キャンペーンが10本を超えたあたりから、管理画面で入札を1つずつ直す作業がつらくなってきます。そこで出てくるのが、Amazon広告 一括操作(バルクシート)です。キャンペーンの設定をExcelのファイルで書き出し、まとめて書き換えてから戻す仕組みで、数百行の入札変更でも数十分で終わります。
ただし、便利な分だけ事故の規模も大きくなります。古いファイルを戻して先週の入札に戻ってしまった、ID列を消して同じキーワードが二重にできた、といった失敗は、1行ではなく数百行単位で起きます。この記事では、一括操作で直せることの線引き、ダウンロードから反映確認までの手順、そして上書き事故を防ぐ決まりごとを順に書きます。
Amazon広告 一括操作で直せること・直さないほうがよいこと
一括操作は「同じ種類の変更を、たくさんの行にまとめて入れる」ための道具です。逆に、1つずつ考えて決める変更には向きません。
| 作業 | 一括操作に向くか | 理由 |
|---|---|---|
| 入札額の見直し(数十行以上) | 向く | 成果の列を見ながら、条件ごとに一気に直せる |
| 除外キーワードの追加 | 向く | 検索用語の一覧から、除外する語をまとめて登録できる |
| 成果の出ていないキーワードの一時停止 | 向く | 状態の列を書き換えるだけで済む |
| 新しいキャンペーンの作成(同じ型を複数) | 向く | 商品ごとに同じ構造を作るときに速い |
| 予算の変更(数本) | 管理画面で十分 | 行数が少なく、ファイルを往復させる手間のほうが大きい |
| キャンペーン構造の組み替え | 向かない | 先に設計を決める作業で、ファイル上で考えると抜けが出る |
目安として、同じ種類の変更が20行を超えるなら一括操作、それ未満なら管理画面と分けると迷いません。キャンペーン構造そのものを見直すときは、先にキャンペーン構造の作り方で設計を決めてから、作成をファイルでまとめて行う順番にしてください。
ファイルの中身と、読むべき列
ダウンロードしたファイルは、広告の種類ごとにシートが分かれています。スポンサープロダクト、スポンサーブランド、スポンサーディスプレイのシートと、オプションで含めた場合は検索用語のシートが入ります。シート名や列の名前は時期によって変わることがあるので、触る前に一度ファイルを開いて確かめてください。
どのシートでも、まず読む列は次の6つです。
| 列 | 意味 | 触るときの注意 |
|---|---|---|
| エンティティ | その行が何か(キャンペーン・広告グループ・キーワードなど) | 書き換えない。並び替えの基準に使う |
| 操作 | その行で何をするか(作成・更新など) | ここが空欄の行は反映されない |
| 各種ID | キャンペーン・広告グループ・キーワードの識別番号 | 消すと別物として扱われる。触らない |
| 状態 | 有効・一時停止など | 一時停止はここを書き換える |
| 入札額 | キーワードや商品ターゲットの入札 | 円の整数で入れる。桁のずれに注意 |
| 成果の列 | インプレッション・クリック・費用・売上など | 判断の材料。書き換えても反映されない |
ポイントは「操作」の列です。この列に「更新」などを入れた行だけが反映され、空欄の行は無視されます。 逆に言えば、触っていない行の操作列を空欄のままにしておけば、その行は守られます。
ダウンロードから反映確認までの6つの手順
- 目的を1つに絞る。 「入札の見直し」「除外の追加」「一時停止」のうち、1回のファイルで扱うのは1つにします。混ぜると、結果を確かめるときに何が原因か分からなくなります
- 期間を決めてダウンロードする。 キャンペーンマネージャーの一括操作の画面で、成果の期間(例:直近30日)と、含めるデータ(検索用語、除外キーワードなど)を選んで作成します。期間が短すぎると、たまたまの数字で判断してしまいます
- 元のファイルを残す。 ダウンロードしたファイルは手を付けずに保存し、作業はコピーで行います。ファイル名に日付と目的を入れておく(例:「1028_入札見直し_作業用」)と、後で取り違えません
- フィルターで対象の行を絞り、操作列と値を書き換える。 例えば「エンティティがキーワード」かつ「クリック30以上で注文0」の行を出し、入札を下げて操作列を「更新」にします。入札の決め方そのものは入札額の決め方にまとめています
- その日のうちにアップロードする。 ダウンロードから日をまたぐと、その間に管理画面で行った変更をファイルの古い値で上書きするおそれがあります
- 結果を確かめる。 アップロード後の処理が終わったら、結果の表示でエラーの有無を確認します。エラーがあれば結果ファイルを開き、どの行がなぜ通らなかったかを読みます。最後に管理画面で数行を抜き出し、値が変わっていることを目で見て終わりです
例:入札をまとめて直すときの条件の置き方
入札の見直しをファイルで行うときは、条件を先に文章で決めておくと、フィルターの操作で迷いません。次は仮の条件の例です。目標ACOSは商品の粗利率から出すもので、ここでは仮に25%と置いています。
- クリックが30以上で注文が0:入札を2割下げる
- ACOSが目標(仮に25%)の1.5倍を超える:入札を1割下げる
- ACOSが目標の半分以下で、インプレッションが少ない:入札を1割上げる
- 上の3つに当てはまらない行:触らない(操作列は空欄のまま)
上げ下げの幅を小さくしておくのは、一度に大きく動かすと、どの変更が効いたのか分からなくなるからです。目標ACOSの出し方はACOSの目標値の決め方を、計算は利益シミュレーターを使ってください。
除外キーワードをまとめて入れる手順
一括操作がいちばん効くのは、除外キーワードの追加です。検索用語のシートには、実際に広告が表示された検索語と、その成果が並んでいます。
- 検索用語のシートで、費用が一定額を超えて注文が0の検索語を抜き出す
- その中から、商品と関係のない語・意図がずれている語を目で選ぶ(数字だけで機械的に切らない)
- スポンサープロダクトのシートに、除外キーワードの行を追加する。キャンペーンIDと広告グループIDは、除外を入れたい先の行からコピーする
- 一致の種類(フレーズ一致の除外か、完全一致の除外か)を決めて入れ、操作列を「作成」にする
2で目を通すのは、型番違いや言い回し違いで、実は売れる語が混ざることがあるからです。除外の基準の置き方は除外キーワードのやり方で詳しく書いています。
上書き事故を防ぐ5つの決まりごと
一括操作の失敗は、ほとんどが次の5つのどれかです。チームで運用する場合は、この5つを決まりごととして共有しておいてください。
| よくある事故 | 何が起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 古いファイルを戻す | 数日前の入札や状態に戻り、その後の変更が消える | ダウンロードした日のうちにアップロードする。日をまたいだら取り直す |
| 全行の操作列を埋める | 触っていない行まで、ファイルの値で上書きされる | 書き換えた行だけ操作列を埋める |
| ID列を消す・ずらす | 既存の行が新しい行として作られ、同じキーワードが二重になる | ID列は触らない。並び替えは全列を選んでから行う |
| 入札の桁ずれ | 50円のつもりが500円になり、費用が一気に出る | アップロード前に入札列の最大値と最小値を確かめる |
| 複数人が同時に作業 | 後からアップロードした人のファイルで上書きされる | 一括操作の担当を1人に決め、作業中であることを共有する |
特に怖いのは入札の桁ずれです。アップロード前に、入札列の最大値が想定の範囲に収まっているかを1回見るだけで、ほとんど防げます。万が一入ってしまった場合は、元のファイル(手順3で残したもの)から該当行の値を戻し、操作列を「更新」にして再アップロードすれば元に戻せます。元のファイルを残す理由はここにあります。
アップロード前の最終チェック
- 操作列が入っている行数は、変えるつもりの行数と合っているか
- 入札列の最大値・最小値は想定の範囲か
- ID列に空欄や「#」で始まる値(Excelの表示崩れ)がないか
- ファイルをダウンロードしたのは今日か
- 他の人が同じアカウントで一括操作をしていないか
一括操作を続けるときの記録の残し方
一括操作で入れた変更は、管理画面の変更履歴にも残りますが、なぜその変更をしたのかは残りません。半年後に見返したとき、あるいは担当が替わったときに困らないように、次の3つを記録しておくと引き継ぎが楽になります。
- 日付と目的(例:10/28 入札見直し、クリック30以上・注文0を2割下げ)
- 変えた行数(例:キーワード84行)
- 2週間後の結果(ACOS・費用・注文の変化)
この記録は、半期に一度のアカウントの見直しでも役に立ちます。棚卸しの進め方はアカウントの棚卸しを参考にしてください。
よくある質問
一括操作のファイルはExcel以外でも編集できますか。 表計算ソフトなら編集はできますが、保存するときの形式とIDの表示に注意してください。長い数字のIDが指数表示に変わったり、先頭の0が消えたりすると、アップロード時にエラーになるか、別の行として扱われます。いつも同じソフトで開き、保存形式も変えないのが無難です。
アップロードしたあと、取り消すことはできますか。 取り消しのボタンはありません。戻したい場合は、変更前の値が入ったファイル(ダウンロードしたままの元ファイル)から該当の行を取り出し、操作列を「更新」にして再アップロードします。元ファイルを残しておかないと、変更前の値が分からなくなるので、手順3を省かないでください。
キャンペーンが少なくても、一括操作を使ったほうがよいですか。 同じ種類の変更が20行に満たないなら、管理画面で直すほうが早く、事故も起きにくいです。一方で、成果の列を並べて比べたいときは、行数が少なくてもファイルを書き出して眺める価値があります。読むだけなら、アップロードしなければ何も変わりません。
まとめ
- Amazon広告 一括操作は、同じ種類の変更が20行を超えるときに使う。少ないなら管理画面で直す
- 反映されるのは操作列を埋めた行だけ。触らない行は空欄のままにして守る
- 目的は1ファイル1つ、元ファイルは残す、ダウンロードした日のうちにアップロードする
- 入札は条件を文章で決めてから、小さい幅で動かす
- 除外キーワードは数字で候補を出し、最後は目で選ぶ
- 事故の多くは古いファイル・ID列・桁ずれ・同時作業。アップロード前の最終チェックで防ぐ
- 日付・目的・行数・2週間後の結果を記録して、次の判断に使う
一括操作で直すべき箇所が多すぎる、そもそも構造から見直したいという場合は、広告運用代行の内容と料金をご覧ください。どこから直すかの当たりを付けるなら、8問の無料診断からどうぞ。
