Amazonで出品を始めるとき、最初に選ぶのが出品用アカウントの種類です。Amazon 大口 小口 違いを調べると「たくさん売るなら大口」という説明が多く、自社がどちらに当たるのか判断がつかないまま申し込む方が少なくありません。

実際には、判断の軸は2つしかありません。月に何点売るか(料金の軸)と、広告などの機能を使う予定があるか(機能の軸)です。料金だけで比べると小口が得に見える段階でも、機能の軸で大口が前提になることがあります。

この記事では、2つの軸を順に見て、どちらで始めるかを決める手順をまとめます。料金の金額は変わることがあるので、以下の数字はすべて計算の形を示すための仮の値です。申し込む前にセラーセントラルの最新の案内で確認してください。

大口と小口の違いは「料金のかかり方」と「使える機能」

最初に全体を表で並べます。細かい条件はカテゴリーや時期で変わるため、ここでは判断に効く違いに絞っています。

比べる点大口出品小口出品
料金のかかり方月額の登録料(販売点数に関係なく定額)月額なし。1点売れるごとに基本成約料
販売手数料かかる(カテゴリーごとの率)かかる(大口と同じ考え方)
広告(スポンサープロダクトなど)使える使えない
カートボックスの獲得対象になる対象にならない
商品の一括登録(ファイルでの登録)使える1点ずつ画面で登録
売上・アクセスの詳しいレポート使える使える範囲が限られる
出品に許可が要るカテゴリーの申請申請できる申請できないカテゴリーがある

表のうち、販売手数料は大口でも小口でもかかります。「大口にすれば手数料が安くなる」わけではありません。違うのは、月額の登録料を払うか、1点ごとの基本成約料を払うかです。手数料全体の並びはAmazonの手数料の種類一覧に整理しています。

もう1つ押さえておきたいのは、FBA(Amazonの倉庫からの発送)はどちらでも使えることです。発送方法とアカウントの種類は別の選択なので、FBAを使いたいという理由だけで大口を選ぶ必要はありません。

料金の軸:月の販売点数で分かれ目を出す

料金だけで比べるなら、計算は1行で済みます。

分かれ目の点数 = 大口の月額登録料 ÷ 小口の1点あたり基本成約料

仮に月額登録料を5,000円、基本成約料を1点100円とすると、分かれ目は50点です。月に50点より多く売るなら大口のほうが安く、少なければ小口のほうが安くなります。

販売点数ごとに並べると、差の動き方が見えます。

月の販売点数(仮定)大口の負担(月額5,000円と仮定)小口の負担(1点100円と仮定)安いほう
10点5,000円1,000円小口
30点5,000円3,000円小口
50点5,000円5,000円同じ
100点5,000円10,000円大口
300点5,000円30,000円大口

1個あたりに直すと、大口の月額は販売点数が増えるほど薄まります。月300点なら1個あたり約17円、月30点なら約167円です。売価3,000円の商品なら、前者は売価の0.6%、後者は5.6%。点数が少ない時期の大口は、1個あたりの費用として無視できない重さになります。

ここで注意したいのは、販売点数を「売れたらいいな」の数で置かないことです。小口と大口を比べる段階の点数は、次のどちらかで置きます。

  • すでに他の販路で売っているなら、その実績を基準にする
  • 初めてなら、同じ検索語で上位に出る競合の販売数の推定から、控えめに見積もる

販売数の見積もり方はAmazon出品の準備リストの「お金」の段で、売価・原価と一緒に決める順番を書いています。

機能の軸:広告を使うなら大口が前提になる

料金の計算で小口が安く出ても、それで決まりではありません。次の機能を使う予定があるなら、大口が前提になります。

広告。 新しい商品は、検索結果の自然な順位に出てくるまでに時間がかかります。立ち上げ期は広告で表示を買いながら販売実績を積むのが一般的な進め方で、小口ではこの手が使えません。広告の種類ごとの役割はスポンサープロダクト・ブランド・ディスプレイの違いで整理しています。

カートボックス。 同じ商品を複数の出品者が売っている場合、商品ページの「カートに入れる」ボタンから買われるのは、カートボックスを獲得した出品者です。小口はその対象になりません。自社しか売っていない商品なら影響は小さいですが、相乗りされる可能性がある商品では大きな差になります。

ブランドとしての機能。 商標を持ってブランド登録をすると、商品紹介コンテンツ(A+)やブランド分析などが使えるようになります。これらは大口のアカウントで使うことを前提にした機能です。何ができるようになるかはブランド登録のメリットにまとめています。

整理すると、判断は次の順になります。

  1. 広告・カートボックス・ブランドの機能のどれかを使う予定があるか
  2. ある → 販売点数にかかわらず大口
  3. ない → 月の販売点数で分かれ目と比べる

自社ブランドの商品を育てる前提なら、1で「ある」になることがほとんどです。小口が向くのは、手元の在庫を少量だけ売る、相乗りで既存の商品ページに出品する、販売の流れを試しに体験する、といった場面です。

どちらで始めるかの判断表

ここまでの2つの軸を、よくある状況に当てはめます。

状況向くほう理由
自社ブランドの商品を新しく出し、広告で立ち上げる大口広告とブランドの機能が前提になる
月に数点、手元の在庫を試しに売る小口月額を払うほどの点数がなく、広告も使わない
他社が作った商品ページに相乗りで出品する点数次第。相乗り相手が多いなら大口カートボックスの対象になるかで売れ方が変わる
他の販路で月100点以上の実績がある大口料金の軸でも分かれ目を超える見込みが高い
出品に許可が要るカテゴリーの商品大口小口では申請できないカテゴリーがある

判断に迷う場合は、「3か月後に何点売っていたいか」で考えてください。立ち上げの最初の月は点数が少なくても、3か月後に分かれ目を超える計画なら、最初から大口で広告を回したほうが計画どおりに進みます。

切り替えのタイミングと手順

アカウントの種類は、後から切り替えられます。小口で始めて大口に上げることも、大口から小口に戻すこともできます。切り替え自体はセラーセントラルの設定画面から申し込みます。

切り替えを考える目安は次のとおりです。

小口から大口へ。 月の販売点数が分かれ目に近づいてきたとき、または広告を使いたくなったとき。分かれ目を2か月続けて超えたら切り替える、のように先に基準を決めておくと、判断が遅れません。

大口から小口へ。 販売を大きく縮小する、季節商品のオフシーズンで数か月ほぼ売れない、といったとき。ただし小口に戻すと広告は止まります。広告を止めたときに順位や売上がどう動くかは、広告を止めると何が起きるかを先に読んでから決めてください。

切り替えの前にやっておきたいことは3つです。

  1. 月額の請求日と、切り替えが反映される時期をセラーセントラルの案内で確認する
  2. 大口から小口に戻す場合は、動いている広告と、大口前提の機能で作った設定を書き出しておく
  3. 切り替え後の最初の1か月は、売上・販売点数・広告費を週ごとに記録して、判断が正しかったかを見る

よくある失敗

アカウントの種類で起きやすい失敗は、どれも「料金だけで決めた」ことから始まります。

小口で始めて、広告が使えないことに後で気づく。 商品ページを作り、在庫を納品し、売れないので広告を出そうとして初めて気づくパターンです。立ち上げの一番大事な時期を1か月ほど失います。

大口で始めたが、月数点しか売れずに登録料だけが出ていく。 販売点数の見積もりが甘かったケースです。この場合は、登録料そのものより、売れない原因(商品ページか、価格か、需要か)を先に見ます。原因の切り分けは売上が伸びない原因で手順にしています。

登録料を利益計算に入れていない。 月額は1個あたりに直すと小さく見えますが、販売点数が少ない時期は利益を削ります。月額を月の販売点数で割って、1個あたりの費用として利益計算に入れてください。利益シミュレーターで、固定費として入れて試算できます。

よくある質問

個人でも大口出品で登録できますか。 できます。大口と小口の違いは料金のかかり方と使える機能で、法人か個人かで分かれているわけではありません。登録に必要な書類や確認の手順は変わることがあるので、申し込む前にセラーセントラルの案内で確認してください。

最初は小口で様子を見て、売れたら大口にするのは良い進め方ですか。 広告を使わずに売れる見込みがある商品なら、良い進め方です。自社ブランドの新商品で、立ち上げに広告を使う前提なら、最初から大口のほうが遠回りになりません。小口の期間に売れなかった理由が「広告を使えなかったから」なのか「商品に需要がなかったから」なのか、区別がつかなくなるためです。

大口の月額登録料は、売れなかった月もかかりますか。 かかります。販売点数に関係なく定額なので、在庫切れの月や、季節商品のオフシーズンにもかかります。数か月まとめて売れない時期が分かっているなら、その間だけ小口に戻すかどうかを、広告を止める影響と合わせて判断してください。

まとめ

  • 大口と小口の違いは「料金のかかり方」と「使える機能」の2つ
  • 販売手数料はどちらでもかかる。違うのは月額登録料か、1点ごとの基本成約料か
  • 料金だけなら、月額÷1点あたりの基本成約料で分かれ目の点数が出る
  • 広告・カートボックス・ブランドの機能を使うなら、点数にかかわらず大口が前提
  • 迷ったら「3か月後に何点売っていたいか」で決める
  • 種類は後から切り替えられる。切り替える基準を先に決めておく

アカウントの種類が決まったら、次は売価・原価・販売数を並べて、1個売れたらいくら残るかを出す段階です。立ち上げの進め方全体を相談したい場合は、Amazon運用の現状診断から始められます。