セールの日や、売れやすい週末に限って、昼過ぎに広告の予算が尽きてしまう。翌日に気づいて予算を上げても、その日の売上は戻りません。かといって毎日の予算を常に高くしておくと、売れない日にも広告費が出ていきます。

こうした「特定の日だけ予算を増やしたい」場面で使うのが、Amazon広告の予算ルールです。あらかじめ条件を決めておくと、その日や条件に合ったときだけ、キャンペーンの1日の予算が自動で引き上げられます。

この記事では、予算ルールの2つの型、設定の手順、上げ幅の決め方、使うときの注意点を順に説明します。画面の項目名や選べる条件は変わることがあるので、実際の設定はキャンペーンマネージャーの現在の表示で確かめてください。

Amazon広告の予算ルールとは

予算ルールは、キャンペーンの1日の予算を、決めた条件のときだけ一時的に増やす機能です。通常の1日の予算はそのままで、ルールが働いている間だけ上乗せされます。

手で予算を変える場合との違いは、事前に決めておけば、当日に誰かが画面を見ていなくても予算が上がる点です。セールの開始が深夜だったり、休日に担当者がいなかったりしても、予算切れを防げます。

予算をどう配分するかの全体の考え方は広告予算の配分、そもそも月にいくら使うかは広告予算の目安の決め方にまとめています。予算ルールは、その配分を日ごとに細かく調整するための道具です。

予算ルールの2つの型

予算ルールには、大きく分けて次の2つの型があります。

型予算が上がる条件向く場面気をつける点
日付で上げる(スケジュール型)決めた期間・曜日になったときセール期間、売れる曜日、季節の需要が高い時期終了日の設定を忘れると、上げたままになる
成果で上げる(成果型)ACOSなどの指標が決めた条件を満たしたとき費用対効果のよいキャンペーンを、予算切れで止めたくないとき条件を緩くすると、成果の悪い日にも予算が増える

日付で上げる型では、Amazonが案内する大型セールの日程を選べる場合と、自分で期間や曜日を指定する場合があります。成果で上げる型では、過去の一定期間のACOSなどが条件を満たしているときにだけ予算を上げます。

初めて使うなら、日付で上げる型から始めるのが分かりやすい選び方です。いつ予算が上がるかが前もって分かるので、広告費の見込みを立てやすくなります。

設定の手順

予算ルールは、キャンペーンマネージャーから次の流れで設定します。

  1. 対象のキャンペーンを選ぶ:予算切れが起きているキャンペーンを、キャンペーンの一覧で確かめる。予算を使い切った時刻が早い日が多いものが候補
  2. 予算ルールの作成に進む:キャンペーンの設定画面から、予算ルールの項目を開く
  3. 型を選ぶ:日付で上げるか、成果で上げるかを選ぶ
  4. 期間・曜日、または条件を決める:日付の型なら開始日と終了日、曜日。成果の型なら指標と基準の値
  5. 上げ幅を決める:通常の1日の予算に対して何%上乗せするかを入れる(決め方は次の節)
  6. ルールに名前を付けて保存する:「11月セール_+50%」のように、期間と上げ幅が分かる名前にしておくと、あとで一覧を見たときに迷わない

保存したら、ルールの一覧に「予定」や「有効」の状態で表示されているかを確かめます。複数のキャンペーンに同じルールを使える場合もありますが、最初は1つのキャンペーンで試し、数字の動きを見てから広げてください。

セール日・曜日ごとの上げ幅の決め方

上げ幅は、勘で「セールだから倍」と決めるのではなく、過去の数字から決めます。

1. 予算切れの時刻を見る

通常の日に、予算を何時に使い切っているかを確かめます。仮に1日の予算が5,000円で、普段は20時に使い切っているなら、残り4時間分が足りていません。1時間あたり同じペースで使うと仮定すると、その日の不足は約1,000円です。

2. 当日の需要の伸びを見込む

セールの日は、普段より検索とクリックが増えます。過去のセールの日の広告費と、普段の日の広告費を比べて、何倍になっていたかを見ます。過去のデータが無ければ、控えめな上げ幅から始めて、当日の数字を見ながら次回に生かします。

3. 損益分岐ACOSを超えないかを確かめる

予算を上げても、そのぶん赤字の売上が増えては意味がありません。上げ幅を決める前に、自社の損益分岐ACOS(これ以上だと利益が出ない線)を出しておきます。

仮に、売価3,000円、原価900円、販売手数料とFBA手数料の合計が900円だとすると、広告費をかける前の利益は1,200円で、損益分岐ACOSは40%です。手数料はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。自社の数字は利益シミュレーター(損益分岐ACOS)で出せます。

日の種類(仮定)通常の1日予算上げ幅ルールが働く日の予算判断の目安
普段の平日5,000円なし5,000円20時に予算切れ。まずは様子を見る
売れやすい土日5,000円+30%6,500円過去の土日のACOSが損益分岐を下回っていれば上げる
大型セールの期間5,000円+100%10,000円過去のセールのACOSを見て、損益分岐の手前で止まる幅にする

上の表の上げ幅は、計算の形を示すための仮定です。セールの日は値引きで1個あたりの利益が減るため、普段より損益分岐ACOSは下がります。仮に上の例で300円値引きすると、利益は900円になり、損益分岐ACOSは約33%です。セールの日ほど、上げ幅は慎重に決めてください。セールそのものの準備は大型セールの準備に手順をまとめています。

使うときの注意点

予算ルールは便利ですが、設定したまま放置すると、思わぬ広告費が出ていきます。次の点に注意してください。

  • 終了日を入れる:日付で上げる型で終了日を空けると、セールが終わっても予算が上がったままになる
  • 入札も一緒に上げすぎない:予算と同時に入札も大きく上げると、クリック単価が上がり、予算の増額分がすぐに使い切られる。予算と入札は分けて考える
  • 時間帯の偏りを見る:予算を増やしても、売れない深夜にばかり使われていることがある。時間帯ごとの売れ方は時間帯ごとの広告の見方を参考にする
  • 在庫を確かめる:予算を上げた日に在庫が切れると、広告は止まり、増やした予算は生きない
  • ルールを重ねすぎない:同じキャンペーンに複数のルールが重なると、どのルールで予算が上がったのかが分かりにくくなる

週1回の点検

予算ルールを使うなら、週1回、次の3つを確かめる習慣を付けると安心です。

  1. ルールの一覧を開き、終わったセールのルールが残っていないか
  2. ルールが働いた日のACOSが、損益分岐ACOSを下回っていたか
  3. ルールが働いた日に、まだ予算切れが起きていないか(起きていれば上げ幅を見直す)

よくある質問

予算ルールを使うと、広告費は無制限に増えますか。 増えるのは、ルールで決めた上げ幅の範囲だけです。たとえば通常の予算5,000円に+50%のルールなら、その日の予算は7,500円になります。ただし複数のキャンペーンに同時にルールを使うと、全体の広告費は合計で増えるので、月の広告費の見込みも合わせて確かめてください。

通常の予算を最初から高くしておけば、予算ルールは要らないのでは。 売れない日にも予算が使われてよいなら、それでも構いません。ただし予算が多いほど、成果の悪い語にも広告費が流れやすくなります。普段は抑えておき、売れる日だけ上げるほうが、同じ月の広告費でも利益は残りやすくなります。

成果で上げる型の条件は、どう決めればよいですか。 損益分岐ACOSより低い水準を条件にするのが基本です。たとえば損益分岐ACOSが40%なら、ACOSが30%以下のときだけ上げる、のように余裕を持たせます。条件を損益分岐ACOSそのものにすると、利益の出ない日にも予算が上がることがあります。ACOSの目標の決め方はACOSの目標の置き方を参照してください。

まとめ

  • 予算ルールは、決めた条件のときだけ1日の予算を自動で上げる機能
  • 型は、日付で上げるスケジュール型と、成果で上げる成果型の2つ。最初は日付の型から
  • 上げ幅は、予算切れの時刻・当日の需要・損益分岐ACOSの3つから決める
  • セールの日は値引きで損益分岐ACOSが下がる。上げ幅は普段より慎重に
  • 終了日の入れ忘れ、入札の上げすぎ、在庫切れに注意する
  • 週1回、ルールの一覧と、働いた日のACOSを点検する

自社のキャンペーンでどこに予算を寄せるべきか分からない場合は、無料の運用診断で広告の状態を整理できます。予算の調整を含めた日々の運用を任せたい場合は、Amazon広告の運用代行の内容も参考にしてください。