広告を始めて数か月たつと、キャンペーンが20本、30本と増えていきます。商品ごと、マッチタイプごと、自動と手動で分けていけば自然にそうなります。困るのは、月末に請求を見て初めて「この商品群にこんなに使っていたのか」と気づくことです。キャンペーンごとの日予算は決めていても、合計がいくらになるかは誰も見ていない、という状態です。
この記事では、Amazon広告 ポートフォリオの使い方を、作り方・分け方・予算上限のかけ方の順に説明します。ポートフォリオは、複数のキャンペーンを1つの箱にまとめ、その箱ごとに予算の上限をかけられる機能です。キャンペーンを束ねる軸を1つに決めることと、上限に達したときに何が起きるかを知っておくことの2つが、使いこなせるかどうかの分かれ目です。
キャンペーンそのものの分け方がまだ固まっていない場合は、先にキャンペーン構造の作り方を読んでください。ポートフォリオはその上に乗せる仕組みです。
Amazon広告のポートフォリオでできること
ポートフォリオでできることは、大きく3つです。
- キャンペーンをまとめて表示する:広告の管理画面で、ポートフォリオごとに絞り込んで成果を見られます
- 予算の上限をかける:ポートフォリオ全体で使ってよい金額の上限を決められます
- 期間を区切る:毎月の上限にするか、特定の期間だけの上限にするかを選べます
できないことも押さえておきます。ポートフォリオは入札額やキーワードを自動で調整する機能ではありません。上限をかけても、中のキャンペーンの日予算や入札はそのまま残ります。あくまで「合計でここまで」という枠をかけるだけです。
選べる上限の種類や画面の表記は変わることがあるので、設定するときは広告管理画面の最新の表示で確認してください。
ポートフォリオの分け方は軸を1つに決める
分け方でいちばん多い失敗は、軸が混ざることです。「シャンプー」というポートフォリオの隣に「新商品」「セール用」が並んでいると、新しいシャンプーのキャンペーンをどこに入れるかで迷い、人によって入れる先が変わります。こうなると、ポートフォリオごとの数字を比べても意味がありません。
軸の決め方は、次のどちらかに揃えるのが扱いやすいです。
| 軸 | 分け方の例 | 向く出品者 | 注意する点 |
|---|---|---|---|
| 商品群 | シャンプー/トリートメント/ヘアオイル | 商品の種類が複数あり、種類ごとに利益率が違う | 新商品の立ち上げ費用が、既存品の枠に混ざる |
| 目的 | 新商品の立ち上げ/売れ筋の維持/自社ページの防衛 | 商品の種類は少ないが、広告の役割を分けたい | 商品群ごとの広告費が見えにくくなる |
迷ったら商品群で分けるほうが、利益の計算と結び付けやすくなります。商品群ごとに粗利率が違えば、かけてよい広告費も違うからです。新商品の立ち上げ費用を分けて見たい場合は、商品群のポートフォリオの中で、立ち上げ用のキャンペーン名に印を付けておけば追えます。
目的で分けるときの例として、自社ページやブランド名検索を守る広告だけを1つにまとめる方法があります。防衛の広告は低いACOSで出やすく、ほかと混ぜると全体が良く見えてしまうので、分けておく意味があります(自社商品を防衛する広告の設定)。
作り方の手順
ポートフォリオは、広告の管理画面から作ります。流れは次のとおりです。
- 広告の管理画面で、ポートフォリオの一覧を開く
- 新しいポートフォリオを作り、名前を付ける(例:「01_シャンプー」のように番号と商品群)
- 予算の上限を決める(決めずに作って、まとめるだけにすることもできます)
- 既存のキャンペーンを選び、そのポートフォリオに移す
- 一覧で、どのポートフォリオにも入っていないキャンペーンが残っていないかを確認する
名前に番号を付けておくと、一覧の並び順が固定されて毎月の確認が楽になります。キャンペーン名にもポートフォリオと同じ番号を頭に付けると、検索用語レポートや一括操作のファイルを見るときに、どの箱のキャンペーンかが一目で分かります。
5番目の確認は、作るときだけでなく毎月やります。新しく作ったキャンペーンをポートフォリオに入れ忘れると、そのキャンペーンだけ上限の外で動き続けます。
予算の上限のかけ方と、上限に達したとき
上限をかける前に、その商品群に月いくらまで使ってよいかを決めます。決め方は、売上と粗利から逆算するのが基本です。
仮に、ある商品群の月の売上見込みが100万円、広告に使ってよい割合を売上の10%とすると、月の上限は10万円です。割合の置き方は商品の利益率で変わります。考え方は広告予算の目安の決め方と、商品群への配分は広告予算の配分のしかたにまとめています。自社の損益分岐の広告費率は利益シミュレーターに売価・原価・手数料率を入れると出せます。
上限に達するとどうなるか
ポートフォリオの上限に達すると、その中のキャンペーンは配信が止まります。 月の上限なら、翌月になるまで止まったままです。ここを知らずに上限を低めにかけると、月の後半に売れ筋の広告がまるごと止まり、検索の上位から消えることがあります。
これを避けるために、月の途中で残額を見る日を決めておきます。
| 確認する日 | 見ること | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 10日前後 | 上限に対して使った割合 | 3分の1を大きく超えていたら、ペースが早い |
| 20日前後 | 同上 | 3分の2を大きく超えていたら、入札か日予算を下げる |
| 25日前後 | 残額と残り日数 | 残額では足りないなら、上限を上げるか止めるかを決める |
上限を上げるか止めるかは、その商品群の今月のACOSと在庫で決めます。ACOSが損益分岐より低く、在庫も足りているなら上限を上げてかまいません。在庫が少ない商品群なら、むしろ止まってくれたほうが在庫切れを防げます。
日予算との関係
キャンペーンごとの日予算は、ポートフォリオの上限とは別に効いています。日予算の合計が大きすぎると、月の前半で上限を使い切ります。仮に、ポートフォリオの月の上限が10万円で、中に日予算2,000円のキャンペーンが3本あるとすると、毎日使い切れば1日6,000円で、17日ほどで上限に届きます。月末まで配信を続けたいなら、日予算の合計を「月の上限÷日数」に近づけておきます。
よくある失敗と直し方
ポートフォリオを入れた後によく起きる失敗を並べておきます。
- 上限をかけたまま忘れる:セールの月に上限が足りず、いちばん売れる日に広告が止まる。セールの前月に上限を見直す日を決めておく
- キャンペーンを入れ忘れる:新しく作ったキャンペーンだけ上限の外で動く。月1回、どのポートフォリオにも入っていないものが無いかを見る
- 細かく分けすぎる:ポートフォリオが20個になり、結局どれも見なくなる。最初は3〜5個に収める
- 上限を入札の代わりに使う:ACOSが高いのを上限で抑えようとしても、止まる日が増えるだけで効率は良くならない。ACOSは入札と除外キーワードで直す(ACOSが高いときの対処)
よくある質問
ポートフォリオは作らないといけませんか。 作らなくても広告は出せます。キャンペーンが10本程度で、1人で全部見られているうちは無くても困りません。キャンペーンが増えて合計が見えなくなった、商品群ごとに使った額を出したい、という場面になったら作り始めるのが現実的です。
上限に達して止まった広告は、翌月どうなりますか。 月ごとの上限なら、翌月になると配信が再開します。ただし止まっていた期間は表示も販売も無いので、自然検索の順位に影響することがあります。売れ筋が止まるのを避けたい場合は、20日前後で残額を見て、上限を上げるか日予算を下げるかを決めてください。
代行に任せる場合、ポートフォリオはどちらが作りますか。 どちらでもかまいませんが、上限の金額は自社で決めて伝えるほうが安全です。上限は使ってよい広告費の上限そのものなので、契約の範囲と合わせて文書で残しておきます。代行に渡す権限の考え方はAmazon広告を代行に任せるときの権限の渡し方にまとめています。
まとめ
- ポートフォリオは、キャンペーンを束ねて合計の予算に上限をかける箱。入札は自動で変わらない
- 分け方は商品群か目的のどちらか1つの軸に揃える。迷ったら商品群
- ポートフォリオとキャンペーンの名前に同じ番号を付けると、レポートでも追いやすい
- 上限は売上と粗利から逆算する。上限に達すると中の広告は止まる
- 10日・20日・25日前後に残額を見て、上限を上げるか止めるかを決める
- 新しいキャンペーンの入れ忘れがないかを月1回確認する
まずは、いまあるキャンペーンを商品群ごとに書き出して、3〜5個の箱に分けられるかを試してください。広告全体の組み立てから見直したい場合は、Amazon広告の運用代行の内容や無料の運用診断も使えます。
