楽天とAmazonの違いは、実際に両方で売ってみると想像以上に大きいものです。楽天で売れている商品をAmazonにも出したら、思ったほど売れない。あるいはその逆。どちらも日本の大きなモールで、買う人も重なっているのに、同じやり方がそのまま通じないことはよくあります。

理由は、2つのモールの売れる仕組みがそもそも違うことにあります。楽天は店舗が集まった商店街に近く、Amazonは1つの大きな売り場に近い。この違いが、集客・商品ページ・広告・セール・顧客との関係のすべてに出てきます。

この記事では、楽天とAmazonの運用の違いを5つの点で整理し、片方で売れている出品者がもう片方に広げるときに何を変えればよいかを書きます。手数料の率や広告の仕様はモールごと・時期ごとに見直されるので、数値は各モールの最新の案内で確認してください。

いちばん大きな違いは「店」か「商品」か

2つのモールの違いを一言でまとめると、楽天は店を育てる場所、Amazonは商品を育てる場所です。

観点楽天Amazon
売り場の単位店舗ごとにページやデザインを持つ商品ごとに1つのページを複数の出品者で共有することがある
購入者が見るもの店の雰囲気、店の評価、店のイベント商品そのもの、レビュー、価格と配送
集客の中心検索に加え、店のメルマガやイベント、ポイント検索と商品の関連表示
リピートのつくり方店のファンを作り、メルマガやクーポンで呼び戻す商品の評価と定期購入、ブランドの認知
自社で決められる範囲ページの作り込みの自由度が高い決められた枠の中で情報を整える

楽天で売れている店は、店の世界観や、店のイベント、メルマガで常連を作っていることが多いはずです。Amazonでは店の存在感は薄く、購入者は商品を検索して比べて買います。楽天での強みが「店の力」なら、Amazonではそれがそのままは効きません。

集客:検索の仕組みと、それ以外の入口

Amazonでは、売上の多くが検索から生まれます。検索順位は、キーワードとの関連性と販売実績の両方に強く影響されるので、「売れるから上がる、上がるから売れる」の循環に早く乗せることが大事です。商品名・仕様(箇条書き)・検索キーワード欄の設計が、そのまま集客力になります。考え方はAmazonのSEOの基本にまとめています。

楽天も検索は大事ですが、入口がもっと分散しています。店のメルマガ、定期的な大型セール、ポイント施策、ランキング、店のお気に入り登録。検索以外で人を呼ぶ仕組みが多く、店側が自分で集客の波を作れます。

この違いから、始めたばかりのときの力の入れどころが変わります。

  • Amazonでは、商品名とキーワードの設計、最初のレビュー、広告での初速づくりに集中する
  • 楽天では、検索対策に加えて、店のイベントやメルマガで波を作る仕組みを整える

楽天の感覚で「イベントの日に売れればいい」と考えてAmazonに出すと、平常時の検索での売上が積み上がらず、順位が付かないまま止まります。

商品ページ:作り込む自由と、決められた枠

楽天の商品ページは自由度が高く、長い縦長の画像やデザインで世界観を作り込めます。Amazonは、商品名・画像・箇条書き・商品説明・A+(商品紹介コンテンツ)といった決められた枠の中で情報を整えます。

要素楽天で多い作り方Amazonで変えること
商品名キャンペーン文言や記号を多く入れるブランド名・商品の種類・主要な仕様を簡潔に。記号や宣伝文言は規約に注意
画像長い縦長の説明画像を何枚もメイン画像は白背景の規定あり。サブ画像で要点を1枚1メッセージで伝える
説明ページ全体で物語を作る箇条書き5行で要点、A+で比較や使い方を補う
レビューの見せ方店のレビューと商品レビュー商品レビューが中心。店の評価は目立たない

楽天のページをそのまま移すと、Amazonでは長すぎたり、規約に合わなかったりします。特にメイン画像の規定と、商品名に入れてよい文言は、事前に確認してから作ります。画像の組み方はサブ画像6枚の構成、商品名は商品名の書き方で詳しく書いています。

広告とセール:波の作り方が違う

楽天では、大型セールやポイント倍率の高い日に売上が集中しやすく、その日に向けて広告・クーポン・メルマガを重ねるのが定番です。売上の波を、店側がイベントに合わせて作ります。

Amazonにも大型セールはありますが、日々の売上の土台は平常時の検索です。広告も、スポンサープロダクト広告を中心に、毎日少しずつキーワードと入札を調整して、検索での売上を積み上げる運用が基本になります。

観点楽天で多い運用Amazonで多い運用
売上の波イベントの日に集中させる平常時の検索を土台に、セールで上乗せ
広告の調整イベント前に予算を寄せる日々キーワードと入札を調整する
値引きポイントとクーポンを重ねるクーポン・タイムセール。値引きしすぎは利益と価格の基準に響く
効果の見方イベント期間の売上広告費に対する売上(ACOS)と、広告を含めた全体の利益

Amazonの広告は、ACOS(広告費売上高比率)と、利益を含めた全体で判断します。仮に粗利率30%の商品なら、ACOSが30%を超えると広告経由の販売は赤字です。楽天の感覚でイベントの日だけ予算を寄せても、Amazonでは検索順位の土台が育ちません。広告の組み方はキャンペーンの構造、運用を任せる場合はAmazon広告の運用代行で私たちの進め方を紹介しています。

顧客との関係:呼び戻せるか、呼び戻せないか

楽天では、店がメルマガで購入者に連絡し、クーポンやイベントの案内でもう一度来てもらうことができます。常連が売上を支える構造です。

Amazonでは、購入者の連絡先を販促に使うことは規約で制限されていて、楽天のように店から呼び戻すことはできません。リピートは、商品の評価、定期おトク便、ブランドとしての認知といった「商品側」の力で作ります。

この違いは、価格の考え方にも影響します。楽天では、初回は値引きで買ってもらい、2回目以降のメルマガで利益を取り戻す、という設計ができます。Amazonでは呼び戻す手段が限られるので、1回の購入で利益が出る価格と原価になっているかを先に確認します。利益の出し方は利益が出ない原因、試算は利益計算ツールで確認できます。

片方からもう片方へ広げるときの順番

楽天で売れている商品をAmazonに広げる場合の順番です。

  1. 利益を計算し直す。Amazonの販売手数料・FBA料金・広告費は楽天とは構造が違います。カテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で、1個あたりの利益を出してから始めます
  2. 売る商品を絞る。楽天の全商品ではなく、検索で探される商品、比較されても勝てる商品から1〜3つで始めます。選び方は最初の1商品の選び方が参考になります
  3. 商品ページを作り直す。楽天のページを流用せず、Amazonの枠と規約に合わせて作ります
  4. 最初の90日は検索での初速に集中する。広告で販売実績を作り、レビューを集め、順位を付けます
  5. 在庫と出荷の仕組みを決める。FBAを使うか、楽天と在庫をどう分けるかを決めます

逆に、Amazonで売れている商品を楽天に広げるなら、店のページの作り込みと、メルマガ・イベントで波を作る仕組みの準備に時間をかけます。どちらの場合も、片方の成功の型を、もう片方にそのまま持ち込まないことが出発点です。

よくある質問

楽天の商品ページの画像をAmazonでそのまま使えますか。 そのまま使えることは少ないと考えてください。Amazonのメイン画像には白背景などの規定があり、サブ画像も1枚ごとに要点を絞るほうが伝わります。楽天の縦長の説明画像は、要素を分けてサブ画像やA+に作り直すのが近道です。

楽天とAmazonのどちらから始めるのがよいですか。 商品と体制によります。検索で探される商品で、店の世界観より商品の比較で選ばれるならAmazonから、店のファンやイベントで売る力があるなら楽天から、という考え方が一つの目安です。両方を同時に始めると、どちらも中途半端になりやすいので、片方で型を作ってから広げるほうが安定します。

同じ商品を両方で売るとき、価格は揃えるべきですか。 手数料や送料の構造が違うので、同じ価格で同じ利益が出るとは限りません。モールごとに1個あたりの利益を計算してから決めてください。極端に差を付けると購入者の信頼を損ねることもあるので、差を付けるなら理由を説明できる範囲にとどめます。

まとめ

  • 楽天は店を育てる場所、Amazonは商品を育てる場所。売れる仕組みが違う
  • Amazonの集客は検索が土台。商品名とキーワード、最初のレビュー、広告の初速に集中する
  • 商品ページは楽天の流用ではなく、Amazonの枠と規約に合わせて作り直す
  • Amazonは平常時の検索で売上を積み上げ、セールは上乗せと考える
  • 購入者を呼び戻す手段が限られるので、1回の購入で利益が出る設計にする
  • 広げるときは、利益の計算 → 商品を絞る → ページを作り直す → 90日の初速、の順に進める

楽天で売れている商品をAmazonでも伸ばしたい、どの商品から始めるべきか相談したいときは、Amazonコンサルティングのページをご覧いただくか、相談フォームから状況をお聞かせください。