「夜は売れるから入札を上げて、深夜は止めたい」。Amazon広告 時間帯の調整は、運用を始めてしばらくすると誰もが考えることです。買われる時間に広告費を寄せれば効率が上がりそうに見えます。

ただ、時間帯で入札を変えて成果が出るかどうかは、商品と広告費の規模で大きく分かれます。データが少ないうちに時間帯を細かく区切ると、たまたまの振れを「傾向」と読み違え、売れる時間の広告まで止めてしまうことがあります。

この記事では、時間帯ごとの数字の見方、時間帯で入札を変えてよい条件と変えないほうがよい条件、試すときの手順をまとめます。入札そのものの決め方は入札額の決め方を先に読んでおくと話がつながります。

Amazon広告の時間帯データで分かること

広告の数字を時間帯ごとに分けて見ると、表示回数・クリック・注文がいつ多いかが分かります。一般に、通勤時間・昼休み・夜の時間帯にクリックが増え、深夜から早朝は減る商品が多いです。

ただし、時間帯ごとの数字を見られる場所や形式は、広告管理画面の機能やレポートの種類で変わります。時間帯で予算や入札を変える設定(予算や入札のルール機能など)も、使える範囲が時期やアカウントで変わることがあります。使う前に、広告管理画面の最新の表示で、何が見られて何が設定できるかを確認してください。

時間帯の数字から読み取りたいのは、次の2つです。

見たいこと見る数字読み方
いつ買われているか時間帯ごとの注文数、転換率転換率が高い時間は、同じクリック単価でも注文が取れやすい
いつ広告費が無駄になっているか時間帯ごとのクリック数と注文数、ACOSクリックはあるのに注文が少ない時間は、入札を下げる候補

注意したいのは、注文が記録される時刻と、クリックされた時刻がずれることです。夜にクリックして商品を見て、翌朝に買う人もいます。時間帯ごとのACOSは、この「後から買われた分」がどの時間に数えられているかで見え方が変わります。

時間帯データを信じてよい3つの条件

時間帯の数字で判断する前に、次の3つを確かめます。どれかが欠けていれば、時間帯の調整はまだ早い段階です。

1. 時間帯ごとのクリック数が十分にあるか。 1日を4つの時間帯に分けるだけで、1つの時間帯のクリックは全体の4分の1以下になります。仮に1日のクリックが40回なら、1つの時間帯は10回前後。転換率10%の商品なら注文は1件程度で、1件増えるか減るかでACOSが大きく動きます。目安として、比べたい時間帯それぞれに、少なくとも数十件の注文がたまる期間(多くは4週間以上)を見てください。

2. 曜日と特別な日を分けて見ているか。 セールの日や給料日のあとは、時間帯ごとの傾向そのものが変わります。セール期間を含めたまま平均を出すと、普段の日には当てはまらない傾向が出ます。セールの日は外して集計します。

3. 予算切れの影響を除いているか。 夕方以降の注文が少ない場合、本当に買われていないのではなく、昼過ぎに日予算を使い切って広告が出ていないだけのことがあります。予算切れの時刻を確認せずに「夜は売れない」と判断すると、原因を取り違えます。

条件確かめ方満たさないときの判断
クリック数時間帯ごとの注文が数十件たまっているか時間帯での調整は保留。期間を延ばす
特別な日セール・給料日の前後を外しているか外して集計し直す
予算切れ日予算を使い切った時刻はいつか先に予算の不足を直す

入札を時間帯で変えてよい場合、変えないほうがよい場合

条件を満たしたうえで、時間帯の調整が効きやすいのは次のような場合です。

  • 広告費が大きく、日予算に余裕がある。 時間帯ごとのデータが十分にたまり、調整した結果も測りやすい
  • 時間帯で転換率の差がはっきりしている。 たとえば業務用の商品で、平日の日中に注文が集中している
  • クリック単価が高い語で戦っている。 無駄な時間のクリックを減らしたときの節約が大きい

逆に、変えないほうがよいのは次の場合です。

  • 広告費が小さく、日予算をよく使い切る。 まず予算と入札の全体を整えるのが先です。予算の置き方は広告予算の配分にまとめています
  • 時間帯で転換率の差が小さい。 調整の手間に見合う効果が出ません
  • キャンペーンの構造が整っていない。 役割の違うキーワードが混ざったまま時間帯で入札を変えると、どの語に効いたのかが分かりません

時間帯の調整は、入札・予算・構造・除外キーワードが整ったあとの、仕上げの調整です。 順番を逆にすると、手間をかけたわりに数字が動きません。

仮の数字で効果を試算する

どのくらいの効果があり得るかを、仮の数字で見てみます。実際の水準を示すものではありません。

  • 1日の広告費10,000円、クリック単価50円で、1日200クリック
  • 商品の売価3,000円
  • 時間帯A(7〜23時):160クリック、転換率10%で注文16件
  • 時間帯B(23〜7時):40クリック、転換率5%で注文2件
時間帯広告費注文広告経由売上ACOS
A(7〜23時)8,000円16件48,000円約16.7%
B(23〜7時)2,000円2件6,000円約33.3%
合計10,000円18件54,000円約18.5%

時間帯Bの入札を半分に下げ、クリックが半分の20回になったとします。Bの広告費は1,000円、注文は1件(売上3,000円)。浮いた1,000円を時間帯Aに回してAのクリックが20回増え、転換率10%のまま注文が2件増えると、合計は広告費10,000円・注文19件・売上57,000円で、ACOSは約17.5%になります。

この仮定でも改善は1ポイントほどです。 そして、Aの転換率がクリックを増やしたあとも10%のまま保てるか、Bで減った1件が本当に減るだけで済むかは、試してみないと分かりません。時間帯の調整は「大きく効く手」ではなく、条件がそろったときに少し効く手だと考えてください。損益分岐ACOSに対してどれだけ余裕があるかは、利益シミュレーターで先に確認しておくと、調整の優先度を決めやすくなります。

試すときの手順

時間帯の調整を試すときは、次の順で進めます。

  1. 対象のキャンペーンを1つに絞る。 成績が安定していて、クリック数が多い主力のキャンペーンを選びます
  2. 変更前の4週間の数字を記録する。 時間帯ごとのクリック・注文・ACOSと、全体の注文数
  3. 変更は1つだけにする。 時間帯Bの入札を下げる、など。同時に予算や除外キーワードを変えない
  4. 変更後の4週間を同じ形で記録する。 セールの日は比べる対象から外します
  5. 全体の注文数で判断する。 時間帯BのACOSが下がっても、全体の注文が減っていれば失敗です

5番目が大切です。時間帯の調整は、ある時間の数字を良く見せるのは簡単です。見るべきは、1日全体の注文と利益が増えたかどうかです。効果の測り方は広告の効果測定にまとめています。

よくある失敗

  • 深夜を完全に止めた。 深夜にクリックして翌朝買う人の分まで失い、日中の注文も減った
  • 複数のキャンペーンで一度に変えた。 何が効いたのか分からず、元に戻すこともできなくなった
  • 1週間で判断した。 たまたま売れた週の数字で「効いた」と判断し、翌月には元の水準に戻った

よくある質問

深夜は売れないので広告を止めてもよいですか。 止める前に、深夜のクリックが後の時間の注文につながっていないかを確かめてください。完全に止めるより、入札を下げて様子を見るほうが安全です。止めると比較のデータも取れなくなります。

時間帯ごとのデータはどこで見られますか。 広告管理画面やレポートの種類によって、見られる範囲が違います。機能は時期やアカウントで変わることがあるので、管理画面の最新の表示で確認してください。見られない場合は、時間帯の調整より先に、入札・予算・除外キーワードを整えるほうが効果が出やすいです。

曜日ごとの調整も同じ考え方でよいですか。 同じ考え方で判断できます。曜日で分けると1つの区切りに入るデータは7分の1になるので、時間帯以上に長い期間の記録が必要です。セールや連休を外して見る点も同じです。

まとめ

  • 時間帯で入札を変える前に、データの量・特別な日・予算切れの3つを確かめる
  • クリックした時刻と注文の時刻はずれるので、時間帯ごとのACOSは割り引いて読む
  • 効きやすいのは、広告費が大きく、時間帯で転換率の差がはっきりしている場合
  • 時間帯の調整は、入札・予算・構造・除外が整ったあとの仕上げ
  • 試算すると改善は小さいことが多い。大きな手ではなく、条件がそろったときに少し効く手
  • 試すときは1キャンペーン・1変更・4週間で、全体の注文と利益で判断する

自社の広告で、時間帯より先に直すところがあるかどうかは、無料の運用診断で確認できます。運用そのものを任せたい場合は、Amazon広告の運用代行の内容と料金を見てください。