セラーセントラルの在庫画面で、在庫パフォーマンス指標(IPIと呼ばれることもあります)の数字が下がっていると、何を直せばいいのか分からず焦ります。FBAに納品できる量や保管の条件に関わるとなれば、なおさらです。
ただ、この指標は1つの数字に見えて、中身はいくつかの要素の組み合わせです。どの要素が数字を下げているかが分かれば、やることは絞れます。逆に、原因を見ずに値下げや広告を一律にかけると、利益だけが削れて指標は思ったほど戻りません。
この記事では、Amazon在庫パフォーマンス指標の見方と、下がったときにどこから直すかを書きます。指標の名称や評価の基準、表示される項目は見直されることがあるので、最新の定義はセラーセントラルの案内で確認してください。
在庫パフォーマンス指標とは何を見ている数字か
在庫パフォーマンス指標は、FBAに預けている在庫が「売れる分だけ、切らさずに、無駄なく」置かれているかを、Amazonがまとめて評価した数字です。FBAの倉庫は共有の資源なので、預けた在庫がどれだけ効率よく回っているかを出品者ごとに見ている、と考えると分かりやすくなります。
中身の要素は、おおむね次の4つに分けて読めます。
| 要素 | 見ていること | 悪化するとき |
|---|---|---|
| 過剰在庫 | 需要に対して多すぎる在庫の割合 | 販売ペースより大きい量を納品した |
| 販売率(回転) | 在庫に対して、一定期間でどれだけ売れたか | 売れ行きが落ちた、在庫だけ積み増した |
| 販売不可在庫 | 出品情報の不備などで売れない状態の在庫 | 出品停止、情報の不備、価格の条件外 |
| 在庫切れ | 売れ筋の商品を切らしていないか | 補充が遅れ、FBA在庫がゼロになった |
評価の基準値や、基準を下回ったときの扱いは時期によって変わります。数字そのものより、どの要素が足を引っ張っているかを見るのが実務の読み方です。
数字が下がる原因を要素ごとに見分ける
在庫画面の該当ページには、要素ごとの状況と、対象になっている商品の一覧が出ます。見る順番は次のとおりです。
- 販売不可在庫を先に見る。出品情報の不備や出品停止で売れない在庫は、直せばそのまま売れる状態に戻ります。手間が小さく、効き目が大きいので最初に片付けます
- 過剰在庫の一覧を見る。どのSKUが、何日分の在庫を抱えているかを確認します。在庫日数が長い順に並べると、手を付ける順番が決まります
- 販売率の低いSKUを見る。過剰在庫と重なることが多いですが、在庫量は普通でも売れ行きが急に落ちたSKUはここで見つかります
- 在庫切れの商品を見る。売れ筋を切らしていると、この要素だけでなく検索順位にも響きます
たいていの場合、指標を大きく下げているのは少数のSKUです。全商品を一律に直すのではなく、影響の大きい上位のSKUから順に手を打つほうが早く戻ります。
よくある原因の組み合わせ
| 状況 | 原因として多いもの | 最初の一手 |
|---|---|---|
| 急に数字が下がった | 季節商品の売れ行きが止まった、大量納品した直後 | 過剰在庫一覧で直近に納品したSKUを確認 |
| じわじわ下がっている | 売れない商品が長く残っている | 在庫日数の長い順に処分・販売の方針を決める |
| 下がったまま戻らない | 販売不可在庫が放置されている | 出品情報の不備を直す、返送か処分を決める |
| 上がったり下がったりを繰り返す | 補充のたびに多めに入れている | 1回の納品量を減らし、納品の回数を増やす |
過剰在庫と販売不可在庫を減らす手順
過剰在庫の対処は、次の順に検討します。上から順に利益への影響が小さい手です。
- 次の納品を止める。まず新しい在庫を入れないことが先です。発注点を計算し直し、販売ペースが落ちたSKUは補充を止めます
- 広告と商品ページで販売速度を上げる。売れ行きが落ちた原因がページや広告側にあるなら、ここで戻せます
- クーポンや値引きで在庫を動かす。利益は減りますが、長期保管の手数料や保管料がかかり続けるよりはよい場合があります
- 返送して自社で売る、または処分する。売れる見込みが薄い在庫は、FBAに置き続けるより引き上げたほうが手元の損失が小さくなることがあります
どの手を選ぶかは、「このまま置いたらいくらかかるか」と「動かしたらいくら減るか」の比較で決めます。仮に、1個あたりの粗利が600円の商品で、20%引きのクーポン(1個300円引き)を付けて在庫を動かすと、粗利は1個300円に下がります。これを、同じ在庫を数か月置き続けた場合の保管手数料と比べて、小さいほうを選びます。保管料の金額はサイズ・時期・保管期間で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の請求明細で確認してください。
販売不可在庫は、原因がはっきりしていることが多いので、一覧から1件ずつ理由を見て直します。出品情報の不備なら修正、価格の条件で止まっているなら価格を見直し、売る見込みがないものは返送か処分を決めます。放置している時間がいちばんの無駄です。
積み上がった在庫の減らし方は在庫保管料を抑える運用、値下げの判断は価格改定の手順で詳しく書いています。
在庫切れを防ぎながら、持ちすぎも防ぐ
指標を上げようとして在庫を絞りすぎると、今度は在庫切れの要素が悪化し、検索順位も落ちます。在庫は「少なければよい」ではありません。
両方を防ぐには、SKUごとに「いつ発注するか」と「どこまで持つか」の2本の線を引きます。
- 発注点:1日の販売数 × リードタイム + 安全在庫。在庫がここを下回ったら発注する
- 上限の在庫日数:これを超えたら次の発注を止める。仮に在庫日数90日を上限とするなら、1日10個売れる商品は900個が上限の目安です
発注点の計算は在庫切れを防ぐ発注基準、安全在庫の考え方は安全在庫の計算にまとめています。発注量は発注量シミュレーターでも出せます。
納品の仕方も効きます。1回に大量に入れて長く持たせるより、1回の量を減らして回数を増やすほうが、過剰在庫の要素は悪化しにくくなります。その分、納品の手間と入庫の送料は増えるので、どこで折り合うかは商品の回転とリードタイム次第です。
週1回の点検表
指標は日々の運用の結果なので、下がってから慌てるより、週1回の点検で早めに手を打つほうが楽です。
| 点検項目 | 見る場所 | 手を打つ目安(仮の基準) |
|---|---|---|
| 在庫パフォーマンス指標の推移 | 在庫画面の指標欄 | 前週より下がったら要素を確認 |
| 販売不可在庫の件数 | 販売不可在庫の一覧 | 1件でもあれば理由を確認 |
| 在庫日数の長いSKU | 過剰在庫の一覧 | 上限日数を超えたら補充停止 |
| 売れ行きが落ちたSKU | ビジネスレポート | 前月比で大きく落ちたら原因を確認 |
| 在庫切れ間近のSKU | 在庫一覧・補充の提案 | 在庫日数がリードタイムを切ったら発注 |
表の「仮の基準」は自社の商品に合わせて決めてください。大事なのは、誰が・何曜日に・どの画面を見るかを決めて、点検を習慣にすることです。点検の型は在庫管理の方法でも紹介しています。
よくある質問
在庫パフォーマンス指標の基準値はいくつですか。 基準値や、下回ったときの扱いは見直されることがあるので、ここでは断定しません。セラーセントラルの在庫画面と最新の案内で確認してください。実務では、基準値との差よりも、どの要素が数字を下げているかを見るほうが打ち手につながります。
値下げして在庫を処分すれば、指標はすぐに戻りますか。 在庫が動けば過剰在庫の要素は改善に向かいますが、評価は一定期間の実績で計算されるので、反映には時間がかかることがあります。値下げは利益を削るので、次の納品を止める、ページや広告を見直すといった手を先に検討してください。
在庫を少なめに持てば安全ですか。 少なすぎると在庫切れの要素が悪化し、検索順位にも響きます。発注点と上限の在庫日数の2本の線を引き、その間に収まるように回すのが基本です。1回の納品量を減らして回数を増やすと、持ちすぎを防ぎやすくなります。
まとめ
- 在庫パフォーマンス指標は、過剰在庫・販売率・販売不可在庫・在庫切れの組み合わせで読む
- 見る順番は、販売不可在庫 → 過剰在庫 → 販売率 → 在庫切れ
- 数字を下げているのは少数のSKUが多い。影響の大きい順に手を打つ
- 過剰在庫は、納品を止める → 販売速度を上げる → 値引き → 返送・処分の順に検討する
- 発注点と上限の在庫日数の2本の線で、切らさず持ちすぎない状態を保つ
- 週1回、担当と曜日を決めて点検する
在庫の数字が下がったまま戻らない、どのSKUから手を付けるべきか分からないときは、無料診断で現状を整理してみてください。
