Amazon広告 効果が出ないと感じたとき、最初に入札額を上げたり、キャンペーンを作り直したりしていないでしょうか。原因が分からないまま手を動かすと、たまたま数字が動いても、何が効いたのか分かりません。
広告の成果は、表示される → クリックされる → 購入されるの3段階を順に通ってはじめて出ます。どこか1か所で止まっていれば、その先は動きません。この記事では、広告レポートの数字を使って、止まっている段階を1つに絞る手順を説明します。
数字の意味そのものは広告レポートの見方に、ACOSの目標の置き方はACOSの適正値と下げ方にまとめています。
まず「効果が出ない」を数字に置き換える
「効果が出ない」は人によって指しているものが違います。最初に、何が不満なのかを1つの数字にします。
| 不満の言い方 | 置き換える数字 | 見る期間の目安 |
|---|---|---|
| 広告を出しても売れない | 広告経由の注文数 | 直近14〜30日 |
| 売れているが赤字 | ACOSと損益分岐ACOS | 直近30日 |
| 広告費が使われない | インプレッション数・消化額 | 直近7〜14日 |
| 全体の売上が増えない | TACOS・自然検索経由の注文 | 直近60〜90日 |
期間が短すぎると、たまたまの上下で判断してしまいます。クリックが数十回しかない段階では、購入率が良いか悪いかは決められません。判断に使う量が溜まるまで待つことも、切り分けの一部です。
赤字かどうかを見るには、損益分岐ACOSを先に出しておきます。1個あたりの粗利が売価の何%かで決まります。粗利の出し方は利益シミュレーターで計算できます。
段階1:表示されているか
インプレッション(表示回数)が少なければ、クリックも購入も起こりません。最初に見るのはここです。
見る数字
- インプレッション数
- 日予算の消化率(予算に対して何%使われたか)
- 検索結果ページ上部のインプレッションシェア(見られる場合)
表示が少ないときの原因の候補
- 入札額が低い:競合より低いと、表示の競りに負けます。推奨入札額の下限にも届いていないなら、まず疑います
- キーワードが狭すぎる:完全一致で検索数の少ない語だけを入れていると、表示の機会そのものがありません
- 除外キーワードを入れすぎている:過去に除外した語が、実は主要な語を含んでいることがあります
- カートを取れていない・在庫がない:カートボックスを取れていない商品は広告が出にくくなります。カートが取れない原因を先に確認します
- 予算を早い時間に使い切っている:午前中で予算が尽きると、午後以降は表示されません
予算が毎日上限まで使われているのに表示が少ない場合は、予算不足ではなく単価(入札額)が高すぎて回数が稼げていない可能性もあります。消化額とインプレッションを並べて見てください。
段階2:クリックされているか
表示は十分あるのにクリックが少ないなら、止まっているのは2段階目です。見る数字はクリック率(CTR)です。
CTRが低いときの原因の候補
- メイン画像が競合の中で埋もれている:検索結果で並んだときに、何の商品か一目で分からない
- 価格が競合より明らかに高い:検索結果では価格も同時に見られます
- レビュー数・星評価が見劣りする:星3.5を下回ると、クリックされにくくなる傾向があります
- キーワードと商品がずれている:検索した人が探しているものと違う商品が表示されている
最後の点は、検索語句レポートで確かめます。表示は多いのにクリックがほとんどない検索語句があれば、その語は商品と合っていません。除外の候補です。除外の手順は除外キーワードのやり方にあります。
画像や価格に原因がある場合、広告の設定をいくら変えても改善しません。ここで広告から商品ページ側の作業に切り替えます。
段階3:購入されているか
クリックは来ているのに注文が少ないなら、止まっているのは商品ページです。見る数字は広告の購入率(注文数÷クリック数)です。
購入率が低いときの原因の候補
| 確認する場所 | よくある状態 | 打ち手 |
|---|---|---|
| メイン画像・サブ画像 | 使う場面やサイズ感が伝わらない | サブ画像で疑問に順に答える構成にする |
| 箇条書き・商品説明 | 検索した理由に対する答えが上にない | 1〜2行目に検索語に対する答えを置く |
| レビュー | 低評価が上位に表示されている | 指摘内容を確認し、改善とページへの反映を検討する |
| 価格・配送日数 | 競合より高い、届くのが遅い | 価格の位置取りと在庫の置き方を見直す |
| バリエーション | 欲しい色やサイズが在庫切れ | 欠品している子の補充を優先する |
広告経由の購入率は、ビジネスレポートのユニットセッション率(ページ全体の購入率)とも比べます。ページ全体の購入率も低ければ、原因はページにあります。広告経由だけが低ければ、広告が呼んでいる人と商品が合っていません。キーワードの見直しに戻ります。
ページの直し方は商品ページ改善の手順と転換率を上げる方法にまとめています。
段階は通っているのに赤字のとき
表示・クリック・購入のどれも極端に悪くないのに赤字になる場合は、構造の問題です。
仮に、売価3,000円で、広告費を除く1個あたりの粗利が900円の商品だとします。損益分岐ACOSは900÷3,000で30%です。クリック単価が60円、購入率が10%なら、1個売るのにかかる広告費は600円で、ACOSは20%です。同じ商品でクリック単価が100円に上がると、1個あたり1,000円で、ACOSは約33%になり、損益分岐を超えます。
このように、クリック単価と購入率の組み合わせで、1個あたりの広告費が決まります。打ち手は3つしかありません。
- クリック単価を下げる(入札額の調整、競りの激しい語から外す)
- 購入率を上げる(ページを直す、合わない語を除外する)
- 1個あたりの粗利を増やす(価格・原価・手数料の見直し)
手数料率やFBA料金はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。上の金額はすべて説明用の仮の値です。
また、広告単体が赤字でも、広告経由で売れた分が検索順位を押し上げ、自然検索の注文が増えていることがあります。その場合はACOSだけでなく、売上全体に対する広告費の比率(TACOS)で判断します。
直す順番と、変更後に待つ期間
止まっている段階が分かったら、直すのは手前の段階からです。表示が足りない状態でページを直しても、変化を測れません。
- 表示:入札額・キーワード・予算を調整する
- クリック:メイン画像・価格・合わない検索語の除外
- 購入:商品ページ・レビュー・在庫
一度に変えるのは1か所にします。入札額とメイン画像を同時に変えると、どちらが効いたのか分かりません。変更後は、少なくとも7日、できれば14日は同じ条件で回し、変更前の同じ日数と比べます。Amazon広告の注文は、クリックから数日遅れて計上されることがあるので、直近2〜3日の数字だけで判断しないことも大切です。
この切り分けを毎週の点検に組み込む場合は、週次チェックの10項目と合わせて使ってください。
よくある質問
広告を始めてどのくらいで効果を判断できますか。 期間よりも量で決めます。キーワードごとにクリックが数十回溜まるまでは、購入率の良し悪しは判断できません。多くの商品では、始めてから2〜4週間は設定の調整期間と考え、その間は大きな作り直しをしないほうが判断しやすくなります。
オート広告だけで効果が出ないのですが、止めるべきですか。 すぐに止めるより、まず検索語句レポートを見ます。オート広告は、売れる語と売れない語を見つける役割もあります。売れた語はマニュアル広告に移し、合わない語は除外して、残りの成果で判断してください。使い分けはオートとマニュアルの使い分けにまとめています。
入札額を上げれば効果は出ますか。 止まっているのが表示の段階なら、上げることで改善する可能性があります。クリックや購入の段階で止まっている場合、入札額を上げるとクリック単価が上がるだけで、赤字が広がります。どの段階で止まっているかを先に確かめてください。
自分で切り分けても原因が分からないときはどうすればよいですか。 段階ごとの数字を表にまとめ、外部の目で見てもらうのが近道です。当社は2019年から広告運用に関わってきました。広告運用代行の内容を確認するか、無料の診断で現状を整理できます。
まとめ
- 「効果が出ない」をまず1つの数字に置き換え、判断に足る量が溜まる期間で見る
- 成果は表示・クリック・購入の3段階を通って出る。止まっている段階を1つに絞る
- 表示が少なければ入札額・キーワード・予算・カート獲得を疑う
- クリック率が低ければメイン画像・価格・レビュー・キーワードのずれを見る
- 購入率が低ければ商品ページ側を直す。広告設定では解決しない
- 赤字ならクリック単価×購入率で1個あたりの広告費を出し、損益分岐ACOSと比べる
- 直すのは手前の段階から1か所ずつ。変更後は7〜14日待って比べる
