Amazon広告の運用を代行会社に任せると、毎月レポートが届きます。数字の表がいくつも並び、ACOSが何%、クリック率が何%と書いてある。読んでみても、結局うまくいっているのかどうかが分からない。そういう相談をよく受けます。

分からないのは、読み手の知識が足りないからではありません。広告代行のレポートは、広告の管理画面の数字を中心に作られることが多く、事業として成果が出ているかを判断する数字が抜けやすいからです。広告の中だけで見れば改善していても、商品全体の売上や利益が増えていないことは珍しくありません。

この記事では、Amazon広告代行のレポートで見るべき5つの数字と見る順番、ACOSだけで判断してはいけない理由、報告書そのものの質の見分け方、定例の打ち合わせで聞く質問をまとめます。広告の管理画面のレポートを自分で読む方法はAmazon広告レポートの見方に分けて書いています。

広告代行レポートで判断に使う5つの数字

月次報告を開いたら、まず次の5つを探します。報告書に載っていなければ、次回から載せてもらうよう依頼してください。

順番数字何が分かるかどこから取るか
1総売上(広告経由+それ以外)商品全体として伸びているかビジネスレポート
2TACOS(広告費÷総売上)広告への依存度が上がっていないか広告費と総売上から計算
3広告費と予算の消化率決めた予算どおりに使われているか広告の管理画面
4ACOS(広告費÷広告経由売上)広告そのものの効率広告の管理画面
5主要な検索語の表示回数と順位の推移広告で自然検索の順位が育っているか検索語のレポート・順位の記録

順番には意味があります。最初に見るのは広告の数字ではなく、商品全体の総売上です。 広告の目的は、広告経由で売ることだけでなく、売れることで自然検索の順位を上げ、広告を使わない売上も増やすことにあります。総売上が伸びていなければ、広告の数字がどれだけ良くても、事業としては前に進んでいません。

総売上はセラーセントラルのビジネスレポートで見られます。見方はビジネスレポートの見方にまとめています。

1. 総売上:広告の外も含めて伸びているか

広告経由の売上だけが載ったレポートは、半分しか見えていません。総売上と、そのうち広告経由がいくらかを並べてもらいます。

見たいのは割合の動きです。広告経由の売上が増え、それ以外の売上も一緒に増えていれば、広告が自然検索を押し上げている形です。広告経由だけが増えて、それ以外が横ばいか減っているなら、もともと広告なしで売れていた分を、広告で取り直しているだけかもしれません。

2. TACOS:広告への依存度

TACOSは広告費を総売上で割った数字です。ACOSが広告の効率を見る数字なら、TACOSは事業全体のうち広告にどれだけ頼っているかを見る数字です。詳しくはTACOSとはで説明しています。

立ち上げ期はTACOSが高くても構いません。見るのは推移です。数か月かけてTACOSが下がっていくなら、広告で育てた順位が自然検索の売上を生み始めている状態です。逆に、何か月たってもTACOSが下がらない、あるいは上がり続けるなら、広告を止めた瞬間に売上が落ちる体質になっています。

3. 広告費と予算の消化率

決めた月の予算に対して、いくら使ったかです。使いすぎはもちろん、使い残しも確認が要ります。予算の半分しか使われていない月が続くなら、入札が低すぎて表示されていないか、キャンペーンの組み方に問題がある可能性があります。

日ごとの消化も見られるなら、月末に予算が尽きて広告が止まっていないかを確認します。売れる時間帯や曜日に広告が出ていなければ、ACOSが良く見えても機会を逃しています。

4. ACOS:広告そのものの効率

ACOSは広告費を広告経由売上で割った数字です。低いほど効率が良いと言われますが、ACOSは目標と比べて初めて意味を持ちます。目標は商品の粗利率から逆算します。たとえば広告前の粗利率が仮に35%なら、ACOSが35%を超えると広告経由の販売は赤字です。目標の置き方はACOSの目標の決め方と下げ方にまとめています。

5. 主要な検索語の表示回数と順位

最後に、売上の柱になる検索語が育っているかを見ます。広告で売れることで、その検索語の自然検索の順位が上がっていくのが理想です。主要な検索語を3〜5個決め、月ごとの広告の表示回数と自然検索の順位を並べてもらいます。

順位は日によって動くので、月に1回の点ではなく、週1回程度の記録の平均で見るほうが傾向をつかみやすくなります。

ACOSだけで判断してはいけない理由

レポートの表紙に「ACOSが前月比で改善しました」と書いてあることがあります。それ自体は悪い報告ではありませんが、ACOSは広告費を絞るだけで簡単に下がる数字です。

仮の数字で見てみます。

項目前月当月
広告費300,000円150,000円
広告経由売上1,000,000円600,000円
ACOS30%25%
広告以外の売上1,000,000円900,000円
総売上2,000,000円1,500,000円
TACOS15%10%

当月はACOSもTACOSも下がっていて、数字だけ見れば改善です。しかし総売上は200万円から150万円に、25%減っています。

粗利で比べると違いがはっきりします。仮に広告費を引く前の粗利率を35%とすると、前月は総売上200万円×35%=70万円から広告費30万円を引いて40万円。当月は150万円×35%=52.5万円から15万円を引いて37.5万円です。ACOSは改善したのに、手元に残る粗利は2.5万円減っています。 さらに売上が落ちたことで、翌月以降の自然検索の順位にも響くかもしれません。

逆のパターンもあります。新商品の立ち上げで広告費を増やした月は、ACOSが一時的に悪化します。それでも総売上と主要な検索語の順位が上がっていれば、狙いどおりに進んでいる可能性があります。ACOSの上下だけを見て「今月は失敗」と判断すると、育ち始めた広告を止めてしまうことになります。

ACOSは5つの数字の4番目に見るものと決めておくと、こうした読み違いを避けられます。

報告書の質を見分ける項目

数字が正しくても、報告書の作りが悪いと判断に使えません。次の表で、届いているレポートを点検してみてください。

項目良い報告書判断に使いにくい報告書
比較前月・前年同月と並べている当月の数字だけ
作業の記録何を・いつ・なぜ変えたかが書いてある「入札を調整しました」の一文だけ
結果の説明数字が動いた理由を、作業と結びつけて説明している数字の上下を文章で言い直しているだけ
次の行動来月やることと、その狙いが書いてある来月の予定がない、または毎月同じ
総売上広告以外の売上も載っている広告の管理画面の数字だけ
検索語売れた検索語・除外した検索語が載っている検索語の情報がない

特に大事なのは作業の記録です。数字が動いた理由を後から追えるのは、何をいつ変えたかが残っているときだけです。担当者が変わったときや、代行会社を乗り換えるときにも、この記録がそのまま引き継ぎの資料になります。乗り換えの段取りは代行会社の乗り換え方に書いています。

作業の記録で確認したい中身

作業の記録には、少なくとも次が書かれているかを見ます。

  • 入札を変えたキャンペーン・検索語と、変更前後の金額
  • 追加した検索語と、除外した検索語の一覧
  • 新しく作ったキャンペーン・止めたキャンペーンとその理由
  • 予算配分を変えた場合は、その理由

「除外キーワードを追加しました」とだけ書かれていて、何を除外したかが分からない報告書は、作業の中身を確認できません。除外の考え方は除外キーワードの決め方にまとめています。

定例の打ち合わせで聞く質問

報告書を受け取ったら、定例の打ち合わせで次の質問を投げてみてください。答えが具体的に返ってくるかどうかで、運用の中身が分かります。

  1. 今月、総売上は前月比でどう動きましたか。広告以外の売上はどうですか
  2. TACOSはここ3か月でどう動いていますか。下がっていないなら理由は何ですか
  3. ACOSが動いた理由は、どの作業と結びついていますか
  4. 今月いちばん売れた検索語と、いちばん無駄になった検索語は何ですか
  5. 来月やることは何で、どの数字がどう動けば成功ですか

5番目の質問は特に役に立ちます。来月の作業に「どの数字がどう動けば成功か」を先に決めておけば、翌月の報告で答え合わせができます。 これを毎月繰り返すと、報告が「数字の説明」から「仮説と検証」に変わっていきます。

答えに詰まる、毎回同じ説明が続く、数字が悪い月ほど報告が短くなる。こうした傾向が3か月続くなら、運用の中身を見直す時期です。成果が出るまでの期間の目安は代行の成果が出るまでの期間を参考にしてください。

代行費に見合っているかを試算する

最後に、代行費を払う価値があるかを見ます。比べるのは「代行費」と「代行で増えた粗利」です。

仮に次の条件だったとします。

  • 代行費:月50,000円
  • 代行を始める前3か月の平均総売上:150万円、始めて4〜6か月目の平均:200万円
  • 広告費を引く前の粗利率:35%
  • 広告費:始める前は月20万円、始めてからは月30万円

増えた粗利は、総売上の増分50万円×35%=17.5万円から、広告費の増分10万円を引いた7.5万円です。ここから代行費5万円を引くと、手元に残る増分は月2.5万円になります。

項目金額(月・仮定)
総売上の増分500,000円
増えた粗利(35%)175,000円
広告費の増分マイナス100,000円
代行費マイナス50,000円
手元に残る増分25,000円

この仮定ではプラスですが、総売上の伸びが40万円だと、粗利14万円から広告費10万円と代行費5万円を引いてマイナス1万円になります。代行費に見合うかどうかは、ACOSではなく、総売上の伸びと粗利率で決まります。 季節やセールの影響を除くため、同じ月の前年と比べられるならそれも並べてください。費用の型ごとの比べ方はAmazon広告の運用代行の費用に、粗利率の計算は利益計算ツールにまとめています。

よくある質問

レポートが毎月届きますが、何も書かれていないのと同じに感じます。どう頼めばよいですか。 「総売上・TACOS・作業の記録・来月の予定」の4つを次回から入れてほしい、と具体的に依頼してください。項目を指定すれば、多くの場合は対応してもらえます。対応できない、あるいは追加料金になると言われた場合は、契約範囲を確認し直す機会です。

ACOSが目標を上回っています。すぐに代行会社を変えるべきですか。 すぐに判断する必要はありません。まず総売上とTACOSの推移、主要な検索語の順位を見てください。立ち上げ期や、新しい検索語を試している月はACOSが上がることがあります。そのうえで、ACOSが高い理由と来月の対策を聞き、その対策で翌月どの数字がどう動くはずかを確認します。2〜3か月続けて説明と結果が合わない場合に見直すのが現実的です。

レポートの数字は、自分でも確かめたほうがよいですか。 総売上と広告費の2つだけでも、月に1回は自分でセラーセントラルを開いて確かめることをおすすめします。報告書の数字と合っているかを見るだけで十分です。代行に任せていても、アカウントの持ち主として数字を見る習慣があると、報告の読み違いを防げます。

どのくらいの頻度で報告をもらうのがよいですか。 判断の材料としては月1回の報告で足ります。週次の細かい数字は日々の変動が大きく、かえって判断を迷わせます。ただし新商品の立ち上げやセール期間は、週1回の短い報告を追加してもらうと、予算の調整が間に合います。

まとめ

  • 広告代行のレポートは、総売上・TACOS・広告費と消化率・ACOS・主要な検索語の5つで読む
  • 最初に見るのは総売上。広告経由だけでなく、広告以外の売上も伸びているかを見る
  • ACOSは広告費を絞れば下がる。総売上と粗利と並べて読まないと、改善を見誤る
  • 報告書は「前月比較・作業の記録・数字が動いた理由・来月の予定」が揃っているかで質を見る
  • 定例では「来月どの数字がどう動けば成功か」を決め、翌月に答え合わせをする
  • 代行費に見合うかは、総売上の伸びと粗利率から手元に残る増分を出して判断する

いま届いているレポートで判断がつかない場合は、無料の運用診断で現状の数字を一緒に整理できます。広告の運用そのものを見直したい場合はAmazon広告の運用代行のページに当社の支援内容を、個別の事情がある場合はご相談からお声がけください。