込みがなければ、値下げは手元を減らす方向に働きます。価格に触る前に、サブ画像と箇条書きで「分からない」を減らすほうを試す価値があります。そちらは利益を削らずに転換率を動かせます。
まとめ
- 転換率はビジネスレポートのユニットセッション率で見る。期間は30日分
- 比べる相手は他社ではなく自社の過去。先月・3か月前・去年の同じ月を並べる
- 落ちているなら変化の時期と自分の操作を突き合わせる。横ばいなら底上げに切り替える
- 原因はページ・価格・レビューの3つ。確認の手間が軽い価格とレビューから見る
- 値下げは転換率を動かすが利益を削る。必要な販売数を先に計算してから決める
- ページで効くのはサブ画像の1〜3枚目と箇条書きの最初の2行。「分からない」を消す
- 1回に1か所だけ変え、セッションが300〜500たまるまで待って判断する
まずは扱っている商品のユニットセッション率を過去3か月分並べて、落ちている商品を1つ選んでください。どこから手をつけるか決めかねる場合は、無料の運用診断で広告・商品ページ・在庫のどこが弱いかを整理できます。個別の相談はお問い合わせからどうぞ。
