Amazon広告コンサルを探し始めると、「コンサル」「運用代行」「代理店」という言葉が同じ検索結果に並びます。名前が違っても中身が似ていることもあれば、同じ「コンサル」でも助言だけの会社と、設定作業まで引き受ける会社があります。名前で選ぶと、契約してから「思っていた支援と違う」となりがちです。

この記事では、Amazon広告のコンサルを「誰が手を動かすか」で運用代行と分け、扱う範囲、費用の型と年額での比べ方、向くケースと向かないケース、契約前に確認することを順に整理します。判断の分かれ目は、社内に週数時間でも広告の作業に使える人がいるかどうかです。 以下の金額と時間はすべて仮の数字なので、自社の条件に置き換えて読んでください。

広告以外も含めたAmazon運用全体のコンサルについてはAmazonコンサルの範囲と進め方にまとめています。

Amazon広告コンサルと運用代行の違い

Amazon広告の支援は、手を動かすのが自社か外部かで2つに分かれます。コンサルは「何をどの基準でやるか」を一緒に決め、実際の設定は自社が行う形。運用代行は、決めた基準に沿った設定作業まで外部が行う形です。

項目広告コンサル広告の運用代行
主な役割現状の分析、キャンペーン構造と作業基準の設計、定例での助言設計に加えて、除外・入札・予算などの設定作業
手を動かす人自社の担当者外部の担当者
自社の工数(仮定・月)8〜12時間2〜4時間
自社に残るもの作業の基準、判断の記録、担当者の経験報告書。基準は外部に残りやすい
起きやすい問題助言が実行されず、数字が変わらない何を変えたか社内で説明できなくなる

自社の工数は、広告を出す商品が数点から10点程度の場合の目安として置いた数字です。

作業・設計・判断のどこを外に出すか

広告運用の仕事は、除外や入札を基準どおりに変える「作業」、その基準やキャンペーン構造を作る「設計」、目標ACOSや広告費の上限を決める「判断」の3つの層に分けられます。

コンサルが担うのは主に設計の層で、判断の層には材料と案を出します。運用代行は作業の層と設計の層を担います。どちらの形でも、判断の層は自社に残ります。粗利率や資金、在庫の予定を知っているのは自社だけだからです。層の分け方と、外注する範囲の線の引き方は広告運用を外注するときの範囲の決め方で詳しく書きました。

呼び方より契約の範囲で見る

「コンサル」「顧問」「運用支援」「代理店」といった呼び方は、会社ごとに使い方が違います。コンサルと名乗っていても設定作業を含む契約もあれば、代行と名乗っていても月1回の助言が中心の契約もあります。比べるときは名前ではなく、誰が設定を変えるのか、何が文書で残るのかを見積もりの段階で書き出してもらってください。

Amazon広告コンサルで扱うこと

広告コンサルの支援は、おおむね次の順で進みます。

  1. アカウントの棚卸し。 キャンペーンの一覧、検索用語レポート、予算の消化状況から、どこで広告費が漏れているかを洗い出す
  2. 目標の置き方の整理。 商品ごとの損益分岐ACOSを出し、目標ACOSと広告費の上限を自社が決めるための材料をそろえる
  3. キャンペーン構造の設計。 探索・主力・育成・防衛などの役割で分け、商品とキーワードの置き場所を決める
  4. 週次作業の基準づくり。 除外する語の条件、入札を上げ下げする条件、マニュアルへ移す条件を文章にする
  5. 定例での確認。 月1回などの頻度で数字を一緒に見て、次にやることを決める
  6. 社内への引き継ぎ。 担当者が替わっても回るように、手順と判断の記録を残す

各段階で何が手元に残るかを並べると、支払った費用の中身が見えます。

支援内容文書で残るもの頻度の目安
棚卸し問題点の一覧と優先順位開始時と半期に1回
目標の整理商品ごとの損益分岐ACOSの表開始時と原価が変わったとき
構造の設計キャンペーンの設計図と命名のルール開始時と商品追加時
作業基準除外・入札・移動の基準書開始時に作り、定例で直す
定例議事録(数字・決めたこと・次にやること)月1回など
引き継ぎ週次作業の手順書3か月目までに

構造の考え方はキャンペーン構造の作り方、作業基準の中身は除外キーワードの決め方入札額の決め方に書いています。コンサルから受け取る基準書が、こうした作業の基準を自社の数字で具体化したものになっているかを確かめてください。

コンサルの範囲に入らないことが多いもの

日々の入札や除外の設定、画像や動画の制作、在庫の発注と価格の決定は、コンサルの範囲外とされるのが一般的です。ただし広告の成果は商品ページと在庫に左右されるので、「画像のこの段階で離脱している」「残り日数が短いので予算を絞る」といった指摘をどこまで含むかは、契約前にすり合わせておきます。

コンサルが向くケース、向かないケース

どちらの形が合うかは、会社の規模より社内の体制で決まります。

自社の状況合う形理由
担当者がいて、週に2〜3時間は広告に使えるコンサル基準さえあれば作業は社内で回る
担当者はいるが、判断の基準がなく触るのが怖いコンサル基準書と定例で判断の型を身につけられる
いずれ社内だけで運用したいコンサル基準と記録が自社に残る
経営者が兼務していて、広告に割ける時間がない運用代行助言を受けても実行する時間がない
商品数が多く、キャンペーンが数十ある運用代行、または代行と定例の組み合わせ週次の作業量が社内の時間を超える
広告費が小さく、月額の支払いを重くしたくない単発の設計と、四半期の見直し設計さえ整えば、日々の作業は少ない

「週に2〜3時間」は月にすると8〜12時間で、上の違いの表に置いた自社の工数と同じ水準です。この時間が取れない状態でコンサルを選ぶと、費用を払っても何も変わりません。

向かないのに選んだときの失敗

合わない形を選んだときに起きやすい失敗を3つ挙げます。

  • 助言が実行されない。 定例で「この語を除外しましょう」と決めても、次の定例までに誰も設定していない。2回続いたら、体制の問題として代行寄りの形を検討する合図です
  • 資料だけが増える。 分析のレポートは届くが、次に何をするかが書かれていない。議事録に「誰が・いつまでに・何をするか」の欄を作ってもらうと防げます
  • 判断まで任せてしまう。 目標ACOSや広告費の上限まで外部に決めてもらうと、在庫や資金の事情と合わない運用になります。案は出してもらい、決めるのは自社です

代行に頼んだ場合のメリットとデメリットは代行に頼むメリット・デメリットに、自社で運用するか外に出すかの判断は自分で運用するか代行に頼むかに整理しています。

費用の型と、年額での比べ方

広告コンサルの費用は、主に次の3つの型で決まります。

  • 月額の定額。 定例の回数と、定例外の質問への対応範囲で金額が決まる
  • 時間単価・回数単価。 1回の相談や診断ごとに支払う。スポットで使いやすい
  • 単発の設計。 棚卸しと構造の設計、基準書の作成をまとめて1回で請け負う

コンサルは外部への支払いが運用代行より軽くなりやすい一方で、作業する社内の時間が費用として乗ります。比べるときは、この時間も金額に直して年額で並べます。

計算の形を示すため、次の仮の条件を置きます。実際の水準を示すものではありません。

  • 月額の定額コンサル:月60,000円、自社の工数は月12時間
  • 単発の設計:200,000円を1回、四半期ごとの見直しを1回30,000円で年4回、自社の工数は月10時間
  • 運用代行(月額固定):月150,000円、自社の工数は月3時間
  • 自社の工数は時給3,000円で金額に直す
外部への支払い(1年目)自社の工数の金額(年)1年目の合計
月額の定額コンサル720,000円432,000円1,152,000円
単発の設計+四半期の見直し320,000円360,000円680,000円
運用代行(月額固定)1,800,000円108,000円1,908,000円

内訳です。定額コンサルは月60,000円×12か月で720,000円、工数は12時間×3,000円×12か月で432,000円。単発の設計は200,000円+30,000円×4回で320,000円、工数は10時間×3,000円×12か月で360,000円。運用代行は月150,000円×12か月で1,800,000円、工数は3時間×3,000円×12か月で108,000円です。

2年目以降の差を見る

コンサルの形は、基準と手順が社内に残るぶん、2年目以降に支援を縮められる可能性があります。仮に2年目は、定額コンサルも単発設計の形も四半期の見直しだけ(年120,000円)に縮め、自社の工数は月10時間(年360,000円)とすると、2年目の合計はどちらも480,000円です。運用代行を同じ条件で続ければ、2年目も1,908,000円のままです。

ただし、この差は社内の担当者が作業を続けられた場合の計算です。担当者が辞めたり、繁忙期に作業が止まったりすれば、2年目に運用代行へ切り替えることになり、1年目の支払いの一部は無駄になります。コンサルを選ぶなら、担当者を1人に固定せず、手順書を2人以上が読める状態にしておくことが前提です。

運用代行の料金の型と年額の比べ方は運用代行の費用の3つの型にまとめています。当社のプランと料金は料金ページに公開しています。

契約前に確認すること

見積もりを取ったら、金額より先に次を全社に同じ形で聞いてください。

  • 成果物として文書で残るものは何か(基準書、設計図、議事録)
  • 定例の回数と時間、定例外の質問に返事をする期限
  • アカウントの権限は閲覧だけでよいか。設定まで行う場合はどの範囲か
  • 助言の根拠になった数字を、表の形で共有してもらえるか
  • 社内の担当者向けの手順書を作るか。作るならいつまでか
  • 商品ページや在庫についての指摘は、範囲に含まれるか
  • 最低契約期間、途中解約の条件、終了時に受け取るもの

権限については、セラーセントラルのユーザー権限の機能で、担当者ごとに必要な範囲だけを付与する形にしてください。IDとパスワードをそのまま共有すると、解約時に何を取り消せばよいか分からなくなります。

面談での質問の仕方は代理店の選び方と見積もりで聞く質問に、よくある失敗は運用代行でよくある失敗例に書きました。コンサルの契約でも同じ落とし穴があります。

コンサルを入れてから3か月の進め方

広告は設定を変えてから数字が動くまで2〜4週間かかるので、1か月目の数字だけでは良し悪しを判断できません。最初の3か月を次のように進めると、続けるか、縮めるか、代行に切り替えるかを決める材料がそろいます。

時期コンサル側がやること自社がやること
1か月目棚卸し、損益分岐ACOSの表、構造の設計案原価・在庫・価格の予定を渡し、設計案を承認する
2か月目作業基準書の作成、定例で検索用語レポートを一緒に確認基準どおりに週次作業を行い、やったことを記録する
3か月目振り返りと、社内で回せる部分と残る課題の整理続ける・縮める・代行に切り替えるを決める

3か月目の振り返りでは、数字より先に「週次作業が基準どおりに行われたか」を見ます。作業が回っていて数字が伸びないなら、原因は広告の外(商品ページ・価格・在庫)にあるかもしれません。作業が回っていないなら、コンサルの質ではなく体制の問題です。

数字はACOSだけでなく、TACOSと1個あたりの利益も並べて見てください。ACOSが下がっても、値引きで売っていれば利益は減っています。自社の損益分岐ACOSは利益シミュレーターに売価・原価・手数料率を入れると出せます。手数料率はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してから入れてください。

当社は2019年からAmazonの支援をしていて、これまでに30ブランド・300商品ほどを見てきました。広告の相談でも、損益分岐ACOSと在庫の状態の確認から始めます。月次で助言する形と、実作業まで担う形の違いはAmazon広告の運用代行の内容Amazonコンサルのページで比べられます。

よくある質問

広告費がいくらくらいから、コンサルを頼む意味がありますか。 金額の線より、改善できる余地が費用を上回るかで考えます。仮に月の広告費が10万円で、除外と入札の見直しで無駄なクリックが1割減れば月1万円、年12万円です。月額の定額コンサルだと支払いのほうが大きくなるので、広告費が小さいうちは単発の設計とスポットの見直しを組み合わせ、日々の作業は自社で回す形が合いやすくなります。

定例で決めたことを社内で実行できなかった場合はどうなりますか。 数字は変わりません。コンサルは実行を代わりに担わないためです。2回続けて実行できなかった場合は、担当者の時間を確保するか、週次作業だけを外に出す形に切り替えるかを検討してください。実行できなかった理由(時間が無い、基準が分かりにくい、権限が無い)を議事録に残すと、次の手が選びやすくなります。

コンサルと運用代行を、途中で切り替えられますか。 契約によりますが、更新のタイミングで形と範囲を見直すのが一般的です。切り替えを見込むなら、基準書と設計図、除外キーワードの一覧が自社の手元に残る契約にしておくと、次の形に移ったときに一から作り直さずに済みます。

コンサルに広告アカウントの編集権限を渡す必要はありますか。 助言だけなら閲覧できる権限で足りることが多いです。設定の一部まで頼む場合だけ、その範囲の権限を担当者ごとに付与します。付与した権限は一覧にしておき、契約が終わったら取り消してください。

まとめ

  • Amazon広告コンサルと運用代行の違いは、誰が設定作業をするか。コンサルは設計と助言、代行は作業まで担う
  • 目標ACOSや広告費の上限などの判断は、どちらの形でも自社に残る
  • 呼び方ではなく、誰が設定を変えるか、何が文書で残るかで比べる
  • 社内に週2〜3時間の作業時間が取れるならコンサル、取れないなら代行が合いやすい
  • 費用は外部への支払いに社内の工数を足した年額で比べる。コンサルは2年目以降に縮められる可能性がある
  • 3か月目に、作業が基準どおり回ったかを先に見て、続ける・縮める・切り替えるを決める

まずは自社で広告の作業に使える時間を、週あたりの時間で書き出してみてください。どこから手を付けるべきか分からない場合は無料の運用診断で弱い箇所を整理できます。個別の相談はお問い合わせからどうぞ。