スポンサープロダクト広告のマニュアルキャンペーンでキーワードを登録すると、語ごとに「一致タイプ」(マッチタイプとも呼びます)を選ぶ画面が出ます。完全一致・フレーズ一致・部分一致の3つです。ここを何となく部分一致のままにしていると、関係の薄い検索語に広告費が流れ、ACOSが下がらない原因になります。
逆に、全部を完全一致にすると今度は表示回数が伸びず、新しい売れる語が見つかりません。一致タイプは「どれが正しいか」ではなく、語の育ち具合に合わせて使い分けるものです。
この記事では、Amazon広告の一致タイプの違いを整理したうえで、同じ語を3つの一致タイプに分けたときの入札の置き方、検索語レポートから語を移していく手順をまとめます。オートとマニュアルの役割分担はオートとマニュアルの使い分けに書いたので、この記事はマニュアルの中の話に絞ります。
Amazon広告のマッチタイプ(一致タイプ)は3つ
一致タイプは、登録したキーワードと、お客様が実際に打ち込んだ検索語がどれくらい近ければ広告を出すか、の幅を決める設定です。仮に「ステンレス ボトル」を登録したとすると、拾われる検索語はおおよそ次のように変わります。
| 一致タイプ | 広告が出る検索語の幅 | 「ステンレス ボトル」で拾う例 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 完全一致 | ほぼ同じ語(語順・単数複数・軽い表記ゆれ程度) | ステンレス ボトル/ステンレスボトル | 売れると分かった語に予算を寄せる |
| フレーズ一致 | 登録語を同じ並びで含む語 | ステンレス ボトル 500ml/保冷 ステンレス ボトル | 語の前後に付く言葉を探す |
| 部分一致 | 登録語に関連すると判断された語。語順も問わない | ボトル ステンレス 子供/水筒 保冷 | 新しい語を見つける |
拾う範囲の境目はAmazon側の判定で、表記ゆれや類義語の扱いは変わることがあります。上の例は考え方を示すためのものです。実際に何が拾われたかは、後で説明する検索語レポートで確認してください。
幅が広いほど「探索」、狭いほど「刈り取り」
3つの関係は単純で、部分一致が一番広く、完全一致が一番狭い。広いほど知らない語に出会えますが、関係の薄い語にも費用が出ます。狭いほど無駄は減りますが、登録した語以外では表示されません。
この性格の違いから、役割を次のように分けると迷いが減ります。
- 部分一致:新しい語を探す網。入札は低めに置く
- フレーズ一致:登録語の周りに付く言葉(容量・用途・対象)を拾う中間の網
- 完全一致:成果が出た語に予算を集める本命。入札は一番高く置く
同じ語を3つに分けたときの入札の置き方
よく使う形が、主力の語を3つの一致タイプすべてで登録し、入札に差をつける方法です。差をつけないと、同じ検索語に対して一致タイプ同士が重なり、どれが効いているのか読めなくなります。
仮に、損益分岐ACOSが30%、売価3,000円、購入率(クリックから購入に至る割合)が10%の商品だとします。1クリックあたりに払える上限は、3,000円×10%×30%で90円です。この上限を基準に、一致タイプごとに次のように置きます。
| 一致タイプ | 入札の置き方(仮の例) | 理由 |
|---|---|---|
| 完全一致 | 上限の90%前後(約80円) | 成果の読める語。ここで表示を取りに行く |
| フレーズ一致 | 上限の70%前後(約63円) | 周辺語は購入率が下がりやすい |
| 部分一致 | 上限の50%前後(約45円) | 関係の薄い語も混ざる前提で薄く張る |
数字は仮の条件での計算例です。購入率や損益分岐ACOSは商品ごとに違うので、自社の数字で上限を出し直してください。損益分岐ACOSは利益シミュレーターに売価・原価・手数料を入れると出せます。入札額そのものの決め方は入札額の決め方で詳しく扱っています。
キャンペーンを分けるか、広告グループで分けるか
一致タイプを同じ広告グループに混ぜると、予算が部分一致に吸われても気づきにくくなります。分けるならキャンペーン単位が見やすく、日予算もタイプごとに決められます。
- 予算の取り合いを避けたい:一致タイプごとにキャンペーンを分ける
- 商品数が多く管理が回らない:キャンペーンは商品単位、広告グループで一致タイプを分ける
構造全体の考え方はキャンペーン構造の作り方にまとめています。
検索語レポートで語を移していく手順
一致タイプの使い分けは、作って終わりではありません。部分一致とフレーズ一致で拾った検索語を見て、成果の出た語を完全一致へ移し、出ない語を除外する。これを繰り返すことで広告が育ちます。
- 2週間ごとに検索語レポートを出す(直近14日、または30日)
- 注文が2件以上あり、ACOSが損益分岐を下回る検索語を拾う
- その語を完全一致キャンペーンに新しく登録する
- 元の部分一致・フレーズ一致のキャンペーンでは、その語を除外キーワード(完全一致の除外)に入れる
- クリックが一定数あるのに注文がない語は、除外キーワードに入れる
4の手順を抜くと、同じ検索語に部分一致と完全一致の両方が入札し、自社の広告同士で競り合う形になります。除外の入れ方は除外キーワードの決め方を参照してください。
5の「一定数」は、購入率から決めます。購入率10%の商品なら、20クリックで注文0件はかなり珍しい状態です。仮に購入率5%なら、20クリックではまだ偶然の範囲なので40クリック程度まで待つ、という具合に、自社の購入率の逆数の2倍程度を目安にすると判断がぶれにくくなります。
よくある失敗
一致タイプまわりで多い失敗を3つ挙げます。
全部を部分一致のまま放置する。 立ち上げ時は部分一致が便利ですが、検索語レポートを見ずに続けると、関係の薄い語への支出が積み上がります。ACOSが高いのに原因が分からない場合、最初に疑う場所です。
完全一致だけで組んで表示が出ない。 登録した語の検索数が少ないと、入札を上げても表示回数が増えません。完全一致だけで回すのは、語が十分に育ってからです。
同じ入札額で3タイプを並べる。 差がないと、検索語ごとにどのタイプで表示されたかがばらつき、レポートが読みにくくなります。完全一致を一番高くするのが基本です。
よくある質問
部分一致はやめて、フレーズ一致と完全一致だけにしてもいいですか。 語がある程度出そろった商品なら成り立ちます。ただ、部分一致を止めると新しい語に出会う経路がオートキャンペーンだけになります。オートを動かしているなら、部分一致は予算を絞って残す、という形が無理がありません。
完全一致に移した語の成績が、部分一致のときより悪くなりました。 部分一致のときに注文が付いていたのは、その語ではなく近い別の語だった可能性があります。移した直後は2週間ほど様子を見て、検索語レポートで実際にどの語で表示されたかを確認してください。入札が高すぎて掲載枠の上位に出続け、費用だけ増えている場合もあります。枠ごとの調整は掲載枠の調整にまとめています。
除外キーワードにも一致タイプがありますか。 あります。除外は「完全一致の除外」と「フレーズ一致の除外」の2つです。特定の1語だけを外したいなら完全一致の除外、ある言葉を含む検索語をまとめて外したいならフレーズ一致の除外を使います。フレーズ一致の除外は範囲が広いので、売れている語まで巻き込まないか事前に確認してください。
まとめ
- 一致タイプは完全・フレーズ・部分の3つ。広いほど探索、狭いほど刈り取りに向く
- 主力の語は3タイプで登録し、入札は完全一致を一番高く、部分一致を一番低く置く
- 入札の上限は売価×購入率×損益分岐ACOSで出し、そこから一致タイプごとに割り引く
- 一致タイプはキャンペーン単位で分けると予算の取り合いが見える
- 2週間ごとに検索語レポートを見て、成果の出た語を完全一致へ移し、元の網では除外する
- 注文のない語は、自社の購入率から決めたクリック数で除外を判断する
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