スポンサープロダクト広告のオートキャンペーンは、作るときに入札額を1つ入れるだけで動きます。そのため、中に4つのターゲティンググループがあることを意識しないまま、何か月も同じ入札で回しているアカウントをよく見ます。

4つのグループは、広告が出る場所も、見ている人の買う気の強さも違います。同じ入札で回すと、いちばん効率の悪いグループに予算が流れやすくなります。

この記事では、Amazon広告のオートのターゲティンググループを1つずつ説明し、グループごとに入札額を分ける手順を計算例つきでまとめます。オートとマニュアルの役割分担そのものはオート広告とマニュアル広告の使い分けに書いたので、ここではオートの中身に絞ります。

Amazon広告オートの4つのターゲティンググループ

オートキャンペーンの広告グループを開き、ターゲティングの画面を見ると、次の4つが並んでいます。それぞれ個別にオン・オフと入札額の変更ができます。

グループ広告が出る場所見ている人の状態起きやすいこと
ほぼ一致商品と意味の近い検索語の検索結果探している物がはっきりしている転換率が高く、入札が上がりやすい
大まかな一致商品と関係の薄い語も含む検索結果何を買うか決まっていないことも多いクリックが多く、売れない語が混ざる
代替商品似た商品(競合)の詳細ページ比べながら選んでいる価格やレビュー数で負けると売れない
補完商品一緒に使う商品の詳細ページ別の物を買う途中で目にする表示は多いがクリック率が低めになりやすい

上の2つは「検索語」に、下の2つは「商品ページ」に出るグループです。検索語の2つは、どの語で表示されたかが検索用語レポートに出ます。商品ページの2つは、どのASINのページで表示されたかが同じレポートに出ます。

ここで押さえておきたいのは、4つのグループは「探す範囲の広さ」が違うということです。ほぼ一致がいちばん狭く、大まかな一致がいちばん広い。範囲が広いほど新しい語や商品に出会えますが、売れない表示も増えます。

グループごとの数字を出す

入札を分ける前に、グループごとの成績を出します。キャンペーンマネージャーでオートの広告グループを開き、ターゲティングのタブで期間を指定すると、グループ単位のインプレッション・クリック・広告費・売上が出ます。

期間は直近30日を基本にします。クリックが少ない商品は60日に伸ばしてください。数字を次の表の形に書き写します。

グループクリック注文転換率ACOS
ほぼ一致2002010.0%15%
大まかな一致400123.0%45%
代替商品15096.0%25%
補完商品5024.0%35%

数字は説明用の仮の値です。この例では、ほぼ一致が稼ぎ頭で、大まかな一致がクリックの半分を使いながら注文は少ない、という形になっています。実際のアカウントでもこの形はよく見られます。

判断に使うのは主に転換率(クリックのうち何%が注文になったか)です。ACOSは入札額の影響を受けますが、転換率は「そのグループに来た人がどれだけ買うか」をより素直に表します。クリックが30未満のグループは、数字がぶれるので判断を保留してください。

入札額をグループごとに決める手順

入札額は、損益分岐ACOSと転換率から逆算します。考え方は「1クリックにいくらまで払えば赤字にならないか」です。

  1. 商品の損益分岐ACOSを出す(売価から原価・販売手数料・配送費を引いた粗利÷売価)
  2. 目標ACOSを決める。利益を残したいなら損益分岐ACOSより低く置く
  3. グループごとに「売価×目標ACOS×転換率」で1クリックあたりの上限を出す
  4. 上限を超えない範囲で、今の入札額を上げ下げする

販売手数料率やFBAの配送費はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、損益分岐ACOSはセラーセントラルの最新の案内と自社の実数で出してください。計算は利益シミュレーター(損益分岐ACOS)に売価・原価・手数料を入れると出ます。

仮に売価3,000円、目標ACOS25%として、上の表の転換率を当てはめると次のようになります。

グループ転換率(仮)1クリックの上限置き方の目安
ほぼ一致10.0%75円上限近くまで上げてよい
大まかな一致3.0%22.5円大きく下げる。止めることも検討
代替商品6.0%45円中くらいに置く
補完商品4.0%30円低めに置き、数字がたまるのを待つ

計算は、ほぼ一致なら3,000円×25%×10%で75円です。同じ商品でも、グループによって払える金額が3倍以上違うことが分かります。1つの入札額で4つを回していると、ほぼ一致では表示の機会を逃し、大まかな一致では払いすぎる、という両方の損が同時に起きます。

入札を動かすときは、1回に20〜30%までにとどめ、2週間ほど数字を見てから次を決めます。一度に大きく動かすと、表示位置が変わりすぎて、どの変更が効いたのか分からなくなります。入札全体の考え方はスポンサープロダクト広告の入札戦略にまとめています。

グループごとの扱い方

ほぼ一致:入札を上げて表示を取りにいく

転換率が高いグループなので、上限の範囲で入札を上げて表示を増やします。ここで売れた検索語は、検索用語レポートから拾ってマニュアルキャンペーンに移す候補になります。移す基準は、注文が2件以上、かつACOSが目標以下の語です。マッチタイプの選び方はマッチタイプの違いを参照してください。

大まかな一致:調査に使い、膨らんだら絞る

新しい語を見つけるためのグループです。立ち上げの最初の1〜2か月は低めの入札で残し、売れる語を探します。売れない語が増えてきたら、検索用語レポートで売れていない語を除外キーワードに入れるか、入札を大きく下げます。転換率が他のグループの半分以下の状態が2か月続くなら、止める判断もあります。除外の基準は除外キーワードの決め方にまとめています。

代替商品:勝てる相手のページにだけ出る

競合の商品ページに出るグループなので、価格・レビュー数・評価で比べられます。検索用語レポートでASINごとの成績を見て、売れているASINはマニュアルの商品ターゲティングに移し、売れないASINは除外商品に入れます。自社より明らかに安くレビューの多い商品のページでは、クリックされても買われにくいので、早めに外してください。商品ターゲティングの組み方は商品ターゲティング広告の使い方にあります。

補完商品:表示は多いが、判断に時間がかかる

一緒に使う商品のページに出るため、表示の量は多くなりやすい一方、クリック率は低めになる傾向があります。クリックがたまるまで時間がかかるので、低めの入札で長めに見ます。相性のよい組み合わせ(たとえば本体と交換用の部品)が見つかれば、転換率が高くなることもあります。

よくある失敗

4つを同じ入札額のまま半年回している。 オートを作ったときの入札額から一度も動かしていないケースです。商品が売れ始めると競合の入札も上がるので、ほぼ一致では表示が取れず、大まかな一致では売れないクリックに払い続ける形になります。月に1回、グループごとの転換率を出して入札を見直してください。

大まかな一致を止めたら、新しい語が入ってこなくなった。 大まかな一致の成績が悪いと、止めたくなります。ただ、止めると新しい語を拾う窓口が細くなります。止める前に、入札を下げて残す、除外キーワードで不要な語を削る、の2つを試してください。止める場合も、3か月に1回は少額で再開して新しい語が出ていないかを確かめます。

グループごとの判断を、注文数だけで決めている。 注文数が多いグループを残し、少ないグループを止める、という判断はクリック数の差を見落とします。クリック400で注文12のグループと、クリック50で注文2のグループでは、後者のほうが転換率は高いこともあります。判断は転換率で行い、クリックが30未満のうちは保留します。

よくある質問

グループごとに別のキャンペーンに分けたほうがよいですか。 予算を個別に管理したい場合は分ける方法があります。1つのオートキャンペーンで1つのグループだけをオンにし、残りをオフにすると、グループごとに日予算を決められます。大まかな一致に予算を食われてほぼ一致の表示が止まる、という状態が続いているなら試す価値があります。ただしキャンペーンの数が増えて管理の手間も増えるので、まずは入札の調整で足りるかを見てください。

オートの入札額の初期値はどう決めればよいですか。 最初はグループごとの転換率が分からないので、推奨入札額の下限から中間あたりで始め、2〜4週間で数字がたまったら上の手順で分けます。最初から高く置くと、大まかな一致に予算が流れて調査の費用がかさみます。始めたばかりの時期の予算の考え方は広告予算の目安を参照してください。

オートで売れた語は、オート側で除外したほうがよいですか。 マニュアルに移した語は、オート側で除外キーワードに入れる方法があります。同じ語でオートとマニュアルが同時に入札すると、どちらの成績なのか分かりにくくなるためです。ただし除外しすぎるとオートが新しい語を探す範囲も狭まるので、移したことで成績が安定した語から順に除外してください。

まとめ

  • オートの4グループは、出る場所も見ている人の買う気の強さも違う
  • グループごとにクリック・注文・転換率を出し、クリック30未満は判断を保留する
  • 入札の上限は「売価×目標ACOS×転換率」で出す。同じ商品でもグループで払える額が大きく違う
  • ほぼ一致は上げて表示を取り、大まかな一致は調査に使って膨らんだら絞る
  • 代替商品はASINごとに勝てる相手を選び、補完商品は低めの入札で長めに見る
  • 入札の変更は1回20〜30%まで。2週間見てから次を決める

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