Amazon運用代行 定例会の頻度は、契約の前にはあまり話題になりません。見積もりの段階では月額や作業の範囲に目が行き、「定例は月1回で」とだけ決めて始めることが多いからです。ところが、契約してから不満が出やすいのは、作業の中身よりも連絡のほうです。
「何をしているのか見えない」「聞いたことへの返事が遅い」「定例会が数字の読み上げで終わる」。こうした不満は、代行会社の腕が悪いというより、最初に連絡のやり方を決めていなかったことから起きます。
この記事では、定例会の頻度の決め方、1回の定例会で何を話すか、定例会以外の普段の連絡、費用との関係、契約前に文章で決めておく項目を順に書きます。代行会社の比べ方そのものは運用代行の比較の10項目、契約書全体の確認は契約書で確認する10項目にまとめています。
定例会の頻度は「判断の回数」で決める
定例会の頻度は、多ければ良いわけではありません。目安になるのは、その期間にどれだけ自社が判断すべきことが出てくるかです。判断することがないのに週1回集まっても、数字の確認だけで終わります。逆に、立ち上げ直後で決めることが多いのに月1回だと、判断が遅れて1か月が過ぎます。
| 頻度 | 向く時期・状況 | 向かない状況 | 1回の目安 |
|---|---|---|---|
| 週1回 | 立ち上げ直後の1〜2か月、新商品の発売前後、大型セールの前 | 運用が安定し、判断することが少ない時期 | 30分 |
| 隔週 | 立ち上げから数か月たち、改善を続けている時期 | 商品数が少なく、変化が少ない場合 | 45〜60分 |
| 月1回 | 運用が安定し、月次の数字で判断できる時期 | 立ち上げ直後、在庫や価格の判断が頻繁に出る時期 | 60分 |
多くの場合、立ち上げ直後は週1回、2〜3か月目から隔週、安定したら月1回と、時期に合わせて頻度を落としていく形が無理がありません。契約のときに「最初の2か月は週1回、その後は隔週」のように、段階を決めておくと、あとで頻度を変えるときに揉めません。
頻度を上げたほうがいい場面
月1回の定例で回していても、次のような場面では一時的に頻度を上げます。
- 大型セールの2〜4週間前:在庫・価格・広告の予算を決める
- 新商品の発売前後:商品ページと広告の立ち上げを確認する
- 売上やACOSが急に動いたとき:原因を早く切り分ける
- 担当者が替わった直後:引き継ぎの漏れがないかを確かめる
こうした「臨時の定例」を月額の中で何回まで受けてもらえるかは、契約前に聞いておく項目です。後の章で詳しく書きます。
1回60分で回す議題の型
定例会が数字の読み上げで終わるのは、議題が決まっていないからです。毎回同じ型で進めると、短い時間でも判断まで進められます。月1回・60分の場合の型を示します。
| 順番 | 議題 | 時間の目安 | 中身 |
|---|---|---|---|
| 1 | 前回の宿題の確認 | 5分 | 前回決めたことが実行されたか。されていないなら理由 |
| 2 | 数字の要点 | 10分 | 売上・利益・広告費・ACOS・TACOSの前月比。動いた理由 |
| 3 | 実施したこと | 10分 | 広告・商品ページ・価格で何を変えたか。その結果 |
| 4 | 判断が必要なこと | 20分 | 在庫の発注、価格の変更、新しい施策など、自社が決めること |
| 5 | 次回までの宿題 | 10分 | 誰が・何を・いつまでに。自社側の宿題も含める |
| 6 | その他 | 5分 | 気になっていること、次の定例までの連絡の予定 |
いちばん時間を取るべきなのは4番目の「判断が必要なこと」です。数字の要点や実施したことは、資料を事前に読んでおけば短くできます。定例会の時間は、資料を読む時間ではなく、決める時間に使うと考えてください。
資料は前日までに共有してもらう
定例会の資料が当日の画面共有で初めて出てくると、その場で数字を読むだけで時間が終わります。資料は前日までに送ってもらい、自社側も目を通してから臨むのが基本です。
資料の中で見るべき数字や、報告書の質の見分け方は広告代行のレポートの見方に詳しく書きました。売上だけでなく、利益やTACOS(広告費÷全体の売上)が載っているかを確認してください。
議事録と宿題の一覧を残す
定例会で決めたことは、議事録として残してもらいます。議事録は長い文章でなくてかまいません。次の3つが書かれていれば十分です。
- 決まったこと(何を、どう変えるか)
- 宿題(誰が、何を、いつまでに)
- 次回までに確認すること
宿題の一覧が残っていれば、次の定例会の最初の5分で「やったか、やっていないか」を確かめられます。決めたことが実行されないまま次の定例が来る、という状態を防げます。
定例会以外の普段の連絡
定例会と同じくらい大事なのが、定例会と定例会のあいだの連絡です。急ぎの相談への返事が遅いと、在庫切れや価格の問題に対応が間に合わないことがあります。
| 決めておくこと | 決め方の例 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 連絡手段 | チャットを基本、契約や金額の話はメール | 連絡がいくつもの場所に散らばり、言った・言わないになる |
| 返答の目安 | 平日は営業時間内に1営業日以内 | 急ぎかどうかの感覚がずれ、待たされたと感じる |
| 急ぎの連絡 | 在庫切れ・出品停止・アカウントの警告は当日中 | 止まっている間の売上を失う |
| 対応する時間帯 | 平日の営業時間。土日祝の対応の有無 | 週末のセール中に連絡がつかない |
| 連絡の窓口 | 代行側の担当者と、不在時の代わりの人 | 担当者が休みのときに誰にも連絡がつかない |
特に急ぎの連絡の定義は、言葉で決めておいてください。「急ぎ」は人によって感覚が違います。在庫切れ、出品の停止、アカウントへの警告、広告費の急な増加など、どれを急ぎとして扱うかを一覧にしておくと、双方の感覚がそろいます。
週1回の短い報告を入れる
定例会が月1回でも、週に1回、短い報告をチャットで送ってもらう形にすると、「何をしているのか見えない」という不満はかなり減ります。中身は数行で足ります。
- 今週やったこと(広告の調整、除外キーワードの追加など)
- 気になった数字の動き
- 来週やる予定のこと
週1回の報告と月1回の定例会を組み合わせると、定例会の頻度を上げなくても、普段の動きが見える状態を作れます。
定例会の頻度と費用の関係
定例会の頻度は、費用にも関わります。定例会には準備の時間(資料の作成・数字の集計)がかかるため、頻度を上げるほど代行側の作業時間が増えます。月額の中に定例会が何回含まれているかは、会社によって違います。
計算の形を示すため、仮の数字を置きます。実際の水準を示すものではありません。
- 定例会1回あたりの代行側の時間:準備2時間+会議1時間=3時間と仮定
- 代行側の時間単価:仮に5,000円と置く
| 頻度 | 月の回数 | 月の時間 | 時間の換算(仮) |
|---|---|---|---|
| 月1回 | 1回 | 3時間 | 15,000円 |
| 隔週 | 2回 | 6時間 | 30,000円 |
| 週1回 | 4回 | 12時間 | 60,000円 |
この仮定では、月1回から週1回に増やすと、定例会だけで月に9時間ぶん作業が増えます。その時間が月額に含まれているなら、運用そのものに使える時間が減るかもしれません。含まれていないなら、追加の費用になります。
定例会を増やすほど良いわけではなく、増やした分の時間がどこから来るのかを確かめてください。頻度を上げたいなら、定例会の時間を短くする、週1回の報告をチャットにして定例会は月1回にする、といった組み合わせで、作業の時間を削らない形を探します。
月額に含まれる作業の範囲と、別料金になりやすい項目は見積もりで別料金になりやすい項目にまとめています。当社の料金と、月額に含まれる定例会の回数は料金プランに公開しています。
契約前に文章で決めておく項目
定例会と連絡のやり方は、口頭で決めると、担当者が替わったときや時間がたったときに曖昧になります。契約書か、契約書に添える業務の範囲の書面に、次の項目を入れておきます。
- 定例会の頻度と1回の時間(時期ごとに変えるなら、その段階)
- 月額に含まれる定例会の回数と、超えたときの扱い(追加費用の有無)
- 臨時の定例会を受けてもらえる条件
- 定例会の資料を共有する期限(前日まで、など)
- 議事録を残すかどうかと、誰が書くか
- 普段の連絡手段と、返答の目安
- 急ぎの連絡として扱う事柄の一覧と、その場合の返答の目安
- 土日祝の対応の有無
- 担当者が不在のときの代わりの窓口
全部を細かく決める必要はありません。ただ、2番の「月額に含まれる回数」と7番の「急ぎの定義」だけは、文章で残しておくことをおすすめします。ここが曖昧だと、追加費用と対応の遅れという、いちばん揉めやすい2つの問題につながります。
目標の数字を定例会のたびにどう確認するかも、合わせて決めておくと進めやすくなります。目標の置き方は運用代行と決める目標数字に書きました。
失敗例:定例会が「報告を聞く場」になっていた
よくある失敗は、定例会を「代行会社の報告を聞く場」と考えてしまうことです。代行側が数字を説明し、自社側は聞いて「ありがとうございます」で終わる。これが毎月続くと、在庫の発注や価格の変更など、自社が決めるべきことが先送りされます。
運用代行に任せられるのは、広告や商品ページの作業の部分です。在庫をどれだけ持つか、価格をどうするか、新しい商品を出すかは、最終的に自社が決めることです。定例会は、その判断を代行側の材料を使って行う場だと考えてください。議題の4番目「判断が必要なこと」を毎回空欄にしない、と決めておくだけでも、定例会の中身は変わります。
自社側が用意しておくこと
定例会を実のあるものにするには、自社側の準備も要ります。代行会社が見られない情報は、こちらから出さないと判断の材料になりません。
- 在庫と発注の予定:次の入荷がいつか、どれだけ入るか。在庫が切れそうなら広告の強弱を変える必要があります
- 価格を変える予定:値上げやセールの予定。広告の目標やACOSの見方が変わります
- 原価の変化:仕入れ値が変われば、損益分岐のACOS(これを超えると赤字になる線)も変わります
- 社内で決まったこと:新商品の予定、販売をやめる商品など
損益分岐のACOSは、利益シミュレーターに売価・原価・手数料を入れると出ます。定例会の前に自社で出しておくと、代行側が出す目標ACOSが自社の粗利に合っているかを、その場で判断できます。
当社は2019年からAmazonの支援をしていて、これまでに30ブランド・300商品ほどを見てきました。定例会の頻度や議題は、立ち上げの段階か、安定した段階かで変えています。支援の範囲はAmazon運用代行の内容に載せています。
よくある質問
定例会は月1回で足りますか。 運用が安定していて、月次の数字で判断できる時期なら足りることが多いです。立ち上げ直後や大型セールの前は判断することが増えるので、その時期だけ週1回か隔週に上げるか、週1回の短い報告をチャットで送ってもらう形を組み合わせてください。
定例会はオンラインと対面のどちらがいいですか。 多くの場合はオンラインで足ります。画面で数字や管理画面を一緒に見られるので、むしろ話が早いこともあります。対面は、契約の最初の顔合わせや、半年ごとの振り返りなど、節目にだけ入れる形が負担になりにくいです。
定例会の回数を増やしてほしいと言ったら、追加費用がかかりますか。 会社によって違います。月額に定例会の回数が含まれていて、超えると追加費用になる形もあれば、一定の回数までは月額の中で受ける形もあります。契約前に、月額に含まれる回数と、超えたときの扱いを文章で確認してください。
代行会社からの返事が遅いときはどうすればいいですか。 まず、返答の目安と急ぎの連絡の定義を、双方で決めていたかを確かめます。決めていなかったなら、今からでも一覧にして共有してください。決めていたのに守られないなら、定例会の議題に入れて、担当の体制や窓口を見直してもらいます。改善しない場合は、契約の見直しも選択肢になります(乗り換えの判断基準)。
まとめ
- 定例会の頻度は「判断することの回数」で決める。立ち上げは週1回、その後は隔週、安定したら月1回が目安
- 1回の定例会は、宿題の確認→数字の要点→実施したこと→判断が必要なこと→次回の宿題の型で回す
- 資料は前日までに共有してもらい、定例会の時間は決めることに使う
- 普段の連絡は、連絡手段・返答の目安・急ぎの定義・対応する時間帯・窓口を決めておく
- 定例会を増やすと代行側の作業時間も増える。増やした分の時間がどこから来るかを確かめる
- 月額に含まれる定例会の回数と、急ぎの連絡の定義は、契約前に文章で残す
まずは今の契約書か見積もりを開き、定例会の回数と返答の目安が書かれているかを確かめてください。書かれていなければ、この記事の9項目を一覧にして相談するところから始められます。自社の運用の弱いところを先に知りたい場合は無料の運用診断、個別の相談はお問い合わせからどうぞ。
